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Select your characters!     ラグナ/リアル クロスオーバーストーリー

 学ラン姿でスポーツバッグを抱えてやってきた葦原育美が、ちょっと待ってて、と言って部屋にこもってから十分ほど。廊下で壁にもたれて待ちながらも、利根行人はこれから何が起こるのか、はっきり想像できずにいた。
 ――あれ、やっぱり着替えだよなあ。
 ぱんぱんに膨らんでいたスポーツバッグの中身だけなら、大体想像はできた。もともと中学の学生服の似合わない女顔の育美のことだから、まず私服なのは確かだ。今まで行人は、一つ年下の育美を学校帰りにしか自分の家に呼んだことがないから、どんな私服なのかはわからないけれど。
 しかし、ただの私服に着替えるだけなら、なにも行人を部屋から追い出さなくてもいいはずだ。お互い同じ性別なんだから。
 ひょっとして……女装?
 ぽわっ、と育美の女装姿を想像して、行人は思わず片手で口元を押さえた。期待するな期待するな、と自分に言い聞かせる。親の趣味とかで普段から髪を長くしている育美がもし女装したら、多分悶絶するほど似合うと思う。思うのだが、それはつとめて考えないようにしている。変態もいいところの想像だからだ。
 にしてもやっぱり、抑えきれなかった。ついつい妄想してしまう。四ヵ月前に学食で、あのゲームのことを話している声を偶然耳にして、振り返ったら育美がいた。二年生のクラスメイトにしきりに説明していたが、ゲームどころか自分のパソコンも持っていないような友達ばかりらしく、誰もまともに聞いていなかった。試しに行人が一言、二言話しかけたら、目を輝かせて乗ってきた。
 その時に、あれこいつ女子か? と焦ったことが、今から思えば始まりだった。黒髪ではなく茶髪でもなく、ちょっと青みがかった変わった色の長い髪を、第二ボタンにかかるぐらいに伸ばしていて、肌が真っ白であごも張っていなかった。目も二重で大きく、肩幅は狭くて指も細かった。ちょっと男子とは思えなかったのだ。
 その時は結局、キャラの名前を教えあって別れるまでどっちかわからず、それどころか、家に帰ってからオンラインのそのゲームにログインして、キャラ同士で会ってからも、やっぱりわからなかった。育美は女キャラでプレイしていたのだ。わからないというより、しばらく行人は本当に育美のことを女だと思っていた。
 冷静に考えればそんなわけはなかった。学校ではいつも学ランなのだから。普通なら聞くまでもないことだ。だから今まで行人は聞いていないが、実はいまだに、育美の性別がどっちなのか疑問に思ったりする。
 それぐらい、葦原育美の「シャルトリュー」の振る舞いは、女の子らしかった。
 今日、育美がここへ来ることになったいきさつも、もとはと言えばそのせいだった。もし育美が男キャラを使っていたら、きっとこんなことにはならなかっただろう。
 こんなことって――どんなことだろう。
 行人は考える。が、やっぱりよくわからない。わからないが、胸は高鳴っている。おぼろげに想像することならできるし、自分は多分それを期待している。変だとは思う。でも抵抗感が薄い。
 教えて、と育美は言った。いや、シャルトリューが。リップはどうやってやってるの? 私、知らないから……。
「教科書見せて……んなわけないよなあ」
 だとすると、実際に、だ。実際に――何をするのだろうか。
「あーっ、わからん!」
 行人が両手で頭をかきむしっていると、ドアノブが音を立てた。胸がどきんと鳴る。
 振り返ると、ほんの五センチほどドアを開けて、育美が顔を覗かせていた。少し上ずった声で聞く。
「あの……家族の人、いないよね?」
「い、いないいない。帰ってくるのは夜」
「そう。念のため聞くけど、何を見てもびっくりしない?」
「し、しない。多分」
「多分じゃ困る……」
「絶対しない。他人ならともかく、育美のやることだし」
「ぼくはいくみじゃないってば。今は私、シャルとリップだって言ったでしょ」
「あ、うん。シャルだから」
「そうだよ、リップ。ゆきひと先輩じゃなくてジャック・ザ・リッパーさん。今からのは、シャルとリップのすることだからね。他人には絶対秘密だからね……」
 そう言うと、育美は、ゆっくりとドアを開けた。断言したにもかかわらず、行人は、息が止まるほど驚いた。
「お、おまえ……それ」
「作ったの。家庭科、得意だから」
 そこに立っていたのは、胸に十字をあしらい、太ももに大胆なスリットを入れた僧衣をまとった、女僧侶だった。
「……変?」
 そう言って傾けた頭の上には、あろうことか猫の耳そっくりのヘアバンドが乗っていた。まさに、ゲーム中のシャルトリューそのままの姿だった。
 行人は言葉もなく、ただ壊れた機械のようにぶんぶんと頭を左右に振った。


Jack_the_Ripper : キスするよ(ちゅ
シャルトリュー : うん……(ちゅぅ
Jack_the_Ripper : シャル、かわいい・・・
シャルトリュー : そう?(どきどき
Jack_the_Ripper : うん、震えてる・・
Jack_the_Ripper : 抱きしめるよ(ぎゅ
シャルトリュー : んんっ……
Jack_the_Ripper : あったかい・・いい匂いがする。
シャルトリュー : リップも、あったかいよ
Jack_the_Ripper : どんな感じ?
シャルトリュー : 幸せな感じ……
Jack_the_Ripper : 俺も幸せ
Jack_the_Ripper : もっとぎゅってしていい?
シャルトリュー : うん
Jack_the_Ripper : ぎゅう・・すりすり
シャルトリュー : ん……いいよ、強くしても
Jack_the_Ripper : 胸、いいかな
シャルトリュー : ……えっ
Jack_the_Ripper : 触るよ・・
Jack_the_Ripper : (もみもみ
シャルトリュー : やだ……えっち
Jack_the_Ripper : エッチだよw
Jack_the_Ripper : シャルが好きだもん。触りたい
Jack_the_Ripper : いや?こういうこと
Jack_the_Ripper : 俺たち付き合ってるんだから・・
シャルトリュー : ん
シャルトリュー : いいよ。シャルとリップは恋人同士だもんね
Jack_the_Ripper : いやだったらやめる
シャルトリュー : いいよ。リップの好きにしていい
Jack_the_Ripper : (−∀−)b!!
Jack_the_Ripper : じゃお言葉に甘えて・・
Jack_the_Ripper : 胸、もっともみもみ・・
Jack_the_Ripper : ふわふわだね・・頬ずりするよ
シャルトリュー : うん
シャルトリュー : でも私、あんまり胸ない……
Jack_the_Ripper : そう?
Jack_the_Ripper : それじゃ
シャルトリュー : 別のところでもいいよ
Jack_the_Ripper : もっとキス
Jack_the_Ripper : え?
Jack_the_Ripper : 別のとこって?
シャルトリュー : ……
Jack_the_Ripper : シャル?
シャルトリュー : 足とか……その上とか……
Jack_the_Ripper : 上って
Jack_the_Ripper : うわ、シャルもエロっ!
シャルトリュー : (///)
Jack_the_Ripper : シャル、かわいいーー
Jack_the_Ripper : 触ってほしい?
シャルトリュー : ……はい
Jack_the_Ripper : じゃ足・・
Jack_the_Ripper : 膝からスリットに手を入れて
Jack_the_Ripper : さわさわ・・
シャルトリュー : あっ……
Jack_the_Ripper : 肌、すべすべだね
シャルトリュー : そう?
Jack_the_Ripper : 柔らかい・・太もも、ぷにぷに
Jack_the_Ripper : 気持ちいい?
シャルトリュー : ……うん
Jack_the_Ripper : もうちょっと声出してくれると
Jack_the_Ripper : うれしい
シャルトリュー : はい
Jack_the_Ripper : 足から、その上に手を入れて・・
Jack_the_Ripper : あそこに、指を・・
シャルトリュー : はふっ……
Jack_the_Ripper : ふにふに
Jack_the_Ripper : パンツの上から指を食い込ませて・・
Jack_the_Ripper : ん、気持ちいいね?
シャルトリュー : ……うん、気持ちいいよ
シャルトリュー : どきどきして、熱くなる……
Jack_the_Ripper : 濡れてきた
シャルトリュー : (恥ずかしい
Jack_the_Ripper : w
Jack_the_Ripper : パンツがくちゅくちゅになってきた
Jack_the_Ripper : もっと触る
Jack_the_Ripper : くにくに・・・ふにゅふにゅ
シャルトリュー : ああっ……
Jack_the_Ripper : 指で粒を・・くりっ
シャルトリュー : んはっ!
Jack_the_Ripper : (シャル上手〜
シャルトリュー : (本気で恥ずかしい……
シャルトリュー : リップの息が感じられるみたい……
Jack_the_Ripper : うわあ・・脱がせてぇ・・
Jack_the_Ripper : いい?
シャルトリュー : 脱がせていいよ
Jack_the_Ripper : お知りからパンツを下げて・・(するする
シャルトリュー : 見ても
Jack_the_Ripper : シャルの・・あそこ・・
Jack_the_Ripper : ピンクで・・・とろとろ・・
シャルトリュー : (足を開く
Jack_the_Ripper : 足開いて
Jack_the_Ripper : (・∀・)ケコーン
シャルトリュー : ばか……(かあっ
Jack_the_Ripper : シャル、俺我慢できない
Jack_the_Ripper : 入れていい?
シャルトリュー : ……何を?
Jack_the_Ripper : 言えないw
Jack_the_Ripper : いい?
シャルトリュー : ?
Jack_the_Ripper : じらすなよー(TT)
シャルトリュー : え……うん
Jack_the_Ripper : いいよね
Jack_the_Ripper : 入れるよ・・(ぐいっ
シャルトリュー : え……
Jack_the_Ripper : (ぐぐっ……ずるっ
Jack_the_Ripper : うぁぁ・・シャル、きつい・・
シャルトリュー : ん
Jack_the_Ripper : いたい?
シャルトリュー : 痛くないよ
シャルトリュー : これって……
シャルトリュー : その
シャルトリュー : せっくす?
Jack_the_Ripper : うん
Jack_the_Ripper : 初体験
シャルトリュー : わあ……
シャルトリュー : 私、リップと初体験しちゃったんだ……
Jack_the_Ripper : 初めてだけど痛くない?
シャルトリュー : あ……
シャルトリュー : えと、リップが濡らしてくれたから……
Jack_the_Ripper : 我慢してるんだね
シャルトリュー : う、うん
Jack_the_Ripper : シャル、好きだよ・・
シャルトリュー : 私も好き
Jack_the_Ripper : 動くよ・・
Jack_the_Ripper : (ぐいっぐいっ
シャルトリュー : ああ……んあぁぁ
Jack_the_Ripper : シャル・・あったかい・・
Jack_the_Ripper : 柔らかくて・・とろとろで・・
シャルトリュー : リップの、かたいよ……
シャルトリュー : でも気持ちいいよ……
Jack_the_Ripper : いい?
Jack_the_Ripper : 俺もすごくいい
Jack_the_Ripper : 抱きしめて・・動く
Jack_the_Ripper : (ずにゅっずにゅっ
シャルトリュー : やあぁ……すごい……
Jack_the_Ripper : シャル、シャル
Jack_the_Ripper : (ぎゅぅぅ
Jack_the_Ripper : (ちゅ、ちゅぅぅ
シャルトリュー : (ちゅ
Jack_the_Ripper : いきそう
Jack_the_Ripper : シャルに出していい?
シャルトリュー : え
シャルトリュー : う、うん。好きにして
Jack_the_Ripper : しゃrr
Jack_the_Ripper : いく・・(どくどくどくっ
シャルトリュー : あああっ!
Jack_the_Ripper : うう・
シャルトリュー : リップ?
シャルトリュー : リップ?
Jack_the_Ripper : はふぅ・・
シャルトリュー : あ、いた
シャルトリュー : 寝落ちかと思った……
Jack_the_Ripper : なわけないじゃんw
Jack_the_Ripper : 余韻がすごくてさ・・
Jack_the_Ripper : サイコーだった
シャルトリュー : 余韻……?
Jack_the_Ripper : シャルはよくなかった?
シャルトリュー : よかった
シャルトリュー : と、思う……
シャルトリュー : ドキドキしたよ、すごく
Jack_the_Ripper : 俺もめっちゃ興奮した
Jack_the_Ripper : あー
Jack_the_Ripper : めっちゃ嬉しい。
Jack_the_Ripper : シャルとやっちゃったなあ
シャルトリュー : うん
シャルトリュー : されちゃった
Jack_the_Ripper : シャルはいった?
シャルトリュー : よくわかりません
Jack_the_Ripper : わからない?
Jack_the_Ripper : おれ・・いったけどw
Jack_the_Ripper : めさ恥ずっ
シャルトリュー : いくって
シャルトリュー : どういうこと?
Jack_the_Ripper : どうって
Jack_the_Ripper : 手で
Jack_the_Ripper : ・・言えるかw
Jack_the_Ripper : (言ってるけど
シャルトリュー : リップはどうやってやってるの?
シャルトリュー : 手で?
Jack_the_Ripper : うん
シャルトリュー : あのさ
Jack_the_Ripper : うん?
シャルトリュー : 教えて
シャルトリュー : 私、知らないから
Jack_the_Ripper : え?
Jack_the_Ripper : 知らないって
シャルトリュー : したことない
シャルトリュー : だから、今度
シャルトリュー : 会って、教えてほしいです
Jack_the_Ripper : ・・まじで?
シャルトリュー : うん
シャルトリュー : もちろん、いやならいいけど。
Jack_the_Ripper : いやじゃないけど
シャルトリュー : そう? ほんとに?
Jack_the_Ripper : もちろん
シャルトリュー : じゃ、お願いします
シャルトリュー : 明日また学校で、相談して。
シャルトリュー : 今日は落ちます。
シャルトリュー : 楽しかった。愛してます、リップ


 他人に見つからないように入り込んだ、建物の奥の部屋。そのベッドの上から、ネコミミロングヘアの僧侶が、ふっと消えた。
 一人取り残された自分の暗殺者を動かすことも忘れて、行人はしばらく、呆然とディスプレイに並んだセリフを見つめていた。ズボンを脱ぎっぱなしの尻が冷えてきたので、あわてて濡れたティッシュを捨て、ズボンを引き上げた。それから考え込んだ。
 ごく気軽に誘った育美のキャラと意気投合して、固定パーティーを組んでから三ヵ月。レベルが近く、職業同士の相性がいいこともあって、ずっと一緒にいた。そのうちにどうしようもなく惹かれてしまい、思い余って、一ヵ月前に玉砕覚悟で告白した。答えは、信じられなかったが、OKだった。
 それ以来、二人は恋人として付き合ってきた。本物のカップルのように仲がよく、お互い信頼し合う、最高の間柄だった。最初のうちは抵抗感や自虐もあったが、すぐに割り切った。これはキャラ同士の恋愛なんだ。プレイヤーの性別なんか関係ない。
 そのノリで、キスもしたし、抱き合ったりもした。うすうす期待し、でもまさかと思っていたセックスにも、ついにこぎつけてしまった。
 そこまではいい。ログオフすれば忘れられる架空世界の出来事だ。しかし、これは完全に予想外だった。育美が、リアルの現実世界にまで付き合いを持ち込んでくるなんて。
 リアルでの二人は、廊下で会えば声をかける程度の、ほとんど付き合いのない知り合いだった。家に呼んだことは今までに二回あったが、二回ともパソコンの使い方を教えるためで、親しく遊ぶためではなかった。もともとゲーム以外の共通の趣味などはなかったのだ。他人が見ても、まさかこの二人が、電子の世界で熱烈な愛を育んでいることなど、想像もできなかっただろう。
 だからこそ、向こうの世界では親しくなれたんだと、行人は思う。決して他人にばれないから、同性という壁を越えて付き合うようになれたのだと。
 その、一種の保険のような安心を、育美のほうから壊したいと言ってきた。
 だから行人は激しく戸惑ったのだが、気を静めて考えてみると、ちっとも不快に思っていない自分に気付いたのだった。むしろあるのは不安だ。自分はいい、ゲームのシャルもリアルの育美も嫌いではない。しかし、育美のほうはどうだろう。ゲームのリップのような相手を期待してやってきたら、リアルの自分に幻滅してしまうのではないだろうか。
 来てもらいたい、けれど、来るのは困る。そんな相反する思いがあったが、翌日学校で顔を合わせた育美と、結局会う約束をしてしまった。
 それから一ヵ月。準備するからそれだけ待ってという育美の言葉を、よく意味がわからないまま承知して、不安なまま行人は待ち続け、ついにこの日を迎えたのだ。


 こういう意味だったのか、と行人は立ちすくんだまま、ベッドの上の育美を見つめる。
 そこにシャルトリューがいる。膝を外に折ってぺたんと座り、片手をももに乗せて行儀よく座っている。ゲーム中の彼女の姿そのままだ。よくここまで、と思うほど衣装のできは見事だった。
 でくの棒のように突っ立っている行人に、シャルが心配そうに言った。
「あの……やっぱり変?」
「い、いや……全然変じゃないよ。つーかおまえ、似合いすぎ」
「ならいいけど……」
 うなずいたものの、シャルの表情は晴れない。何かを待つように行人を見上げている。やがて、言った。
「私だけじゃ、気分作れないかな」
「え?」
「リップの服も作ろうとしたんだけど、時間なくて……」
「それは別にいいんだけど」
「いいの? じゃ、どうして始めてくれないの?」
「始めてって……」
「教えて……くれるんでしょ」
 うつむいてシャルはつぶやいた。その頬がうっすらと染まっていく。その熱を移されたような気がした。行人の耳も熱くなった。
「シャルと、リップなんだから……何も隠すことないでしょ」
「……うん。わかった」
 行人は目を閉じて、俺はジャック・ザ・リッパー、俺はジャック・ザ・リッパー、と何度もつぶやいた。そのまま前に進み、シャルの隣に腰を降ろした。
 目をつぶったまま、思い切って肩を抱いてみた。
「あ……」
 一瞬こわばったシャルの体が、くたりと腕の中に倒れこんできた。髪の毛からシャンプーの香りが立ち昇って、行人の鼻をくすぐった。その柔らかい感触と甘い匂いが、行人のこだわりを溶かした。全然気持ち悪くない。素直に好きになれる。大丈夫――俺は、リップだ。
「シャル……」
 リップになった行人は、シャルを抱きしめた。細身の体がきゅっと縮こまって、熱い体温が伝わってきた。はふ、とシャルがため息を漏らす。
「よかった……最悪、追い出されるかと思ってた」
「追い出すかよ。おまえは、二ヵ月前に俺の告白を受け入れてくれたんだから。今度はその逆だよ。――大丈夫、俺、平気みたいだ」
「うれしい」
 シャルがリップのシャツに顔を押し付ける。リップは目を細めて、その髪に指を通し、ネコミミをもてあそびながら頭を撫でてやった。
 きれいに丸いシャルの頭に頬を押し当てて、聞く。
「あのさ、したことないって、どういう意味?」
「ん、そのままの意味。私、せ……せっくすとかそういうこと、経験ないから」
「俺だってないよ、童貞。中3だぜまだ」
「そうなの? だってゲームの中じゃ」
「あんなのエロ本にいくらでものってるじゃん」
「見たことないから……」
「マジで? 今時貴重なヤツ……」
「リップ、いったって言ってたでしょ。せっくすしなくてもいけるものなの?」
「――ってことはつまり」
 リップは顔を離し、シャルのあごをつまみあげて目を覗いた。
「シャル、オナニーもしたことないとか?」
「お……ないよ、そんなの」
 顔を真っ赤にして、シャルが目を伏せる。
「そんなの、保体の授業でやらなかったじゃん……名前ぐらいは聞いたことあるけど」
「うわ、信じらんね。天然記念物みたい」
「悪かったね!」
 べーっ、とシャルが舌を出す。同じセリフを叫んでシャルトリューがすねたことがあった。その時に行人がイメージした姿とそっくり同じだった。自分がリップとなってゲームにいるような、強烈な幻視に襲われる。
 むらむらと欲情が湧いてくる。シャルとリップは、あの時一度しただけで、その後はベッドに上がらなかった。それとなく頼んでも、今度会ってから、とはぐらかされていた。リアルとゲーム、両方の世界でお預けを食っていた鬱憤が、いっぺんに噴き出してきた。
 シャルのしなやかな体が腕の中にある。恋人をそんな風に抱いたことは初めてだ。心臓は最初から高鳴っていて、股間にも抑えようもなく血が集まる。リップはベッドの上にあがり、シャルの背後に陣取った。体を抱きしめ、足を広げてシャルを挟みこむ。その間にシャルの太ももと小さなお尻があり、そこにリップの股間が触れた。
 二人とも同時に気がついた。シャルがか細い声で言う。
「リップ……おっきくなってるね」
「うん。わかるだろ……どういう時にこうなるか」
 リップは腰を進めて、僧衣のスカートにつつまれたシャルのお尻に押し当てる。張りのある丸みに幹が食い込み、そのことでいっそう硬さが増す。
「俺、今エッチな気分だよ」
「……だよね。うれしい、私にえっちなことしたいんだ」
「うん。おまえがほしい」
「いい……よ。いいけど、順番にしてね。私まだ、全然知らない……」
「どうすればいい?」
「リップがするまえに、私にいきかたを教えて」
 リップは、シャルがもじもじと膝をすり合わせていることに気付いた。肩越しにシャルの前を覗き込むと、僧衣の前が、わずかに盛り上がっていた。やっぱり、という思いと、そんな馬鹿な、という思いが重なって、リップは尋ねた。
「おまえも、エッチな気分?」
「うん……あ、見えてる?」
 恥ずかしそうにシャルがささやく。
「そうだよ……リップにキスされたり、ぎゅってされたりすると、いつもこうだったんだよ。最後のあの日なんか、壊れそうに硬くなっちゃって、ほんとにつらかった……なのに、リップったら、自分だけいっちゃうんだもん。私はいくふりしかできなかったのに。もう、うらやましくて、悔しくて……」
「俺、男だよ? おまえよくそんな気分になれたね」
「シャルトリューは、女の子だもん……」
 恥じらいがちな言葉と伏せられたまつげの、あまりの可愛らしさに、リップはシャルを抱き潰したくなる。
 左手で薄い胸を抱き支えながら、右手をシャルの股間に伸ばした。僧衣の上から、円を描くように撫でる。最初のひと撫でで、びくんとシャルが腰を動かした。軽く驚く。
「うは、敏感……おまえ、ほんとに経験ないのね」
「だって、怖かったんだもん……硬い時にそこ触ると、何か漏らしちゃいそうで……」
「それがいくってことなんだよ」
「そうなの?」
「うん。そうか、ほんとに初めてか。だったらめちゃくちゃ気持ちいいぞ。覚悟しとけ……」
 シャルが期待に目を輝かせて、こくりとうなずく。リップは手のひらでくぼみを作って、そっとシャルの先端を愛撫し始めた。
 厚手のフェルト越しに、下から親指を押し当てたような丸みがくっきりと浮き出ている。そこをさわさわとこすってやると、シャルは鼻を鳴らしながら腰を震わせた。
「ん……んは……んくっ!」
 びくっ、びくん、とシャルの尻が震える。そのたびにリップのものも刺激される。楽しくなるほど鮮烈な反応だ。自分もぐりぐりと押し付けて心地よさを味わいながら、リップはシャルを高めていく。
 そのまま続けても簡単にシャルはいってしまっただろうが、こんな間接的な愛撫では物足りなくなってきた。リップは横のスリットに手を動かして、手のひらを滑り込ませた。
 シャルの太ももはむっとするほどの熱を蓄え、霧吹きで吹いたように汗を浮かべていた。手のひらに貼り付くような滑らかな内ももにその汗を伸ばし、肉をつかむ。とろけそうに柔らかい。触感だけでは我慢できず、リップは僧衣の前垂れを横にはねのけた。ぴったり合わさったシャルの太ももと細い膝頭があらわになる。顔を乗り出して真下を見ると、レースの下着で覆った股間が目に入った。薄い布地を突き破りそうにつき立っている。その先端は液が染み出して色が変わっている。
「パンツも女物……凝り性だね」
「そのほうが……そうじゃないと……リップ、興奮しないかもと思って」
 荒い息を継ぎながらシャルがつぶやく。十分してるよ、とささやいてリップはシャルの耳たぶを噛む。「ひっ」とシャルが鳴き、下着のテントがぴくっと鋭くなった。
 リップは唾を飲み込んで聞く。
「じかに触って、いいかな?」
「いいの? 我慢できる?」
「多分……ううん、絶対。俺、触りたくなってる」
「変なのぉ……」
 おかしそうに笑って、シャルがこくりとうなずいた。尻を上げたシャルの下着を、ゲームの中でイメージしたように、リップはゆっくりと引き下げた。
 膝上まで引き下げると、下着は横一線の細い布になった。そこから目を離して股間に視線を落とすと、シャルの性器が目を射た。文字通り、こちらを射るようにまっすぐ突き立っている。その勢いのわりに、大きさ自体はやや控えめだった。リップのこぶしで握ると中に収まってしまうほど。
 先の丸みは半分ほどがまだ覆われていて、きれいな薄桃の先端が濡れて光っていた。茂みはほとんどなく、根元のほうにかすかなくすみがある程度。思った通りの幼い造りだった。リップは含み笑いする。
「まだ子供じゃん」
「え……子供だと、いけないかな?」
「ううん、大丈夫だと思うよ。もう濡れてるし……」
 言いながら、リップはそれを手のひらで包んだ。驚くほどの熱さを感じると同時に、「やうっ!」とシャルがそれまででもっとも激しいはね方をした。
 先端をこすらないよう、指三本分の幅で幹だけをくにくにとしごき始める。自分のもので慣れているから、勝手はわかっていた。押し潰さないよう、もどかしくないよう、ちょうどいい刺激を与えるつもりで、指を上下させる。
 その効果はすごかった。「くっ、はぅ、はひっ」とシャルがうめいて、下半身全体をびくびくと揺り動かす。今にも射精してしまいそうな激しい反応に、リップは思わず手を止めた。
「そんなにいい?」
「り、リップ……人にしてもらったことあるの?」
 半眼の瞳に涙を溜めて、シャルが息も絶え絶えにつぶやいた。
「ものすごく気持ちいい、腰が溶けちゃうぐらい……自分の手なんかと比べ物にならないよ」
「そ、そうなの?」
「うん。さいこぉ……これだけでも忘れられなくなりそう……」
「そんなら、あとでしてくれない?」
「いいけど、それよりも……あ、あひぃっ」
 リップが再開した愛撫で、他愛なくシャルは言葉を失う。
 足が暴れた拍子に、ピチッと下着が切れてしまった。シャルは大きく足を開く。リップは小指を下に伸ばして、シャルの袋の下の、こりこりに張りつめた部分をくすぐってみた。「ひぃぃんっ!」とシャルは身をくねらせる。
「そっ、そこはだめぇっ!」
「気持ちよすぎ?」
「気持ちいいっていうか、ぞわぞわが、腰の中がぞわぞわって!」
「でもいいみたいだよ。これキチキチになってるし」
 その部分を左手でくにくにとつまみながら、右手を幹に戻した。もうはちきれそうなほど硬くなっている。「いやっ、やめてぇ!」と暴れるシャルを、両腕でがっちりと挟みこむ。気持ちいいと分かっているからこそ、いじめている。
 一直線に高まっていくシャルの呼吸と鼓動の速さ、それに手の中のものの脈動で、リップは限界が近いことを悟った。左手で枕元のティッシュを取って、右手の前に構える。
「シャル、いきそう?」
「はふ、はぅ、ひんっ、ひきぃっ!」
「もう夢中だなあ……いいよ、いつでもいって」
 漏れ出した液ですでにリップの手はとろとろになり、先端にかかっていた皮も剥けきっている。シャルのそれを空中に突き出してやるように、リップは鋭い動きでしごき上げる。
 不規則だったシャルの身動きがわずかに収まり、何かをこらえるような細かい痙攣になった。追い詰められたようにシャルが唇だけでつぶやく。
「いっ、いくっ、イクっ、これっ、多分っ!」
「いいよ、ほら!」
「んんくうぅっ!」
 掛け金の外れたバネのように、びくぅっ! とシャルがのけぞった。リップの胸にどっと背中が押し付けられる。そこを支点に腰を思い切り突き出して、シャルが激しく射精した。
「くっ、くっ、くぅん……っ!」
 リップの右手に導かれるように、シャルは生まれて初めての放出を続ける。ぐいっ、ぐいっ、と突き出される幹の先端から、水鉄砲の弾丸のような勢いで白い筋が飛び、リップが構えたティッシュを瞬く間にどろどろにする。
「うわ、すっげ……溜まってたんだなあ」
「くくぅぅん……っ」
 最後のしぼり上げるようなしごきに合わせて、長く液を吹きこぼしてから、糸の切れた操り人形のように、ぐったりとシャルは体を沈めた。リップはその顔をまじまじと見つめる。
 はあはあはあ、と途切れのない速い息を漏らし、額にびっしりと細かい汗の玉が浮かんでいた。閉じた目から涙があふれ、時おり余震のように細かく、ぶるるっと体を震わせていた。リップはしみじみとうなずいた。
「よかったんだなあ……」
 深い余韻に溺れきっているシャルが正気を取り戻すまで、リップはそのまま待ってやった。
 十分近くたってから、シャルがようやく呼吸を落ち着け、うっすらと目を開いてつぶやいた。
「気持ち……よかったぁ……♪」
「だろ?」
「うんー、ものすごくよかった。気持ちよさで体が爆発したみたいだった……そっかあ、これがいくってことなんだ……」
「おまえ何歳だっけ、十四歳? 十四年分溜まってたのを一気に出したんだから、そりゃ気持ちいいよな」
「うん……今までのえっちなもやもやを、いっぺんに吐き出したみたい。ああー、すっきりしたあ。最高ぉ……」
 シャルはのろのろと体を起こすと、うーんと大きく伸びをした。伸びの途中で、その体をリップは抱きしめる。
「さあて、おまえの番は終わり。次、俺のをしてくれる?」
「うに?」
 シャルは目を寄せ、肩越しに振り向いた。リップが最大近くまで張り詰めたものを、シャルのお尻にぐいぐいと押し付けていた。
「おまえのいくとこ見てたら、もうたまんなくなった。我慢できないよ、頼む」
「あ……それだけど……」
 シャルは少し顔を伏せ、垂れた髪の先をもじもじとひねくりまわし始めた。
「私、ゲームの中でしてたとき、女の子としてリップにされること想像して、むらむらしてたんだよね。……でも私にはおちんちんしかないから、そこがむずむずしてたんだけど……想像の中では、私、入れられてたんだよね」
「……どういうこと?」
「えーと、さ」
 くい、と髪を引っ張って、シャルは上目づかいにリップを見上げた。
「私のお尻じゃ……いやかな?」
「お……しりって」
「学校でしてきたから、中きれいだと思う……っていうか、そういう問題じゃないかもしれないけど、女の子のあそこは私ないから、仕方なくっていうかなんていうか……どう?」
「どうって、その、ええと」
 思わぬ申し出に、リップはしばらくの間、言葉をなくした。やっと探し当てたのは、あまり本質的ではないような疑問だった。
「それって、入るの?」
「……よく知らないけど、そういうやり方もあるんでしょ?」
「ある、らしいけどね。でもそれやっちゃったら、俺ら完璧に、ほ――」
 ぴしゃっ! とシャルがリップの口元を叩いた。額にしわを寄せてにらみつける。
「だからー。私たちはシャルとリップなの! そういうの気にしないの! 今だって私のこれ、手でしてくれたでしょ? これはソレじゃないの?」
「あー、うん。そりゃそうだけどね」
「いやなのかそうじゃないのか、それだけで判断して下さい!」
「う、うん。それは――」
 リップはシャルの顔と体をもう一度見つめなおした。抱きしめた体のあちこちに手を這わせる。華奢でしなやかな、同性とは思えない魅力的な身体。さっきから自分の股間を刺激してやまない、ぷりぷりの柔らかいお尻。
「――いやじゃないです……」
「いいの?」
「うん。したい」
 口にすると覚悟が決まった。変態かどうかという以前に、それはこの子と恋人としての一線を越えてしまうという行為だったが、それをする決心もできた。
「シャルと、したい。おまえを犯したいよ」
「あ、開き直った。……ほんとにしてくれる?」
「うん」
「やった」
 ぱちんと手を打ち鳴らすと、シャルは目を細めてリップに頬擦りした。
「これでほんとの恋人同士になれるね。やったあ」
「はは、恋人ね……まあ、そのうち慣れるか」
 リップは苦笑してほっぺたなど引っかいていたが、この無邪気な子が相手だと、それほど深く悩むようなことでもないと思えてきた。悩むどころか、思わぬ拾い物という気にさえなった。
「そうと決まれば、と……このまましていい?」
「んんと……痛そうだよね、お尻だと。できればクリームか何か……」
「ローションって言うんだぞ、本式だと。そんなものないな、何かないか……」
 そうだニベアがあった、とリップは部屋を飛び出した。洗面所からそれを持ってきて、元の位置に収まる。
「これでいいよな。体に毒じゃないし」
「うん。それ塗って……」
 シャルが腰を浮かせて、僧衣の後ろをたくし上げた。すべすべの形のいいお尻が現れる。一度は静まっていたリップの鼓動が、再び高まり始める。
 指にクリームを乗せて、リップはふくらみの間に差し込んだ。
「ここかな……あ、ここか」
「ん、そう……」
 指を動かすと、くすぐったいのか、シャルが少しずつ前に逃げた。左手で肩をつかんで押さえ込み、リップはたっぷりとクリームを塗りつけた。きゅっと閉じたひだが指の腹に当たる。シャルの一言で急に恥ずかしくなった。
「おしりのあなも……気持ちいいんだね……」
「――すごいとこ触ってるね、俺」
 育美の、多分一生誰にも見せない場所。そこにじかに指を当てて、無遠慮にまさぐっている。一瞬だけ、とんでもないことをしているという自覚が湧いた。こんなことしてるやつは学校中探してもいない。
 それがじわじわと優越感に変わる。育美をシャルにしてこんな風に触れるのは、俺、リップだけ。リップだから、何をしてもいい。
 左腕にかかるシャルの体の量感を確かめながら、リップは耳元にささやいた。
「シャル、指入れてもいい?」
「え……?」
「俺の、指より太いよ。先に指で慣らしたほうが……」
「う、うん……」
 シャルが目を閉じた。リップの指先に伝わるひだの感触が、やわらかいものになる。その中心に、じわじわと人差し指をねじこんだ。
「ふあぁ……へ、変な感じぃ……」
 爪の先、第一関節、第二関節と指がもぐりこむにつれ、シャルがぶるぶると腰を震わせる。そこの中は入り口だけが狭く、内部はくにゃくにゃした暖かいひだが重なり、柔らかく広い感じだった。シャルの腰の震えに合わせて、入り口がきゅっきゅっと狭まる。リップは聞く。
「動いてる。きつくしてるの?」
「ううん、逆。ほっとくと締まっちゃうから、ゆるめるようにしてる……でも、漏らしちゃいそうで怖い」
「中、きれいなんだろ。大丈夫だよ。痛みは?」
「少し……もうちょっとクリーム」
「ん」
 大量にクリームを出して、入り口から奥まで塗りつけるようにしてやる。少しほぐれてきた、と思った途端、シャルの腰が、がくっと落ちた。「あん」とシャルが鼻を鳴らす。
「力抜くと座り込んじゃう……」
「だめそう?」
「ううん、加減できそう。もうちょっと続けて……」
 クリームを足し続けると、じきに締め付け自体も柔らかくなってきた。「わかってきたみたい……」とシャルがつぶやく。その声に甘い響きがある。ふと、リップはシャルの足の間から、前のほうをまさぐってみた。思った通り、そこは再び育ち始めていた。
「気持ちいいんだ」
「うん、そう。そこいじられると、おちんちんもジリジリしてくる感じ……」
「よかったじゃん。一緒にいけるかも」
「だね。楽しみぃ……」
 頃合と見て、リップは指を勢いよく出し入れしてみた。ひきつれることもなく指は滑らかに出入りし、水っぽくなったクリームがちゅぷちゅぷと垂れた。「ん、はぁっ」とシャルが吐息を漏らす。
「いいよ……ちゃんと気持ちいい。もう大丈夫だと思う……」
「じゃ、入れるよ」
「はい……」
 膝立ちで中腰になったシャルの後ろで、リップはズボンを脱ぎ、あぐらをかいた。完全に準備のできた自分のものが、直立してひくひくと脈動している。それにも、まんべんなくクリームを塗った。
 リップの顔の前にシャルのお尻が近寄せられた。振りかえったシャルが、見えないんだけど、いい? と聞いた。
「見ないほうがいいかも。ゆっくり腰を下ろして」
「うん」
 シャルが腰を下げ、リップはそれを両手で支えて、自分のものの上に導いた。
 ぬちっ……と接触した。二人は身動きして、位置を合わせる。やがてここだと思う場所に当たると、リップがいたずらっぽく言った。
「それじゃ、プリさんのお尻、いただきます」
「どうぞ、召し上がれ……」
 シャルが同じように楽しげにささやいて、体重をかけた。
 ぐぬっとリップの先端が押しつぶされた。腰の奥がむずがゆくなるような心地よさをリップは感じる。熱く、飲みこまれそうに柔らかい。このまま放出したくなる。だが我慢してもっと突き入れたほうがいいということもわかる。シャルの腰骨をつかんで、じわじわと引き下ろした。
「う……ほ、ほんと。おっきい、ね……」
 シャルが震える声でつぶやく。リップの先端にくむくむと収縮が伝わる。シャルが懸命に受け入れようとしているのだ。リップはシャルの背中に顔を押しつけて、言う。
「深呼吸したら?」
「はあーっ……」
 深く息を吐いた時、抵抗がもっとも弱くなった。その時を狙って、リップは腕に力をこめた。ぬぶっと音が聞こえるようなこすれの後、急に抵抗が弱くなった。――一番張り詰めた部分が、一番締まった部分を潜り抜けたのだ。
「はあ……あ……あ」
 シャルが深呼吸を止めてあえいでいる。リップはそのまま一気に突き入れたいのを我慢して、聞く。
「痛い?」
「ひりひりする……そ、そこ、裂けそう……」
「やめようか」
「ううん、大丈夫。でも動かないで、私がするから……」
 リップが耐えていると、シャルはくねくねと細かく腰を動かし始めた。それにつれて、少しずつリップの幹が飲みこまれていく。
「うわ……これ、すっげ……」
 リップは歯を食いしばる。徐々に幹を包み始めたシャルの胎内は、こわばりが溶かされてしまいそうな、熱っぽく柔軟な膜で覆われていた。シャルの肌のどこよりも柔らかく頼りない。人に触らせてはいけない無防備な場所なのだ。
「い、いいの? シャル。こんなとこに俺の突っ込んで……」
「いい、よ……前、触ってみて……私のおちんちん、喜んでる……」
 僧衣の前垂れを払って股間をまさぐったリップは、嬉しくなった。シャルのそれは前にも増して硬く元気になっている。シャルの快感が握った手に伝わってくる。
「ほんとだ……よし、また気持ちよくしてやるからな」
「う、うぅん……♪」
 リップが手を動かすと、シャルが鼻にかかった声を上げた。
 そこから伝わる快感が麻酔になったのか、シャルの腰に力が加わった。リップの幹の残りを、ぬるぬると飲み込んでしまう。根元まで入ると、ぴったりと背中をリップに預け、ほぉっと大きなため息をついた。リップは、すっかり自分を包みこんでくれたシャルの胎内の心地よさに、震えが来ている。
 左手をシャルの前に出して、親指と小指をいっぱいに広げた。
「俺の、長さこれぐらいあるよ。わかる?」
「うそぉ……」
 シャルが目を丸くしてつぶやく。
「私、そんなの入れちゃったの……」
「おなかの真ん中まで入っちゃってる。ていうか、もう刺さってる。シャル、おまえのおなかの中ね――」
 リップはシャルの背中を這い登るように顔を上げ、耳元に声を吹きかけた。
「ゼリーより柔らかい。死ぬほど気持ちいい。かき回したくてたまらない。ぐちゃぐちゃにしたい」
「あ……そんな……」
 かすかに脅えた声でシャルがうめく。嘘じゃない、というようにリップは腰を突き上げる。
 シャルの腹の中で、リップの熱く固い槍が、ぐにゅっと蠢いた。「んゃぁっ!?」とシャルが悲鳴のような声を漏らす。
「ほら、底まで入ってるでしょ。シャルは今、俺に体の中を好きにさせてるんだよ」
「……んふ」
 ぞくぞくっ、とシャルが小さく震えた。リップはさらにささやく。
「ここで出したら、せーし、シャルのおなか突き破って体中に回っちゃうかもね」
「う……うふっ、ふふふ……」
 シャルが歪んだ笑いを漏らして、振り返った。リップの頭を抱いて、髪の毛に顔を押し当てる。
「そうだよね……さっきの噴水みたいなのを中でされたら、そうなっちゃうかもね……」
 ささやきながらシャルが頭にキスする。
「でもそれ、嬉しいんだけど……リップとこんなにしっかりくっつけるのって、ものすごく嬉しいよ。それがせっくすでしょ。体の中まであげるのが……」
 何度もキスを降らせていたシャルが、顔を離し、熱に浮かされたような瞳でリップの目を覗き込んだ。そして、引き金のような一言を漏らした。
「あげる、何もかも。壊したかったら壊して」
「……シャルっ!」
 頭を引き寄せ合って、同時にキスを始めた。
 体をひねっているシャルのお尻を、腰を跳ね上げて突き上げる。シャルも膝のばねを使って腰を激しく上下させる。リップの幹の全長近くが勢いよく出入りし、クリーム混じりの粘液がじゅぷじゅぷと飛び散った。
 搾り上げるような締め付けがリップの幹を包み、それを貫いた奥ではたゆたゆと揺れるおなかの中身に優しく受け止められる。刺激がじかに伝わって、リップの左手の中のシャルのものがびくびくと茎を跳ね上げる。
「シャル、シャルっ! いい、溶けそうだっ」
「リップ、リップぅ! 熱いよぅ、熱くて固いのでジンジンするのぉ!」
 ひときわ強く突き込んだところで止め、左手でシャルの腰を抱きかかえてぐりぐりとこねるように動かさせた。突き刺さった幹にかき回されて、シャルが動物のようなあえぎ声を吐く。
「ううう゛ああぁぁああ、あえっ、あっ、へんなっ、なあぅあぁ」
「シャル、当たってる! 先っぽに何か、むにぃって!」
「かっ、感じるよぉ、な、ないぞう動いちゃっ、あひっ、やっ、やばいよぅ……!」
「やめないよ、俺やめてやらないからな」
「うん、うんっっ! いいの、シてぇっ!」
 うめき声を漏らしながらキスをぶつけあい、どちらのものかもわからない唾液を飲みくだす。姿勢が崩れると互いの肩に顔を押し当てて匂いをかぐ。リップはシャルの蜜のように甘い香りが、シャルはリップのひなたくさい汗の匂いが、互いにおいしくてたまらず、深く息を吸って肺に溜める。
 リップの股間の底で、今まで何度も脈打っていた部分が、限界近くなってひくつき始めた。その張り詰め具合で、リップは溜められた量を感じ取る。シャルの細い首筋に吸いつきながら、さっきのシャルと同じせっぱ詰まった声で言った。
「シャル、もうすぐっ、たくさん出るぞ、あふれるぐらいっ」
「わっ、私もぉ、でる、でそう、ほしいっ!」
 じゅっ、じゅっ、じゅっと音を立てて上下に動きながら、二人は本能的に互いのリズムを一致させていった。腰の動きと、リップの左手の動きが重なって、ぴったり一緒にいけるように、二本の根元のひくつきを同調させた。
 もうキスも忘れて互いの肩にしがみつき、リップがシャルに言いつけた。
「いくよ、わかるっ? 俺がいったら、一緒にシャルもっ!」
「わかるっ、わかるよっ、一緒に、いっしょにぃっ!」
「シャルっ、シャ、んっ、くううっ!」
「あ、きたよぉっ!」
 びゅうッ、と注ぎこまれた奔流を感じた瞬間、シャルも意識を飛ばした。撃ちこまれるリズムとしごかれるリズムの両方に身を任せて、放出の快感にすべてを忘れる。
「ふぁっ、ふぁっ、あっ、ああっ!」
 思いきり抱きしめた細い体が、リップの腕の中で愉しげに跳ねている。その痙攣のたびにリップのものがきゅぅっ、きゅぅっと吸い上げられる。一番最初に肩を抱いたときから溜まり切っていた欲情が、驚くほど長い一拍一拍で、びゅうぅっ、びゅうぅっ、と撃ち出されていく。股間が空白になるようなその放出を、リップは先端に意識を集中して味わう。シャルの煮え立ってとろけた胎内が、待ちかねていたようにそれを飲み干していく。
「くっ、くはっ、シャル、シャルぅ……」
「ひゃっ、ひゃぅ、ひゃは……はぁ……」
 およそ十回以上も痙攣する、長い長い絶頂だった。体中を浸すしびれの中で、シャルは一滴残らずしぼりだした股間のからっぽな感覚と、反対に胎内をひたひたに満たした粘液の熱さを、リップはそれに包まれた自分の幹を、なおもゆるやかに吸引するシャルの動きを、荒い息の下で静かに楽しんでいた。
「く……はあっ……」
 リップが先に余韻から抜けて、シャルを支えていた腕を放した。解放されたシャルがふらりと傾き、横ざまにベッドに倒れこむ。
「んは……ぁっ」
 ちゅぽんと音を立ててつながっていたところが外れ、シャルの動きに合わせて、シーツの上にぽたぽたと粘液の道ができた。
 倒れたシャルの乱れた僧衣の下、お尻の谷間に細かな泡が浮き、粘液がとろりとあふれ出してくる。リップはティッシュをとってそれを拭こうとした。
 手を当てると、シャルがかすかに首を振ってつぶやいた。
「だめ……もう少しほっといて……」
「……そんなによかった?」
「最高よりも最高……さっきのより、もっと……今なら死んでも後悔しない……」
 向こうをむいたまま、ひくひくと肩を震わせて、夢見るようにシャルは言う。ベッドサイドの鏡にその顔が映っている。天使のような至福の微笑が浮かんでいた。
 リップは苦笑して、部屋の中に向き直った。そして、顔を引きつらせた。
「うっわ、向こうの本棚まで……あれだけ飛ばせば、気持ちいいわけだ」
「……んみ?」
「シャル、出しすぎ」
 ティッシュをひとまとめに引き抜いて、拭きに行く。
 それ全部がぐっしょりと重くなったころ、シャルが体を起こして、振り向いた。しまった、というように口元を押さえる。
「あ……ごめん……」
「いいけどね。なんかおまえの、匂い悪くないし」
「そお?」
「うん。それとも単なる身びいきかな……」
 リップを見ていたシャルが、じきににこっと笑って言った。
「まあ、とにかく……これでせっくすのこともちゃんとわかったから、これからは楽しくなるよ」
「また来るよな? うちに」
「んん……その方がいいかな?」
 小首を傾げて、シャルが部屋の隅を指差す。リップは振り向く。
 そこに、パソコンを載せた机がある。


Jack_the_Ripper : シャル、あのさ・・
シャルトリュー : ん?
Jack_the_Ripper : ほら、あれ・・
シャルトリュー : えっちしたいのね
Jack_the_Ripper : そゆこと
Jack_the_Ripper : わかる?
シャルトリュー : ベッドの部屋まで連れてきといて、わかるもなにもないでしょ(笑)
Jack_the_Ripper : いい、かな?
シャルトリュー : さあ、どうしようかな
Jack_the_Ripper : だめなの?
シャルトリュー : だめじゃないよ
Jack_the_Ripper : なんで?
Jack_the_Ripper : 俺、もう我慢が
Jack_the_Ripper : あ、いいんだ・・・
Jack_the_Ripper : なら、早く
シャルトリュー : でも、よく考えて
シャルトリュー : 今すると、明日会うときの楽しみが減るよ
シャルトリュー : ゲームの私とリアルの私、どっちがいい?
Jack_the_Ripper : う・・
シャルトリュー : Select your characters!(笑)
Jack_the_Ripper : ・・・(汗

―― おわり ――



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