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roujin-4/概論 ......

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roujin-4@医療施設機能の体系化について、我々が関係するのは、療養型病床群と言う考え方である。特定機能病院が、高度な医療を提供する施設であるのに対し、療養型病床群は、慢性で長期の入院患者のための医療施設ということになる。今回の改正で、従来の一般病院は、一般病床と療養型病床群の2群にわけられる。それ以外の病院機能単位として、クリニックと3次病院など特定機能病院が存在するという具合になるわけである。
 さて、診療報酬の観点から、改正を見直してみる。諸外国の例に若干触れると、アメリカでは、公的医療保健制度としては、65才以上の老人・障害者にメディケアと言うものがある。この場合、入院はリハ病院、長期療養型病院、小児病院等は、適正費用方式をとり、その他の一般病院では予定定額支払制を取っている。ドイツは、日本と似た診療報酬システムをとる。今回の改正は、このあたりの整合性も考えたフシがある。
 さて、今回の改正では、病院と診療所の機能分化をはっきりと打ち出しているので、病院の外来では収入が減り、診療所の外来点数はあがった。入院では、看護料が上がった。看護料は、全体で約20%のアップである。ただし、あくまでも基準看護の場合である。基準看護外の病院では、外来のダウンを看護料のアップでまかなうことは難しい。さらに、医師・看護師が医療法基準の7割以下の場合は、改正前では、入院時医学管理料が9割に減額だったものが、8割以下の減額と厳しくなった。この場合看護料も9割で算定される。又、入院超過については、5%以上で8割の減額である。(注:これら診療報酬の改正点数については、文献b-4 59ppからを参照。)
 と言うことは、民間医療側からみると、診療所は、安い病院外来に、患者が集中することを恐れる。アメリカやイギリスでは、病院と診療所つまり、開業医とは全く別ものなので、相互の協力が成り立ってきたが、日本では、私立、公立病院と開業医の3者は全く同じ次元で競争しあってきたからである。ところが、一般病院も、基準看護の取得無しで生き残ることは不可能になるし、やっと看護師を確保しても、これまでのように、高機能な病院に患者を取られ続ければ、やはり生き残れない。従って、効率のよい外来は歓迎である。実際、基準看護を返上してしまい、病棟を縮小し、一般病院で頑張り、かつ無床診療所を併設するというやり方もみられる。この場合、看護師・準看護師という区分けでなく、質の良い看護師を確保するという考え方の施設が成功していると言う。つまり、郊外型店舗のように、スケ−ルメリット依存型企業であった日本の医業をキメの細かい高単価の医療に変更していくのが、時代のニ−ズにマッチしている訳である。
ところが、患者が、自由に病院を選択できる日本では、そのネ−ムバリュ−に安さ感が加わって、患者の関心は、さらに特定機能病院に向くことになろう。従って、特定機能病院の外来は、患者を制限する方向にむかい、紹介率を上げて行く方向を守らなくてはいけない。ところが、そうすると、いかに公立大規模病院と言えども全ての科で「高機能」を持つことは不可能だし、大学病院の場合、紹介患者だけでは、学生の臨床教育は不可能であるなどの問題が生じる。これは、競争解決に逆行する可能性を秘めた大きなジレンマである。結局、医療施設の「生き残り」イコ−ル「今後の医療の方向とのマッチング」と言うことになり、これからの医療は、医業としての側面から捕えれば、医業の本質への回帰、つまり、
1)専門性、2)緊急性、3)地域性への回帰
と言うことになろう。