公開:2004年9月29日

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写真


解説:光に浮かぶロゴ

 人工的な照明が当てられた被写体の中には、写真として美しく仕上がるものが多くあります。この被写体のロゴように、下から照明が当たっている場合は、被写体の立体感が強調され、綺麗に仕上がりやすくなります。

 この種の被写体を写してみると分かりますが、目で見た感じと、実際に写された写真の感じが、かなり異なるのです。仕上がった写真は、目で見たよりもコントラストがかなり高くなって、より魅力的に変化しています。

 逆に表現するなら、目で見たときの被写体は、あまり魅力的に見えないのです。通常は、あまり目立たない普通のもののように見えます。そのため、良い被写体を探すのが難しくなっています。上手に探すためには、写真になったときに魅力的に仕上がるかどうかを、被写体だけを見て予測できなければなりません。

 予測できるようになるためには、この種の被写体を何種類も写してみて、変化の様子を数多く頭に入れるしかないでしょう。デジカメなら何枚も写せますし、変化の様子を撮影直後に確認できるので、効率的に頭へ入れられます。完全に予測できるようになる必要はありません。大まかな感じが予測できるだけで十分です。

 予測できるようになったら、綺麗になりそうな被写体が見分けられます。あとは、見付けた被写体をよく見て、綺麗に見える範囲を上手に切り取って写すだけです。実際に試してみると分かりますが、綺麗に仕上げようとすると、一部分だけ切り取ることが多いです。

 この被写体では、ロゴの背景としてV字の線が数本あり、下から当てた照明によって、その線も浮き出て見えます。ロゴと線のバランスを考えながら、全体が整った感じになるようにフレーミングしてみました。中央の縦線が少し左に寄っているのは、右下と左下の光が釣り合うことを優先したからです。また、ここでの展示のように、黒い背景の中に写真を入れるとは限らないので、下から光が出ている部分の境を少しだけ、写真の下端に入れて写しました。