公開:2005年9月23日

 前へ 次へ
写真


解説:ヒマワリも暑がる夏

 ヒマワリを撮影に行ったのが、凄く暑い日でした。あまりの暑さに、撮影の気力は大幅ダウン。そのとき思い付いたのが、この作品のタイトルです。暑さの象徴であるヒマワリまでが暑がるほどの暑さを、写真で表現できないかと。

 たまたま持っていたのが、典型的な古い描写のレンズだったので、その特徴を積極的に利用しました。露出をオーバー気味にして開放で写すと、ハロやフレアーが目立つように発生して、うだるほどの熱い雰囲気を演出できます。

 ヒマワリがぐったりした雰囲気を出すために、ヒマワリを下にだけ入れ、少しでも上から撮ろうとしました。ファインダーを覗いたときには、こういう感じには見えませんでした。でも、帰宅してパソコン上で見たら、頭を下げた感じになってて喜びました。ヒマワリがグダッとしている感じが、よく出ていると思います。

 ヒマワリの上に入れたのは、熱い雰囲気を演出できる木です。逆光となる位置に入れることで、多数の葉で光が反射し、レンズの甘い描写と相まって、ギラギラした感じが大げさに出てくれました。期待した以上のギラギラ感ですね。

 ハロやフレアーを出すためにハイキー気味に写したことが、全体の雰囲気を演出しています。ただし、どの程度までハイキーにするか、撮影時点では決められませんでした。E-1の液晶モニタは、飛び気味に表示する癖があるため、ハイキーに写したときには仕上りの状態を的確に把握できません。加えて、ハイキーで写したときは、ヒストグラム表示も参考になりません。仕方がないので、感で補正した露出で撮影しました。

 本来なら、露出を段階的に変えて数枚写すところですが、ファインダーを覗いた限りでは、期待した仕上りになりそうもありませんでした。そのため、たった1コマしか写しませんでした。飛びすぎると困るので、少し露出を抑えながら。帰宅してから期待以上の仕上りに驚き、RAW現像時にプラスの露出補正を加えて現像したというわけです。単に明るくするだけだと締まりがないので、現像時にコントラストを少し高めました。もし段階露出で数枚写していたら、もっと良い雰囲気に仕上げられたかも知れません。

 この種の写真は、サイズが大きいほど雰囲気が良く伝わります。サイトに掲載している小さな写真よりも、画面一杯に表示した写真の方が、熱い雰囲気を何倍も感じられました。

 このような表現の写真を、私は大好きです。写真による嘘の世界であり、写真表現術で創り出す世界だからです。今回のように、予想した以上に成功する場合もありますから、失敗しそうだと思っても、最低1枚だけは撮っておくことが大事ですね。そう思った1枚でした。