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卒業式の大事件
腰を動かし始めてしばらくたってから、ぼくの下の佐村一美が残念そうにまゆを下げて言った。
「砂戸……きょう、中だめだから……」
ぼくは佐村のおなかを両手でつかんで、あそこにちんちんをぬぷぬぷ入れていた。薄目にしてちんちんに集中しながら、こくんとうなずいた。
「ん、わかった……」
「最後、こっち来て。口でぷくぷくさせてあげる」
「ぷくぷく?」
「ぷくぷくってふくれるじゃん、出すとき……」
おでこにほんのり汗を浮かべた佐村が、んふ、って感じで唇に指を当てる。最近のぼくたちは、おたがいのあそこをなめるのが、すっかり平気になった。佐村はきげんのいいときはよくおしゃぶりをしてくれる。きげんの悪いときはぶんなぐられるけど。
でもぼくは、今日はおしゃぶりしてもらわないつもりだった。新しいことをしたかった。
ビー玉みたいにコリコリになったちんちんの先、亀頭が佐村のちつを出入りしてる。ぬるぬるしてあったかくてとても気持ちいい。コンドームをつけたこともあるけど、やっぱりないほうが感しょくいいよって佐村は言った。ぼくもそう思う。だからすぐにゴムを使わなくなった。
でもそれじゃ子供ができちゃうから……
軽く抜いてちんちんに指でさわると、ぬるぬるする。佐村のおつゆがたっぷりもれだして、ちつからおしりのほうにとろとろこぼれてる。それを指でやさしくこすりつけた。ちんちんの下のキュッとしまった穴に。
「砂戸ぉ……」
ぶるるっ、とおしりをふるわせて佐村が薄笑いした。佐村がおしりの穴をいじられるのが大好きだってことを、ぼくはこの間見つけ出した。もちろん口では絶対言わないけど、指でなで回したり軽く押しこんでやると、ちつがビクビクしてかわいい声を出すから、気持ちいいってわかる。
だからぼくはこっちもしてあげようって思った。
並べた座布団に寝ころがって、足をM字に開いている佐村に、ぼくはがんばってちんちんを抜き差ししながら、少しずつおしりをくすぐっていった。エッチしはじめた最初は、おしりにさわるだけでビクッてするのがおもしろい。でもうまく慎重にくすぐると、キュッとしまってたおしりがだんだん柔らかくなってくる。小指の先が入って、薬指が入って、もっと柔らかくなって人差し指も入るようになる。今までに人差し指の第二関節まで入った。
言うと怒るんだけど。佐村はこれがとっても恥ずかしいみたいで、だまって知らんぷりして入れたときだけ、やらせてくれた。
今日もぼくは、佐村とふつうにエッチしながら、少しずつおしりを柔らかくした。
人差し指が入ってくむくむ動かせるぐらいになると、ぼくのちんちんも限界になってきた。玉の付け根がぴくぴくして精子がこぼれそうな感じがする。佐村もわかるみたいで、ぼくの肩を細いうででくいっと押して言った。
「ね、抜いて……精子出そうだよ、砂戸の……」
そのまんまいきおいで射精しちゃうと、ぼくも佐村もすごく気持ちよくてその時だけは最高なんだけど、佐村はもう生理があるからまじシャレにならないから、ぼくは黙って新しいことをした。
腰を止めて、爆発しそうにパンパンになってるちんちんをそーっと抜いて……佐村のおつゆの糸をとろーっと引いて、きゅむっとおしりの穴にあてた。
「え……?」
ふしぎそうな顔をする佐村には教えない。くっくっと少しずつちんちんで押した。穴は亀頭より小さい感じだったけど、最初に比べるともうくにゃくにゃになってた。
「ちょっ、砂……」「痛かったら言ってね」
ぎゅうって押すと、意外にかんたんだった。くぷんっ! て感じで亀頭が入った。佐村が「あっ」と大きな目を開いた。
「お、おしりに入れてる!?」
「うん……」
「やだあ、ちょっと砂戸っ!」
「今まで指、いやがらなかったじゃん」
言いながらまた腰を動かした。くむくむくむって抜き差しすると、穴の筋肉がちょうどちんちんの首のところにひっかかって、むず気持ちよかった。佐村もだった。「んんーぅ……♪」と鼻を鳴らしてもぞもぞした。
見下ろすと、ちょっぴり開いたままのおまんこが、電気を流したみたいにぴくっ、ぴくっ、とふるえてた。ちんちんを動かすとてきめんだった。光るぴらぴらがぷるぷる震えて、ちつの出口までおつゆでいっぱいになった。
「おしりも気持ちいいだろ?」
「だって、だってぇ……」
「こっちなら中出しできるよ……?」
そう言ったら、赤い顔で怒っていた佐村がはっと動きを止めた。
「そっか……」
恥ずかしそうに横を向いて力を抜く。とっても素直な気がして、ぼくはとてもうれしくなって、ちんちんを根元まで押しこんだ。
ぬくぅ……くむむむむぅ……っ。
おしりが切れないように、ゆっくりそーっと。そのおかげで、ぼくは佐村のおしりの中をくっきりなぞれたし、佐村はちんちんに浮き出した血管まで感じられたと思う。
おしりはやっぱりおまんこと違った。入り口が輪ゴムみたいにきついけど、中はふんわりした広い部屋になっていて、一番奥だけ亀頭がくぷっと当たった。実はうんちが当たらないかこっそり心配だったけど、当たらなかったからほっとした。
佐村もくっきりしたまゆをうれしそうに曲げて、目を閉じていた。
「うわぁ……変なのぉ……」
「どん、どんな感じ? 佐村」
「むずがゆっ、ムズムズで気持ちいいのぉ、前より……。ちんちんこすれて、ひりひり……」
「これ、いい?」
「んっ、んうっ! そ、そぉっ! ピリピリする、背中もぞわぞわぁ……っ」
ほわぁ、ほわぁ、と湯気が出そうな息をはく。佐村はほんとうにエロくなると目を閉じる。頭の中でちんちんのことだけを考えてるんだと思う。そこまで行くことはあんまりないんだけど、いったんいくともう何をしても怒らないから、ぼくもすごく興奮する。
「キモチいいとこ、下のほうからぐりぐりされるの、砂戸のちんちん、下からくるぅ……んあっ」
佐村の両ひざをつかんで、ぐいっと押した。おしりの穴が下すぎて入れにくかったから。M字のまま丸まった佐村がふきゅっ、と声を出した。ぼくはうっとりしながら言う。
「おしり上げて。入れにくいよ」
「ん、うん……」
二人でごそごそ動いて、佐村の腰の下にもう一枚座布団を入れた。おまんことおしりが真上を向いて、ちんちんがとても入れやすくなった。ぼくはゆっくり前に倒れて佐村を抱きしめた。佐村は今日はブラジャーをつけてなくて、甘い汗の匂いのするトレーナーの中に、半分にしたりんごみたいなかたいおっぱいがあった。
それでもう、ぼくはいつでもいけそうになったけど、佐村がちょっとあわてた感じで両手をおなかの間にごそごそ入れた。
「なに?」
「さわらせて、あそこ」
「オナニー?」
「だ、だっておしりだけじゃさみしいのっ!」
くやしそうに唇をまげた顔がすごくかわいくて、ぼくはおもいっきりキスをした。
「佐村ぁ♪」
「――んーっ!」
ちょうどへの字みたいに体を曲げて、ぼくはぐいぐい腰を押しつけた。おしりがこすれるじゅくじゅくいう音と、佐村がオナニーするくちゅくちゅって小さな音が強くなった。佐村のすごいかっこうが頭にうかんで、ぼくは意地悪したくてたまらなくなった。
「佐村、おしり全開」
「やっ、すけべっ!」
「佐村のほうがエロいよ、くっぽり開いてちんちん入れてる。うんちの穴まる見え」
「ばか、ばかぁ!」
「ばかじゃないだろ? オナニーしまくりじゃん、感じるんだろ?」
「やっ、あぁ……」
「おしりの中に……精子出すよ?」
佐村のほっぺたでそうやって言うと、佐村がきゅーっと目を閉じてぶるるるっとものすごく震えた。
「……ぷくぷく、して……」
「――うん」
ぷくっ、ぷくっ! とぼくのちんちんがふくらんだと思う。
ぼく自身は、びゅーっ! びゅびゅーっ! と射精する感しょくに夢中だった。佐村にちんちんの汁を入れるのは、いつも背中がまっしろに焼けそうなぐらい気持ちよかった。多分これがおすの喜びなんだなって思う。佐村はぼくのものだ! って叫んでるみたいな感じ。
佐村は佐村でぼくをすっかり受け入れてくれてた。おしりをぴったりぼくの腰に押しつけて、突っこんでって言ってるみたい。穴のふちがきゅーっとしまってちんちんが食べられそう。精子の当たった奥のところが生き物みたいにびくびく動く。ぼくのものだよって体中で言ってるような気がする。――でもこれはぼくが想像してるだけで、後で聞いても佐村は教えてくれない。
「ふくっ……く……くぅ……」
「ふわぁ……ぁん……♪」
一回分の精子をたっぷり入れ終わると、ぼくたちはくったりする。引きしぼってた体をゆるめて、二枚の布団みたいにかさなりあう。ほっぺたにキスしたり耳を噛んだり。顔を上げると目があって、佐村はこういうときだけに見せる、とびきりやさしい笑顔になってる。教室の明るい笑顔とも、してっていうときのやらしい笑顔とも違う、あかちゃんみたいにふんわりした顔。
それを見るとぼくはたまらなく佐村が好きになって、ちんちんも抜かずにめちゃくちゃにキスしたり頬ずりしたりする。そうやっているうちにちんちんがまたぼっきして二回目のエッチを始めることもあるんだけど、今日はちょっと考えた。
「砂戸ー、もういっぺんするー?」
「んー、佐村はぁ……?」
「あたしけっこう満足。いちゃいちゃしてたい……」
「いちゃいちゃなの?」
「いちゃいちゃだよぉ……♪」
これほんとに佐村? ってぐらい甘えて、佐村がぼくのほっぺたをなめる。
引っかくみたいなざらざらしたなめ方……ざっくりしばった黒い髪の汗の匂い……胸の下のあついおっぱい……それに、ちんちんをきゅっと飲みこんだままのおしり。
ぼくはものすごく幸せな気持ちになって、佐村をこすったりなめたりする。
それはこれだけやったから満足だっていうようなものじゃなくて、いつまでもしていたい感じで、二人であきもせずさわさわすりすりしていたんだけど、いつまでもっていうのはやっぱり無理で、そのうちにトントンとふすまがノックされた。
「砂戸、佐村」
ぼくの友達の、石川島岳史の声だ。
「そろそろだから。準備な」
「あ……はーい」
ぼくは体を起こした。佐村が枕もとのウェットティッシュを取って一枚抜く。それをおしりの下に回してぼくを見た。
「いいよ」「ん」
ちんちんを抜くと、とろろっと精子があふれ出した。佐村はすぐ足を閉じて隠してしまう。体を横にして、眉をひそめながらおしりをふく。
その、抜いてふいてるところをすごく見たくて、ぼくは顔を近づけようとした。とたんに佐村のすらっとした足が伸びてきて、白い靴下でぼくをけっとばした。
「ばか、見るな!」
「いってえ、いいじゃんか見るぐらい……」
「だーめ、もうエッチは終わりなの!」
ほんのり赤い顔で佐村が叫んだ。
そのとき、一階の玄関でガチャガチャ音がした。「岳史ー、ただいま」と声がする。石川島のお母さんの声だ。ぼくと佐村はあわてた。
「やばっ、あたしのパンツどこ?」
「え、自分でぬいだじゃん」
「違うよ! 砂戸がなめてから口でぬがせて……」
「そのあと佐村が手で抜いただろ?」
「ああそうだった、多分おざぶの下だ」
「それより早くどいてよ、ズボンふんでる!」
てんやわんやで着がえ終わった。佐村はピンクのトレーナーとデニムのカバーオールで、僕はジーパンにシャツとフリースのジャケット。ふつうの六年生のかっこうだ。
座布団をしまってティッシュをあつめて部屋を出て、廊下をはさんだ向かいの部屋へ。ふすまを開けて入ると、一足先に着がえ終わった白院麻衣美が、すました顔でちゃぶ台に座っていた。ぼくたちを見て、ちょいちょいととなりを指さす。
「岳史くん、下だから」
ぼくたちもちゃぶ台のまわりに座って、問題集をのぞきこんだ。
しばらくして石川島がおぼんに紅茶をのせて上がってきた。ちゃぶ台においてあぐらをかく。
「母ちゃん来ないよ。いつもの三人って言ったら、なっとくしてた」
「いつもありがと、石川島」
「いやいやおたがい様だし」
石川島はまじめくさって片手をふった。
そう、ここは石川島のうちだ。ぼくと佐村はエッチをする場所がなくて、宿題の手伝いを条件に(ぼくと佐村が合わさるとちょうど苦手科目がなくなった)、石川島に場所を貸してもらってた。「UFOビデオ屋」でいっしょにエッチしてしまった縁もあった。夏のうちはあそこが使えたけど、もう寒い。今は二月だ。
「勉強会ってことにしてもらえると、麻衣美がうちにくる口実にもなるしな」
「そうだね」
ちらっと白院に目をやる石川島のそぶりが、見ていて恥ずかしい。ぼくたちがしてる間、石川島たちもこっちの部屋でしていたはずだから。
どんなことしていたのかな。――白院のお人形みたいにきれいな顔を見ながら、ぼくはちょっとだけ考える。この子は見かけよりだいぶエッチなんだけど。
と思ったらわき腹をシャーペンでぶすっと刺された。
「いってー!」
「エロ」
佐村が眉をつりあげてにらんでた。もともときつい顔立ちだから、そういう表情だとすごくこわい。エッチのときはあんなにかわいくなるのになあ……。ついでに石川島もぼくをにらんでた。そりゃそうか。
ぼくはどうしようと思ったけど、一人だけにこにこしていた白院が言った。
「一美ちゃん、おしりよかったの?」
たらっ、と冷や汗を流して佐村が固まる。石川島もぎょっとしてる。
ぼくも冷や汗気味になって聞いた。
「聞こえた?」
「一美ちゃん、とってもうれしそうだった」
うらやましい、って感じで白院はほんのり笑った。
「あー、ひりひりする……」
帰り道、国道まで並んで自転車で走ってると、佐村がBMXのサドルでおしりをもぞもぞさせた。
「気持ちよくなかった?」
「砂戸にもやってあげようか」
想像した。これぐらいの大きさのぼくのちんちんが、おしりに……。
「……それってかなり痛いんじゃない?」
「痛いよ」
佐村がふきげんそうに言ったから、ぼくはひやっとした。うつむいてちょっと自転車を離した。
「もうしないよ……」
「あ」
佐村がこっちを見た。すっと近よって、片腕をフォーダンスみたいにぼくのひじにかける。フリースの上にほっぺたを当てられて、どきっとした。
「痛いけど、いやじゃなかったから」
「そ、そう?」
「うん。砂戸のちっ……ちんちんすき」
さっきしたばかりなのに、またエロい気分になってきた。でも佐村が変なことを言い始めた。
「砂戸あのね、あの……あたしのどこが好き?」
「ええ? んっと……全部」
「全部って。どういうところなの」
「明るいところとか、元気なところかなあ。あと……か、かわいいし」
変なこと聞くなよ、と腕をふって離そうとしたら、逆に佐村はぎゅっと力をこめて、ぼくを見上げた。
「明るくて元気でかわいい子なら、誰でもいい?」
「はあ? なにそれ」
「あたしじゃない女の子でもってこと」
「ぼくは佐村が好きだって。……何度も言いたくないよ」
「あたしがいなかったら?」
「そんなこと聞いても意味ないじゃん」
「意味あるの!」
「……佐村?」
強く引っぱられて倒れそうになったから、ぼくはブレーキをかけた。ちょうど踏み切りの前でキッと自転車が止まった。
「どういうこと?」
「あたし――」
カンカンカン! とすごい音でしゃ断機が鳴り始めた。佐村が口を閉じた。くっきりした両目がじっとぼくを見ていた。
電車が来て、突風をぶつけながら地面をガタガタ揺らしている間に、きれいな赤い唇が動いた。
それが通り過ぎると、ぼくはビンビン鳴ってる線路の音に負けないよう、大きめの声で言った。
「ちゃんと言えよ!」
「……もう言った」
佐村はするっと手を外すと、上がり始めたばっかりのしゃ断機に無理やり自転車を突っこんで、踏み切りを渡っていった。
「待ってよ、佐村!」
ぼくも追いかけたけど、踏み切りのガタガタにタイヤを取られてしまった。サスペンションつきのBMXに乗ってる佐村はさっさと渡りきって走っていく。
その先の信号でも止まらずに、右へ曲がっていった。ぼくは左だからわかれわかれになった。佐村はぼくたちよりちょっと家が遠いんだ。
怒ったみたいに猛烈に自転車をこいでいる佐村に、ぼくは叫んだ。
「逃げんなよばーか!」
返事はなかった。白いジャンパーを着た背中が小さくなっていった。
次の日の学校でも佐村は変だった。予餞会の合唱練習の最中に、中学の話をしてさわいでいた男子を、けっとばしてひな壇から落とした。みんな引いたし先生も怒ったのに、あたし悪くないですなんてだだをこねた。
その時は猛獣みたいにぴりぴりしてたからきげんが悪いのかと思っていたけど、掃除の時間にごみ捨てで一緒になったとき、ひとこと言ったらがらっと変わった。
「そんな怒り方、かっこ悪いぞ」
「そ、そう?」
佐村はぎくっとこっちを見た。
「それじゃ謝っとくね。うん、あとで」
早口で言ってぼくの顔をのぞく。ぼくがだまっていると「うそじゃないから!」と言い足した。
「佐村」
「なに?」
「何あせってるの?」
「あせってないよ」
「あせってるよ。ていうか、かくし事してるだろ。なんで怒ってるか言ったら?」
「怒ってないって! あ、もう、だからぁ……」
言葉がうまく出ないみたいで、もどかしそうに首をぶんぶん振ってから、もう砂戸のばかっ! って叫んで走っていった。
その後もずっと、三月に入っても佐村は落ち着かないままだった。本当につまらないことですごく怒って、すぐにころっと反省してまわりに謝ることが多かった。ぼくにもやたらからんできて、ちょっとうっとうしくなった。一番びっくりしたのは、交換日記しようって言ってきたこと。あの佐村が!
佐村らしくないっていうか、はっきり言って気持ち悪かったから、そうやって言ったらすごくがっかりしてた。
ぼくは、佐村がなんでそんな風になったのかわからなかった。
わかったのは卒業式の日だった。
その日ぼくは朝から佐村を見なくて、変だと思ってた。卒業式だからちゃんとしたかっこうで来いって先生に言われてて、それでみんな大人みたいなスーツとかブレザーで教室に来てたんだけど、佐村はいなかった。
教室でぼくが佐村を探して歩いていたら、石川島がぐいっと腕を引っぱった。
「砂戸ー、勝負しようぜ」
「勝負ってなに」
「卒業式で泣いたら五百円な」
「やらないよ、多分泣くから」
「なっ? 泣くとか言ってんなよおまえ! おれは泣かねえぞ絶対泣かねえ!」
「ちょっとは行儀よくしなよ」
ぼくは貸衣しょう屋の半ズボンをはいて、ワイシャツとジャケットを着てる。石川島なんか蝶ネクタイだ。悪いけどぼくの頭には、日光猿軍団、って言葉が思い浮かんだ。
「それより佐村知らない? いないんだけど」
「佐村あ? 朝職員室にいたぞ」
「え? なんで――」
聞こうとしたら、みんながうわーっと声を上げた。入り口から白と水色のドレスを着た女の子がおずおずと入ってきた。ものすごくかわいくてみんなが注目して、その子は真っ赤になった。ぼくも感心した。
「ひゃー、白院すごいなあ。お母さんに着せられたんだな……」
「砂戸っ!」
いきなり石川島がぼくの肩に顔を乗っけて泣き出した。
「見ろあれ、なんてきれいなんだ。まるでソーダアイスみたいじゃねーか! おれは今っ、猛烈に感動しているっ!」
「五百円」
「これは卒業式で泣いたんじゃねー!」
ぐしぐし鼻をこする石川島を、ぼくは白院のほうに押し出した。
「そばに行ってあげなよ。もう卒業なんだから、恥ずかしいとか気にするな」
「うえっ? でっでも」
「多分ぜったい卒業告白されるよ、白院」
石川島はダッシュして、白院の周りの男子をかたっぱしからどけどけどけどけってふっ飛ばした。
結局佐村は来なかったんだけど、その理由は講堂で式が始まってからわかった。
五年生の送辞が終わって、六年生の答辞になると、佐村が壇に登ったんだ。
ぼくはぽかんとした。
佐村はまっしろなスーツとプリーツスカートを着て、タイツをはいていた。髪は真っ赤なリボンで二つのお団子にしてた。
別人みたいだった。ぼくはなんていうか、他のみんなはともかく佐村がそんな風におしゃれしてくるなんて思っていなくて、すごくびっくりした。
っていうか、なんで佐村が? って思ったら、舞台のそでで先生が放送した。
「今日、答辞をするはずだった四組の山野沙耶さんが病気で欠席したので、代理で二組の佐村一美さんに答辞をしてもらいます」
ああ。
そういえばそうだ。佐村、頭がよかったんだ。それで山野とかいう子が休んだから、ピンチヒッターで呼ばれたんだ。
だけどみんなの前でしゃべるのなんか初めてのはず。大丈夫かなってぼくはどきどきして見てた。
壇に立った佐村が、マイクを引き寄せた。そして持っていった紙を広げて、ちょっとかすれた声で言った。
「とうじ」
けほっ、と咳をした。次の声は佐村のいつもの、ぴんと力の入った声だった。
「答辞。私たち六年生は――」
それでぼくは安心した。この声なら大丈夫、佐村は最後までやれる。
思ったとおり、その後は一度もつっかえずに佐村は答辞を読み終えた。でも、最後まで普通だったわけじゃなくて、最後のほうになると何か重い物が肩に乗っかったみたいに、壇の上にかがみこんでいた。
佐村が読み終えて在校生が拍手をすると、司会の先生がご苦労さまみたいな感じで、佐村の紹介をつけ加えた。
「佐村さんは山野さんの次に成績の優れた児童で、七ツ淵学園の試験に合格されました。新しい学校でもきっと頑張ってくれるでしょう」
ぼくはしばらく、意味がわからなかった。佐村がぼくたちとは違う私立中学へ入学するってことを。
わかったのは佐村の口が動いてからだった。
佐村は舞台の上からぼくを見て、ごめんって言ったんだ。
そのあと卒業証書の授与があって、教室に戻って、担任の青木先生に歌と花束を贈って、サイン帳を回したり荷物をまとめたり、がやがやしながら校舎を出て、それで小学校は全部おしまいになったんだけれど、みんななかなか帰らなかった。
校舎の前で友達と話したり、先生にあいさつしたり、けりを入れたり、誰かが誰かに告白して、うおーって声が上がって、みんなが笑って、胴上げが始まって、いきなり泣き出す子もいて、そういうのを晴れ着のお母さんやお父さんたちがにこにこしながら遠巻きに見てる。
なんだか今まで自分をかこんでいた箱がすこーんと四方に開いて、遠くがはればれと見えるようになった代わりに、溜まっていた暖かい空気が流れていっちゃうような、せつない気持ちの時間だった。
そんな中でぼくは、見に来ていたお父さんとお母さんに先に帰ってもらって、人ごみの中で佐村を探していた。佐村は自分から出てこなかったけど、まだ絶対に帰ってないと思った。
でもかなりうろうろしたのに見つからなかった。おかしいと思ってたら、石川島と白院が走ってきた。
「ああ、いたいた。砂戸、なにしてんだよ。佐村あっちにいたぞ。はぐれたの?」
「佐村が来ないんだよ」
「だからって……ん?」
石川島を押しのけて、白院がぼくに顔を近づけた。小声でこしょこしょ言う。
「一美ちゃんもなやんだの。砂戸くんに言ったらぜったい止められるし、止められたら決心が変わっちゃうから言わなかったんだって。ふったんじゃないのよ」
「白院、相談されたの?」
白院はこくんとうなずいて、ちょっとだけこわい顔になった。
「くやしかったな。砂戸くんの話はするのに、わたしには謝らないんだもの」
うわ、白院にやきもちやかれた。……石川島、にらむなよ。そこ怒るとこと違う。
早く行ってあげてって白院が言った。ぼくは走り出しながら聞いた。
「あっちってどこ?」
「ウサギ小屋!」
ぼくは自分の頭をこつんとたたいた。なんで忘れてたんだろう、そこに決まってる!
校舎のかげに入ると、みんなの声がすっと小さくなった。白い服の女の子が、ウサギ小屋の金網の前にしゃがんで、ちっちっちと指を入れていた。
「かまれるよ」
ぼくが近づくと、しゃがんでスカートをおなかにたくしあげた佐村が、ぴくっと肩を動かして言った。
「遅かったじゃん」
「ごめん、思いつかなかった」
「あたしは忘れたことないけどな」
ぼくは佐村のとなりに立って聞いた
「どうして七ツ淵行くの?」
「走りたいから。あそこ、陸上部も有名でしょ」
「ああ……」
ぼくはうなずいた。佐村は成績もいいけど、陸上部に入ってて体育も得意だ。でもぜんぜん納得いかなかった。
「どうしてぼくに言ってくれなかったんだよ」
「だって、言って止められたらやめちゃうかもしれなかったもん」
「それは白院に聞いたよ。そうじゃなくて、どうしてぼくが止めると思ったの?」
「止めないの?」
佐村がふり向いた。きりっとした顔が不安そうになっていた。
それは最近の佐村がしょっちゅう見せる顔だった。それでぼくは、ああ佐村がこわがってたのはこのことだったんだ、とわかった。
「ふられるのがこわくて言えなかったんだ?」
「そうじゃなくて……」
「うん、ぼくは止めないよ。佐村の好きな学校に行けばいいと思う」
そう言ったとたん、そんなあ、って感じで佐村が泣きそうな顔になったから、ぼくは急いで先を続けた。
「ふるからじゃないよ。どこ行っても好きだから」
「でも」
「でもじゃないよ。そんなに難しいことじゃないじゃん。学校終わったら毎日会えばいいんだから。どっちみち今までだって学校ではほとんどいちゃいちゃできなかったんだしさ。そんなに変わらないよ」
佐村は目をぱちぱちさせていた。ぼくは聞いた。
「もしかして、そういうのは考えもしなかった?」
「……うん」
「そうかなあ。校外に好きな人がいたって全然いいじゃん。なんかいけない理由ある?」
「ない……かな」
「ないよ」
「だけど」
「ないって!」
びくっ、と佐村が肩をすくめて目を丸くした。
「砂戸がどなるの、初めて見た……」
「あ、ごめん……」
ぼくがうつむくと、佐村はようやくくすっと笑った。
「そっか……理由ないんだ」
「うん、ない」
「今までどおり?」
「どおりどおり」
「そっかあ。ふーん……」
佐村は目を細めてくすぐったそうに笑った。今まで泣きそうだった佐村がみるみる笑うのは、見てるこっちがうれしくなるような変わり方だった。
そっかそっかとだるまみたいに前後へころんころん揺れていた佐村が、ころんとぼくの足にもたれたから、どきっとした。
「砂戸、さっき思いつかなかったって言ったよね」
「なにが? ああ、ここにいること」
「あたしは忘れられないよ。だって、ここで初めて、砂戸にエロいこと言われたんだもん」
「……そうだっけ?」
「言った。ぜったい言った」
「なんて?」
佐村はじっとぼくの目を見て、「お」「う」「い」の形に唇を動かした。
「……交尾?」
「言うなっ」
楽しそうにぼくの足をバンと思いっきりたたいて、佐村が立ち上がった。何にも言わずに、何か言いたいような目でぼくを見ながら、肩をこつこつ当ててくる。
なんとなくわかった。ぼくはこくっとつばを飲んで佐村を見た。肩をぐっと押すと、おしくらまんじゅうみたいにぐいぐい押し返された。
でもここだとみんなが来るかもしれないと思ったから、歩き出した。佐村もだまってついてきた。
校舎の裏を回って、グラウンドの反対側にある体育倉庫に行った。校門のほうをちらっとみたらみんなようやく帰り始めていた。今日は部活もないし、こっちには誰も来ない。
けれど部活がないってことは倉庫の鍵が開いてないってことで、やっぱり裏の窓から入ることにした。
一年前の春休みみたいに。
でも二人とも晴れ着だからまずいと思った。
「佐村、それ汚れるよ」
「いいって。どうせ一度しか着ないし」
「でも……」
「それじゃやめる?」
窓を開けて体をつっこもうとしていた佐村がふり向いた。ぼくは返事の代わりに佐村の両足を持ち上げてやった。
「ほら、角でひっかけないように」
「ありがと」
佐村は鉄棒の前回りみたいにくるんと回って消えた。そのときスカートの中が見えたけど、腰まで全部おおったタイツのせいであんまりエロくないように見えた。
後について中に入ると、いきなり頭がくらっとした。
匂いのせいだ。――ゼッケンやマットやとび箱からただよう、汗と砂の匂い。一年前と比べて今日はぽかぽか暖かくて、においがよく出てる。それはただでさえ、なんだか動物っぽいものを連想させるのに、ぼくの場合はその匂いと思い出がしっかり結びついていた。
先に入ってた佐村が、鼻をくんくんしていた。ぼくと目が合うと照れくさそうに近づいて、子猫みたいに鼻面をつっこんできた。
ぼくの首筋で、すうすう息を吸う。
「……ふわぁ、なつかしー……」
ぼくの目の前にはお団子が二つ乗った佐村の頭があって、左右の髪の分け目がやけにきれいにそろっていたから、お母さんにやってもらったんだと思った。
そこにちゅっとキスして、真似みたいにすんすん匂いをかいだ。
ぼくたちはもう、いちいち言葉に出して確かめなくっても、エッチなことができるようになっていた。今はエロくないとき、今はエロいときっていう区別がだいたいわかるようになった。
その区別だと今は全開でエロい時だった。だって二人きりになれるところまで来ちゃってるんだから。だから何をしてもいいんだけど、問題は服だった。いつもみたいに抱き合ったままごろん、なんてできなくて、立ったままそっと抱き合って、頬ずりしたりキスしたりをした。
そのうちちんちんが立ってきた――佐村も息があつくなって、目がとろんとしてきた。腰をぐいっと押しつけると、わかるよって言うみたいにふっくらしたおなかでぎゅって押しかえしてきた。だからぼくは少し佐村を押して、スーツのボタンに手をのばした。
「ん……」
ぼくがボタンを外すのを佐村はおとなしく待った。それから反対にぼくのジャケットのボタンをぷちぷち外して、二人とも脱ぐと佐村が集めて、棒高とびのポールにそっとかけた。
そのせいけつな白いブラウスの背中に、スポーツブラの線がちょっと浮いてた。佐村は今年に入ってからブラジャーをつけるようになったけど、つけたせいでかえってエロくなったような気がする。だっておっぱいがありますってことだから。
それでぼくはむらむらしてきて、後ろから佐村に抱きついた。
佐村はわかってたみたいで、ぼくに軽く体重をかけてきた。さわっていいっていうことだから、ぼくは遠慮なくさわる。両手を佐村の前に回して、上下になでた。
手のひらが大きく上がったり下がったりした。佐村の体が、さいきんとてもおとなっぽくなってきたからだ。おっぱいはふっくら盛りあがって、腰が細くなってきて(というより背が伸びて)、おしりのまわりは少しずつむちむちしてきたような気がする。佐村は陸上部だから全然でぶっていう感じじゃないけど。
そんな佐村の体を、手のひらで何かをぬりつけるみたいにゆっくりなでた。ブラウスのおなかをまるくなでてから、チェックのネクタイをはさんだ胸のあたりをもみもみした。腰の骨に片手をやって、さわさわさすってから、ひらひらしたプリーツスカートを引き上げてあそこに右手を入れた。
タイツとパンツが二重になってて手ざわりはよくわからなかったけど、あったかい湿り気がたまってた。佐村のおまんこって頭の中で字にして考えると、かーっと興奮が強くなってきて、なんだかもうたまらなくなった。
「んっ、ふっ、くふっ」
「はぁ……佐村ぁ……はぁ……」
あそこのぷにぷにしたところを三本の指でくしゅくしゅいじりながら、佐村のおしりにちんちんをぐりぐり押しつけて、ぎゅって抱きしめた。ぼくがやたらと力をかけるもんだから佐村はどんどん前かがみになっていって、そのうちくの字みたいになってしまった。右手を上に滑らせるとタイツの上のふちがあって、そこより上がむき出しのおなかだった。指先が肌にふれたとたん、もっと素肌にさわりたいって気持ちがすごく起こって、おへそのあたりにぺったり手を当てた。さわると佐村はくすぐったいみたいで、うすいスポンジみたいなふわふわした感しょくのおなかが、きゅっきゅっと腹筋でかたくなった。
佐村が倒れてしまうから、ぼくは言った。
「佐村、そっち」
「は、ふぁ……」
「低学年用の飛びばこ。もたれて」
佐村が体を乗せるとちょうどいい高さだった。ぼくの腰の高さにおしりが来る。スカートをめくってタイツを下げようと思ったぼくは、ちょっと見とれてしまった。
前かがみになっているせいで、ニットの白タイツがおしりのところで引きのばされて、編み目からつやつやした肌がすけて見えた。なんでかわからないけど急に丸見えよりもいやらしいような気がしてきて、ぼくは両手をそこに乗せた。
おしりの丸いお肉をこねたり集めたり、左右にむにーっと開いたり、おしつぶすみたいにもんでみた。佐村が怒ったみたいにいった。
「あたし、おもちゃじゃないぃ……」
「でも、したくて」
縦の編み目が通ってるおしりの穴のところを親指できゅむきゅむ押したら、佐村は腰全体でびくっとはねたり、うねうねっと蛇みたいに逃げようとした。やっぱりおしりのここは特に気持ちいいみたいだった。ぼくは佐村の腰に両手をかけて、少し引っぱった。
不安そうに佐村がふり向いた。
「なに?」
「気持ちいいと思うよ」
ぼくはしゃがみこんで佐村の太ももの間に顔を押しつけて、またを下からおおうみたいに、かぷっと口を当てた。
「ちょっ、うそ……ぃうっ!」
佐村の細い足がぴーんとつった。ぼくは佐村のパンツのぷっくりしたふくらみをむはむしながら、おしりのところを鼻先でつついた。パンツの中でおまんこがひくひくしたのは舌先で感じたけど、まだぐしょぐしょってほどじゃなかったから、ちょっとだけしょっぱい味がしただけだった。おしりの匂いもほんの少ししかしなくて、助かった。
「すなっ、へっ、へんたぃ」
「いやらら言っへ」
「んうぅ……」
後で思い出してすごいことしちゃったと思ったけど、このときは佐村のおしりのぷにぷにした感しょくに夢中で、はぐはぐかむ真似をしながら頬ずりをした。佐村は最初いっしょうけんめい爪先立ちで体重を支えようとしたけど、そのうちたえ切れなくなったみたいで、だんだん足の力が抜けてきてこっちへ落ちてきそうになったから、あわてて手で支えた。
そこまでいくともう佐村もストッパーが外れたみたいになって、タイツの中からじわじわおつゆがしみてきた。それをなめたくてぼくも舌でぺろぺろしたから、じきに佐村のまたのところはぐしょぐしょになってしまった。
「すなどぉ……」
せつなそうな声がして、佐村の手がぼくの頭をぱたぱたたたいた。きゅ、とおしりに押しつけられる。入れてほしいってことだ。ぼくももうちんちんがきゅうくつで痛かった。
立ち上がってズボンとパンツを下げた。佐村が飛び箱に顔をふせてじっと待ってたから、プリーツスカートをめくって、パンツごとタイツをずりおろしてあげた。
うぶ毛の生えた縦長のおしりが丸見えになった。谷間の途中からうす桃に色がついて、小さくすぼまったおしりの穴が隠れてる。おまんこはその下でよく見えなかったからおしりをつかんで持ち上げた。佐村がくいっとつま先を伸ばして、ぼくに見せてくれた。
白いお肉のまん中が赤っぽくなって、二つに割れてる。佐村が興奮してるからピンクのぴらぴらがちょっぴりはみ出してる。ぼくがはぐはぐしたから、そのあたり全体がおつゆで蒸れたみたいになってた。
佐村は両腕に顔を押しつけてる。
「佐村、こっちむいて」
「や」
「顔見せてよ」
ぼかっとすねをけっ飛ばされた。佐村が真剣に怒った声で言った。
「そういうのやめて! は、恥ずかしいのっ!」
「いじわるで言ってるんじゃないよ。顔見てエッチしたいから……」
「う……」
しばらく肩をぷるぷる震わせてから、ちらっと佐村がふり向いた。熱を出したみたいに顔が真っ赤で、目が光ってた。
ぼくは佐村のおしりにちんちんをすりすりしながら言った。
「佐村、きれい」
「そんなこと言うなぁ……」
くやしがってるみたいに言う顔がかわいかった。
ぼくのちんちんはもう、先っぽがつるつるになるぐらい立ってた。今日は精子がかなり出そうな気がしたから、あそこに入れちゃうとやばいと思って、佐村のおしりにつむっと当てた。あ、と佐村が顔をしかめた。
「待って……」
「だめだよ、待てない」
「そうじゃなくて……今日、大丈夫な日だから」
「なにが?」
「もう。……生理っ。もうすぐだから、こっちで」
そう言って、しきりにくいくいおしりを持ち上げて、高さを合わせようとした。
ぼくはこないだしてから、おしりもけっこういいと思ったけど、佐村がしてほしそうだったからおまんこにすることにした。
ちんちんをぎゅっと押し下げて、佐村の入り口に当てた。ぬちゅっ、と亀頭が半分ぐらい挟まる。二人いっしょに「うふっ」と変な声を出した。勝手に声が出るんだ。
ぼくはこの瞬間がすごく好きだ。これから一番大事なところ同士をくっつけるんだよって感じがする。
もちろんそのまま突っこんでも入らないから、少しずつ出し入れしておつゆのぬるぬるを増やした。細い割れ目みたいな感じだったちつが、だんだん柔らかくなって、ちょっとずつちんちんを中に入れてくれた。
二十回ぐらいくいくいしていると、佐村はすっかり柔らかくなって、ちんちんが根元まで入った。ぼくのおなかと佐村のおしりがぴったり当たる。そういえば後ろからするのは初めてだ。なんだか前からよりも深く刺さる感じがして、興奮した。
「佐村、これってよくない?」
「う、うん。なんか深いところに来てる……」
佐村がもぞもぞおしりをゆらす。ちんちんがきゅむきゅむされて気持ちいい。スカートごと腰をしっかり持って、ちんちんが抜けそうなぐらい大きく出したり入れたりした。佐村がきついせいでちんちんがぎゅっとしぼられてるみたいで、射精をがまんするのが大変だった。
しばらくすると佐村がぽつっと言った。
「でもあたし、前からのほうがぎゅってできるからいいな……」
「向き変える?」
「ううん、いい。寝る場所ないし……」
ふり向いて、ぽそぽそっと言った。
「今日は、砂戸の好きなほうでいいよ」
「ぼくは佐村が好きなほうがいい」
「このままでいいよぉ……♪」
うれしそうな顔がすごくかわいかったから、ぼくは体ごとがばっと抱きついて、思いっきりちんちんをぐりぐり入れた。
「砂戸これ、なんか深いっ!」
「佐村、好きぃ……」
何度もぐいぐい腰を動かして、佐村をかき回した。目を開けていた佐村がしだいにぽやーんとしたうす目になって、はぁはぁ言い始める。ぼくは開いてる両手でも佐村をさわりたくて、ブラウスの上からおっぱいを揉んで、それじゃ物足りないからブラウスをたくし上げて中に手を入れて、ブラジャーのぬがせ方がわからなくてその下に手を突っこむ。
佐村のおっぱいはぼくの手のひらにぴったりの大きさだった。きゅむきゅむもむととても気持ちよくて、佐村も気持ちいいみたいだった。
ぼくはもう興奮が最高になってきて、佐村の体と心と、ぜんぶぎゅーって抱きしめて、ぼくのものにしたいような気持ちだった。それで体全体を使って、飛び箱がガタガタいうぐらいはげしくちんちんを突っこんでいた。腰がぶつかってたぷたぷ音がして、佐村の半ぬぎのタイツにおつゆが垂れてべちょべちょになっていたけど、そんなことおかまいなしで佐村に気持ちをぶつけていた。
そういうのが佐村に通じてるみたいなのがうれしかった。
「砂戸ぉ、すごぉい、全力だしてるぅ!」
「うんっ、ぜんりょくっ、全力で佐村がほしいっ!」
「いいよっ、全力でいいよっ! あたしだいじょぶっ、思いっきりしてっ!」
それでぼくはおっぱいごとぎゅーっと佐村を抱きしめて、佐村が息ができなくてきゅぅって苦しそうにないたから、ちょっとだけ力を抜いたけど、それでも佐村がうれしそうだからやっぱりぎゅーって力を入れた。
ぼくのちんちんはもうとっくに限界になってて、ほんと言うと二、三回、精子がぴゅってもれていた。でも本番はまだだったけど、それがとうとうやってきて、ちんちんの根元が破裂しそうにびくびくし始めた。
ぼくはもう手加減とかしたくなかったから、思い切りくちゅくちゅ動きながら佐村の耳元で言った。
「このままいいっ?」
ぼくもぎりぎりだったけど佐村もぎりぎりで、なんにも言わずにこくこくっとうなずいた。
その小さな動きがむしょうにかわいらしくって、ぼくはついに破裂した。
「さむらっ!」
がまんするのをやめて、ぐいって体重をかけてちんちんを突っこんだ。びくっ! て根元が縮こまる感じがして精子がびゅーって飛び出していって、頭が真っ白になった。
「んあっ、んっ、ぅあっ!」
佐村が、まるで精子をしぼりとるみたいにギュッと強くしめてくれたから、ぼくは足をふんばって佐村のおしりを持ち上げるぐらい押しつけて、夢中になって出した。佐村はぼくの彼女なんだって思うとなんだかとまらなくて、びゅーっ、びゅーっ、と何度でも射精できた。
それが終わると、出しすぎでちんちんの根元が裏返ってしまったような感じがした。最近はいつもは抜く前にちゃんとティッシュで押さえるんだけど、その元気もなくて、後ろへへたへたと座りこんでしまった。
「はぁ、はぁ……佐村?」
「…………ひゃん♪」
変な返事だったからぼくが見上げると、佐村はぴくりとも動かずに飛び箱にもたれていた。ぼくが抜いたあとのぱっくり開いたあそこが、精子をとろとろこぼしながらゆっくり閉じていた。
「……佐村?」
「らめ、とんりゃった……」
かくかくっ、とひざが震えたと思ったら、洗濯物みたいにずるずるすべって、熱くゆで上がった佐村がもたれてきた。
「すーなどっ……♪」
学校下のだらだら坂を下りながら、ぼくの左腕にしっかり抱きついた佐村がすりすりしてくる。かわいいんだけど、学校を出てからずっとこうだから歩きにくい。
「佐村、あのさあ」
「や」
「まだなんにも言ってない」
「離れろって言うんでしょ」
「だって人に見られるよ!」
「坂の下まで誰もいないって」
けろっと言ってから、おなかにうっとり手を当てた。
「仕方ないじゃん、甘えたいんだもん。あたしの中に砂戸のが四回分も、って思うとたまんないよ……」
そう言ってぼくのほっぺたにちゅーっとすごいキスをする。うん、四回もしちゃったんだけど、そういうことされるとまたしたくなる……。
けれど顔を離した佐村は、ちょっとマジになって言った。
「会ってるときぐらい仲良くしよ? あんまり会えなくなるんだから……」
そう言うそばから、ぼくのいない学校を想像したのか、さみしそうな顔になるから、怒るに怒れない。ぼくははーっとため息をついた。
「わかったよ、そうだよね。じゃあ――」
かくごを決めて恋人みたいに肩を抱こうとしたとたん、どんと思いっきり突き飛ばされた。
ぼくはふっ飛んでしりもちをつく。
「あいった……なんだよ佐村!」
「や、やっほー。待っててくれたの?」
佐村が坂の先に手を振る。そっちを見ると、標識のかげから石川島と白院が出てきた。だからどうしたんだろう、この二人にはばればれなのに。
「佐村いまさらどうしたの」
「今さらじゃないでしょ!」
ふり向いた佐村が小声で怒る。ばれててもいちゃいちゃしてるところは見られたくないみたいだ。こういうところ、女の子ってよくわからないよなー……。
でもそんなことはとっくにごしょうちなのが白院麻衣美なわけで、天使みたいににこにこしながら言うんだこの子。
「二時間半も待たされるなんて思わなかった。いっぱいしてもらった? 一美ちゃん」
佐村は固まる。
石川島がやれやれだぜって笑いながら言った。
「まーとにかく、ファミレスでも行こうぜ。卒業記念と佐村の私学合格祝い」
「おまえたちは待ってる間にしたの?」
がん、ごん、と鉄拳がダブルで来た。
「麻衣美の前でそういう下品なことを言うな」「あたしの前で何聞いてるの砂戸」
「……もう、二人が付き合えよ」
「さー行くぞ!」
石川島が歩き出して、ぼくが佐村にひっぱられて、最後を歩きながら白院が言う。
「私たち、ずっと仲良くしようね♪」
ふり向いた佐村が、石川島とぼくを見て、ふっとやわらかく笑った。
「……ありがと」