■消費税課税事業者選択届出の提出■

 

 

免税点が3,000万円以下から1,000万円以下に引き下げられたことにより、今まで申告や記帳をした経験が無い事業者も新たに消費税の課税事業者となるが、個人の新規課税事業者の場合、平成16年12月31日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出しないと、平成17年分の仕入税額控除の適用を受けることができないので要注意である。

 例えば、個人事業者が、平成17年8月1日に1億円かけて事業用店舗を完成させ、それを他社に対し、月々100万円(=年間賃借料1,200万円)で貸す予定があるとする。

 この場合、平成16年12月31日までに同届書を提出しておけば、年間賃借料1,200万円に係る消費税額60万円から、事業用店舗の建築費用1億円に係る消費税額500万円を差し引いた残額440万円が還付されることになる。

 一方、届出書を出し忘れ、事業用店舗完成直前の平成17年7月31日に提出した場合、仕入税額控除の適用は受けられず、課税仕入1億円に係る消費税額は還付されない。

 なぜなら、同届出書提出により、課税事業者となった場合の仕入税額控除の適用は「当該提出をした日の属する課税期間の翌課税期間以後」と規定されているため、平成18年分からの適用となるからである。(消費税法第9条第1項第4号)

 ただし、課税期間に関する特例「消費税法第19条第1項第3号の2」の適用を受け、課税期間を1年から1カ月に短縮すれば、仕入税額控除を受けることができる。

  つまり、課税期間を1カ月に短縮し、仕入が行われた平成17年8月1日の前日、すなわち平成17年7月31日までに届出書を提出すれば、1カ月当たりの賃 借料100万円に係る消費税額5万円から、事業用店舗の建築費用1億円に係る消費税額500万円を差し引いた残額495万円が還付されることになる。

 なお、課税期間の特例の選択をするためには、納税地を所轄する税務署長に「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出する必要がある。




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