概略
足利尊氏が菩提寺として建てたことで有名です。実際、霊光殿には初代以降15人、加えて徳川家康の像を安置しています。それぞれの人物像を表現しています。
しかし、ここは日本庭園のファンの間でむしろ有名かもしれません。
変わらぬ魅力
実は個人的には、ほとんど将軍像に興味が湧きません。それなのに強く惹かれるのは、初めてここに訪れた1980年頃、春になりかけた庭の美しさに圧倒されたというのが本当のところなんです。
入ってすぐ右にある方丈には、枯山水がちんまりとあります。霊光殿を見てから、方丈の裏側に回るともう庭が見えてきます。方丈前とまったく異なる池泉回遊式庭園。はやる心を抑えながら、サンダルのある縁側へ回ります。そして、サンダルを履いて庭に下りていきます。
夢窓疎石(室町期の高僧)の名作。彼には嵐山天龍寺(規模も大きく壮観)、桂の西芳寺(俗にいう苔寺、大きく懐深く、そして優しい風情)といった名高い庭がありますが、ここは規模の点では他よりむしろ小さいにもかかわらず、池の奥への広がり、植え込みと石のバランスなど、とにかくコンパクトかつ四季の美しさを堪能できます。
また、池を見下ろす茶室、清蓮亭も内部を伺うことが出来ます。(ここで一度茶を喫してみたいものだ。)
立命館大学が移転してきた直後は、建物が借景を邪魔していましたが、樹木も育ってそれほどでもなくなりました。芙蓉を象った池を眺めつつ、縁側でお抹茶(別料金)をいただくのもすてきな時間です。
ちなみに、1994年頃からタクシーの運転手が案内する人気コースとなり、その頃から休日などはかなり混雑するようになってきました。それ以前、私は一人でここに来ると、ずいぶんといろいろなことを考えながら座っていたこともありました。庭は今でも大きく変わらず、たまに訪れる静寂を胸にためると、相変わらずいいところだと感じ入ります。
ただし、おそらく悟りを目指す仏教は、方丈前の枯山水がむしろ目指すものなのでしょう。ここの小さな枯山水も美しいものですが、芙蓉池・心字池のあまりの素晴らしさに、ついそちらを見てしまいます。
周辺の情報
金閣寺から龍安寺へ赴く途中に織り込むことが多いでしょう。立命館大学の裏手にあり(結構歩きますし、道も細かい)、堂本印象美術館が立命館大学門前にあるので、金閣寺から来るなら、そこも見るのも一案です。
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