南アルプス 奥西河内沢〜荒川三山




日程
99年7月30日(金)〜8月3日(火)

メンバー
(川崎橘山想会)CL Mさん、Sさん、Oさん

コースタイム
7月30日
橋本駅23:30出発(車)
31日
〜畑薙第一ダム〜(バス)〜椹島9:00〜幕営地15:40
8月1日
幕営地5:10〜2日目幕営地16:00
2日
幕営地5:00〜荒川小屋〜前岳〜中岳〜〜悪沢岳〜千枚岳12:00〜椹島17:00
3日
椹島〜(バス)〜畑薙第一ダム




 久しぶりの沢登りであるとともに、泊まりの山行。
 この時期は、会社の夏休みで、なんとなく南アルプスの南部で単独で計画を立てていたのだが、都合良くこの計画があったので、のっかった次第。
 奥西河内(おくにしこうち)沢は、荒川岳、赤石岳の2つの3000メートル級の山を源とする沢。その長さと水量の豊富さはさすがにアルプス級といえるものだった。稜線に出るまでに2日かかり、登った稜線のどこからも、沢は眺められ、「あそこをずっと歩いてきたのか」という感慨を持ちながら、稜線を歩くことができた。
 また、天気にも非常に恵まれ、行動中に雨に降られることはなかった。


31日
 夜中の車移動ということもあり、混雑もなかったのだが、静岡から登山口まではさすがに長かった。長いだけならともかく、行けると思っていた県道が路肩の崩落のため、途中通行止めとなっていたため、えらい時間をロスしてしまった。
 悪いことは重なるもので、車の前輪がパンクしてしまう。
 結局、畑薙第一ダムに到着したのは、夜がすっかりあけて7時頃である。車の中ではちょっとだけしか眠れなかった。

 畑薙第一ダムからは一般車は進入できず、東海フォレストのリムジンバスでの移動となる。このリムジンバスが曲者である。原則として、東海フォレストの運営する山小屋を1泊2日(食事つき)で利用する人の送迎バスとなっていて、椹島までの登りは、「小屋利用券」(3000円)なるものを購入してバスに乗る。小屋を利用する人はこれを小屋の宿泊料へ充当することになるが、我々にとってはただの紙切れである。
 ちなみに、下りのバスには小屋の領収書を提示して乗ることが出来るが、利用してない者は2000円を払って、乗ることが出来る(ついでに、「これは例外的な措置なので今後はやめて下さい」と形式的に言われる)。

 椹島へ到着してから小休止した後、出発。20分ほど歩いて沢に入る。千枚岳の登山道の途中、釣り橋を渡った地点である。
 さっそうと渓流足袋にはきかえる。ちなみに、Mさんはズック。Sさん、Oさんは、地下足袋にわらじというスタイル。
 しばらく登っていくと鶴首と呼ばれるゴルジュ帯を通過する。
鶴首のゴルジュ付近
 沢は水量が多い場所が多く、巻く場面が多い。巻くとたいてい薮こぎになるのだが、刺のある葉や茎をもつ植物も多く、手や腕にたくさんの擦り傷ができる。
 実際に歩いてみて、沢の長さというものに驚く。かなりの時間歩いたと思って、地図を見て位置を確認すると、「えー、まだこれしか歩いてないの?」と感じることが多々であった。しかも、参考にしたガイドのコースタイムが異常に速いため(駆け抜けたんか?こいつらは)、ますます面食らってしまう。
 予定では、2日で余裕で抜けると思っていたのが、そんな楽じゃないぞ、という感じになってきた。
千枚岳の稜線が見える
 15時を過ぎるあたりから、幕営地を捜しながら歩いていたが、なんとか適当なところを見つけることができた。
 適当なとはいっても、河原沿いの岩がごつごつしているような場所なので、整地し、草を敷いてテントを設営。なんとか、格好がつく。
 ビールで乾杯した後、焚き火で大いに盛り上がる。なんとはなしに、地図で国立公園の境界を調べてみると、荒川三山近辺は、稜線付近のみが国立公園となっていて、驚いたことに、このあたりは含まれてない。というわけで、合法的な焚き火だった(まあ関係ないけど)。
 皆、前日あまり睡眠を取れなかったこともあり、ほどなく就寝となる。

8月1日
 5時には起床し、6時に出発。晴れ。
 沢もまだまだ半ばを過ぎたくらいで、水量は多い。沢を巻いたり、渡渉したり、行けないと悟って、戻ったりするので、歩く順番がときどき入れ替わる。僕が先頭になると、どうも、変なルートを行ってしまうようで、ちょっと迷惑させる。
 基本的には、まだまだ巻く場面が多い。途中で1カ所ほど、パンツまで濡れるくらい水を浴びてしまったが、他に特に難もなく順調に進んでいく。

 北沢、上北沢の出合いを過ぎ、本谷を進んでいくと、今回の一番の難所に至る。
 小滝が連続するところに出くわすが、山行記録を参考にして、左岸を巻く。しかし、これがルートどうりなのか分からないのだが、非常に傾斜がきつい。そこで、ザイルで確保しながら斜面をトラバースして慎重に進んでいく。

 相当に時間を消費して、大滝の手前に出ることが出来た。
60mの大滝
 大滝は、すぐ左側が登れそうかもということであったが、安全をみて、記録の通り、右岸を30m程下ったところのルンゼを登る。
 しかし、この登りがきつくて、えらい長く感じる。
 100m以上登り、おおよそこの当たり、というところで右の方にトラバースしていくと、木に縛り付けた目印のようなものがあった。人の通った後を今回初めて見た気がする。歩くと言えば、けもの道ばかりだったのだ。
 その先を下降して、滝のやや上流の方に降りることが出来た。

 しかし、大滝を越えて、ホッとしたのもつかの間のことに過ぎず、再び長い登りが続く。
 結局、この日も稜線に出られず、沢が枯れようかというあたりで幕営となる。

2日
 この日は、結果として12時間歩くこととなった。
 幕営地からしばらく沢筋を歩いていくが、途中で、沢筋から外れてハイマツ帯を越え、稜線の登山道に出る。
 今日も快晴である。さすがに夏のアルプスだけあって、登山者に多く出会うようになる。
 途中、お花畑を通り、荒川小屋に到着。

 少し休憩をとり、再び登る。
赤石岳と荒川小屋
 1時間ほどで、荒川中岳と前岳の間のコルに到着する。
 この後、空荷で、前岳。再び戻って、中岳、悪沢岳とピークハントをしていく。もちろん 「橘アワード」 のためにしっかり証明写真を撮りながら。展望はすこぶる良い。

荒川前岳からのパノラマ写真

 悪沢岳への登りが少々きつかったが、無事に到着。前岳では快晴状態であったが、このころには若干雲が多くなっており、赤石方面は雲に隠れることが多くなっている。
悪沢岳山頂
 あとはひたすらの下り。5時間。今日は始終先頭のOさんがいいペースで歩いていくので、たいそう疲れた。
 荒川小屋や千枚小屋ではビール(350缶)は600円となっており(つい2、3年前は500円だったような気がするが)、椹島まで下ると350円である。ということもあって、ビールを多く飲むために下りまくったという気もしなくもない。

 とにもかくにも、ながーい下りの後、椹島に到着。
 無事の下山を祝して乾杯した。


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