■改正労働基準法のポイント■



■労働基準法改正(平成16年1月1日施行)

1.有期労働契約
(1)有期労働契約の期間の上限(第14条第1項)
 @労働契約期間の上限は、3年(原則)。
 A一定の高度で専門的な知識等を有する者にていては、5年。
 B60歳以上の者については、5年

  *「高度で専門的な知識等を有する者」の具体例
    @ 博士の学位を有する者
    A 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者
    B システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者
    C 特許法に規定する特許発明の発明者、意匠法に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法に規定する登録品種を育成した者
    D 大学卒で実務経験5年以上、短大・高専卒で実務経験6年以上又は高卒で実務経験7年以上の農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、システムエンジニア又はデザイナーで、年収が1075万円以上の者
    E システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1075万円以上の者
    F 国等によりその有する知識等が優れたものであると認定され、上記@からEまでに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

  *上記の規定は、建設業等の有期事業及び職業訓練を受ける労働者には適用されない。

(2)有期契約労働者の退職(附則第137条)
 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

2.労働契約の終了
(1)解雇権濫用法理の明記(第18条の2)
 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(2)解雇理由の明示(第22条第2項)
 労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。但し、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

3.裁量労働
(1)専門業務型裁量労働制(第38条の3)
 労使協定により、「健康・福祉確保措置」及び「苦情処理措置の導入」が必要となった。
 
(2)企画業務型裁量労働制の要件緩和(第38条の4)
 @労使委員会の設置届を廃止した。
 A導入事業場を本社等に限定しない。
 B「委員全員の合意による決議」から「委員の5分の4以上の多数による議決」に要件緩和された。
 C労働者側委員の選任要件の緩和(労働者の過半数の信任要件は廃止された)
 D報告事項について、対象労働者の健康・福祉確保措置の実施状況に限定された。
 E労使委員会の決議の有効期間の暫定措置を廃止した。

4.就業規則
・解雇事由の明示(第89条第3号)
 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 1.始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
 2.賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
 3.退職に関する事項(解雇の事由を含む)
 3の2 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
 4.臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
 5.労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
 6.安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
 7.職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
 8.災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
 9.表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
10.前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項


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