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夏休みの初体験


 電柱にくくりつけられたスピーカーから、月が出た出たがかかってる。
 はっぴの男の人や、浴衣の女の人、よっぱらいのおじさんやおしゃべりのおばさんたちがたくさん歩いてる。屋台の甘いにおいと発電機のうるさい音。まぶしい電気と木の向こうの暗やみ。音楽の間に、ドンタカタッタと太鼓が鳴る。わくわくするふんいきだ。
 盆おどりの会場だった。近所のはちまん様の境内。
 ぼくは友達の石川島といっしょに、そこを歩いていた。
「砂戸、なんか買わない?」
 石川島がうきうきした調子で言う。
「とりあえず水風船だよな。光るリングもいいし」
「ぼく、おなかへったよ」
 ぼくもうきうきしてる。ただ、理由は盆おどりだけじゃないけど。
「じゃあ焼きそば食うか」
「待ってよ、子供会のチケットあっただろ」
 ぼくはそでの中に入れたはずのチケットを探した。それがあれば、盆おどりの本部でジュースとおかしの袋がもらえるはずだ。
 でもチケットは見つからなかった。落としたみたいだった。
「あれえ……なくしちゃったかな」
「なくした?」
「しょうがない、買おうか」
 ぼくが行こうとすると、石川島がにやにや笑いながら手をひっぱった。ポケットからさっと何かを出す。
「じゃーん」
「……どうしたの、それ」
 石川島は、チケットを三枚も持っていた。得意げに言う。
「おれのお母さん子供会の役員だから、あまりをもらえたんだよ」
「へえ、いいなあ」
「一枚やるよ。おれ、二つで十分だ」
「うわ、サンキュ」
 石川島はいいやつだ。 
 本部は参道のおくだ。ぼくたちは屋台をながめながら参道を歩いていった。参道の終わりの広場に、やぐらが組まれている。最高にうるさい音楽の中で、おばさんたちが輪になっておどっていた。
 石川島がきょろきょろする。
「なあ、おどろうぜ」
「あんなのやるの?」
「楽しそうじゃん。おまえだってそのかっこう、やる気なんだろ」
 石川島はぼくの服を指差した。ぼくは手を振った。
「これ、お母さんに着せられただけだって。……ぼくはいいよ。それよりおかしもらいに行こうよ」
「じゃ、その後でな」
 盆おどりに来ておどるなんて、ダサいと思うんだけど。あれ、それが普通なのかな?
 やぐらをぐるっと回って、奥へ向かう。その途中で、石川島が足を止めた。
「お、なんだなんだ」
 広場の周りは大きな杉の木がいっぱい生えてる。その手前で、数人の子供が向き合っていた。みんなぼくと同じぐらいだろう。でも照明が届かなくて、顔まではわからない。
「いっちょまえにおしゃれかよ、似っ合わねー」
「ブスは何着てもブスなんだよ」
 聞き覚えのある声だった。ぼくと石川島は顔を見合わせた。
「あれ、杉本じゃない」「それと吉間だよな」
 二人とも同じクラスの男子だ。杉本はばかですぐ殴るし、吉間はデブでスケベだから、みんなから嫌われてる。
 ブスって言ってるから、相手は女子だ。誰だろう、と思ったときぴしっとかっこいい声が飛んできた。
「ブスブスうるさいよこのデブ! 肉まんのくせにそんなこと言う資格なんかないよ! 暑苦しいから百キロやせろ!」
「あ、あれって……」
「佐村じゃん!」
 石川島がさけんだから、ぼくはあわてて石川島の後ろにかくれた。向こうを見ないようにして聞く。
「佐村なの、あれ」
「佐村と白院だよ」
 白院麻衣美もクラスの女子だ。おっとりやさしくて髪も長くて、お人形みたいにかわいい。だからいつもからかわれてる。
「うるせーよ超ブス。おまえなんかいいんだよ、おれは白院にブスって言ってんだよ」
 吉間が憎たらしい声でわめいてる。石川島が走り出そうとする。
「白院泣いちゃうぞ。あのやろう」
「じょ、女子を助ける気?」
 ぼくは石川島の手を引っ張った。でも心配はいらなかった。
「ブスでけっこう晩飯食うな!」
 そんなさけびといっしょに、パン! とここまで音が聞こえた。石川島が言う。
「あ、佐村ビンタした」
「なんだおまえ!」
 杉本のどなり声も聞こえた。すぐにもう一回、ぱかーん! と音が聞こえた。ぼくは聞いた。
「ど、どうなった? 佐村、ぶたれた?」
「……逆。佐村が杉本けっとばした」
 ぼくはほっとした。佐村なら、男子二人が相手でもだいじょうぶだろう。
「行こうよ、見てると杉本たちこっち来るよ」
「そうだな」
 ぼくたちは歩き出した。石川島がしみじみ言う。
「佐村ってこえーなあ。フグみたいだったぜ、いまのキック」
「ふぐ?」
「K−1だよ。知らん?」
「知らないけど……」
「かかと落としかかと落とし。こないだ死んじゃったけどな。佐村って絶対フグの生まれ変わりだよ」
 こないだ死んだんだったら生まれ変わりじゃないと思うけど、石川島がそういうんならそれぐらい強いんだろう。確かに佐村は、男子よりケンカが強い。
「あいつブスじゃないけど、凶悪だよなあ。まるでライオンだよ」
「ライオンはかわいいよ」
「そりゃおまえは生き物好きだから……なに砂戸、佐村がかわいいって言ってんの?」
「そ、そんなわけないだろ」
 ぼくはあわてて言い返した。
「石川島だってブスじゃないって言ったじゃんか。佐村好きなんだろ」
「すっ好きじゃねーよあんなやつ! かわいくねーし口悪いし」
 女子のことをかわいいなんて言ったら、クラスじゅうの笑い者になる。石川島はそれから、さんざん佐村の悪口を並べたてた。
 そのあとで、首をかしげた。
「佐村って子供会ちがうよな。なんでここの盆おどりにいんの?」
「は、白院にさそわれたんじゃない? 白院こっちだから」
 本当に来たんだ、と思いながら、ぼくはごまかした。


 盆おどりはいよいよ盛りあがって、おどりの輪が二重になった。
 おかしをもらったあとで、石川島はとうとうがまんできなくなったらしく、おれ行ってくるよ、とおどりに行ってしまった。ぼくはかえってほっとした。
 腕時計を見る。もうすぐ八時だった。
 石川島や他の友達がまわりにいないのを確かめて、ぼくはそっと境内を回った。
 神社のおやしろの横に、赤い鳥居が何十個も続いている。これはお稲荷さんの鳥居だ。ぼくはそっちへ行った。
 広場の明るい照明とざわめきが遠くなる。周りは杉の木の森で、しんと静かだ。鳥居道を奥まで行くと、自動販売機ぐらいの小さなお堂があった。ぼくはその後ろに回った。
 もう広場からは見えない。お堂の土台のコンクリートに座って、ぼくはじっと待った。胸がどきどきする。手に汗がにじんだ。
 コトッ、と音がした。ぼくはふりむいた。
「砂戸……?」
 お堂の横から、佐村一美がのぞきこんでいた。
 ぼくはびっくりした。来るのはわかっていたけど、佐村はなんと、浴衣だった。
 あわい青の朝顔を染めぬいた浴衣だ。帯はピンク。最近ちょっと伸びた髪には花のカチューシャまで差してる。足元もスニーカーじゃなくて下駄。
 ぼくはあわてたけど、佐村が立ってる場所のほうが気になった。
「そこ、広場から見えるよ。こっち来いよ」
「う、うん」
 佐村は一度ふりかえって確かめてから、ぼくの隣に来た。三十センチぐらい離れて、コンクリートに腰を下ろす。
「白院は?」
「おどってる。あたしは逃げてきた」
 それから、顔を見合わせた。ぼくはまだ信じられずに言った。
「ほんとに来たんだ」
「来るよ。行くって言ったじゃん」
「じゃ、あのことも……」
「……うん」
 なんだかケンカしてるみたいな真面目な顔で、ぼくたち二人はうつむいてしまった。


 電話があったのは昨日の夜。
 クラスのおともだちからお電話よ、とお母さんに言われてぼくは首をかしげた。夏休みの登校日は終わったばっかりだし、二学期の連絡にしてはまだ早い。
 なんだろうなと思いながら受話器を取ったら、佐村だった。
「あ、砂戸?」
「佐村? どうしたのいきなり。連絡って?」
「連絡はうそなの。おばさんが出たから」
「ああ、そうか」
 ちょっと緊張しながら、ぼくは佐村の次の言葉を待った。女子と電話することって、あまりない。すごくどきどきする。
 それは、向こうもおんなじみたいだった。佐村が口を開けたり閉めたりするくちびるの音が聞こえる。なにか言おうとしてためらってる。
「ええと……さ」
「なに?」
「砂戸、前のこと覚えてる?」
「前って……」
「春休みの」
「……お、覚えてるよ」
 どきっとした。
 ぼくと佐村は、あることがきっかけで、春休みから付き合ってる。付き合ってるって言っても、デートなんかしたらみんなに何を言われるかわかったものじゃないから、せいぜいウサギ小屋でウサギの世話をしながら会うぐらいだ。
 でも、そうやって会ってる時には、佐村は一度も春休みのあのことをしゃべらなかった。あれから五ヵ月もたってるのに、今ごろどうしたんだろう。
「ぼく、佐村が忘れちゃったと思ってたよ」
「忘れてないよ。あたしこそ、砂戸が忘れちゃったと思ってた」
「じゃあどうしてずっとしらんぷりしてたんだよ。約束だってしたのに」
「ちょっとわけがあったの」
「わけ?」
「なんでもいいでしょ」
 佐村は少しあわてたみたいに言った。
「それより、そのわけが最近だいじょうぶになったの」
「わけがだいじょうぶになった? どういうこと?」
「いいから。……ね、だからさ、あの約束、しない?」
 またどきっとした。体育倉庫の寒さを思い出す。それと一緒に、佐村のあったかさと、甘いにおいも。
 佐村が、すごく自信なさそうに言う。
「す、砂戸も……したいでしょ」
「……うん。佐村も?」
「あ、あたしはしたいって言うか、砂戸がしたいんじゃないかと思って」
「そりゃ、したいけど」
「だよね? ああよかった」
 ほっとしたように佐村は言った。それから聞いてくる。
「じゃあ、いつにする?」
「いつでもいいけど……うちはいつもお母さんいるよ」
「知ってるよ。前に聞いた。うちもなんだ」
「会えないじゃん」
「だからさ、あたし考えたの」
 佐村はすごく小さな声で言った。
「明日、砂戸のうちの近所で盆おどりあるよね」
「どうして知ってるの?」
「麻衣美に聞いたから。それでさ、その時会わない?」
「それって、デート?」
 ぼくは赤くなった。家が反対側だから、学校の外で佐村と会うのは初めてだ。 
 佐村も照れくさそうに言う。
「デート、になるのかな」
「なんで盆おどりなの」
「だって、そういうことって夜するんでしょ。盆おどりなら夜出られるじゃん」
「神社でするの!」
「ほかに場所ないじゃん」
 なんだかすごい悪事の相談をしてるみたいで、うしろめたくなった。いい子の佐村がこんなこと言い出すなんて、ちょっと信じられない。
「佐村さ、それ本気?」
「本気だよ。信用できない?」
「だって、女子ってよく男子ににせ物のラブレター渡したりしてからかうだろ。一学期にも丸道とか、やられてたし……」
「本気だってば」
 佐村は決心したように言った。
「じゃあ、証拠見せるよ」
「証拠?」
「うん。あたしが本気だって。明日見せるよ」
 そこまで佐村が言うから、ぼくも承知した。夜八時半、お稲荷さんの裏で。
 それで、今夜は盆おどりに来たんだ。


 どんな証拠を持ってくるのかと思ったけど、ひとめでわかった。
 隣に座った佐村を、ぼくはちらちら見る。佐村はいつもシャツとショートパンツばっかりだから、スカートなんか見たことがない。浴衣を着ていると、まぶしいぐらいかわいかった。
「佐村……その浴衣が、証拠?」
「うん」
 佐村がこっちを見る。
「あたし、いつも着ないでしょ、こんなの」
「そうだね。おしゃれしたんだ」
「したけど……なんかくやしい」
「なにが」
「砂戸もじゃん」
 佐村が指差した。そう、ぼくも浴衣だった。ぼくは照れくさくてうつむいた。
「これ、お母さんが着ろって言ったから」
「そうなの? でもかっこいいよ」
 なんかいごこち悪い。佐村にほめられるなんて。
 ぼくはからかい半分にしかえしした。
「佐村だって美人じゃん。それ」
「そんなことないよ」
 なぜか佐村は、急に不きげんそうになって向こうをむいた。
「あたしはあんまりかわいくないよ」
「そんなことないけど」
「嘘つかなくていいって。杉本たちがブスって言ってたじゃん」
「あれは逆だって」
 ぼくはあわてて言った。
「あいつらがばかなんだよ。かわいいからかえっていじめるんだよ。吉間だって白院が好きだからかまいたかったんだよ」
「なんで好きなのにいじめるの?」
「男子ってそうだろ」
「変なの。だいたい麻衣美は好きな人いるのに……」
「変じゃないって。佐村もかわいいよ」
「ほんとに?」
 佐村が体をかたむけてぼくの顔を見上げた。学校ではこんな風にほめたことなんてなかったけど、今は周りに聞いてるやつもいないし、佐村もほんとにかわいかったから、自然に言えた。
「ほんとだよ。佐村かわいいよ」
「そう? ……よかった」
 佐村はふっと目を細めて笑った。なんだかすごく不思議に思えた。杉本をけっとばしていた時とは、別人みたいだった。
 ぼくはお尻をずらして、少し近づいた。すると佐村も、同じようにお尻を動かして近寄ってきた。
 肩と肩がさわった。心臓の音が速くなった。今までのは全部じょうだんで、佐村がいきなり笑い出すような気がした。
 でも佐村はなにも言わずに、ぐっと肩を押し付けてきた。だからもう、じょうだんじゃないってわかった。
 佐村のほうから顔を近づけてきた。肩にほっぺたが乗る。
「触るの、ひさしぶりだね……」
「う、うん」
「あたしさ、ずっと触りたかったんだよ」
「そうなの?」
「うん。砂戸と会ってるとき、いつも。春休みのこと思い出しちゃってさ。練習もしたんだよ」
 佐村が耳のそばでささやく。背中がぞくぞくした。学校で男子がエロい話をすると、真っ先に怒ったりどなったりする佐村が、そんなこと考えてたなんて。
「砂戸は? 思わなかった?」
「お、思ったよ」
 言いながら、ぼくは思いきって腕を佐村の肩に回してみた。あったかい体を引き寄せてみる。佐村はさからわずにぼくの胸の上に体を倒して、顔を押し付けてきた。
「わ、砂戸のにおいがする……」
「佐村も……いいにおい」
「お風呂入ってきたから」
「ちょっと汗くさいよ」
「え、やだ」
 頭を離そうとしたけど、つかまえて顔を押しつけた。ほわっとふくらみ気味の佐村の髪を、くしゃくしゃかきまわす。
「でもぼく、このにおい好きなんだ」
「……あたしとおんなじだね」
 佐村はぼくの浴衣の胸もとをかきわけて、すりすりほおずりする。子猫みたいにかわいい。もっと触りたくなって、ぼくは佐村の体をぎゅっと抱きしめた。佐村もおんなじように、ぼくの背中をぎゅっと抱いた。ぽやーっとした声でうれしそうに言う。
「あー、砂戸だあ……やっと触れた。なんかめちゃくちゃうれしい」
「なんか信じられないよ。佐村、ウサギ小屋じゃ怒ったり命令したりして、全然こんな風じゃないのに」
「学校でこんなことできないじゃん。あたしも恥ずかしいけど、今はなんでか止まんないの。ねえ、いいでしょ?」
「いいよ。ぼくもうれしい……」
 歯止めがなくなったみたいに、ぼくたちはぴったり体をおしつけて、くんくんにおいをかぎながら触りあった。
 胸のどきどきが体じゅうに広がる。浴衣の下で、ちんちんがかたくなってきた。佐村の柔らかい体のせいで、どんどんエロい気持ちになる。
 ぼくは手のひらを佐村の胸に当てた。ふにゅっと柔らかくへこむ。三月にはまだかたくて小さかったけど、少しずつ大きくなってるみたいだ。
 佐村が着ているのは薄い浴衣一枚だった。おっぱいの先の乳首までわかる。ぼくは夢中でそこをもみつづけた。佐村が笑うみたいに言った。
「やだァ……砂戸のちかん……」
「い、いや?」
「だってエロいもん……しかえしするよ」
 佐村の手が下に伸びた。ぼくはびくっと腰をひっこめた。
「や、やめろよ」
「えーっ? いいでしょ」
 ちんちんが浴衣を押し上げてる。それを佐村がさわさわなで始める。
「うわっ、かったあ……砂戸もエロいこと考えてるんじゃん」
「やっ、やめ……」
「あたしも触っていいから。ね?」
 立っちゃったちんちんのことを言われるのは死ぬほど恥ずかしかったけど、久しぶりに感じた女の子の手は、やっぱりすごく気持ちよかった。腰の力が抜けそうなくらいジンジンする。
 ぼくは負けずに佐村の浴衣の中に手を入れた。汗でしっとりしたおっぱいをぐにぐに押しつぶす。
 佐村のいたずらのせいで、ちんちんがうずいてしょうがない。もっと強く、もっとやらしく触ってほしい。そう思ってると、佐村が、はあっと熱い息をはいて、言った。
「ね、中で触っていい?」
 ぼくはすぐにうなずいた。
「うん」
「確かめたいの。かたさが合ってたのか」
 合ってるってなんのことかわからなかったけど、ぼくは両足を軽く広げた。それから言った。
「ぼくも触るよ、佐村のあそこ」
「……いいよ」
 ぼくは佐村の浴衣のすそに手を下ろして、中に入れようとした。
 でも、合わせ目が見つからない。暗くて見えないし、すぐ上に帯がかかってる。佐村も同じように苦労していた。
 すると佐村は、いきなり体を離して、背中に手を回した。帯をするするほどいてしまう。
「ど、どうするんだよ」
「前あけちゃおうよ。二人とも浴衣だから、そで抜かなくてもあけれるよ」
「こんなとこで?」
 ぼくたちはお堂越しに向こうをうかがった。鳥居のずっと向こうに広場の明かりが見えるけど、誰も来そうにない。
「……ぬいじゃうか」
「うん」
 ぼくたちは帯をはずした。それから、前をあけて向かい合った。
 しばらく、じっと見つめあってしまった。
 佐村のおっぱいは雪うさぎみたいに白くて、大きさもそれぐらいだった。おなかがすらっと細くて、ろっ骨の下がアーチ型にへこんでいる。パンツはクリーム色で赤いちいさなリボンもようが点々と散らばってる。ふっくらした太ももがもりあがって、合わせ目を隠していた。
 佐村も目を皿みたいにしてぼくを見ている。
「砂戸、色しろーい……食べちゃいたいよ。ここもいたずらっ子なんだから……」
 パンツのふくらみのてっぺんを、ツン、と触られた。ぱっと指をひっこめる。
「あ、濡れてる……」
「う、うるさいな」
「いいってば。それより、出しちゃうよ」
 佐村はパンツの合わせ目に指を突っ込んで、ぼくのちんちんをひっぱりだしてしまった。ぼくは真っ赤になる。
「見るなよ!」
「だって見たいもん。うわー、こんなんなるんだ……」
 佐村がきゅっきゅっとちんちんをにぎる。「うふっ……」と声が出てしまうほど気持ちいい。恥ずかしいのと、佐村のはだかを見たこうふんとで、ぼくはがまんできなくなった。佐村の肩をつかんで、ぐいっと押したおす。
「さ、佐村っ」
「やあん」
 コンクリートに佐村を寝かせて、ぼくはおっぱいにほっぺたをつけた。ふにっとしたふくらみを思いきりぐりぐりしてやる。鼻の上でころころ乳首が転がる。
 それから手も遠慮しなかった。佐村の足の間に指を突っ込んで、パンツの上からぐにぐに押してやった。
 パンツにぺたっとしみができていた。
「佐村も濡れてるじゃん」
「言うなっ!」
「言うなって言っても言う。佐村、おまんこ濡れてる。佐村すごくスケベだ」
「すっ砂戸だってちんちん立ってる! やりたがりだ、ごうかん魔だよ!」
 そんなことを言いながら、佐村は触ってほしいとばかりに足を開いてる。両手は綱引きみたいにぼくのちんちんにぎったまま。くいくいひっぱられるけど、ぼくのつゆでぬるぬる滑ってる。
 佐村のパンツの下にくにゅくにゅしたものがある。あそこのひだだ。ぼくはそれを布ごとつまんだり、押しこんだりした。佐村がはあはああえぐ。
「気持ちいいよぉ砂戸……なか、中から触ってぇ……」
 パンツおなかののゴムを持ち上げて、ぼくは中に手を突っ込んだ。しゃりっとした毛の生えたふくらみの奥、パンツにしっかりおおわれたところで、ぬぷっと指が包まれた。
「佐村、熱い……とろとろだよ。手がべたべたになる」
「言わないでよう……」
「そんなに気持ちいいの? 女子ってみんなこんなに濡れるの?」
「だってあたし、練習したもん。砂戸のために」
「練習?」
 佐村はぐいっとぼくの顔を挟んで、ものすごく恥ずかしそうにぼそぼそ言った。
「いつか砂戸としようと思って、自分でしてみたの。雑誌とか買って勉強して、手で触ったりして」
「……」
「前から布団とか机の角とかに押しつけたら気持ちよかったの。だからできると思った。でもしてみたら、すっごくいいの。砂戸のあれ考えながらすると、頭のてっぺんに電気が来るぐらい気持ちいいの。最近なんか毎日になっちゃって……」
「それで、がまんできなくてぼくに電話したの?」
 佐村はこくりとうなずいて、小さく言った。
「消しゴムがね……」
「消しゴム?」
「消しゴム、ちょうど砂戸のちんちんぐらいのかたさだと思うの。だから、そのおっきなやつを細く切って、先っちょ丸くして入れてみたり……いま確かめたら、やっぱりそのぐらいだった」
「佐村……」
 ぼくはびっくりして佐村の顔を見た。
「そんな変なことまでしたの?」
「変? 変かなあ!」
 佐村は急に不安そうな顔になって、体をちぢめた。
「変……だよね。あたしも消しゴム買うとき、ふっと思ったもん。なんでこんなことやってるんだろうって。普通やらないよねこんなこと。やっぱり変なんだ……」
 佐村は手で顔をおおった。
「でも忘れられなかったの、春休みのあれ。もう一回砂戸とあれしたいって思った。今度は最後まで。ねえ、今の忘れて。あたし変な子じゃないから。もうあんなことしないから」
 そうだ、とぼくは佐村のいつもの顔を思い出した。佐村は優等生だから、こんなことしちゃいけないと思ってるんだ。いけないからよけいしたくなって困ってるんだ。ぼくだって一回だけど、コンビニで万引きしたことがある。
 ぼくは佐村の手をどけて、顔を近づけた。
「……ぼくだって、したかったよ」
「砂戸?」
「ぼくも佐村とやらしいことしたかった。あれ思い出すとちんちんかたくなったよ。お、オナニーだってしたよ。それから、ほんというと、学校で佐村見てて、ちんちん大きくなって困ったこともあったよ。ぼくだってエロいよ」
「……ほんと?」
「ほんとだよ」
「じゃキスして」
 佐村はきらきら目を光らせて、ほっぺたを赤くして言った。ぼくはそのくちびるに強く自分のくちびるを押しつけた。ちゅっちゅっと舌でつっつきあう。佐村の舌はソーダあめの味がした。
 やらしい気持ちもめちゃめちゃ高まっていた。ぼくは佐村のおなかにぴったり体を乗せて、ちんちんをパンツにこすりつけた。佐村が足で腰を浮かせて、自分のあそこを押しつける。
「佐村、したい?」
「うん、したい。砂戸と初体験したい。砂戸もあたしでオナニーしてたんでしょ? 入れたいんでしょ?」
「したいよ。でももっと早く言ってくれればよかったのに」
「だって、それは」
 佐村はくちびるを離すと、今までで一番小さな声で、ささっと言った。
「あたし初潮来ちゃったから」
「……え?」
「秘密だよ絶対!」
「う、うん……」
 初潮って、たしか生理の初めてのやつだ。もう赤ちゃんできるんだ。……そうか、佐村、大人になっちゃったんだ。
「だから、今まで言い出せなかったの」
「それじゃ、できないじゃん」
「ううん、できるって。だいじょうぶになったって言ったでしょ」
 佐村は浴衣のそでをごそごそあさって、小さな四角いものを出した。はにかむような顔でそれを差し出す。
「なにそれ」
「自販機だったけど、これ買う決心するのに、三ヵ月かかったんだから。――コンドーム」
「こ、コンドーム? そんな大人が使うやつ買ったの?」
「そう」
 物も言えないでいるぼくの前で、佐村はそれの袋を破った。
「これなら安心して初体験できるよね」
 ぼくは起きあがって座りこんだ。佐村も体を起こして、ぼくの前でそれを広げる。
 まるいゴムの円盤のようなものが出てきた。
「ええと……どうやってやるんだろ」
 使いかたなんかわからない。佐村はその真ん中の出っぱりをつまんで、ひっぱった。びろびろーっ、とチューブのようなものが伸びる。
 ぼくたちはびっくりした。それは、十五センチぐらいあった。
「ちょっとそれ、大きくない?」
「大人のだもん……砂戸、見せて。つけてあげるから」
「え、いいよ。自分でやるから」
「いいの、つけたいの」
 仕方なくぼくは、手を後ろについて腰をせり出した。なんだかすごく情けない。佐村はおかまいなしにちんちんに顔を近づける。
「どうだ、こうか。このわっかをはめればいいんだよね」
 佐村がゴムをちんちんの先っちょに乗せた。くすぐったい。
「砂戸動かないで。なんか油で滑る」
 佐村が真剣な顔で言う。
 しばらくがんばって、佐村がちんちんにそれをかぶせ終えた。でも、結果はあまりよくなかった。
「……ぶかぶかだね」
「こんなの滑って抜けちゃうよ」
 ゴムのあまりが五センチぐらい先っちょから垂れている。ぼくはため息をついた。
「ぼくがもっと大きければいいのに……」
「ち、違うって。これが大きすぎるんだってば。大人用のだし」
 佐村があわててなぐさめてくれたけど、ぼくはがっかりしたままだった。そうするとちんちんがもっと小さくなって、すぽりとゴムが抜けてしまった。
「大きくないほうがいいよ。あたしもまだ初めてなんだし」
「でもこれじゃできないし……」
「うん……」
 佐村はしばらく考えていたけど、やがて言った。
「決めた。なしでしよ」
「……いいの? 赤ちゃんできちゃうよ」
「砂戸がいく前に外へ出せばいいんだよ。それでも初体験になるでしょ」
「うん……」
 ぼくたちはもう一回顔を見合わせた。
「じゃ、しようか」
 ぼくは佐村をもう一度押し倒した。手であそこに触る。佐村が少し横を見ながら言う。
「一回、指入れてみて。場所とかわかるでしょ」
「いいの?」
「小指でね。それなら消しゴムと同じぐらいだと思う」
 消しゴムと聞いて、またぼくはちょっとこうふんした。――その消しゴムどうしたんだろうとか、よけいなことを考えてしまう。
 ぼくは佐村のパンツを引き下ろした。「なんかはずかし……」と佐村がつぶやく。
 それから指を当ててみた。くにゅくにゅの間をそっと探ってみる。
「ここ?」
「もうちょっと下……」
「じゃ、ここ?」
「あ、そこ。……下のほうからね、ゆっくり……」
 言われたとおり、ぼくは小指をそこに入れてみた。
 やわらかいねんまくがつるっと引っかかる。かまわず押し入れようとすると、佐村がピクッと動いた。
「あ、痛……」
「だめ?」
「ためじゃないと思う。自分のなら入るし……でも今、ちょっと乾いちゃったから……」
 そう言われてみると、佐村のあそこはさっきみたいにびしょびしょじゃなかった。ねっとりしているだけで、ぬるぬる滑るほどじゃない。
「コンドームとかいろいろやってたから、気が散って……」
「もうちょっと濡れない?」
「そ、そんなこと言ったって……どうすれば」
 佐村が困りきった声で言ったから、なんとなく気付いた。
 女子が濡れないって言われるのは、男子が小さいって言われるのと同じようなものなんだ。人に言われたってどうしようもない。
 佐村は泣きそうな顔になっている。それを見てると、ぼくはこれしかないって思った。
「佐村、足持ち上げて」
「え?」
「どっちみち初めてだから、よく濡らさないといけないだろうし」
 そう言って、ぼくはコンクリートの上から地面に降りた。佐村の両足をひっぱって足を開かせる。
「やだ、ちょっと、何するの?」
「いいから」 
 ぼくは、佐村のあそこに顔を近づけた。佐村が反射的に足を閉じる。
「やだよそんな汚いこと!」
「でもこうしなくちゃ無理だよ!」
 ぼくは佐村のひざをつかんでぐぐっと力をこめた。佐村がいやがって閉じようとするけど、無理やり開く。
 それから、あそこに顔を押しつけた。
「す、砂戸、いやだよ!」
 佐村が首を左右にふって泣き声を上げた。ぼくはかまわず、舌を伸ばした。
 汗とチーズみたいな匂いがした。ぼくは自分を勇気付けるためにも聞いた。
「お風呂入ったんだろ」
「入ったけど、そのあとたくさん動いたし! そこだいたい、おしっこ……」
「のところじゃないよ。あそこだけだから……」
 そうだ、ちつのとこだけなめればいいんだ。
 ぐにゅっ、とさしこんだ。
「うあん……」
 佐村が変な声を上げた。
 ぼくはたっぷりだ液を出しながら、舌をひだの間につっこんでいった。佐村の汗とかは最初になめ取ってしまって、だ液でぬりつぶす。そうすると、あまりにおいも味もしなくなった。ただ、柔らかいくにゅくにゅした感じがあるだけ。
「すな……どぉ……それ、変ん……」
 佐村がとぎれとぎれに言って、両手をぼくの頭に当てる。どかそうとしているみたいだったけど、じきに力の向きが変わった。押しつけられる。
「なにこれ……いいよぉ……あったかくて、じんじんして……」
 佐村の太ももがぎゅうっとぼくのほっぺたをしめつけてくる。
「やだ、なんか、なんか外れそう……あたしおかしくなるよう……」
 ぐっと伸ばした舌が、奥まで入った。中でちろちろ動かすと佐村が叫んだ。
「やっ、来たっ! 砂戸ごめん、濡れる、濡れちゃうよ?」
 とろとろおつゆが出てくる。奥から、まわりから。出ちゃってるってことがわかるんだろう。佐村はすごく力をこめてぼくの髪の毛をにぎってる。
 そんな佐村の反応を見てると、ぼくもすごくやらしい気持ちになった。もうどこをなめてるかなんて気にならない。大好きな佐村の体なんだからどこでもいっしょだ。少し上のほうまで舌を上げて、小さなおしっこの穴のまわりとか、ぽつっとふくれた粒――クリトリスまで、ちゅうちゅうしゃぶってやった。
「やあっ、いいっ、すなどっ、それっ!」
 歯を食いしばりながら佐村が叫ぶ。
「手よりずっといいよ! いやだ、どうしよう! こんなの、よすぎるっ!」
 もうだ液を出す必要もないぐらい、佐村はたくさんおつゆを出している。佐村のお尻をにぎったり、すべすべの太ももにほおずりしたりしたけど、ぼくももうがまんできなくなった。このとろとろの穴に入ってみたい。
 顔を離して、体を起こす。
「佐村、入れるよ」
「うん、もういいよ!」
 ぼくは佐村の横に両手を付いた。ぴんと立ったちんちんをあそこに押しつける。
 ぬらぬらのひだの間で、しばらく腰の向きを試した。佐村が手を伸ばしてちんちんをはさむ。
「ここ……そっとね」
「うん」
 ぼくたちはまっすぐおたがいを見つめあった。
 それから力を入れた。
「ん、んんっ……」
 佐村が鼻の頭にしわを寄せる。ひたいに汗が浮き始める。ぼくのまるい先っちょが、せまい穴を押し広げていく。
 一回じゃ無理だ。何度か腰を引いて、くちゅくちゅ濡らした。それからぐっと力をこめると――ぬるっ、となにかを通りすぎた。「あつっ!」と佐村がくちびるをかむ。
「い、痛い?」
「う、ううん」
 佐村がとまどったように目を開けた。
「チクッてしただけ。今はもう痛くない。こんなんなの?」
「練習したからじゃない?」
「砂戸が小さいのかも」
 そう言うと、佐村はひたいの汗をぬぐって笑った。
「うそ。小さくなんかないよ。あたしの入り口、砂戸でいっぱい……」
「うん、すごくきつい」
「まだだよ。奥までちゃんと入れて」
 そう言うと佐村は両手を伸ばした。ぼくは佐村の肩に顔をうずめて、ぎゅっと背中を抱きしめた。
 軽く腰を前後させて奥に押しこんでいく。その間にも、おつゆが出続けているのを感じた。とけそうに濡れた佐村のちつにはさまれながら、ぼくはやっと、根元まで押しこんだ。
「は、入ったよ佐村……」
「うん……これで初体験だね」
 佐村がうれしそうに言った。
「よかったあ……あたしの中に初めて入ってきたのが、砂戸で」
「ぼくもうれしいよ……」
 頭を抱きしめたまま、耳元でささやく。なんだかいろんなことがいっぺんに頭に浮かんだ。
 去年の運動会で徒競争の一等を取った元気な佐村。クリスマス会でマリアの役をやったきれいな佐村。男子がみんな気にしている明るい佐村。プール開きのとき吉間に足をなでられて水に叩き落した、人気者でかわいい佐村。
 この子の処女を、ぼくがもらっちゃったんだ。
 この子のおなかに、ぼくのをつっこんでる。
 うれしさといっしょに、ものすごくやらしい気持ちがわいた。佐村の耳に口を当てて聞いてみる。
「どう? ぼくの」
「熱くって焼きたてのフランクフルトみたい。おなかの奥までぐーって押し広げられてる感じ。……なんて言ったら、色気ないかな」
「佐村のも熱い……」
 ぼくも同じようなきつさを感じていた。佐村のあそこはちんちんを少しのすき間もなくくるんでいる。血が止まりそうなほどきついけど、輪ゴムみたいな細いきつさじゃない。全体がぎゅっと包まれてる。
 手よりもずっと気持ちいい。こすりつけたくてたまらない。
 腰を動かすっていうより先っちょをおしつけるつもりでぐいぐいやったら、佐村がひっと息をのんだ。
「いい、ジンってする。もっとやって」
 ぼくがちつの中をこすり上げると、佐村はどんどん体をかたくしていった。
「あのねあたしね、練習ですごくいきやすくなったの。砂戸のきついから、すぐいっちゃうと思うけど、許してね?」
 うそじゃなかった。ごく弱く動きつづけただけで、佐村はびくびく体をふるわせ始めた。押しこむたびにちつがけいれんする。足と手をぼくの体にぱたつかせて、赤ちゃんのようにぎゅっと抱きつく。あんまりかわいくて、頭がぞくぞくした。
「あっ、あっ、いいっ、いく、いくッ!」
 短くさけんで、佐村がきゅんと体をかたくした。ちつが強くちんちんを締める。まだぼくはいきそうじゃなかったけど、腰がビクッとなってしまった。
「あっ、佐村!」
「んは……」
 とろんとした目で、佐村がのぞきこむ。
「……どうしたの?」
「いま、ちょっと出ちゃったかも」
「いったの?」
「まだいってないけど……」
「じゃあだいじょうぶだって。ねえ砂戸もいきたいでしょ? もっといっぱいしていいよ。あたしだけいっちゃって、悪いもん……」
「佐村……」
 佐村はすごくやさしい目をして言うんだ。ぼくももう止まらなくなって、ぐいぐい腰を動かし始めた。
「佐村っ、佐村っ」
「砂戸、すなどぉ」
 やっているうちに要領がわかる。大きく開いた佐村の足の間に、ぼくはずぶずぶちんちんを突き入れる。持ち上げた足をがくがくさせていた佐村が、それをぼくの腰の後ろに回して、ぎゅっとはさみこんだ。
「佐村っ、そんなことしたら、抜けないよ!」
「だってえ、ぎゅってしたいんだもん! 砂戸に奥まで入れてほしいんだもん! ンンッ!」
 また佐村が目を閉じてふるえた。
「……またいっちゃったよう。もういきっぱなしだよぉ……砂戸もっとやってやめないで」
「ぼくもだよ、またちょっと出ちゃったよ」
「いいよもう、このまましちゃおうよ、気持ちよすぎるよ」
 佐村の目はもう半分しか開いてない。優等生の顔なんかどこにも残ってない。口を開けて犬みたいにはあはあ言ってる。もうやらしいことしか考えてない。
 ぼくも一緒だった。もうなにも考えられなかった。佐村の頭を押さえて、佐村とぺちゃぺちゃキスして、佐村のおっぱいをつかんで、佐村のあそこにちんちんをねじこむことしか頭になかった。
「佐村、好きだよ、佐村かわいいよ! 佐村とくっつきたいよ!」
「あたしも、あたしもぉっ。離さないで、砂戸のにおいつけて!」
「つけるよ、押しつけるよ。佐村とまざってるよ、もうぐちゃぐちゃだよ!」
「いいよまぜて! もう出しちゃってよ、砂戸の精子出してよ! ちょっぴり出たんならもっと出してもいっしょだよ!」
「ぼくも出したい、佐村に出したい! 佐村のおなかにぼくのやらしい汁発射したい!」
「出して、あたしもほしい! 中ぐしょぐしょにしてっ!」
「ああっ、佐村!」
「んくっ!」
 佐村が思いきり両足を閉じて、ぶるぶるっとちつを震わせた。またあの甘いにおいが、ふわっと立ち上った。
 ぼくは佐村のおっぱいをつかんで体を引き寄せながら、体重をかけた腰を佐村のあそこにおしつけて、ありったけの精子を発射していた。
「あっ! あっ! あっ!」
 一回ずつ発射するたびに、佐村が声を上げておなかを波打たせる。何回も何回も、外へあふれだしても、ぼくはちんちんをこすり付けて発射しつづけた。
 そしてだんだん力が抜けて、佐村の上に倒れこんだ。
「はあー……」
 佐村の幸せそうな声がした。
「……すごかったよー、砂戸。奥までばしゃって流れこんできた」
「どこうか?」
「まだ待って。抜いたらこぼれちゃいそう。……もうちょっとたぷたぷしてたい」
 それからしばらくつながったまま、ぼくたちはキスをくりかえした。
 少しするとぼくのちんちんが小さくなって、自然にぬけた。ぼくはあわてて浴衣のそでをそこにあてて、精子で佐村の浴衣が汚れるのをふせいだ。
「いいよ砂戸、自分でするから……」
 少し落ちついたみたいな佐村が、恥ずかしそうに言ってポケットティッシュを出した。そこに当てる。
 それから、そのティッシュを広場のほうの明かりにかざした。
「どうしたの?」
「血が出てる。……やっぱり初めてだと出るんだ」
「だいじょうぶ?」
「痛くなかったからそんなには……って、やだ、見るな!」
 佐村があわててティッシュを隠す。なんとなく下を見たぼくは、佐村のあそこの様子に気付いた。
「佐村、まだ出てるよ」
「だから見ないでってば!」
 にらみつけられてぼくは後ろを向いた。佐村はしゅっしゅっと何枚もティッシュを出してたみたいだけど、そのうちにさけんだ。
「やだ、なんでこんなに……あっ!」
「なに」
「生理かも……そういえばそろそろだ」
「今のがひきがねになっちゃったとか?」
「そうかもしんない。砂戸、よかったね」
「え?」
 ふりむくと、佐村がいたずらっぽく笑ってた。
「まだパパにならなくてすむよ」
「あ、そっか……」
 そうだ、勢いで出しちゃったから……運がよかったんだな。
「次から気をつけないとなあ」
「できる? 今のすごくよかったじゃん」
「うーん……自信ない」
 首をひねると、佐村もまじめくさって言った。
「あたしもない。やばいね」
 それから、二人で笑った。


 浴衣の着つけも、佐村は優等生だった。
「どう? 変じゃない?」
 帯をしっかり巻いてくるりと回る。かわいいなあ、とぼくはまた思った。いつもの凶暴な佐村しか見たことのないほかのやつらに見せてやりたい。
 ――ううん、逆だ。こういう佐村は、ぼくだけのなんだから。
「砂戸も着がえ終わった?」
「うん、行こうか」
「まだ誰かいるかな」
「だいじょうぶでしょ。もうおどりも終わったみたいだし」
「うちまで送るよ」
「ほんと? やった」
 佐村はぼくの腕に飛びついた。ここに来た時はよそよそしかったけど、もうそんなこともない。なんたって、ぼくたちはしちゃったんだから。
 お堂を回って鳥居道に入る。
 そこで、びっくりした。
 少し離れて並んだ、ぼくたちと同じぐらいの男子と女子。
「石川島?」
「砂戸? それに佐村じゃん!」
 石川島はめいっぱいあわてた顔で言った。
「なにしてたんだよ、こんなとこで!」
「そ、そっちこそなにしてるんだよ!」
 ぼくはとっさに言い返した。
「なんで石川島が白院といっしょになんだよ!」
 そう。石川島の隣にいるのは、お嬢様の白院麻衣美だった。ぼくたちを見て口もきけないぐらい驚いてる。
 石川島がむにゃむにゃ言った。
「それはその……おどりのあとで白院がまた吉間にいじめられてて、それを助けただけで」
「それでなんでこっち来るんだよ」
「待って」
 佐村が小さな声でささやいた。
「麻衣美が好きなの、石川島なの」
「……そうなの? それじゃ」
「うん。じゃましないであげて」
 ぼくと佐村は、わきにどいた。
「行けよ」
「あ、うん……」
 二人はうつむいてぼくたちの前をすぎる。その時、ぼくたち四人の間に、なんとなくわかったようなふんいきが流れた。
 ちらりとこちらを見た石川島に、ぼくは言った。
「言わないよ、誰にも」
「……サンキュ。おれも言わない」
 二人がお堂のほうに行くと、ぼくたちは歩き出した。
「麻衣美、すごい勇気出して誘ったんだろうな。ふられなきゃいいけど」
「ふられないと思うよ。石川島も、白院のこと気になってたみたいだし」
 ぼくは、ケンカを見た時のことを話した。佐村は感心したみたいだった。
「へえ、石川島が助けようとしたんだ」
「うん。だからたぶん両思いだよ」
「うまく行くといいね」
 それから声をひそめて言った。
「後輩ができるとうれしいしね」
「ばか」
 ぼくは佐村の肩を軽くたたいた。
「まだぼくたち、人に教えるほど知らないよ」
「あ、そうか」
 佐村はぺろっと舌を出した。
「じゃあまた練習だね」
「う、うん」
 ぼくたちは、同じいたずらをしたみたいな笑いをかわした。
 それからいっしょに言った。
「今度はどこでする……?」


―― 了 ――



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