京都といえば古都。古都といえば、古い日本の美を感じさせるものが 多く残っている日本旅館。というのが相場ですね。ただ、私個人は これまで日本旅館に泊まったことがありませんでした。
別に嫌いというわけではないのですが、部屋に仲居さんが出入り するし、実家が昔旅館をやっていて、その頃の記憶があって、 どうもあれこれと(例えば、お風呂は夜9時までに入らないと悪いかな、とか、客として来ているのだから考えなくても いいようなことまで)気を遣ってしまい、かえって落ち着かない 面があって、シティホテルばかり利用してきました。
今回知人が「いいところだよ、そんなに高くなくて、朝食も おいしいよ」という旅館を紹介していただき、泊まって きました。結果的には、なかなかいい宿でした。相変わらず、私は 変に気を遣ってしまい、「内風呂じゃないので、お風呂を 落とす時間とかがあるからあまり遅くまで出歩けないな」 とか「旅館の朝食は早いから、あまり遅くまで寝ていられ ないな」とか考えてしまって、どうも寛ぐ一歩手前で とどまってしまうのですが、ロケーションといい、 規模といい、絶好の旅館ではありました。
玄関から少し奥まったところで靴をぬいで上がり、 そこから客室に通されます。京の町屋の、いわゆる うなぎの寝床ですね。窓を開けると、目前が鴨川。 しかも、夏向きに、簾、ござがあって、直接座ると ひんやりして気持ちよい。もう1つうれしかったのは、風呂やトイレなどの 水回りは非常に快適な状態に保たれていて、 最新設備を惜しげもなく導入していました。 かといって、和風旅館にふさわしくないような ものではなく、こういう気遣いはいいですね。
夕食はなしで、朝食付きだったのですが、 これもごく普通のものなのに、焼き魚も 冷奴も香の物も、みんなおいしかった。 朝食をとって、少し宿で寛いでから 出発しましたが、この時間が一番寛げたかも しれません。(苦笑)
和風旅館の後には常宿のホテルに泊まりました。
着いたらえらく静かで空いていましたが、この あたりからも、ここ3年ほど続いていた「京都バブル」 がはじけた印象を受けました。(ちなみに、土日は きちんと混雑していた。金曜日にチェックインが すごく多かったようだし。)ここは何度も泊まっていて、しかもVISAカードの 朝食付きパックで予約するのですが、従来はこうして 予約すると鴨川の見えるいいお部屋のほうはとれない のが常識でした。
ところが、今回はいきなり鴨川の見える素敵なほうの お部屋に通されて、びっくりして思わずフロントに 確認の電話をしてしまいました(ちょっと恥ずかしい)。
最近は、カードのパックで泊まっても、鴨川の見える いい部屋に泊めるようになったのだそうです。ラッキー。 朝日が入り、鴨川に遊ぶ鳥たちを眺め、東山三十六峰の 山の端を見つつ、ぼーっとする。恥ずかしながら、フジタでまだこれをやったことがなかったので、とても嬉しい。困ったのは和食で朝食を提供する店が変わった こと。セットの内容が変わり、あのだし汁をかけて 食べるお粥(まぁ瓢亭の真似なんですが)が なくなって、ただのお粥になってしまっていた ことです。おかずの内容も(味も食材も)、 前のほうがよかった。
これはとても残念。ただ、サービスは相変わらずで、よくも悪くも 日本旅館とホテルとの折衷。私はけっこうすきです、 こういうの。個人性も確保されるし、接客はいいし。
今回は風邪をひいて、ホテル内で一度倒れたのですが、 そのときのホテル側の対処はとても適切で助かり ました。フロントなどはやはり、病人の出た部屋は チェックしてくれるようで、倒れた夕方に軽い食事を しに出かけようとしたら「お加減のほうはもうよろしい ですか?」と声をかけてくれました。 こういうのは、ポイント高いです。