AppleとNeXT

12月21〜23日は、日本では連休だったのですが、 アメリカではクリスマス休暇に入りつつあり、各種Web上の ニュースなども、だいたい20日まででお休みになる ところが多かったです。 MacWEEK Online Japanがそうですし、インプレスの PCWatchもあまり情報が増えてはいませんでした。私もそのつもりで、12月22日の深夜まで、 何も確認していませんでした。
そうして、たまたま自宅のマシンの設定を変えたので、 Netscape Navigatorで確認しようと、いつものMacWEEKを見にいって、 驚き!号外が出ていました。

なんと、AppleがNeXTの買収を発表、Steve Jobs 古巣に戻る

これには心底度肝を抜かれました。BeOSのことで話題持ちきりに なっていたために、いくらE.Hancock女史(当時、開発部門のトップ) が「確かに社外のよいものを採り入れていく方針でこれからゆくが、 我々の交渉相手はBeだけではない、そのことはよく覚えておいて ほしい」とまでコメントしても、誰もがBeのことしか気にして いなかったのでした。


これはほとんど衝撃に近く、当然翌日は朝日・日経の両新聞が 記事を割きました。また、この発表はApple CEO の Dr.Amelio と、NeXT CEO の Jobs の両氏が出席したそうで、様子は Apple Computer, Inc. 自身のWebページ Apple & NeXT Meet the Pressに発表されています。
さらに、ニュースリリースにもあります。

Apple Computer, Inc. の英語のもの
アップル・コンピューター株式会社の日本語のもの

現在、日本語の方のページは、あまりのアクセスの集中で 重いかもしれません。
他に、雑誌のホームページとしては、 MacLifeにも 強力な号外情報が出ています。
さらに、各種ニューズレター(電子メール利用のものなど)にも、 ひどく取り沙汰されています。なんというか、いわば「強いアップル」 を待ち望んでいるファンには、待望のニュースだったかも しれません。

ただ、私はこれで面白い何かが起きるといいな、とは思いつつも、 必ずしもすぐにMacによいことが現れるとは思っていません。来年 1月7日にある、SanFransiscoでのMacWorldExpoで、Dr.Amelio が講演を行ないますが、このときまで、MacOSがどう変わるのかは わかりませんし、それが具体的にはっきりするのは、5月の WorldWide Developers Conferenceでしょうし。
私は、MacよりLisaを高く評価する人間です。Lisaは価格こそ ばかげていましたが、MultitaskのきちんとしたOSを持った コンピューターでした。Macはそれを、Jobsがあえて小さく まとめなおしたもので(LisaはJobsはトップではなかったの です…これは有名な話ですね)、Appleはいまだにその部分で MacOSの改訂に苦しんでいます。
もちろんJobsはその反省として、CMUの開発したMach Kernelを 土台にした、NeXTSTEPを作りましたが、現在はこれはハード 部門の売却とともにジリ貧状態で、そのAPIだけを取り出して、 様々なOSで動くようになったOPENSTEPと、その上で動く WebObjectが主な商売です。OS事業そのものでは、あまり ぱっとしない状態です。
Jobsはカリスマ的な魅力を発揮するようなパッケージングの うまい人間です。この点では、Bill Gates よりずっと上の 手腕を持っていると思います。それがいい方に結びつけばいいの ですがね。
ただ、NeXTの採用しているObjective-Cは面白いし、これは Metroworks社がCodeWarriorに採用するそうですので、 C++がいっそなくなってくれることを期待しています(笑)。


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