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Phantom Girl

 死んだ恋人の一周忌に、彼女の家で、俺は信じられないものを見た。
 彼女が、美樹が生きていたのだ。昔のままの姿で。
 彼女は、階段の踊り場から身を乗り出していたが、玄関で靴を脱ぐ俺と目が合うと、踵を返して二階へと駆け上がってしまった。
 そんなまさか、しかしあれはどう見ても…。

 俺の名前は、山本 勇作。高校二年生。
 彼女は、橘 美樹。俺の一学年後輩だった。
 二人が知り合ったのは、まだ中学生だった時のことだ。同じ部活の仲間として苦労を共にするうち、
 いつの間にか互いに理解しあえる良きパートナーになっていた。
 俺の受験を目前にして彼女に告白してから、あの交通事故までわずか1年足らず。
 美しい恋人との思い出は未だに色褪せず、新しい彼女もできないまま、
 こうして命日に足を運ばせる結果となっていた。

 迎えに出てくれた彼女の母親に、俺が見たものについて訊いてみたところ、意外な答えが返ってきた。
 あれは彼女の弟なのだそうだ。
 数ヶ月前から彼女の服を着るようになり、彼女のように話すようになった。
 親としては複雑な気持ちだが、姉を亡くした思春期の少年の気持ちを考えると、きつく叱ることもできない。
 それどころか、娘が帰ってきたようで、嬉しくなってしまうことすらあり、困っている。
 母親の話は、そんな内容だった。まぁ、あれだけ似ていれば、わかる気もする。

 そういえば、彼女には弟がいた。美樹よりも二学年下だったはずだから、今は…中学二年、かな?
 男の子にしては線の細い、内気そうな子で、今まであまり話したこともなかった。
どんな顔をしていたのかも、ほとんど印象に無い。その分、さっき見た女装姿は鮮烈だった。
 とにかく、あまりにも彼女に似ていて、その上、とても魅力的に見えた。名前は、由紀夫くん、だったと思う。…なんだか、名前まで美樹に似ている。
 彼への興味を刺激された俺は、美樹の焼香を済ませた後で、彼に会ってみることにした。


 母親の話しでは、今は美樹の部屋を弟が使っているのだそうだ。
 美樹の部屋には、何度も行ったことがあるから、間違えることはない。
 二階に上がり、コンコン、と扉を叩くと、中からハーイ、と返事が返ってきた。
「あの〜、勇作です。美樹さんの彼氏の。お邪魔しても、いいかな?」
 扉は、すぐに開いた。そうして、改めて間近に見る顔に、俺は思わず息を呑む。
 ただ顔が同じ、というだけでは、これほどまでに同じ印象をあたえることはできないだろう。髪形も、昔の彼女と同じように、セミロングまで伸ばしていたし、薄化粧までしていた。…化粧の仕方まで真似る、なんてことが、普通できるんだろうか?
 ともかく、生前の美樹本人にしか見えない顔を前にして、俺はしばらく声も出なかった。
「来てくれたんですか、先輩!」と、場違いに明るく弾んだ言葉が俺を迎えた。
 美樹よりは、少しハスキーな声。しかし、口調はよく似ている。
「あの…由紀夫くん…だよね?」と、俺の言葉には自信がなかった。
 なにしろ、元の顔もロクに憶えてないのに、目の間にある顔は俺の恋人にしか見えないのだ。
「美樹よ、私は」そう言って、彼(彼女?)はクスクスと笑った。その台詞に、俺は呆然と立ちすくむ。
「説明するから、部屋に入って。お母さんに見つかると、うるさいのよ。」
 俺は彼に手を引かれ、部屋の中に招き入れられた。

 部屋の中は、彼女の生前とほとんど変わりがなかった。
 弟の部屋になっているにしては不自然なほどだが、当の弟が彼女にそっくりで、
 女装までしているのだから、まるで違和感がない。
 彼は、部屋の中に戻ると、ベッドの上に腰掛けた。
 そのピンクのミニのワンピース姿は、座る仕草まで生前の彼女と同じだ。
 美樹も、胸は小さめで、華奢だった。服を着てしまえば、今の由紀夫くんと、ほとんど差は無い。
 俺は、ごく自然に、彼女のベッド脇の絨毯にあぐらをかいて座る。
 そうして、俺までが美樹の生前と同じふるまいをしていることに気づき、内心で不や汗をかいた。
 座るときに、ちらっとスカートの中が見えたが、その奥に見えたものは断じてブリーフでもトランクスでもない。
 そのことにも不自然さは感じなかったが、女の子に感じるようなドキドキした気持ちが湧き上がり、
 俺はいっそう混乱していた。

「あのね、先輩。私、幽霊なの」それが、彼女のこたえだった。
「幽霊?」そんな馬鹿な、と思いながら訊き返す。
「そう、幽霊。取り憑いちゃったみたいなのよね、由紀夫に。びっくりしたでしょ?」
「ああ」
「私も驚いたわ。ある日、目が覚めたら由紀夫になってるんだもの。それからが、もう大変だったの。お母さんは半狂乱になるし、お父さんはやれ医者だ、カウンセラーだってあちこち引っ張りまわすし。でもね、そのカウンセラーの先生が、しばらく放っておきなさい、って言ってくれて、それでやっと落ち着いたの。男の子になっちゃって、一番戸惑ってるのは、私なのにね」
 そう言って、美樹は小さなため息をつく。
 この話、どこまで信じていいものやら。俺は、なにも言うことができなかった。
「私もね、自分が死んだってことは知ってるのよ。知識としてはね。でも、死んだ時のことはよく憶えてないの。すっごく痛かった、ってことぐらいしか。思い出そうとすると、気持ち悪くなるのよ」
 そりゃあそうだろう。トラックの後輪に巻き込まれたという彼女の遺体は、とても無残な有様だった。
 俺はそれを思い出したが、話題にするのはやめておいた。
「由紀夫のためには、男の子らしくするべきだ、とも思うの。でも、無理だわ。やってみたけど、気持ち悪くて。私、悪い姉さんよね。死んでまで、弟を押しのけるようなことをしてるもの。でもね…」
 彼女は言葉を切って、俺の顔をまっすぐに見た。
「もう一度、先輩に逢いたかったの。きっと今日は来てくれるって、そう思ってたわ。
…来てくれて、ありがとう。すっごく、嬉しい」
 その瞳は、真剣だった。俺の顔を嬉しそうに見つめる瞳に、涙が光っている。
 追憶に突き動かされて、俺は手を伸ばし、彼女の手を握った。白くて小さい手のひらの温もりが、俺の意識を一年前へと巻き戻していく。
 俺たちは、お互いの実在を確かめるように、しばらくそのまま見詰め合っていた。


 ふいに、扉をノックする音がした。俺が慌てて手を離すと、この家の母親が顔を出す。
「あら山本さん、こちらにいらしたんですか。どうぞゆっくりしていってくださいね。由紀夫!、こんな日ぐらいその格好はやめろって言ったじゃないの。まったく聞き分けのない、山本さんまで困らせて。はやく着替えるんですよ。ああ、それから、私はちょっと買い物に行ってきますからね。ご住職にも今のうちに挨拶に伺わなきゃいけないし、夜には親戚の人たちも来てくれるから、その準備もしないと…」
 母親は、いかにも今時の主婦らしく、自分の言いたいことだけ言うと、さっと引っ込んでしまった。俺と彼女との間のただならぬ雰囲気に、気がついたふうもない。俺が由紀夫くんに説教していたとでも、勘違いをしたのだろうか?
 すぐに階段を降りる足音がして、続いて車庫から車が出発する。あの様子では、1時間は帰ってきそうもない。
 俺は希望的観測をこめて、母親の外出時間を長めに見積もっていた。

「二人きりに、なっちゃったね」彼女が言った。
「ああ、二人きりだね。…美樹」とりあえず、信じてみることにしよう。そう覚悟を決めて、名前を呼ぶ。
 肩に手を廻して抱き寄せると、彼女の体臭とシャンプーの匂いとが混ざって鼻をくすぐり、俺の気持ちが昂ぶってきた。
 下腹に力が入るのを自覚しながら、彼女の顔を見ると、唇がキスを待って震えている。そっと唇を重ね、やがて貪るように吸い込み、舌を強くからめる。彼女の身体から力が抜け、ぐったりと俺の腕に身をあずけてきた。しかし、唇は俺を求めて離れない。

 キスをしたまま、目を開けて視線を下にやると、白いパンティが目に飛び込んできた。彼女の膝がくずれて、ミニのスカートがまくれ上がっていたのだ。パンティを下から突き上げる膨らみは、それが女性ではないことを示している。
 しかし、その光景は俺を萎えさせるどころか、奇妙に俺の欲情をそそった。
 手を伸ばして、白いコットンの布地の上から幼いペニスに触る。
「いやぁ…」彼女がささやくような声をあげる。しかし、そのため息のような声は、拒絶を意味してはいなかった。
 羞恥にあえぐ唇をさらに濃厚なキスで塞ぎ、彼女のペニスをゆっくりと愛撫する。俺の指の動きに合わせて、彼女の身体が震えた。その反応が愛しく思えて、さらに丁寧に撫で、擦る。
「あふぁっ!」かすれた悲鳴とともに、彼女の精がはじけた。
 幾度も樹液を溢れさせて、ビクビクと若鮎のように背筋が跳ねる。
 部屋に広がった栗の花の香りはちっとも不快ではなく、俺は改めて性欲を刺激された。
 俺は、彼女の唇から口を離すと、スカートを捲くり上げ、パンティに手を掛けて引き下ろす。その下では、彼の幼いペニスが、勃起したまま白濁液にまみれてヒクヒクと痙攣している。
 俺は、そのペニスを汚している樹液を右手の指で拭い取った。刺激をうけて、射精したばかりのペニスが悶える。そうして、べったりと指についた彼女の精液を口をつけて啜る。汚い、などとは思えない。
 彼女は、上気して潤んだ瞳でその光景を眺めていたが、やがて俺の手を引っ張り、自分もその白濁を舐めようとした。
 結局、俺たちは二人で彼女の精液を舐め取り、そのまま二回目のキスをした。

 唇をからめ合いながら、彼女が俺のペニスへと手を伸ばしてきた。
 しばらくズボンの上から撫でていたが、やがて俺の身体をベッドに仰向けに押し付けると、チャックに手をかけて下に滑らせる。
 パンパンに張り詰めていたので、少し抵抗があったが、すぐにチャックは一番下に届いた。もはやズボンを脱ぐまでもなく、俺のシンボルは社会の窓からブリーフを勢いよく押し上げている。
 ベルトを外すのももどかしげに、俺のブリーフをズボンごとヒップの下までおろすと、バネ仕掛けのように飛び出した男根の鈴口に、彼女は唇を近づけた。
 その光景は、俺には驚きだったが、彼女はまったくお構いなしだ。
 彼女の小さな口から可愛い舌が出入りし、俺の男性自身に刺激を加える。その眺めの卑猥さは、感動に値した。そして、彼女の舌が触れるたびに、電撃のような快感が走る。すぐにも漏らしてしまいそうだ。
 やがて、舐めるだけでは飽きたらず、亀頭全体を口に咥えて、おしゃぶりを始めた。同時に、白魚のような指で、血管の浮いたペニスを愛撫する。
 亀頭を咥えたまま、彼女の目が俺を見上げていた。
 どう? 気持ちいい?
 彼女の瞳が、そう問い掛けている。
 俺はこみあげる快感に声も出せず、軽く腰を浮かせてさらにペニスを彼女の口に押し付けることで、それに答えた。
 もう我慢の限界だ。亀頭がグッと膨らむと、彼女の口の中に大量の白濁を撒き散らした。

 彼女は、吹き上がった精液をそのまま飲み込もうとしたが、量の多さにむせてしまった。
 男根から口を離し、四つん這いになって、ケホッ、ケホッと咳をする。
 俺は、仰向けから上体を起こすと、まだ足に纏わりついていたズボンとブリーフを脱ぎ捨てた。同時に、ズボンから細革のベルトを引き抜いておく。
 立ち上がって彼女に近付き、咳き込んでいる背中を擦ってやった。
 美樹は、笑顔で俺の顔を見上げる。その唇の端から、俺の精の雫が滴り落ちた。
 俺は、彼女を助け起こし、やさしく抱きとめる。興奮して体温の上がった身体から、甘い体臭が立ち上る。
 その匂いに鼻腔をくすぐられて、俺はまたもや欲情しそうになった。
 しかし、俺は彼女の手首を掴むと、強い力で後ろ手にねじり上げた。
「きゃぁぁっ! 痛いぃっ!」
 彼女が悲鳴をあげる。俺はかまわず、もう一方の腕も掴むと、さっき引き抜いたベルトで両手首を縛ってしまった。
 両腕の自由を奪われた彼女を、乱暴にベッドに突き飛ばす。突然の俺の変貌に、彼女は声も出ない。恐怖に怯えた視線をむける彼女に、俺は冷たく言い放った。
「君は、美樹じゃないな。幽霊の話し、あれは、嘘だろう?」


「そんなっ! 先輩、私がわからないの?!」
 そう叫ばれても、俺にはもう、その嘘に耳を貸す気は無い。
「わかっているよ、由紀夫くん。俺は、美樹の恋人だからね。君が美樹じゃない、ってことだけはわかるのさ」
「そんな…、どうして…」と、彼が呟く。
 理由は簡単だ。美樹は、決してフェラチオはしてくれなかった。俺がどんなに頼んでも。しかし、その理由を彼に言う気はない。言えば、たちまちそれに合わせた嘘をつかれるだろう。
 彼の美しい姿を見ていると、その嘘を信じたくなる。だから、これ以上もっともらしいことを言われたくない。
「どうしてこんなことをしたんだ。話してみろよ」と詰め寄る俺に、
「違うわ、私は美樹よ、先輩っ! お願い、信じてっ!」と、あくまでも抵抗する構えだ。
 このままでは、埒があかない。俺は、縛られたままの由紀夫くんを抱え上げると、うつ伏せにして膝の上に押さえつけた。
「わがままな坊やには、お仕置きをしないとな」
 そう言って、ミニのスカートを捲くり上げた。力を込めて、丸いヒップに平手を打ち下ろす。
「ひぃぃっ! いやぁぁっ!」彼は痛がって叫んだが、俺は手加減はしない。
 打たれるたびに可愛らしい桃尻が手形で朱に染まる。やわらかそうな太股が痛みにくねり、ハイソックスに包まれた足先が跳ね上がる。
 それは、行為の残酷さと裏腹に、たまらなくエロティックな眺めだ。
 次第に俺は、叩くことに夢中になっていった。ハスキーな悲鳴が、俺の昂ぶりを加速する。

 そのまま20回ほど叩いた頃には、彼の身体は痛みにグッタリとなり、悲鳴もか細いものとなっていた。
 頃合と見て、尋問を再開する。
「おい、もうそろそろ白状しろよ、由紀夫くん」
 そう問いかけたが、彼は首を小さく横に振った。話すこともできないぐらい痛めつけても、まだ意地を張る気らしい。
 これ以上尻を叩いたところで効果はなさそうだし、どうしようか?
 そう思っていたとき、ふと、彼の股間が勃起しているのに気がついた。
「なんだ、おまえ。叩かれて感じてるのか。この変態」
 耳元に囁くと、彼は恥ずかしそうに目を閉じた。
 彼の股間に手を差し入れて、刺激を与えながらその大きさを確かめる。さっき射精させたときよりも、硬くなっているような気がする。
「おまえ、スケベなんだな。こんなに大きくして。美樹は、そんなにいやらしくなかったぞ」
 別に、美樹にスパンキングをしたことがあるわけじゃない。あてっずっぽうだ。
 しかし、ハッとした由紀夫くんの表情から、今の台詞に若干の効果があった事は確認できた。

 それにしても、なんて可愛いんだろう。女の子にしか見えない姿と、幼いペニス。そのアンバランスさに、俺はすっかり魅入られていた。
 ふと、あることを思いついた俺は、彼をベッドの上に放り出して立ち上がる。由紀夫くんは、足は縛られていなかったが、痛みで立ち上がることも逃げることもできない。
 俺は美樹のアクセサリーケースの中を探って、細いリボンを見つけ出した。
 そして、そのリボンで、由紀夫くんの勃起したペニスの根元を固く縛ってしまう。
「さてと、それじゃあ、白状する気になるまで、楽しませてもらおうかな。別に、言いたくなければ言わなくてもいいぜ」
 ベッドの上で彼を抱きしめて、ペニスに手を伸ばし、じっくりと愛撫する。やさしく握り締めて、はげしく上下させると、すぐに由紀夫くんの息遣いが荒くなる。
「こんなものが付いてるくせに、お姉ちゃんのフリをするなんて、悪い坊やだな。さぁ、もっと感じさせてやるぜ」
 普通ならば、もうとっくに射精しているところだが、根元を縛っているから、それができない。腰が痙攣し、亀頭は真っ赤に腫れ上がったようになっていた。先端の鈴口が、鯉のようにパクパクと動いている。
 リボンをほどきたくてたまらないのであろう、肩が緊張し、後ろ手に縛られた指先がワナワナと空を掻く。しかし、手首を拘束しているベルトは、まったく緩まない。
「あぁ〜っ…、だめぇっ…、もうっ…、ううっっ…」
 激しく悶えるが、白状しそうな気配はない。まだ、刺激が足りないのかな?
 彼のペニスへの愛撫を続けながら、人差し指を自分で舐めて、よく濡らす。
 舐めた指を少年のヒップへと走らせ、菊口を探った。指先でアナルを湿らせて、こじ開け、押し入れる。
 入口で抵抗があったものの、指はすぐに第二関節までズッポリと飲み込まれた。
「いやぁっ…、そんなとこ…だめぇっっ…、はあぁぁっっ!」
 前立腺っていうのは、どのあたりにあるんだろうか? 少年の反応を確かめながら、俺は腸の内側に刺激を与える。
 イキたくてもイケない快楽地獄で、少年の目は焦点が定まらない。
「もうっ…おねがい…出させて…イカせて…おねがいぃっ…!」
「イカせて下さい、だろ?」俺はにべもなく訂正する。
「イカせて…くださぃぃっ…お…おねがいっ…しまあぁっ…おねがいしまぁすっっ…たす…たすけてぇ…」
 哀願されながらも、俺は休むことなく手を動かした。
 身体を縮めればアナルを、背筋が伸びればペニスを、飽きることなく弄ぶ。
「じゃあ、こたえろよ。おまえは、誰なんだよ?!」
「わ…たしはっ…み…き…」
 まだ言うつもりなのか、と思ったが、そこで終わりではなかった。
「み…き…のおとっ…おとうとの…ゆき…お…です…だまし…だまして、ごめんなさぁ…いっ!」
 告白しながら、目から大粒の涙が幾粒も流れる。
「はい、よくできましたっ」そう言って、リボンの結び目に手をかけて、スルッと引く。
「はわああああぁぁっっ!! イッ、イクっっっ!!!」
叫び声とともに、堰を切ったように精液が溢れ出た。凄まじい勢いで飛び散り、ベッドを、床を、壁を汚して滴り落ちる。
ガクガクと腰が震え、緊張していた身体がくずれる。
幾度も幾度も繰り返し射精し、それが終わっても、しばらくはペニスの痙攣が止まらない。快楽の余韻に浸るように尻をくねらせるのを見て、俺はまだ彼のアヌスに指を入れていたのを思い出した。
「はあぁんっっ!」指を引き抜くと、甘いあえぎをもらす。
 どうにか告白させたものの、その女の子のような声や仕草は、とても演技のように見えなかった。


「さて、それじゃあ、全部話してもらおうか」
 由紀夫くんが落ち着くのを待って、話を切り出した。手首の戒めは、すでに解いてある。
「まず、なんでそんな格好をしてるんだよ。幽霊って、どういうことだ?」と、怖い目で彼を睨む。
「あの…お母さん達には、言わないでもらえますか?」おずおずと彼が答える。服装は、さっきのままだ。
「それは、話を聞いてから、俺が決める。そっちに選択権があると思ってんのか?」と、偉そうな俺。
 その返事に、彼はうつむいて口ごもった。肩が小さく震えている。さすがに、少し可哀想になってきた。
「まぁ、俺を信じて、話してみろよ。悪いようにはしないからさ」俺はなけなしのやさしさをかき集めて、彼を促した。
 彼は、意を決したように顔を上げた。
「あの…わたし、姉さんのことが大好きだったんです。だから…さびしくて…」

 由紀夫くんの話をまとめると、こうだった。
 彼は、やさしくて頭のいい自分の姉に、強烈な思慕を抱いていた。
 同時に、内向的で身体の弱い自分へのコンプレックスに悩まされ続けていた。
 大好きな姉が死んだことで、その喪失感に耐えられなくなった彼は、姉の残り香を求めて、姉の部屋に忍び込む。
 そして、姉の服を着た自分が姉にそっくりであることを知り、女装がやめられなくなってしまった。
「最初は、わたしもびっくりしたんです。だって、鏡の中に姉さんがいるんですもの。私の中に姉さんがいる、ってそう思って。自分の服に戻ると、なんだか姉さんがもう一回死んだみたいで、寂しくなっちゃったり…」
「ふ〜ん…」俺は、興味深げに頷いた。「それで、美樹の服を着て、オナニーしたんだ」
「なっ…先輩っ、なに言うんですかっ?!」彼は、顔を紅くして、手で覆う。困ったことに、女の子にしか見えない。
「したんだろ、オナニー。正直に言えよ」かわいい…、などと思っていることを隠して、俺は追及する。
「しっ…しました…。かっ、鏡を見ながら触ってると、姉さんにシテもらってるみたいで…、気持ちよくて、でも、私が姉さんにシテるみたいな気分にもなって…、なんだか…その…」
 彼は、顔を真っ赤にしながら、告白を続ける。その羞恥攻めのような告白の最中に、彼のペニスがまたもや勃起し始めていることを俺は見逃さなかった。
「それで、こんなに起っちゃうぐらい気持ち良かったんだ〜。いやらしい子だよな〜」そう言いながら、小さな隆起に手をかける。
「はぁっ…、やめてください…いやっ…」すでに2回も射精したペニスは、かなり敏感になっているようだ。
 おっと、こんなことをしてる場合じゃない。話を聞かなきゃ。俺は彼のペニスから手を離した。
 彼は、名残惜しそうに腰をよじると、俺を恨みがましい目で見て、小さな声で、先輩だって起ってるくせに、と呟いた。
「ほほ〜う。また、縛られたいのかな?」
 俺がさっきのリボンをヒラヒラさせると、彼は勢いよく首を横に振った。

 そんなふうに、女装をしてのオナニーにハマっていた由紀夫くんだったが、やがてそれだけでは満足できなくなった。
 どんなに顔立ちが似ていても、仕草や歩き方までは同じにならない。ましてや、髪型も違うし、化粧もしたことがない。
 鏡の中で姉が生きていると思い込んだ彼は、そうした違いを努力と練習で克服することにしたのだそうだ。
 美樹の服を着て、美樹になりきり、記憶を頼りに話し方や仕草を練習した。化粧品は、この部屋に同じ物があったから、それを使って美樹と同じ顔になるように工夫した。
「もうなんだか、こっちにすっかり入れ込んじゃって、昔の自分がどんなだったかも思い出せないです。わたし、時々思うんですよ。わたしが姉さんに近付くほど、由紀夫って男の子は消えていってるんじゃないか、って」
 そう言って、由紀夫くんは朗らかに笑った。自分を失っていく、ということについて、なんの屈託もないようだ。
「でもさ、君としては、それでいいワケ? お姉ちゃんを生き返らせて、自分を殺してさ」と訊いても、
「かまいません。昔のわたしは、自分が嫌いでした。暗くって、意気地なしで。姉さんのフリをしてる方が、自分が思っていることをはっきり言えるんですよ。きっと、姉さんが助けてくれてるんですね」とこたえる。
 ああ、確かに美樹はなんでもはっきりと言う性格だった。うわべだけでも真似をしていれば、嫌でもそうなってくるだろう。
 それにしても、彼のどこにも男の子っぽさが無い。…可愛らしいペニスと、スレンダーな胸をのぞいて。
 どんなに俺が虐めても、たとえ幽霊は嘘だと告白させても、少女らしい仕草や話し方が崩れなかった。
 もはや、こっちが自然体になってしまっているということなのだろう。百歩譲って美樹じゃないとしても、彼が魅力的な可愛い女の子に見えることは否定できない。
 俺は、無理強いして白状させたことを少しだけ後悔した。

 しかし、親に内緒で姉の部屋に出入りしていたことが、ついに母親に発覚した。
 女装も美樹の真似もやめさせようとする両親を相手に、由紀夫くんはとっさに幽霊の嘘話しを思いつく。
 つまり、道義的な責任を回避するために、キチガイのフリをしたということだ。
 とにかく、それ以後の彼は、"由紀夫"としての生活をやめてしまう。美樹の人格が乗り移っていることになっているのだから、そうするしかなかった。そうして、あらゆる場所で美樹の真似をして押し通す生活を開始する。
 嘘がバレないように、自分より上の学年の勉強までしたというのだから、おそれいる。ついには「自分の部屋に戻りたい」と主張して、美樹の持ち物を部屋ごと手に入れてしまった。
 それができた、ということは、親も幽霊の存在を信じるざるをえなかったのかもしれない。

「それで、なんで俺を誘惑したんだよ?」
 俺はできるだけ何気ないふうを装って、そう訊いた。
 美樹の真似を続けていたら、引っ込みがつかなくなった、とでも言うだろうか?
それは、なんとなく嫌な想像だった。
 いつのまにか、俺は彼自身に強い好意を抱いてしまっていた。
 男でも、美樹じゃなくてもかまわない。そういう想いが強くなればなるほど、成り行きでセックスをしたとは思いたくなかった。
 しかし、返ってきた返事は、俺にとってまったく意外なものだった。
「先輩のことが、好きだったからです。逢いたかった、って言ったじゃないですか?!」
 あたりまえのように、そう言われた。まるで、そんな質問をする俺を責めているようだ。
「ちょっと待てよ! なんで君が、俺のことを好きになるのさ?!」思いがけない返事に、狼狽して俺は怒鳴る。
「…迷惑ですか?」ポツリ、と彼が呟いた。とても寂しそうな目になっている。
「そんなことはない! 迷惑じゃないよ、ちっとも! …でも、なんでだよ。君とは、ほとんど初対面のはずだぜ」
「…わたし、姉さんの日記を読んじゃったんです」
「日記?」
「そう。中身はね、もう先輩のことでいっぱいなんですよ。先輩がどんなにやさしくて、かっこいいかって、そんなことばっかり。告白された日なんか、もう文字が躍っちゃってて…」
 そんなものを書いていたのか。そういえば、美樹と交換日記はしたことがなかった。
「それで、あの…、姉さんの気持ちになって読んでいるうちに、わたしも先輩のことを好きになっちゃったんです。姉さんのフリをしたのって、やっぱり、先輩を騙したことになるんですよね。ごめんなさい。
…でもね、来てくれて嬉しい、って言ったのは、嘘じゃないんです。先輩のことを考えると、ドキドキするようになっちゃって、そうなってからは、先輩が会いに来てくれないかなぁ?ってずっと思ってました。
今日、来てくれなかったら、こっちから会いに行っちゃおうか、とか。突然わたしが来たら、どんなに驚くかなぁ、とか。
…でも、来ないってことは、新しい恋人がいて、そうしたら会いに行ったら迷惑かなぁ?とかもう色々…」
 そうして一生懸命にしゃべる彼の気持ちが、とても心地よかった。俺も、自分の気持ちを言うべきだろうか?
「俺は今日、色々と酷いことをしたぜ。…幻滅しただろ?」内心の不安を隠しながらも、そう訊いてみずにはいられない。
「最初は、ちょっと怖かったです。…でもね、結局、先輩は騙せませんでした。それって、先輩が本当に姉さんのことを愛してた、ってことですよね。すごくかっこいいです。くやしいけど、わたしの負けですね。でも、ますます好きになっちゃいました」
「それじゃあさ、俺が君に、恋人になってくれ、って言ったら、どうする?」
 彼は…いや、付き合ってくれ、って言うのに、"彼"は変だな。"彼女"の方が、俺としてはしっくりする。
 彼女は、最初はなにを言われたのかわからないみたいだった。
 それが、意味を理解すると、非常に慌てた様子になった。
「先輩っ! わた、わたしに?! わたし、こんな身体で、先輩を騙してて…」
「誤解するなよ。美樹の代わりのつもりはないからな。そのままの君にホレたんだ。
…頼むから、俺と付き合ってくれ。本気だぜ」俺は、真剣な目で彼女を見つめた。
 好きだ、って向こうから言ってくれてるんだから、断られることは無いような気がする。
 しかし、この土壇場で拒絶されたら、どうしよう。真面目に告白するなんて、馬鹿だと思われないだろうか?
 昔、美樹に告白した時よりも、もっと窮地に立たされたような気分だった。
「あのっ、でも、いいんですか、わたし…」
「本気だって言ってるだろ」彼女の煮え切らなさに、俺はだんだん不機嫌になってきた。
「…でもわたし、その…女の子じゃ…ないし…」下を向いた彼女の声は、今にも消え入りそうだ。
「うるせえっ! 女にしてやる、って言ってんだろ!? 四の五の言ってると、犯っちまうぞ!!」
 俺は、彼女に掴みかかると、押し倒して馬乗りになった。

「あのっ、先輩」俺の下になった彼女が、仰向けのまま話しかけてくる。
「なんだよ」俺は、彼女を押し倒したものの、その先どうしようか迷っていた。
「…犯してください。わたしを、女の子にして」
「…!」
「わたし、今までずっと姉さんのつもりでいました。なのに、先輩に自分に戻されちゃったんです。先輩、わたし、かわいいですか? きれいですか? もう、ぜんぜん、自信が持てないです。わたしのことを好きなら、もう一度、女の子みたいにシテください。いっぱい、いっぱい、愛してください。…先輩、好きです」彼女は、目に涙をいっぱい浮かべて、そう言った。
 俺はようやく、自分のしたことの意味を悟った。俺の乱暴な行為は、由紀夫くんが女装することで得ていた自信を粉々にしたのだ。
「わかったよ。…愛してる。いっぱい、気持ちよくしてやるぜ、ユキ」俺は彼女にそう呼びかけると、覆い被さるようにキスをする。
 彼女は、自分の新しい呼び名にハッとしたようだったが、キスと共にそれを受け入れた。
 ユキとの、恋人として初めてのキスは、彼女の涙の味がした。


 ベッドに倒れたままの彼女を抱え上げるように助け起こすと、背中のファスナーを開けて、ワンピースを脱がせた。
 その下からは、半透明のシュミーズに包まれた裸身が現れる。
 初めて見るそれは、服の上からの印象を裏切らず、細く、柔らかく、色白で、可憐としか言い様のない姿だ。
 やはり、胸はない。それはある意味で女性的ではなかったが、ユキの場合は、華奢で繊細なイメージの方が勝っていた。
 薄布の上から手をあてて、かすかに見える乳首を刺激する。
「…先輩…くすぐったい…あんっ!」
 敏感な突起が薄布と擦れる感触に、彼女が可愛らしい嬌声をあげる。
 その桃色の小さな芽は、感じている証拠として、ささやかではあるが充血して硬くなっていた。
 俺は、シュミーズの下に手を潜らせると、その肌の滑らかな感触を楽しむように、指先で背筋を愛撫する。
 彼女の身体から力が抜け、陶酔したように目が潤む。微かに開いた唇からは、甘い吐息が漏れていた。
 シュミーズをさらに捲くり上げ、背中に舌を這わせる。ユキの反応を頼りに、感じる場所を探り当て、重点的に攻め立てる。
 首筋に近い場所から、徐々に下のほうへと攻撃目標を移し、やがてヒップへとたどり着く。
 クリンとした丸みが重なる谷間の入口のあたりで、彼女の喘ぎ声がいっそう強まった。
 薄皮一枚の下に尾てい骨が存在する、そのでっぱりを丁寧にねぶると、押し殺した悲鳴と共に腰が震え、柔らかい蕾が収縮する。
 その動きに誘われるように、俺の舌もセピア色をしたアヌスへと近付いていった。

 アヌスに口をつける前に、ちょっと匂いを嗅いでみた。汚いなどとは思わなかったが、念のため、ってやつだ。
 不思議と、汚物の匂いはしなかった。そのかわり、かすかに薬品の匂いがするような気がする。
 そういえば、さっきアヌスに入れて引き抜いた指先にも、汚物はついていなかった。
浣腸でも、してあるのかな? 俺が来るのを待っていたというのなら、それはありえるように思う。
 ユキに訊いて、確かめてみたいような気もしたが、俺の愛撫にうっとりとした顔を見ると、今はそういうことを訊ける雰囲気じゃない。
 まぁいいや。それは、後回しにしよう。
 そういえば、美樹はアヌスに触られるのも嫌がった。
 フェラチオといい、アヌスといい、どうもユキの方が美樹よりも積極的らしい。
 もちろん、俺にとっては、積極的な方が好ましいのは言うまでもない。
 俺が来るのを期待して、綺麗にして待っていたのだろうか。ユキが自分で浣腸する姿を想像して、俺はさらに興奮した。
 背中を愛撫されて、うつ伏せになっていたユキの太股を抱え上げるようにしてヒップを持ち上げ、あらわになった菊口にキスをする。
 敏感な部分を直接触れられて、腰がくねった。誘うような、色っぽい動きだ。
 ユキのペニスも、コチコチに硬くなっていた。小さいながらも、先っぽがお腹につきそうな勢いだ。
 アヌスに舌を伸ばし、じっくりと舐め回しながら、右の手のひらで可愛いペニスを包み込み、やさしく擦った。
「ああっ、あんっ! いいっ…きもち…きもちいいのぉっ!」たまらず、悦びの声がもれる。
 舌先をすぼめて、アヌスの中へ差し入れると、ユキはさらに尻を俺の顔に押し付けてきた。
 もっと刺激してほしいのか? そう思いながら、舌を引き抜き、指先でアヌスをほじる。驚いたことに、あまり抵抗なく二本の指が入ってしまった。
「先輩…おねがい、入れてぇ…」我慢できなくなったらしいユキが、そう言っておねだりする。
 そのころには、俺の男性自身も、すでに限界まで張り詰めた状態だった。

 俺は、うつ伏せになったユキの上にのしかかると、自分のペニスの先端を彼女のアヌスへとあてがった。
 こうして見ると、目標の穴はとても小さく見える。充分にほぐしてあるとはいえ、こんなに太いモノを入れて、本当に大丈夫だろうか?
「ユキ、いくぞ」念のため、そう声をかける。
 ユキが小さく頷いたのを見て、俺は彼女の中へと侵攻した。
 しかし、さすがに入口が狭くて、なかなか入れることができない。
 ユキが、俺を受け入れようとするかのように、息を大きく吐いた。身体の力が抜けて、菊口が緩む。
 ここぞとばかりに、俺は腰を深く沈めた。まるで杭のように、俺の分身がユキの中に潜り込んでゆく。
 亀頭の笠が括約筋を抜けてしまえば、そこより奥に入れるのは簡単だった。
 ゆっくりと奥まで押し込んでみる。奥の方は、すべすべしていて、緩やかに締め付けられる感じだ。
「せんぱぁい…ちょっと…苦しいです…太くて…はふっ…」つらそうな声で、ユキが喘ぐ。
「愛してるよ、ユキ。きつくて、気持ちいいぜ」そう言って慰めると、ちょっと嬉しそうな顔になる。
 少し、気を紛らわせてやった方がいいかもしれない。俺は彼女のペニスに手を伸ばし、軽くしごいた。
「ああぁんっ!…せんぱぁいっ…はあぁっ!」思わぬ快感に、喘ぎながら腰をくねらせる。
 結果的に自分でお尻を振ることになり、俺の男根が動く感触で、ユキは身悶えした。
 俺は、彼女のペニスをしごきたてながら、ゆっくりと腰を前後に動かし始める。

 気持ちいい、とユキに言ったのは、嘘じゃなかった。それどころか、すごくいい。括約筋に絞り上げられる感覚は、まるっきり未知のものだ。動かすたびに、なんともいえない快感がこみあげてくる。
 もっと、もっと、もっと! さらに奥まで入りたい衝動に駆られて、激しく腰を突き入れた。
 つられて、だんだん動きが速くなってしまう。
「ユキぃっ、気持ちいいぜ…もう…出しちゃうかも…」
「せんぱぁい、わたしもっ、わたしもぉっ! なにか来るうっ! おしり、おしりが感じるのぉっっ!」
 俺の手はもう、ユキのペニスを刺激してはいなかった。
 その代わり、ユキのヒップを両手で抱えて、力強く腰をストロークさせる。
 あまり激しくしたらいけないんじゃないか、などという気遣いは、すでに吹き飛んでいた。
 ユキのアヌスが俺を包み込み、快楽の電流を流して俺を支配する。
 俺もまた、ユキを愛しいと思う気持ちと、征服したい想いをペニスに込めて、彼女の中へと注ぎ込もうとしていた。
 弾け飛ぶ直前に、俺の亀頭がいっそう大きく膨らむ。それがさらに、ユキの前立腺を強く刺激したようだ。
「ユキ…うっっ!」
「あっ、あぁっっ! せんぱぁあぃっ!」
 俺がユキの中に熱い樹液を吹き上げると、ほとんど同時に彼女も感極まって果てた。
 まるで、俺の精液がユキのペニスを経由して吹き出したようだ。
 しかし、彼女の尻穴の中で、俺の息子はすぐには萎えなかった。
 射精したユキのペニスが、精を吐くたびにヒクヒクと震える。その動きで、彼女のアヌスも収縮を繰り返していた。
 もっと欲しがる唇にも似た動きに促されて、俺のペニスも何度も精を吐き出す。
 そうして、俺のペニスが震えると、また彼女の尻穴が悶える。
 俺達は、まるで永久機関のように、お互いの身体を慈しみ合っていた。


「じゃあ、俺はそろそろ帰るぜ。」服を着た俺は、そう言って立ち上がった。
 初夏の日の長い時期とはいえ、そろそろ夕暮れが近付く時間だ。ぐずぐずしていると、彼女の母親が帰ってきてしまう。
 本当は、新婚の夫婦のように、いつまでもじゃれあっていたかったが、そうもいかない。
 快楽の余韻にひたる間もなく、俺達は部屋中に撒き散らした白濁液をできる限り拭うと、乱れたベッドを整えて、その場を取り繕った。
 お互いに服を着直すと、部屋にこもった青臭い匂いを散らすべく、窓を開け放つ。
 風に乗って、若葉の匂いが香ってきた。眩しい季節の予感の中で、目の前には可愛い恋人がいる。
 俺は一瞬だけ、今はいない美樹のことを思い出して、胸が締め付けられるような追憶を感じた。
 今の情景が、美樹と過ごすはずだった夏の始まりに、あまりにも似ていたからだ。
 しかし、俺の思い描く風景の中で、俺と寄り添っているのは、もう美樹ではなかった。
「先輩、また会ってくれますよね」はにかむような笑顔で、少し不安げにユキが問い掛ける。
「夏休みになったら、すぐに迎えに来るよ。二人で、どこかに行こうぜ」俺は、そう請け負った。
「外で、もっと可愛がってやるからな。期待してろよ」俺がそう言うと、彼女の頬が紅く染まる。
 バイトをして、金が貯まったら、もっと可愛い服を買ってやろう。
 うつむいて恥らう恋人の姿を見ながら、俺はそう決心した。


――了――


   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆


雷刃氏コメント: どうも皆さん、はじめまして。雷刃と申します。
扉行広さんの御好意でこちらに自作を Up させていただきましたので、
御挨拶にうかがいました。
処女作ということもあり、まだまだ拙い内容ですが、
もし少しでも喜んで読んでいただけたならば幸いであります。
これからも精進してまいりますので、
どうぞよろしくおつき合い下さいませ。

扉:
これは反則です。こういう年の差と性格の組み合わせは私の最も弱いところであり、
ここを突かれるとパブロフの犬よろしく感激してしまいます。
もちろん条件反射のみで気に入ったわけではなく、
的確な描写と正統的な構成にも感心させていただきました。
これに比べたら友菜の2はゴチャゴチャで。

ありがとうございます。次作を楽しみにしております。
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