roujin-3@老人の医療の特質とその対策について
ーーーーー(医)聖仁会森病院勤務90.9〜93.7までの3年間をふりかえって
以下この3年間をふりかえり、小児科・精神科を専門とする著者が、「老人の患者とは何か」を考えつつ学んだことを記してみる。
内容は、
第一部が、老人病院とは
第二部が、老人の痴呆とケア
第三部が、老人の病気と治療
である。第一部の最初に医療法の改正の話が出るため、かた苦しくはなるが、老人の医療が現在置かれている現場からまず知ることは、老人の医療理解の早道となる。Bの項では、実際のケアについて具体的に触れてみる。
第一部 老人病院とは
A.改定医療法の要点とそのゆくえ
1.概論
今回(92年)の医療法改正の2大問題は、診療報酬側から見た場合は、医療法上の人員確保と老人収容比率である。このことは後で詳しく触れるとして、医療法側からみた場合の改正の要点は、その地域医療計画のなかでとらえる必要がある。このなかに、「病床」と言う考え方があり、一般の病床と精神科、結核などの病床(特種病床)に別れる。特種病床は、都道府県の単位で設定されるが、一般病床については、日常生活圏が「医療圏」つまり医療単位である。病床数は、通常、都道府県知事が決める。病床数の特例もある。例えば病床過剰地域では、知事によって、特に必要病床数と見做されるものとして、小児疾患、救急病院、リハ専門、老人性精神疾患等の精神病床、また、老人保健施設などがある。この老人保健施設は当分の間、病床数の算定から外されることになった。
さて、医療法地域医療計画も、長期老人入院者などの整備が急を要するので、92年6月に、第2次改正が行なわれることになった。この改正で、明確に打ち出されたことは、医療が、質的整備の方向に向かって行くと同時に、その理念を具体化する態度を明確にした事である。例えば、医療施設機能の体系化や、患者への適切な情報提供などで、前者には、特定機能病院の創設、療養型病床群の創設があり、後者には、診療科目の規定を整備することなどがあげられる。今後、患者に必要な情報を院内表示することも求められる予定である。