概略
和気清麻呂の建立になる、古いお寺。空海が唐から帰り、真言宗を伝えた寺でもあります。現在も真言宗。
バス亭の高雄で降りると、谷底へ一度くだり、清滝川の橋を渡ってから険しい石段を上ります。山門前で、拝観手続を経て中に入ると、意外なくらい広々として穏やかな境内が広がります。金堂、鐘楼などが山の地形を利用して配置されており、観光シーズンでもそう混雑しないため、ゆっくりと見て回ることが出来ます。
金堂周辺
境内に入ると、意外にも山らしくない景色が広がりますが、右手に見える大きな鐘楼が、境内よりさらにいちだん高い場所にあるのを見ればわかるように、やはり山の中。
金堂はもう少し石段を上ったところにあります。靴を脱いで上がれば、空海が住持を勤めた間にここで灌頂(真言宗で修業過程を経てめでたく成就した証として、師が頭に聖水をかける儀式)を行った記録の写しなども展示されています。なお、金堂の入り口から、自分が通ってきた道を振り返ってみましょう、なかなかすてきな風景です。
金堂に上る階段付近には、諸堂が立ち並びます。山中の平地を利用して、簡潔で力強い直線で構成された建築の上に、もみじに柔らかく染め上がれた陽光が降り注ぐ様は、清潔な印象があります。
なお、こうした諸堂伽藍は応仁の乱で一度焼け、江戸時代の再建になるものだそうです。こんな山奥まで焼けたのかと驚きます。
かわらけ投げ、寺宝
金堂を出たら、趣深い杉や紅葉などの木々を通り抜けて、見晴らしよい茶屋の近くへ。清滝川を眼下に見下ろし、絵に描いたような山、緑、川が広がります。とんびが輪を描くのも見えます。思わず深呼吸をします。平安時代の貴族がしたように、厄除けの願いを込めて、かわらけ投げをしてみるのも乙なものでしょう。茶屋で2枚100円にて買い求め、見晴らし台から投げます。うまくスナップをきかせると、上昇気流に乗って飛ぶこともあるそうです。最初に行くなら、ぜひ晴れている日を選んでみましょう。
なお、毎年5月1日から5日まで、宝物の虫払いが行われます。虫払いとはいっても、外に干すのではなく、屋内にて広げるものを、拝観料を支払って見学できるものです。神護寺の通常参拝とは別料金になりますが、源頼朝肖像(実際は違うらしいが、そのように伝えられ、教科書にも採用されている有名な肖像)、山水屏風絵など、平安時代から鎌倉時代を中心とした有名な美術や記録を多数、間近に見ることが出来ます。灌頂の真筆は、このときに見ることが出来ます。ただし、メモ書きに近いため、あまり流麗な書道的作品を連想しないほうがいいですが。
食事について
この周辺は山奥になり、町中のつもりで出かけると、食事の場所に困ることもあるかもしれません。バス停の近く、清滝川の回りにあるホテルや旅館の料理の他には、神護寺に上っていく参道の途中に、茶屋が数件あります。そこも考えに入れたほうがいいでしょう。逆に言えば、そこも入れないと選択肢が非常に狭まります。
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