洛北:上賀茂神社周辺・概略

 

地域の位置づけ

京都でもっとも古い神社の一つである上賀茂神社。奈良朝最盛期の天武朝(7世紀)に記録を遡れる神社は、宝ヶ池の西、大徳寺の北に位置します。

四条河原町から少し東に歩くと、四条大橋。大橋は、鴨川にかかっています。これをどんどん北上していくと、一条通から少し北、今出川通と出町柳駅のあたりで、左右に別れます。ここに下鴨神社があります。別れた鴨川の右側すなわち東側は高野川、のぼれば比叡山の麓に至ります。左側すなわち西側は賀茂川、こちらに沿ってのぼっていけば、府立植物園を経て、上賀茂神社の近くに至ります。

個人的には他の地域より少し馴染みが薄いところです(つまり何十回も訪れていない)。必ずしも相性がいい場所という感じがなく、少々心の準備がいるからですが、嫌っているわけではありません。

古代より人々が守ってきた地をおとずれます。

上賀茂神社とその周り

まずはバスで上賀茂神社まで一直線に行ってしまいましょう。バス停から長い参道を通ると、やっと入り口です。

上賀茂神社は、この地を治めた豪族、賀茂氏の氏神に発しているといいます。平安京以前に勅使が遣わされた記録がありますし、8世紀、平安京遷都があり、桓武天皇行幸がありました。その後も天皇の奉幣が数多く行わてきました。

広大な面積の社域は、参拝のための拝殿や社殿だけでなく、周囲すべてを含めた聖域です。複数の拝殿が立ち並ぶ社域をめぐると、物忌川と御手洗川の二つの川をもつにもかかわらず、意外にもからりとした空気に驚きます。しかし、ふいに鬱蒼とした空気を感じる瞬間、そちらに目をやれば、懐深い丘の木々や水から香ってくるのもわかります。この複雑な地形がもたらす空気感を、それぞれの場ごとに祭神を定めて祀っているところに、この地の最大の魅力(と不思議)があります。時刻、天候のいずれかが少し変わるだけで、驚くほど豊かな表情あることでしょう。

社域を出て、東へ進めば上賀茂神社の社家が立ち並びます。土塀と石が織りなす独特の風景は、多く紹介されています。そのまま進めば、上賀茂神社の摂外社である大田神社。カキツバタと古い神楽が有名です。

さらに東へ進み、植物園正門通を南下して、北山通を歩くのは、観光モデルコースとして有名。植物園、大学、コンサートホールを擁する地域は、モダンな商店街を誕生させました。もっとも最初の頃は、いくらか残っていた田園風景に突如として現代的な建物が現れるため、不思議な場とも言われていました。現在は田園が少なくなり、建築物も増えて、モダンな街らしくなってきました。

神社から少し離れたところなども

一方、上賀茂神社前バス停から北西にある正伝寺。バスで神光院前まで行き、そこから歩くほうがいいかもしれません。住宅街から少し上った山中にある地味な禅寺。有名な枯山水の庭園は、非常に規模の小さいものですが、東に向かって空間が広がっています。当然、比叡山を借景とし、むしろ庭の小ささゆえ、借景の一番目立つ庭かもしれません。

未踏の場も含めて少し

ほとんど上賀茂神社のみを目的に廻り、あとは街歩きになったり、連続して下鴨神社へ行くこともあるでしょう。

少し歩く気があれば、高麗美術館(上賀茂神社より加茂川を渡り、堀川通より少し西)、西村家庭園(上賀茂神社の社家の一つ)、京都民俗資料館や愛染倉(大田神社近く)があります。

また、地下鉄北山駅そばには京都府立陶板名画の庭。その北山通から下鴨本通を下り、東に入ると京都ギリシヤローマ博物館もあります。

実は私は訪問回数も少なく、このあたりをくまなく廻ったことはありません。北山通でグルメとショッピングだけでなく、このような場もあるので、次に行く機会があれば少しコースに折り込んでみようと考えています。