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第2話


TOMONA! ――幻惑の偽造少女――


「遅くなっちまったなあ……あれ?」
 野球部の部室の扉を開けた陽一は、一瞬、目をぱちくりさせた。ちょうどセーラー服を脱いで、上半身キャミソールだけの姿になった女子と、目があってしまった。
「う……」「――きゃーっ!」
「わ、わりい!」
 あわてて扉を閉める。が、その直前、妙なものを見た気がして、手を止めた。
「……?」
「やだキャプテン、見ないでください!」
「お前……」
 陽一の視線は、その娘――マネージャーの友菜の胸に注がれている。
「そんなにぺちゃんこだったか?」
「!」 瞬間、友菜のほおが真っ赤に染まった。だが陽一は、その紅が、羞恥のそれではなく、確かに狼狽のそれであることを見抜いた。
「……パットか?」
「悪いんですか? パットで」
「いや、別に……」
 歯切れ悪く言って、陽一はなおも友菜の胸を凝視した。白っぽい時間が数秒流れ、耐え切れなくなった友菜が叫んだ。
「いつまで見てるんです! H! チカン!」
「い、いや、すまん!」
 陽一は、手を合わせて扉を閉じた。だが、疑問はなおも残った。
「いくらペチャパイってもなー……小さすぎないか、あれ」
 がらんとした部室の中では、友菜がセーラー服を抱えてうつむいている。
「どーしよ……バレちゃう……」
 青海高校三年、国城陽一。同じく二年、三池友菜。
 野球部主将と、女子マネージャーの関係だった。それまでは同じ部員同士しというだけで、とりたてて特別な関係があるわけではなかった。
 だが、あの日からは、お互い気まずく無視しあうようになってしまった。
 変化が生じたのは、ある日の練習中である。

 カキーン!
「行ったぞーっ!」
「おーらいおーらい……え?」
 中天高く上ったボールが、風に流されて国旗掲揚塔にあたった。はねかえったボールは、グランド横の芝生でしゃべっていた数人の女子の真ん中に、落ちていった。
「おいおい」「やべえ!」「あぶないぞ!」
 げしっ!
 ボールは、見事に一人の女子を直撃した。練習していた部員たちは、命中の一秒後、その女子がふらっとよろけ、芝生に大の字になるのを目撃した。
「うわちゃーっ……」「あたっちまったよ、おい」
「待て」
 キャプテンの陽一は、駆け出した。ぶっ倒れたのが友菜だと分かったからだ。
「大丈夫か!」
「あ、キャプテン」
 友菜のそばにいたサブマネの洋子が、おろおろしながら言った。
「どうしましょ?」
「まかせろ、俺が保健室に運ぶ。――おい、見にくんじゃねェ! 一年、練習続けろ!」
 叫んでおいて、陽一は友菜を見下ろした。
 セーラー服姿のままでバッティングアベレージを記録していた友菜は、目を回してひっくりかえっている。陽一は、それを抱き上げ、保健室に向かった。

「軽い脳震盪でしょ」
 という診断だった。
 外傷がないようだから冷やしておけばそのうち気がつく、と無責任なことを言って、保健医は帰ってしまった。二人きりになる。
 友菜をベッドに横たえながら、陽一は、あまりにも期待どおりに進みつつある現実に対して、疑い深くなっていた。
――こんなにうまくいっていいのか?
 考えながらも、行動は止まらない。友菜をベッドに横たえると、備え付けのタオルを水で絞り、額の汗を拭ってやる。
「んん……」
 かすかにうめいて、友菜が身動きした。確かに意識がない。疑問を確かめるには、絶好のチャンスだった。
 しかし、そんなことがあるんだろうか。陽一は、しげしげと友菜の体を見下ろした。薄い肩と、くびれた腰、それにスカートから伸びるほっそりした足は、陽一に限らず、男たちのひそかな注目の的になっている。猫毛のロングヘアと小作りな色白の顔は、きめの細かい肌とタレ目ぎみの目元のせいで、子供のような印象があり、庇護心をそそってやまない。
 こいつが……ほんとに、男なのか?
 疑問は、この間の部室でのできごと以来、ずっと胸に宿っていたものだった。
 この機会を逃せばいつになるかわからない。確かめるには今しかなかった。
 陽一は、友菜のセーラー服の上着のすそから、手を入れた。綿のアンダーシャツの手触りが、暖かい。
 そのまま、陽一は手を上に滑らせた。間違いだったら退部ものだな、と思いながらも、ためらいなく進める。
 指先が、ブラの縁にあたった。思い切って、その下に指を進める。
 指に触れるはずのふくらみが、そこには全くなかった。
「?」
 突然、前触れもなしに、友菜がぱっちりと目を見開いた。陽一はマッハで手を引き抜いたが、ばれないわけがない。
「きゃ――」「わわ、待て待て」
 あわてて陽一は友菜の口をふさいだ。んーんーいいながら暴れだそうとするその体を、強引にベッドに押さえ付ける。つかんだ腕の細さを感じながら、陽一は言った。
「静かにしてくれ、なんにもしないから」
「んーっ!」
「いいのか? 人にばれても」
 そのひとことで、金縛りにかかったように友菜は動きを止めた。いくぶん安心して、陽一は言葉を続けた。
「話が聞きたいだけなんだ。なにもしない。だから、騒がないでくれ」
 友菜が声を漏らさなくなったのを確かめて、陽一はそっと手を放した。友菜は、瞳におびえた色を浮かべたまま、じっと陽一を見つめている。
――はっ
 陽一は、突然、自分の今の姿勢に気づいた。女子に馬乗りになって口をふさいでいる。他人にはかなり危ないシーンであるように見えるだろう。
 罪悪感に襲われながら、陽一は友菜の体の上から降りた。降りるとき、ふと、つかんでいた腕を放すのがひどく惜しく思えた。
「わ、わるい。おどかす気はなかった」
 友菜は、まだおびえているように、細い肩を縮めながら、ベッドに起き上がった。顔をしかめて、頭を押さえる。
「いたっ……」
「大丈夫か?」
「……はい」
 コクンとうなずいて、友菜は陽一の顔を見つめた。
「ちょっとだけ……ずきずきするけど……」
「そうか。で……」
 気まずい沈黙に落ちそうな雰囲気を振り払うように、陽一は友菜の目をのぞき込んだ。
「おまえ……ほんとに、男なのか?」
「……」
 しばらくの沈黙の後、友菜は、再び、コクリとうなずいた。
「そうか……」
 陽一は、何と言っていいのか分からず、ため息をついたが、うっすらと涙を浮かべた友菜が言った次の言葉に、思わず聞き返した。
「先輩にだけは、知られたくなかったのに……」
「なんだって?」
「先輩……」
 友菜は、目をそらし、下を向いて聞き取れないほどの声で言った。
「好きです……」
 陽一は、言葉もなく絶句した。友菜は、つかえていたなにかがとれたように、一気に言葉を続けた。
「四月からずっと、先輩だけ見てたんです。こんなことがなければ、言う気もなかったけど……好きです。国城先輩」
「……」
「……わたしじゃだめですか?」 
「待て……待ってくれ」
 じっと自分を見つめる潤んだ瞳を直視できず、陽一は部屋を飛び出していた。

 翌日、陽一は追試で夕方の七時近くまで、居残っていた。
「あーっ畜生、安田のやろー陰険な問題ばっか出しやがって……」
 物理教師の文句を言いながら、自転車置き場に向かおうとした陽一は、明日の一限に体育があることを思い出した。ジャージがおいてあるのは部室だが、朝取りにいっているひまは、ない。
「めんどくせーのに……」
 ぶつぶつ言いながら野球部の部室に足を向けた陽一は、グラウンドから、クラブハウスの野球部室のあかりがつけっ放しになっているのを見て、小走りになった。
「また消し忘れか、あいつら!」
 プレハブの階段を駆け登って部室のドアを一気に引きあけた陽一は、そこで立ち止まった。
「……え?」
 汚れたユニフォームやバットにグラブ、運動靴などが雑然と散乱している畳敷きの汗くさい部室の真ん中に、部会などで使うテーブルがおかれている。広げられたノートや戦績表の上にセミロングへアを扇のように広げてうつぶしているのは、ほかならぬ友菜だった。「そうか……」
 鍵をもっているのは部長の自分とマネージャーの友菜だけだから、彼女が一番最後に残っていてもおかしくない。なんとなく気抜けして、陽一は居眠りをしている友菜のそばに立った。
「なにやってんだ、こいつ……」
 頭の下敷きになっていたノートを引っ張ると、「うん……」と声を漏らしながら友菜はどさっと畳に横になった。陽一はノートや表に目を走らせた。
「そういやほとんどこいつに任せっきりだ。……よくやってくれてるよな」
 少し感謝しながら畳に倒れてしまった友菜に目をやった陽一は、どきりとした。
 倒れた拍子に、正座していたせいかだいぶしわの付いたスカートがめくれ上がって、まぶしいような白い太ももがあらわになっている。陽一はかっと顔に血が上るのを意識した。
「おい……起きろよ、見えるぞ」
 声をかけたが、小声だった。起きなければいい、と願いながら言った言葉だった。
 聞こえたのかどうか、友菜は反応しない。
 ごくりとつばを飲んで、陽一は目をそらそうとしたが、できなかった。誘惑を振り払うには、あまりにも友菜の姿は刺激的で、無防備すぎた。前日あんな事を言われているだけに、なおさら意識してしまっていた。
 そろそろと陽一は手を伸ばした。スカートを戻してやるんだ、と自分に言い聞かせながら。指先が布地にかかったとき、少しだけ、肌に触れた。暖かく弾力のある手触りに、陽一は抗しきれなかった。気が付くと、手のひらをそこに張り付け、顔を寄せていた。
(これじゃおれは痴漢だ。おれは何をしてる? こんなことをしていいのか。男として最低だ。好きだって言った。ならいいじゃないか。いいのか? 悪いんだ。悪いのか……?)
 混乱ぎみに考えている間にも、陽一の手は機械的に肌を滑り、むきだしになった友菜の太ももを味わって行く。肌は滑らかで底に薄桃を静めた美しい白。しっとりと湿っていて、手のひらに吸い付くようだ。昨日の告白があっても、陽一は年下の女子を相手にしているような錯覚を打ち消せなかった。
 息が荒くなっているのを意識しながら、陽一はぼんやりと友菜の足をなで回し続けた。凶暴な性衝動が沸き上がるのを感じる。むちゃくちゃにこいつを抱き締めたい。服を引き裂いて、その肌に唇をつけたい。きゃしゃな二の腕をつかんで力いっぱい握りたい。後ろから思う存分、刺し貫きたい――
 高熱を出しているように顔をほてらせながら、陽一は友菜の足に唇を押し付けた。舌先で、ほんの少しだけ、肌を味わう。とたんに、友菜の体がビクッと震えた。
 陽一ははっと顔を放し、友菜の顔を見た。目をギュッとかたくとじ、こぶしを握り締めて、わずかに息を荒くしている。
 起きている。そう悟って、陽一は緊張し、次いで、興奮を覚え出した。起きているのに、抵抗しないということは、無言で陽一に許しているのだ。誘っている。陽一の興奮は、極限に達した。
「友菜っ!」
 咳き込むように叫びながら、陽一は友菜のきゃしゃな体を抱き上げ、抱き締めた。骨細で、肉の薄い肩は、両腕で抱き締めると、腕が余ってしまうくらいの頼りなさだった。それがいとおしく、陽一は思い切り腕に力を込めた。
 先輩――
 陽一の抱擁は強すぎたが、友菜はまゆをしかめながら、それに耐えた。秘密を打ち明けたにもかかわらず、陽一が自分を抱き締めてくれたのが、限りなくうれしかった。好きな男だから、骨がきしむほど抱かれても、体に触れられても、嬉しかった。
「先輩……いいの?」
「……」
「わたし、本当の女の子じゃない。先輩を愛してあげたい、抱かれたいけど、満足させてあげられるかどうかわからない。それでもいいですか?」
「……わかんねえ、わかんねえよ。でも、おまえが今の姿をしててくれれば……そのまま、女になりきっててくれれば」
「わたし、気持ち悪くないですか?」
「そんなことねえよ。おまえは女子だ。それもとびきり可愛い……だから、これからもそうやって扱う。それでいいんだろ?」
「いいです。ううん、そうじゃないといや。……せんぱい、好き、好き」
 熱いささやきが陽一の耳にかかり、ぞくぞくする快感を覚えさせた。原始的な本能に突き動かされて、陽一は顔をさらさらした髪の中におしつけた。シャンプーの柔らかな香りの中に、かすかに汗の匂いが交じった、友菜の肉体を強烈に意識させる匂いが鼻をくすぐる。心臓が耳元で鳴っているようにドクドクと音を立てだし、顔と同時に、自分のペニスに向かう血液が急速に増大し始めたのが分かった。トランクスの中のそれがムクムクと大きくなる。
 何かにつかれたように自分の髪の匂いを嗅ぎ続ける陽一の様子から、友菜は彼の興奮を推しはかった。そっとひざ頭を押し当てると、陽一の股間にこりこりするほど固くなったものがあった。背筋にぞくっと愉悦が走る。
(先輩、大きくしてる……わたしの体で興奮してくれてるんだ。……もっと興奮させたい。もっと気持ちよくさせてあげたい……!)
「先輩……気持ちよくしてあげます。だから……もっと、もっと、わたしを触って……!」
「友菜……」
 ごくっとつばを飲んで、聞く。
「いい……のか?」
「先輩なら……先輩が気持ちいいなら……」
 友菜は、手を下げて陽一の股間に触れた。さわっ、となでると陽一がびくんと震える。友菜はその反応に勢いを得て、体をいったん離すと、陽一のベルトを外し、スラックスを下げた。トランクスから、赤黒く光る勃起を取り出す。
「と、友菜……」
「大丈夫……」
 絶句する陽一に、友菜はかすれた声で答えて、上気した顔を向けた。
「どうすればいいか、わかってます……」
 くちゅくちゅと口の中で唾液を分泌すると、友菜は亀頭のまうえで口を開いた。とろーっと粘性の少ない透明な液体が糸を引き、先端の部分に垂れかかる。小造りな白い指でペニスをつまむと、唾液でそれが十分濡れるのを待って、友菜はそれを柔らかく包んだ。
「こうですよね……?」
 茎の部分を握る手に、強めに力を加える。夜、ひそかに自分でするときと同じように、皮を滑らすように、上下にしごき始める。
 やがて汁を分泌し始めたペニスを、陶然と眺めていた友菜は、我慢できなくなって、やにわにそれにかぶりついた。とたんに、口の中に塩辛い汗の味が広がる。
(先輩の……先輩のおちんちん……こんなに固くなってる、おちんちん……)
――かなわぬ夢と思っていた愛する人との交わりに、感動と興奮が交ざった激情が友菜の胸を満たした。心臓がうるさいぐらいに高鳴り、自分の股間がずきずきと痛いほど脈動する。
――それを見つめていた陽一も、こわいほどの興奮の嵐の中にいた。
 天使の輪っかを輝かせたさらさら髪の頭が、自分の股間で上下する。整っていながら、冷たさを感じさせない、愛くるしい顔立ちの少女の口が、自分の猛々しいペニスをはちきれんばかりになりながらくわえ込んで、愛しそうに味わっている。これほど陽一の興奮を高める光景はなかった。
「友菜……もっと強く」「あい……」
 舌の上と口蓋の裏に挟み込んだつるつるの勃起を、吸い、転がし、挟み込んで愛撫する。根元のところから先端の膨らみまでの間は、指でからめこんで、しごきあげる。ぎこちなくも的確な友菜の愛撫を受けて、陽一のペニスは膨れ上がった。やむにやまれぬ快感に動かされて、陽一は激しく腰を動かしだした。
「げぶっ?」
 喉の奥をつかれて、友菜は一瞬むせた。
「げえっ、げほっ!」
 それでも、友菜は嬉しかった。自分の口の中を攻撃的に犯してくる凶暴なペニスが、いとおしくてならなかった。
 陽一と同じように固くなったペニスの奥で、自分の身体が何かを求めていた。女として育てられた友菜は、自分の体が陽一のペニスを求め始めていることを、はっきりと悟った。ペニスの付け根の前立腺がズキズキとうずき、激しく刺激されることを求めている。その欲望はもはや、我慢できないほど強くなっていた。陽一のペニスから口を離すと、その欲求を友菜は、がたがた震えながらも、正直に口にした。
「先輩……こ、これ……私にいれてください」
「入れる……」
「はっ、はい。その……」
 消え入りそうな声で、友菜はありったけの勇気を振り絞って、言った。
「後ろから……」
 がん! と頭を殴られたようなショックを覚えながら、陽一は目の前の少女を見つめた。いや、少女なのは外見だけで、中身は違うなのだ。しかし、頭で分かっている事実はなんの歯止めにもならなかった。
 犯してくれ、と懇願する友菜の可憐で淫靡な美しさの前では、性別などささいなことに思えた。獣のように襲いかかることを押さえることが、精一杯だった。
「友菜……」
 陽一は友菜の顔を引き寄せ、口づけた。お互いがお互いの高まりを分かっていただけに、それは濃密な接吻だった。どちらも互いに舌を突き入れ、こね回し、からめ、唾液をすすっては流し込み、肺で熱くなった呼気を流しあって呼吸した。その熱烈な接触によって、二人の体は、交わりの準備を整えていた。
 陽一は友菜を床に裏返し、腰をつかみ上げた。友菜は動きを合わせ、両足を開いた姿勢で、腰を上げる。陽一はスカートをまくり上げた。白い下着が目を射る。尻の谷間を、友菜が指さした。
「ここに……せんぱいの大きいの、つっこんでください……」
 もう一度つばを飲み込んで、陽一は、白い下着を半分まで下げた。薄紅のすぼまりがちらっと見えた瞬間、恥ずかしさで顔を背け、陽一は、友菜の背におおいかぶさった。
「友菜……尻に入れるぞ……」「はい……」
 ペニスが友菜の柔らかな尻に当たった。突き入れようとする前に、友菜の指がそれを微妙に直した。
「ここに……刺して」
 先端の敏感な亀頭が、確かに、すぼまった肛門をとらえていた。
 ずるるっ
「ううっ」「ひ……ぎいっ」
 友菜は貫かれた異物感に目を見開いた。目で見たときより遥かに大きなものが入って来たような気がする。熱いそれが、ぎちぎちの肉を押し分けて、腹の奥深くにまで入ってくる。それに前立腺が圧迫されて、パンティの中のペニスがはちきれんばかりに膨張する。「せっ、せんぱぁい……大きいっ、大きすぎます!」
「友菜……いいっ、すごくいい気持ちだ」
 ペニスを包み込んだ肉壁のきつさと柔らかさに、陽一は矢も盾もたまらず、腰を動かしだした。キンキンに硬くなった自分のもので柔らかい友菜の体をえぐるという残虐感の漂う行為が、興奮のボルテージを高める。
 ギシギシと陽一が腰を動かすたびにさわさわと友菜の黒髪が揺れ、振り返った友菜が、涙とよだれを垂らしながら「せんぱァい……」とうめいたかと思うと、耐え切れずにがくっと前にのめり、うつろな目をしたままで、はあはあと息だけ荒げている。そんな姿を後ろから思うがままに犯すと言うのは、寒気がするほど心地よい行為だった。
 友菜も、限界が近づいていた。精液をためている前立腺と薄い皮一枚で隔てられた肛門を、ここまで激しく熱く固いペニスでもみくちゃにされては、耐え切れるはずがなかった。背筋をビンビンと走る快感は天井知らずに高くなって行く。
「友菜あ……」
 ペニスの敏感な皮膚が、友菜の直腸のひだひだをはっきりと感じ取っている。暖かいそこが快感による反応で腸液で潤って来るのが、この世のものとも思えないほどの心地よさだった。
「せんぱい、せんぱいっ……」
 その感触は、そのまま友菜の快感だった。棒のように固くなった陽一のペニスがごりごりと友菜の腹の中をえぐるたびに、すさまじい快感が走って、友菜の神経を真っ白に染めていく。体中の感覚がない。ぐったりと弛緩して、友菜は犯され続けた。
 張り詰めた快感の糸が、きれる時が来た。
「いっ……いくぞ!」
「ふうっ、んんんんーっ!」
 ビュクッ、ビュクビュクビュクビュクッ!
 力の限り友菜の体を抱き締めると同時に、陽一はためにためた精液を、思い切り撃ちだした。友菜の、偽りの姿をした少女の体の、尻に腰を打ち付け、肛門の奥の腸の中に、粘つく白い精液を、三回も四回も、何回も打ち込む。
 壊れるほど抱き締められ、気が狂うほど犯されたそのとき、友菜も絶頂し、射精した。こわばった体からペニスと肛門に神経と力が集中し、陽一の精液を腹の中深く受け止めた瞬間、押し潰されたように前立腺が弾けた。
 ただの一度、陽一の突きに押し出されたように、固く固く勃起してパンティから先端をのぞかせた友菜のペニスから、びゅるるっと大量の精液が放出された。まるで小便のような勢いで放出されたその液は、床に当たってびちゃっと音高くはじけ、青白い精液の池を作った。
 その瞬間の快感に、友菜は息を押し出すように吐き出し、動くこともかなわず、陽一に体を預けていた。

 静かな、満ち足りた数分間の後に、陽一はゆっくりと体を起こした。いくぶん柔らかくなった男性器が、ぬるっと友菜の肛門から抜け、ぶらっとぶら下がった。
 陽一の抱擁から解放された友菜は、そのままぐったりと床にくずおれた。備え付けのティッシュで自分の下半身を拭き、ズボンをはくと、陽一は友菜の介抱に取り掛かった。パンティをももまで降ろし、粘液で汚れた肛門の付近を拭く。弛緩した体を横抱きに持ち上げると、体の下にどろどろした白い液だまりがあって、パンティの前の部分とスカートにそれがべっとりとついていた。普通よりかなり多そうに見えるその精液と、友菜の股間にぶら下がるペニスを見て、陽一は軽いショックを受けた。――しかしそれは、不快ではなく、むしろ奇妙な興奮に満ちた衝撃だった。
 ティッシュをもう数枚とり、友菜の性器と下着とスカート、それに床をふいてやる。――ふききったときには、ティッシュは精液でぐっしょりと濡れ、重さが感じられるほどになっていた。一回でこれほど大量に絞り出した友菜の快感を思って、陽一は胸が詰まるような喜びと興奮を覚え、少し股間を固くした。
 パンティをはかせ、スカートをきれいにしてやる。そうすると、友菜の姿からはアブノーマルさは消え、もとの、普通の女子の姿になった。しかし、友菜の陰の部分、隠された暗い、妖しく美しい部分を知ってしまった陽一には、もうその姿は、野球部の人気マネージャーの姿には見えなくなっていた。
「友菜……」
 腕の中の友菜のほおを軽くたたいてやると、「う……」とうめいて、友菜が顔を上げた。ピンクに染まった頬にかかる髪を払いのけて、潤んだ瞳で陽一を見つめ、幸せそうに「先輩……」とささやいた。
「その……やっちまった」
「はい」
「それでだな、おれ……実は……えーと……」わずかなためらいの後、「えい、言うぞ!」と叫んで、
「おまえが好きだ! いま分かった」
 陽一は、その言葉を絞り出した。それを聞くと、友菜がにっこりと笑った。
「うれしいです」
「あ、ありがとう」
 ぎこちなく、陽一は友菜の頭を抱き寄せた。友菜が、目をつぶりながら顔を寄せた。ためらわず、陽一はその唇を奪った。
 道に外れたことをしているという思いが胸をざわつかせ、それが心地よかった。
――続く――

第2話
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