霧の森のぼくたち
夜露のにおいのする、ひんやりした風で目をさました。
窓ぎわの真っ白な広いシーツの上で、四人の女の子がすやすや眠っていた。
薄茶のショートヘアで手足のすらっとしたユウさん。長い髪にリボンをいっぱいつけた、お嬢さまみたいなアキちゃん。バセット犬の耳みたいに左右で結んでる、甘えんぼのサトちゃん。金髪でおひさまみたいに明るくて、昨日いろいろ教えてくれたユキちゃん。
そして、かわいいリボンでちょこちょこ何ヵ所もしばってみたけど、まだ髪が伸びていなくてちょっと苦しい、ぼく。――頭にさわってみたら、やっぱり二、三本とれちゃったみたいだった。
みんなおそろいで、レースのふち取りのついた白いさらさらのワンピースを着て、おでこをくっつけたり、おなかにすりよったりしながら、体を少しまるめて眠っている。ワンピースはノースリーブで、すそもそんなに長くないけれど、みんな心の中でだらしなくならないように気をつけているみたいで、手と手を重ねて、足をそろえて、ごくおとなしいかっこうをしているのが、とてもかわいらしかった。
「う……んん……」
ユキちゃんが寝がえりを打つ。二つのひざがむきを変えるときに、すべすべした太ももが上のほうまで見えた。広いシーツは一晩でだいぶくしゃくしゃになってしまい、みんなの汗のあまい匂いがしている。その匂いはくわしく言うとハーブみたいにあまさの中に少しだけツンとしたところがあって、かいでいるとふしぎに体が熱くなってくる。
窓の外のミルクみたいな霧が、あわい金色に光ってきた。もう少ししたら日が昇って霧が晴れて、その向こうのシラカバの林と湖が見えるとおもう。
けれどもぼくは、そんな高原の景色に見入るよりも、さらさらのうすい布に包まれた、ユキちゃんの姿に気をとられていた。
ユキちゃんのつるりとしたほっぺた、やわらかそうな白い二のうで、おしりのきれいな丸さとか、両足の間の青白い暗さ。
「ユキちゃん……」
そういうことをしたくなったら、いつでもしていいんだよ、って昨日教えてもらった。
だからぼくはユキちゃんに近づいて、かわいさをもらい始めた。
ほっぺに何度も、くちびるを押し付けるだけのキス。ほおずりしてから、小さめのりんごみたいな肩に下りて、それからうで。内がわのやわらかいお肉を歯を立てないように噛む。そうしたら胸がどきどきし始めたから、つい、脇のくぼみに長々とキスをした。
そっと抱きついたまま、木をすべり下りるみたいにユキちゃんの下半身へ移った。寝ている子のスカートをめくって好きなことをするなんて、本当ならいけないに決まっている。どきどきが強くなった。
フリルのついたすそをちょっとだけめくって、顔をすべりこませた。
「ふ……あぁ……」
ユキちゃんの鼻声を聞きながら、ぼくは太ももの上に何度も顔をすべらせた。今までスカートをかぶっていたそこは、外の霧がしみこんだみたいにしっとり湿っている。でも霧とちがってその湿り気はあたたかく、いい匂いがする。舌でそうっとなめたら、ユキちゃんの髪とおなじ味がした。
スカートのいちばんおくへ顔を進めながら、ぼくは犬みたいにすんすん鼻を鳴らしてしまう。レースの細いパンツは、やわらかな洋菓子が入っているみたいにふくらんでいる。そうっと鼻を当てるとやっぱりやわらかい。何かの実を厚い生地でくるんだお菓子そっくりの、ふわふわして、ころころした感じがする。
ぼくはそこを、レース越しにゆっくりゆっくりかいで回る。一晩眠ったユキちゃんのそこは、あまさとしょっぱさの混じったとても濃い匂いがする。
そんな風にふにふにとこね回していると、ぼくのパンツもきつくてたまらなくなってきた。ぼくはワンピースの上から、そこを手のひらでもぞもぞとなで回す。
「ナッちゃん、したいの……?」
からかうような声が聞こえて、ぼくはスカートの中でびくっとふるえる。ほっぺたの下で、やわらかかったものが急にひくひくとかたくまっすぐになる。ぼくはそうなったものも、嫌いじゃない。でもふわふわのままでもよかった。
「おちんちん、ちゅうしてあげよっか……?」
「……んむ」
ほっぺたの下の、ユキちゃんのそれにうなずいてから、ぼくは向きを変えた。ユキちゃんがぼくのスカートの中に来て、こちこちにそり固まっちゃったものを取り出した。楽しそうにくいっと動く指に、ぼくは電気を感じた。
「ふぁむっ……!」
「いただきまぁす……」
ぼくはユキちゃんの口の湿った感じといたずらな舌にうっとりしながら、ユキちゃんのすっかりかたくなったおちんちんとふわふわの袋を、ていねいに時間をかけてなめ回した。ユキちゃんはもう先のつるつるが顔を出していて、それを何度もくちびるにくぐらせるのはとてもさわり心地がよかった。棒のところも根元のところも、なめればなめるほど熱く、こりこりしてきた。ユキちゃんがどんどん気持ちよくなっているのがわかって、かわいかった。
そのうち、ユキちゃんのそれが、もうこれ以上背伸びできないぐらい大きくなって、びくびくふるえはじめた。ぼくの根元もぱんぱんにふくらんで苦しくなってきた。だから、口をはなして短い声でたしかめた。
「ユキちゃん、もう無理。いっていい……?」
「ん、いいよ。ナッちゃんにもいっぱいあげる……」
それを聞くとぼくはユキちゃんのを口いっぱいに飲みこんでくすぐりながら、足をぴんと伸ばして自分のをつき出して、思いきり飛び出させた。
「ふぅん、んぅ、んうぅ……!」
あたたかくてやさしいユキちゃんの口にたくさんたくさんミルクを流しこんで、ぼくは音も聞こえないぐらい気持ちよくなる。ぼくの口の中にゆきちゃんがたくさんたくさんミルクを流しこんできて、ぼくはのどのおくまでいっぱいになる。
そのときぼくはユキちゃんをぎゅーっと抱きしめて、抱きしめられて、どこにも切れ目のないひとつの輪になったような気分になって、とてもしあわせになった。
出せるだけ出してしまうと、顔をはなしてスカートから出た。待っているのはほかの三人のおもしろそうな顔。ユウさんとアキちゃんとサトちゃんの前で、ユキちゃんがぼくの肩をぐいっとだき寄せて、ほっぺた同士、こすりつける。
「どうだった……?」
うらやましそうに近づいてきた三人のくちびるに、ぼくとユキちゃんは並んでキスをする。口にたまったたくさんのトロトロを、代わりばんこにあげたりもらったりする。
風がやんで、部屋の中はこいミルクの匂いでいっぱいになる。いつの間にか日が昇って外は明るい。
朝ごはんのごちそうさまを言うかいわないかのうちに、おさんぽ行きたいです、とサトちゃんが腕をつかんだ。
ぼくたちは二人で外に出た。別荘の裏は小さな池で、そのまわりを小道が一周している。白くて細い木が茂っているけど蚊はほとんどいない。
ひんやり湿った空気の中を、ぼくたちは歩いていった。
「えへへ……ナッちゃん」
最初のカーブを過ぎて別荘が木々の向こうに消えると、サトちゃんがぼくの左腕にしがみついた。ほっぺたを腕にすりつけてくる。足がからんでサンダルが脱げそうになった。
「こら、サトちゃん」
「だって、したいんです」
つるつるのほっぺたの感触が、ちろっ、とぬれた硬さに変わって、ぼくはウサギみたいに身をすくめる。ちろっ、ちろっととがった舌をぼくの腕に押し当てて、サトちゃんがふにゃふにゃした声で言った。
「ナッちゃん、いいですか……?」
瞳がとろんとして目もとがお風呂上りみたいに赤い。ねえ、いい? ねえ、と聞きながらぐいぐい体を押しつけてくる。ぼくは後ずさりするけれど、木に背中が当たってそれ以上さがれなくなる。「ナッちゃぁん」とサトちゃんが抱きついた。
「ナッちゃん、ね? ね?」
ぼくの目の高さで、サトちゃんのつむじの周りの髪がつやつや光る。そこは焼いたはちみつパンみたいな匂いがする。サトちゃんはぼくの首筋に斜めにかっぷり噛みついて、吸血鬼みたいにちゅうちゅう音を立てて吸っている。血じゃなくて、ぼくの味を。そうしながら、体ぜんぶをぼくに押し付けて、何かを伝えたがってるみたいにもじもじ元気に動かす。
そういうことをしたくなったら、いつでもしていい。でも、したがってる子がいたら、させてあげなきゃいけない。
ここは、そういうルール。
ぼくの腰の骨に、元気なサトちゃんのものがコリコリ当たる。
「ねえ、こっちさわっていいですか?」
サトちゃんが、ぼくの背中とおしりの境目ぐらいのところに、両手を軽く当てた。
ぼくは返事の代わりにサトちゃんの耳に唇を当てて、やわらかい食べ物みたいにぢゅるっと吸いこんだ。
「んむんんっ」
サトちゃんがバセット犬みたいな髪のふさを、ぞぞっ、と震わせた。あれがびくびく動いた。その後すぐ、「ナッちゃあん」と恥ずかしいほどいやらしい声でささやきながら、そわりとお尻を包んできた。
もむ、もむ、つかむ、こね回す。すごくせっかちに指が動く。まるで制限時間が決まってるみたいに。
そんなことないのに。ぼくはもう、サトちゃんの気持ちがわかってどきどきしてるのに。
サトちゃんはぼくに興奮しきってる。ぼくがユキちゃんをほしくてたまらなくなったみたいに、ぼくにエッチなことをしたくて頭がいっぱいになってる。手つきも目つきも呼吸も、全部が怖いぐらいぼくに向けられて強まってる。
ぼくの姿に、体に。
サトちゃんの手がぼくのスカートをたくし上げてお尻にべったりさわって、お菓子の生地をこねるみたいに指でつまむ。ナッちゃんのおしり、ナッちゃんのぱんつ、と口の中でぶつぶつひとり言を言ってる。ぼくの首にかぷかぷ噛み付いてなめてるけど、それは多分意味があるわけじゃなくて、単に細くておいしそうだから。サトちゃんがいま考えてるのは、ぼくのお尻の手ざわりと、自分のあれのことだけ。
爪先立ちになるぐらい腰をせり出して、ワンピースの中のこりこりをぼくに押し付けてる。
小さなサトちゃんが、ぼくのお尻をスポンジか何かみたいにぎゅうっとつかみながら、甲高くてかすれた声で言う。
「はやっ、早くこっち向けて。サト、ミルクこぼれちゃう」
「ぬるぬる、持ってる?」
「早く、早くぅ」
サトちゃんはユウさんにもらったぬるぬるの小瓶を忘れちゃってた。ってより、持ってても使う余裕がないぐらい頭がいっぱいみたいだった。
だから自分ですることにした。ぼくはポケットから小瓶を出して、てろっとした透明の蜜を指先に乗せて、そっとお尻に回した。一秒もがまんできないみたいにもみまくってるサトちゃんの手を避けて、うまくパンツの隙間からお尻に当てた。
指が少し入るぐらいまで塗りこんだ。──自分の指なのに気持ちよくて、おちんちんが何度かびくびくはねた。
それがすむと、苦労してサトちゃんを押しはなして、笑いかけてあげた。
「サトちゃん」
「早くっ」
「うん、サトちゃん。いいよ」
後ろを向いた。とたんにサトちゃんが乱暴な手つきで裾をはね上げて、パンツをくるっと下ろした。あっという間にお尻を裸にされて、ぼくは真っ赤になった。
ふっとサトちゃんが息を止めて、言った。
「ナッちゃんのおしり、見ちゃった……」
胸の中をつかまれたみたいにきゅーっと苦しくなった。サトちゃんに入られちゃうって考えると、おちんちんが石みたいにふくらんで根元が痛くなった。
つむっ、と頭に感触がひびいた。サトちゃんの指だった。つむつむえぐりながら入ってくる爪のついた指が、頭の骨の裏側をひっかかれてるみたいにカリカリひびいた。「くぅんっ」と変な声が勝手に出た。
「ぬとぬとだぁ……」
嬉しそうな声の後で、つぽっと指が抜けた。ぼくは、そこがちょっぴり開いちゃってるのを感じたまま、なんにも見ずにそこのことだけ考えて待った。
ぬぐぬぐぅっ、とひねるみたいに入ってきたものが、ぼくの脳の中に突き刺さった。
「はひゃぁんっ!」
そんなふうに感じちゃうぐらい、サトちゃんのおちんちんはぼくにはっきり食い込んできた。ずりゅ、ずりゅっ、と通り過ぎるおちんちんの形がものすごくよくわかる。先っぽがつるつるして、根元まできゅーんとまっすぐ勃起しちゃってるサトちゃんのかわいいのが、ぼくの尾てい骨の裏側をくすぐる。コリコリッ、と骨にあたる音まで聞こえるような気がする。
それに。
「ナ……ッ……ちゃーん……」
お尻に力いっぱい爪を立てたサトちゃんが、細い声で切れ切れに言う。ただでも硬かったおちんちんに、じゅうううっと元気が詰め込まれてもっとガチガチに硬くなる。たぶんサトちゃんは上のほうを見て必死に気を散らせようとしてるけど、ぜんぜん効いてない。気持ちよさに呑みこまれて、頭の中がおちんちん一色になってる。耳元でわめいても気づかないかもしれない。
「おしり……きも、ちぃ……です……」
ぬぶゅっ、と少しだけサトちゃんは動かした。
その途端にぼくの中で、びゅばぁっ! と硬いものが爆発した。「ほふぁ」とサトちゃんが変な力のない声を出した。水道管がこわれたみたいなそれが、サトちゃんの射精だった。びゅっ、びゅっ、びゅるるるぅ、とサトちゃんはぶるぶる震えながら、お漏らしみたいに際限なくミルクを流しこんできた。
「やはぁぁっ!」
かえってぼくのほうが大きな声を出した。ぼくのいちばんキモチいいお尻の中、おちんちんの根元で、サトちゃんが暴れまくりながらえっちな熱いミルクをまき散らしてた。ぼくの頭の中もそのこと一色になって、ふき出す熱いミルクを思い切り受け止めたくて、お尻をくいくい突き上げてサトちゃんを受け止めた。
「ふぁっ、ふぁっ、ふぁー……♪」
おなかにみっちりミルクを詰め込んでから、最後にかくかくっ、と機械みたいに中をえぐって、サトちゃんはゆるゆる出ていった。つぽっと音を立てて離れると、こてんと腰を抜かして、何度も深呼吸した。
「はぁ……」
ぼくも木の幹につかまったまま一歩も動けなかった。あと一歩のところでぼくのミルクは出なかったけど、暴れられたお尻の中にとっぷりと熱い塊があって、とろとろ動いてる感じがした。
熱が引かないみたいだった。ぼくのおちんちんはまだこちこちで、おなか側は漏れたおつゆでてろてろになってる。口に出して頼むのは恥ずかしかったけど、服を着たい気分じゃなかった。木に抱きついたまま、ぼくはお尻をサトちゃんに向けて待っていた。
でもサトちゃんは、一度のえっちですっかり満足しちゃったみたいだった。パンツを引き上げて立ち上がり、ぼくの気持ちなんか知らずにほがらかに言った。
「ああ、すっきりしたぁ。サト、橋見にいきたいです。ほら、お魚!」
「ん……」
ぼくは熱っぽいほっぺのまま、パンツを上げて裾を下ろした。
歩き出してもしばらくは、先っぽがパンツにこすれて痛かった。
「でね、それっきりなんにもしてくれなかったんですよ、サトちゃん」
「そう」
お昼前。食パンを袋から出しながら、ぼくは言う。
相手はアキちゃん。調理台で野菜を切っている。
「葉っぱでお魚を釣ろうとしたり、小石で水切りしたりするばっかり」
「そう」
「ぼくだって気持ちよくなりたかったのに」
「そう」
「ひどいと思いません?」
隣を細いものがふわりと通った。アキちゃんが冷蔵庫を開けてのぞきこんだ。白ワンピからのぞく小さな肩に、ぼくは少し見とれた。五人の中でいちばん色が白い。
ふりむいたアキちゃんが、透けて見えるぐらいさらさらの髪をかきあげて言った。
「どうして?」
「どうしてって……」
アキちゃんが卵を持って隣を通る。ミントみたいな冷たい匂いが残る。ガスコンロの、しゅんしゅん沸いてるお湯に、一こずつコトコトと卵を落して、タイマーをかけた。
「沸騰してから十五分、と」
「どうしてって」
ぼくは少し力を入れて言った。
「なにかをしてもらったら、お礼をするのが当たり前じゃないですか」
「ルール、聞いてない?」
「聞きましたけど!」
「何をしてもいいの」
「でもそれってギブ・アンド・テイクでしょう?」
アキちゃんは、切った野菜の入ったざるを、流しで勢いよく振った。細い手首がしなって、ざっ、と水が飛びちった。
ざるを置いて、アキちゃんはふりむいた。
「テイクだけかな。パンは?」
「あ、はい」
ぼくはパンを乗せたお皿をさしだした。
アキちゃんがスカートの前を持ち上げて、おちんちんを見せていた。
「え……えっ!?」
「しゃぶって、ナッちゃん」
「しゃ、しゃぶってって……」
ぼくはパンとアキちゃんをおろおろと見くらべる。アキちゃんのおちんちんは白い。白いそれが頭をもたげ始める。びくん、びくんって、いななくみたいに揺れながら、皮を引きのばして大きくなる。血の色が透けて赤くなる。白かったのは皮だけだ。
アキちゃんは調理台にもたれる。白いほっぺたが、おちんちんと同じように赤くなる。細い髪を後ろにバサッと振り飛ばして、細い首を傾けて、おちんちんを立てたアキちゃんが繰り返す。
「しゃぶって」
「でも、お昼ごはん……」
「ルールだってば。誰かに言われたら、しなくちゃいけないの」
ぼくはごくっとつばを飲んだ。ルールなら、しょうがない。
ひざまずいて口を開けると、赤いほっぺのアキちゃんが頭をぽんと叩いた。
「あわてないで。目をつぶって、上を向いて」
「う、うん……ひゃっ!」
目を閉じたとたん、ぺたり、とほっぺになにかが当たった。何かって、おちんちんに決まってる。アキちゃんのそり返ったおちんちん。熱くてコリコリした細いしっぽ。
ツン、としょっぱい匂いが鼻につく。こんなきれいなアキちゃんでも、おちんちんは匂うんだ──そんな風に思ったら、なんだか背中がゾクッとして、ぼくのおちんちんもむずむずしてきた。
「はぁ……」
アキちゃんはサトちゃんみたいに声を漏らさない。その代わりにぼくの頭を両手でつかんで、おちんちんをこすりつける。鼻の左右に、両目の間に、おでこに、ほっぺに、髪の付け根に。アキちゃんの汗が、アキちゃんの匂いがすりこまれていく。
「あ、アキちゃん、なんか、匂いがついちゃいます……」
「わかる? わかる?」
震えるような声がして、ぴくぴくっとおちんちんがかたくなった。
「ね、小さな声で、『ふ』って言ってぇ……」
「ふ?」
ふ、の形に少しだけ突き出した唇に、ちゅむっ、と丸いつやつやしたものが当てられた。どきんとぼくの心臓がはねる。先っぽだ。アキちゃんのおちんちんの先っぽだ。
「噛まないでね」
ぬぷぬぷぬぷぅって……すごくゆっくり入れられた。腰を震わせたアキちゃんのおちんちん。匂いだけじゃすまなくなる。ねっとりした味と熱さが舌にしみた。
なめてあげよう。そう思って舌をねろねろ動かしたら、「ちがうの」と軽く髪をひっぱられた。
「動かなくていいの。そっと当てるだけで。じっとしててね、倒れないでね」
「ひぃの……?」
「お人形さんになってほしいの……」
自分は動かないまま、アキちゃんがぼくの頭を動かし始めた。ゆっくり、ゆっくり、前後に揺さぶる。ぬぷっ、ぬぷっ、とぼくのお口が自然に音を立てた。ほっぺたに、口の中の天井に、切れ込みのある先っぽが当たった。
「鼻で息できる?」
「んふぅ……」
「できるのね。じゃあ、遠慮なく」
ぎゅうっ、とぼくの頭は、鼻が食い込むぐらいアキちゃんのあそこに押し付けられた。
その分、おちんちんが奥まで来た。
「んぐぅぅ……」
丸い先っぽがのどをふさぐ。ぼくはちっそく寸前で、ふすふす鼻息をもらす。
苦しくて目を開けたら、アキちゃんと目があった。
「ナッちゃん……」
泣いてるみたいに目をうるませて、黒い瞳をまんまるにして、アキちゃんがぼくを見つめていた。白い歯をかちかち鳴らしてアキちゃんが言った。
「わ、私、ナッちゃんに、おちんちん突っこんでるぅ……」
おちんちんの根元がびくびくっと震えたかと思うと、アキちゃんが「くぅ♪」と可愛くのけぞった。
射精、したんだと思う。ぶるるぅっ、ぶるるぅっ、てバイブみたいにおちんちんが震えたから。きっと、すごくたくさんのミルクが通っていったんだと思う。
でも、ぼくにわかったのは、のどの奥になにか熱いものが入ってきたことだけ。
ねっとりしたものが、たっぷりと。
「はく、はくぅ、あぐぅ……」
出すだけ出してぎゅーっとのけぞると、アキちゃんはそのまま動きを止めた。上を向いたまま目を合わせずに、おちんちんだけを小さくした。
とくん、とくん、とくん。コリコリしてたものが元のぷにぷにに戻ると、ぼくの頭をぐいっと押しのけた。きゅぽっとおちんちんが抜けて──スカートを下ろしたアキちゃんが、ちょっとお澄ましした顔で、息をついていた。
立ち上がったぼくと、目を合わせる。ほっぺがほんのちょっと赤い。食べちゃいたいぐらい色っぽい。ぼくのおちんちんもスカートの下でコチコチになってる。ぼくだってさせてほしいって思った。
でも、そうはいかなかった。
「アキちゃん、ナッちゃん、お昼まだ?」
ユキちゃんとサトちゃんが入ってきたから。
「もう少しよ。ナッちゃん、マヨネーズ取って」
サンドイッチを作りながらアキちゃんが目配せする。ぼくは赤くなってむこうを向いた。
午後はお出かけ、ハイキング。おやつを持って、帽子をかぶって、尾根の向こうまでみんなで歩いた。草地があって、馬がいて、持っていったキャベツをあげた。
帰りは夕方。茜色の坂を降りてきて、金色のススキの中の別荘に戻った。晩ごはんはシチューだった。ユウさんとユキちゃんが作って、みんなで食べた。
食べ終わると、ユウさんが言った。
「アキ、ユキ、サト。先にお風呂に入って」
「えーっ、みんなで入るんじゃないんですか?」
声を上げたのはサトちゃんだけど、ユウさんは切れ長の目をすっと細めて、にらみつけた。
「いいから」
「……う、うん」
サトちゃんは口を閉じて、下を向いちゃった。
ユウさんはあんまりわがままを言わない。だけど、たまに何か言う時は誰も逆らえない。なんでかそういう迫力がある。
そういうわけで、三人が先にお風呂に行った。ぼくはどきどきしながら待っていた。ユウさんは五人の中でいちばん年上で、かわいいって言うよりかっこいい。今も並んでテレビを見てるのに、こっちを向いてくれない。嫌いじゃないけどちょっとこわい気がする。
「お先に〜」
三人がほかほか湯気を立てながら出てくると、「行こ」ってひとことだけ言って、先に行っちゃった。はね気味のショートカットを追いかけて、ぼくは小走りについていく。
別荘のお風呂は、露天風呂だった。植え込みと竹のさくに囲まれた、岩のお風呂。脱衣場からそれを見たぼくは、うれしくなっていそいで服を脱ごうとした。
「待って」
「え?」
振り返ると、ユウさんがいたずらっぽい顔で肩を押した。
「そのまま、入ろ」
「は、はい……」
ユウさんがはだしで先に入っていく。ワンピースがひらひらして、大きな白いチョウみたい。後からついていったぼくは、湯ぶねの前で足を止めた。
ユウさんが手おけにお湯を入れて待っていた。
「かけるわよ」
うなずいて目を閉じると、頭からかけられた。
ざばっ……。
目をあけると、ユウさんがほんのりうれしそうな顔でぼくを見ていた。目を下に向けて、腰のあたりを見つめてから、また顔を見る。
「すてき」
それから自分も、ざばっとお湯をかぶった。それでぼくも、ユウさんが何をすてきだって言ったのかわかった。
薄い白いノースリーブのワンピが、濡れて体に貼り付いていた。
ぼくは、ごくっとつばを飲みこんだ。ユウさんの薄く盛り上がった胸と、小さなぽっち、縦長のおへそと、すんなりした太ももが、はだ色に透けてた。
おちんちんはとっくに立っていた。ぼくのよりひと回りも大きくて元気なおちんちん。起き上がりすぎておなかにはりついてたから、今まで分からなかったんだ。
「ナッちゃん……」
両手を広げたユウさんが、とろけそうな目でぼくを見ながら近づいてきた。ああ、またされちゃうんだって思った。あの、大きなおちんちんで。
向かい合って立って、そのままぎゅうって抱きしめられた。ぼくの立ちかけのおちんちんが、ユウさんのにぐりっと押しつぶされた。
「ナッちゃん、かわいい……」
ユウさんがぼくのおしりをおさえてひきつける。かたいおちんちんがぼくのをごりごりすりつぶす。ユウさんがすごく興奮してる。ぼくも心臓がドクドクいって、立ちくらみしそうになる。
「してないでしょ?」
ユウさんが耳に息をかけた。
「誰にも。ユキも、アキも、サトも」
「え?」
「みんな自分ばっかりして。ナッちゃんにはさせてくれなかったんじゃない?」
「え、あ、はい……」
「もう、思ったとおり」
体をはなすと、ユウさんはぼくの鼻にちゅっとキスしながら、おちんちんにさわってくれた。指先だけで、肩こりをほぐすみたいに、もみもみ、って。
「くぁ、ふ……!」
それだけで、出しちゃいそうになった。お昼から何度もエッチなことをされて、ぼくはぎりぎりだった。ユウさんの細い指に上から袋の下までもみもみされると、足が溶けて倒れちゃいそうだった。
「ユウ、さんっ……!」
「どうしたい?」
指を止めて、ユウさんが見つめた。猫目のきれいな顔。
「言うの。どうしたいか」
「言う……の?」
「ルール」
ぼくは思い出した。したいことをしていい、でも、頼まれたらしたがわなきゃいけない。
だったら、ぼくが。
「……ユウさんに、したい」
「……したい、よね」
ぽーっ、とユウさんが赤くなった。ぼくはちょっとおどろいた。小さな女の子みたい。
「どうしたいの、ちゃんと言って」
「……いれ、たい」
「なにを入れたいの」
「おちんちん」
「どこに入れたいの?」
「ユウさんに。ユウさんのおしりに入れたいっ」
「入れてどうしたいの」
「ミルクっ。ミルクびゅーびゅーしたいのぉ!」
ユウさんがぶるるっ、とすごく震えて夜空を見た。おちんちんがさわらなくても分かるぐらいびくびくあばれてた。そこへ右手をゆっくり伸ばしかけて、ぴたっと止めた。
「ナツ、凄いそそる。今すぐヌキたい」
「ユウ……さん?」
「――うーそ。ふ、ふふ」
くるりとむこうを向くと、ふらふらしながらユウさんは岩風呂にばしゃばしゃ入って行って、向こう岸の岩に両手をついた。そこで振り向いて、おしりを突き上げた。
「していいよ、ナッちゃん」
ぼくもふらふら近づいて、お風呂に入った。お湯に足を取られて夢の中みたいだった。湯気の向こうに、ユウさんが、ユウさんのおしりがあった。
すべすべてきゅっとしまった小さめのおしり。白い布がはりついてやわらかなピンクに見える。軽く開いた足はすんなりほそくて間があいてる。おしりの真ん中は布がういてて中がわからない。でもそのすぐ下にぷっくりした小さなまるいものがもりあがってた。ぼくはそこを指で押す。
「んあぁ」
ユウさんが鳴いた。コリッとして硬かった。ユウさんのおちんちんの根元だ。ミルクでぱんぱんにはれてる。
ぼくはそこにキスした。
顔をよせて、ちゅくちゅくつついて、ぢゅぅっと吸った。ユウさんはせつなそうにひざをこすり合わせた。でもしばらく続けていると、おこったみたいな声で言われた。
「ご奉仕じゃないんだってば。ナッちゃんがしたいことをするの。私のことはどうでもいいの……」
どうでもよくないし、もっとおしりにキスしたかったけど、ぼくのおちんちんもガチガチだった。だから、すなおに従うことにした。
ぐっしょり重いワンピのすそをかきあげて、ユウさんの背中に置いた。つやつやのおしりが丸見えになった。それを見てぼくは真っ赤になった。
「ユウさん……おしりのあな……すごい」
「どうなってる……?」
「ひ、ひくひくして、なんか透明なのが」
「洗っといたもの」
ふりむいたユウさんが、くすっ、と笑った。
「使って。ナッちゃん用に」
それを見たら、ぼくはもうがまんも何もできなくなった。
おちんちんを押しつけて、
おしりをつかんで押しこんで、
あったかい! って思う間もなく、射精してた。
「ユウさん……!」
「んひぁっ!」
ためていたものの爆発、腰が溶けちゃうぐらいの暴走。なんて言ったらいいかわからない。とにかくぼくは、ユウさんの中とユウさんの背中に体をべったりくっつけて、出せるものを根こそぎ出していた。
びゅーっ、びゅーっ、びゅーっ……自分自身がおちんちんになってユウさんの中にいるような気分で。体じゅうをちぢみあがらせて。
「ふぁ♪ ぁぁ♪ あひぃ……♪」
「す、すてきぃぃ……」
じゅぅっ、じゅぅっていう強い音も聞こえた。たぶん、ユウさんがお湯に向かってミルクを何度も発射した音。ぼくがサトちゃんに中で出されたときも射精にはならなかったから、あれよりキモチいいんだって思って、うれしかった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
ユウさんの背中で、ぼくは寒くなるまでじっとしていた。
ふいに、ぼちゃんとお湯の中に落とされた。「わぁぷ!?」とあわてて起き上がったら、ユウさんが楽しそうな顔でわらっていた。
「よかった?」
「は……はい」
「じゃあ、私もしたいことをしていい?」
ぼくはうなずいた。それからすぐに、一度じゃ足りない気がして何度もくりかえした。
「おーい、行くよー!」
「わかってる!」
ジャンパー姿の幸也が叫ぶと、甲高い声で返事をして、半ズボンの悟が玄関の階段を下りてきた。その後から、ベストとネクタイ姿の章良さんと、かっこよくジャケットを羽織った悠さん。
「先に乗ろっか。おれたち後ろね」
「あ、僕、まえがよかったのに!」
「前は悠さん」
「あ、そっか」
僕たちはワンボックスのいちばん後ろの席に乗った。章良さんと悟が仲良くいちばん後ろに行って、最後に悠治さんが前に乗った。ドアを閉めると、運転席の前田さんが振り返らずに言った。
「よろしうございますね」
「うん。鍵も閉めた」
「では参ります」
車は砂利の坂を下り始めた。
「今回も楽しかったねえ」
前の悟のきゃらきゃらした言葉を聞きながら、僕は考えてた。
悠さんは、どうしてこんなこと始めたんだろう。
どうして僕を誘ってくれたんだろう。
「夏雄」
「はい?」
悟と章良さんが振り向いて、小さく笑っていた。
「悪くなかっただろ?」
僕は顔を背けて、窓の外を見た。
章良さんが前を向いて言う。
「夏雄はまた来たいってさ」
「それは、よかったね」
悠さんの声が耳に入ると、なぜかほっぺたが熱くなった。
(2006/12/20)
み