C.L.S.IV-1、C.L.S.IV-2、C.L.S.II-1の三体による 第15258戦域防衛拠点受襲時における 戦域要撃飛行隊クライベイビー・ブレッシド (15258thWAB_32ndSQDN_squawk3201-3218,3203D) の緊急要撃記録 作 戦 参 加 機 体
・C.L.S.三体の感知識別同定と同時に、第三十二飛行隊クライベイビー・ブレッシドの3201から3218は迎撃変態を開始。欠番は3203カオリ、3215ヤヨイ。ただし3215は即時補われた。飛行隊内及び地上要撃管制とのデータリンクを確立、全機体の武装と機関に異常なし。 ・C.L.S.三体は高度千でWAB上空に侵入、うちC.L.S.II-1が五トン級スプラッシャーを投下。民間人死者六十九、負傷二百五十九。第三十二飛行隊に損害はなし。 ・C.L.S.三体のローパス後、第三十二飛行隊は作戦行動を開始。 指揮機3208チナリの配下で、長距離支援機の3201アイラ、3205サキ、3207チエ、3214ミヤ、3215エリコ、斥候機3206サクラコ、及び遊撃機3218レイカが急速上昇、上空展開。八十ミリ速射砲による誘導砲撃を開始。市街地への流弾による民間人死者五。 ・緩旋回中だったC.L.S.三体のうち、格闘型C.L.S.IV-1、C.L.S.IV-2が反応。八十ノットから二百ノットに増速、3208以下八機に対して、爆散衝角弾による散発砲撃。遊撃の3218レイカが膜状アブソーバ展開、衝角弾を無効化、同時にC.L.S.IV-2を包囲して一時的に盲目化。C.L.S.IV-2は百五十ノットで市街地に不時着、民間人死者十二。 ・C.L.S.IV-1への一点集中攻撃。3208らは砲口径を拡張、上空3206サクラコの弾道計算に従い、百ミリAPDSにて二キロの距離から、C.L.S.IV-1の単眼中心の直径二ミリの水晶体を狙撃。六十二発目が命中、水晶体破壊。C.L.S.IV-1は自爆シーケンス作動。 ・市街地から駆逐するための誘導砲撃を行う直前、六キロ離れたC.L.S.II-1から攻撃精子約三千七百万体が飛来。3208らはC.L.S.IV-1への誘導砲撃を断念、砲種をナパームブロワーに変更、火炎放射にて攻撃精子を焼却。 ・C.L.S.IV-1、河川敷上空にて自爆。爆散衝角弾は大部分が無人地帯に着弾。民間人死者十五。 ・C.L.S.IV-2、アブソーバを破壊して再離陸。この際3218レイカが接触、右主翼及び上腕破損。機能停止百三十秒後、自力で再始動。 ・C.L.S.IV-2、索敵後3208らを発見。増速六百ノットにて無砲撃接近。3208らは火炎放射中につき、有効兵装なし。 ・3208から四百メートルの地点で、高速接近するC.L.S.IV-2に向かって、低空迂回していた別働隊がビル陰の地上から垂直砲撃。奇襲成功、C.L.S.IV-2の爆散衝角の約三十パーセントを破壊。C.L.S.IV-2は損傷を受けて反転、退避三キロ。 ・別働隊が上昇、追撃。構成は3202アカネ、3209ツキエ、3211ナミカ、3212ハルミ、3213ミノリ、3216ユカリ、3217リクの要撃機七機。上空二万四千に滞空する斥候機3210ナギサがGCIとの中継を確保。指揮は3204クミ副指揮機。 ・C.L.S.IV-2は退避しながら爆散衝角を成長組織ごと自切。活動状態を維持したままの衝角は空中で超急速適応、飛行能力を会得。計二十六体が3204クミらとドッグファイトを開始。3211ナミカが接触し墜落、胸郭及び骨盤破損。機能停止五百四十秒、自力で再始動。ただし、激突した都市高速橋脚の残骸から抜け出すのにさらに百五秒。 飛行衝角に対し、3204らは固体ロケットモータの増数と副翼展開で対処。最大三十五Gの高機動で回避しつつ、二十ミリ機関砲にて飛行衝角の体皮を切削破壊。三分四十二秒後、二十六体全体撃墜。消費弾数五十八万四千二百十五発、跳弾・流弾による民間人死者三十四。都市ガスタンク炎上一基。 ・C.L.S.IV-2本体は逃走を開始。高速飛行形態に回帰、千三百ノットに増速。3204らはスクラムジェットブースターを形成、超音速飛行。追跡八分後、高度八万二千にて再捕捉。反動兵器を使用すると姿勢維持が不可能になる高度だったため、X線レーザービーマを形成。C.L.S.IV-2の単眼を焼却、自由落下後に自爆させた。高出力レーザーの発振熱により3202と3216が十秒から三十秒間、機能停止。他の機体も外観に著しい欠損を生じた。 後、三百十五キロ離れたWABへ全力帰投。 ・3204クミらがC.L.S.IV-2を追撃する間、3208チナリらは残るC.L.S.II-1に阻止砲撃を敢行。C.L.S.IVの三倍の体長を持つC.L.S.IIは、支援機による長距離砲撃では撃墜できない。C.L.S.II-1は旋回しながら二度体節を投下。民間人死者五百六十八。 ・十分二秒後、3204クミらが帰還。全十七機にてリフォーメーション。鎌形に展開、前衛に要撃機七機、後衛に支援機五機が配置。側方移動しつつ総力攻撃。支援機は百ミリHEATと六十六ミリ高運動ミサイル全発同時発射。要撃隊は主翼のプラズマガスバーナを点火して波状突撃。 ・C.L.S.II-1、部隊に向けて体節を投射。要撃隊は回避、迂回後にC.L.S.II-1第一から第八肢翼に接触攻撃。第二、三、八肢翼の切断に成功。ただしこの時、後方の支援機らは体節回避のためポジションを失っている。 ・C.L.S.II-1、その時点での最終体節を、自切しないままスプラッシュ。支援機からの情報がなく、3204と要撃七機は予測していなかった。反射行動を起こし、翼面を機体に巻き付かせて防御、散弾に耐え切る。が、飛行能力を喪失。 自由落下する八機に、C.L.S.II-1、残った肢翼による打撃攻撃。衝撃加速度四万二千G超。3209と3217が機能停止十八秒、幼稚園園舎に墜落、民間人死者四。 ・支援機3215エリコ突出。要撃機らの防御のため機能外の膜状アブソーバを生成しようとし、変態器官のジャミングを誘発、操舵能力喪失。C.L.S.II-1から二百メートルの距離で無回避直線飛行。 ・C.L.S.II-1、攻撃精子射精。約二万五千体。 ・指揮機3208チナリ、ロケットモータ全点火。3215の防御ポジションに入ってナパームブロワー発射。回頭間に合わず、攻撃精子被弾。二万四千体焼却、残千体を吸収。 3202アカネ他要撃五機、主翼バーナを最大出力で加熱して接触攻撃、衝撃で全機主翼脱落、墜落。続いて支援四機、百ミリAPDSを限界初速で斉射、反動で全機墜落。 C.L.S.II-1、頭部を切開された瞬間に内部水晶核にAPDSを被弾。即死、墜落。残八体節がスプラッシュ、直下より半径三百メートル内の人工物は全損。ターミナル駅、デパート等の崩壊により、民間人死者七千二百五十一。 ・3215エリコ、3208チナリを空中回収。が、3208は攻撃精子によって著しく娠蝕され、回復不能。3215、行動放棄。 ・3204クミが合流。3208、指揮権を3204に委譲後、自決宣言。 3204、C.L.S.II-1の繁殖防止のため、主翼バーナにて3208を切断、同時に焼却。 ・以上で第三十二飛行隊クライベイビー・ブレッシドの作戦行動は終了。戦果三。 ・第三十二飛行隊は小破十六機、全損一機。 ・敵戦略目標は第三十二飛行隊そのものと推察される。よって作戦戦果判定は中勝。 ・全軍戦況に対する戦略的利得度は千分の四。 |