U.多様就業型ワークシェアリングのあり方
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1.基本的考え方
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(1)
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労働者の働き方には様々な形態がありうるが、個々の企業の労使がワークシェアリングの手法を活用して多様な働き方を適切に選択できるようにすることは、我が国の経済社会の現状において、次のような効果を有していると考えられる。
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国民の価値観の多様化や仕事と家庭・余暇の両立などのニーズに対応し、働き方やライフスタイルを見直すことができる。
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A
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経済のグローバル化、産業構造の変化等に対応し、企業による多様な雇用形態の活用を容易にすることにより、経営効率の向上を図ることができる。
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B
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少子高齢化の進展や就業意識の多様化等に対応し、女性や高齢者を含む労働者の働き方に対する希望に応え、その能力を十分発揮させることにより、生産性の向上を図ることができるとともに、少子高齢社会における支え手を増加させることができる。
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C
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労働者と企業の多様なニーズに応え、労働力需給のミスマッチを縮小することができる。
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(2)
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労働者がその能力を十分発揮できるようにし、企業の活力を高めていくためには、多様な働き方が適切な選択肢として位置づけられることが必要である。
そのため、個々の企業において、従来の雇用慣行や制度の検討・見直しに取り組み、多様な働き方のための環境整備を進めていくことが必要である。
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2.実施に当たっての留意事項
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個々の企業においては、労使の自主的な判断と合意により、次のとおり、多様な働き方を実現するための環境づくりを進めることが望ましい。
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正社員の短時間勤務や隔日勤務など多様な働き方の実現に向けての環境整備を図るため、賃金・人事制度に関し、職務の明確化、時間当たり賃金の考え方等について検討を行うこと。
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A
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多様な働き方及び成果に見合った公正な処遇を図ること。また、使用者は、その処遇について十分な説明を行うこと。
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B
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職務の性格に応じて短時間勤務等を実施する場合には、仕事の仕方の見直しを行うとともに、労働時間管理の適正化を図ること。
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C
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多様な働き方に見合った企業内教育訓練や自己啓発の支援を行い、労働者の職業能力の向上を図ること。
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3.政府の取り組み
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(1)
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多様就業型ワークシェアリングの環境整備を社会全体で進めるため、短時間労働者等の働き方に見合った公正・均衡処遇のあり方及びその推進方策について、引き続き検討を行う。
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(2)
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また、短時間労働者に対する社会保険適用のあり方については、平成16年に行われる次期年金制度改正に向け、厚生年金保険の適用拡大について引き続き検討を行う。医療保険についても、検討を行う。
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V.緊急対応型ワークシェアリングのあり方
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1.基本的考え方
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(1)
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現在、景気は悪化を続け、生産量や売上げが減少している企業では雇用過剰感に直面している。今後、不良債権処理など構造改革が進む中で、個々の企業が雇用削減を続ければ、雇用情勢は更に厳しさを増し、社会不安をも招きかねず、景気に更なる悪影響を及ぼすことが懸念される。こうした観点から、失業者の発生をできるだけ抑制するための緊急的な対応が必要である。
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(2)
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このため、今後2〜3年程度の間、個々の企業において一時的な生産量等の減少に伴い余剰人員が発生した場合、当面の緊急的な措置として、労使の合意により、生産性の維持・向上を図りつつ、雇用を維持するため、所定労働時間の短縮とそれに伴う収入の減額を行う緊急対応型ワークシェアリングを実施することが選択肢の一つとして考えられる。
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(3)
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緊急対応型ワークシェアリングは、個々の企業において従来から行われてきた雇用調整措置とは異なる新たな雇用調整の手段として位置づけられるものである。また、その実施のタイミング、実施期間、対象範囲等については、個々の企業の実情に応じて判断されるべきものである。
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2.実施に当たっての留意事項
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(1)
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緊急対応型ワークシェアリングの実施に当たっては、個々の企業の労使間で、次の点について十分に協議し、合意を得ることが必要である。
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実施及び終了の基準、実施する期間
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A
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実施する対象範囲(部門、職種等)
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B
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所定労働時間の短縮の幅と方法(1日当たり労働時間短縮、稼動日数削減等)
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C
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所定労働時間の短縮に伴う収入(月給、賞与、退職金等)の取り扱い (注)時間当たり賃金は、減少させないものとする。
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(2)
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労使の納得と合意が得られた場合には、労使間の合意内容について、協定を締結するなど明確化することが必要である。
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(3)
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緊急対応型ワークシェアリングの実施に先立ち、労働時間管理を徹底し、残業の縮減に取り組むことが必要である。
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(4)
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緊急対応型ワークシェアリングを実施する場合であっても、労使は、生産性向上やコスト削減など経営基盤の強化及び新事業展開の努力を行うことが必要である。
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3.政府の取り組み
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緊急対応型ワークシェアリングに対する政府の財政的支援については、公平性の観点等にも配慮しつつ、今後2〜3年間程度行われる新たな雇用調整の手段であるという観点に立って、具体的な支援方策について、引き続き検討を行う。
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