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roujin-11/特例許可老人病院の問題点 ......

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roujin-11@e.問題点
 まず、経営的立場から生じるピンポン現象である。従来の3ケ月以上長期滞在患者の減額制でも指摘されてきた問題点である患者のピンポン現象は、老人ホ−ムと経営者の同じ病院、特例許可老人病床と一般病床でも起こりうる。
 さらに問題なのは、薬の過剰投与や点滴づけはよくないが、薬や点滴を必要な患者にそれを行なわないのはもっとよくないと言う経験医療者の声である。特例許可老人病院の定額点数には、看護料、検査料、投薬料、注射料が丸められている事からおこる問題である。
    定額制の導入により、それらがあまり必要のない患者を集める病院も出てきた。このように「元気な老人をあつめる」ことを「老人狩」と巷で呼んでいる。しかし、元気な老人の入院は、老人の生活の援助まで医療に担わせる行政の医療化体質こそ問題だという意見もある。
 また、やる気ある医師や看護師の問題がここでも生じる。例えば、老人病院と認定されてしまって、定額制をとると、意識はあるが、経口で食事が取れない患者に日常的にIVHや経管栄養を行なえば、すぐに定額の条件をこえる。
 次に、介護員の教育である。当病院事務長も介護員もミィ−ティングへの参加が必要と述べている。さらに、夜勤者の介護要員の看護婦と介護員の比率をどうするか、3交替か、2交替かなどの問題点を挙げている。
 以上から、特例許可老人病院が入院医療管理料の選択を考える場合は、
 1)人手不足の際に、マンパワ−が揃えられるか。地勢的にも過疎地域で、介護力強化病院つまり、定額制をとることは無理である。
 2)患者4に対して、介護職員1の比率が付き添い婦なしで、現実的な運営ができるか。
 3)申請から許可取得までの実績作りの期間人件費をどう手当てするか。実績作りの期間は1ケ月〜6ケ月と、都道府県に一任されている。
などが問題となる。これらを考えると、一般に付き添い婦を頼んで運営している施設では、マンパワ−が足らなくなるから、付き添い婦を介護職員として迎えられるかどうかも1つのポイントである。通常、付き添い婦は、地域によっては月収40〜45万ともいわれるので、職員化されればその1/3になってしまう給与に耐えられるか、と言う深刻な問題が生じる。
  以上から、経営的観点から見た、入院医療管理料を選択可能な厳しい条件とは、
 1)200床以上の中病院で、スケ−ルメリットが利用できる場合
 2)入院期間6ケ月以上の患者が全体の7〜8割を占める場合
 3)リハビリ施設を持っている
 4)人件費の高くない地方都市
などが揃う場合であると言える。
 それらが揃った場合、特例許可老人病院の認可を受けようとする前の具体的検討課題は、
 1)平均点数何万点などと言った、経営的な面だけで判断せず、「老人病院」としてのアイデンティティ−を確立できるか
 2)定額性の選択により、かりに経営的にコストを減らした場合、職員がついてこれるか
 3)老人患者を家庭に帰すような努力ができるか
 4)介護職員確保とともに、新たな勤務体制を長期にわたって維持継続できるか
 5)医師・看護師が、治療行為以外の、生活介護といった業務領域に存在価値を見いだせるか
  6)院内で介護職員数>看護職員数となるから、看護部門が介護部門に対して適切なリ−ダ−シップを取りきれるか
など、さらに慎重に考慮するべきと思われる。
 (医)聖仁会は、これらを考慮の上申請に踏み切ったと思われるが、函館市の場合は実績期間は1ケ月。当病院が目指すのは入院医療管理料I、対象は100床全床で、93年1月申請、2月適用の予定である。
 ちなみに、北海道における特例許可病床の施設は、1990年で113施設である。

6.老人保健施設について
a.目的
 86年の老人保健法改正によって、長期入院を是正するため、病院と家庭の中間、あるいは、病院と特別擁護老人ホ−ムとの中間に位置する生活を持った施設として創設された。症状が安定下にあり、病院での入院治療よりも看護や医学的管理下の介護及びリハビリ等が必要な老人にたいして、生活の自立を支援し、家庭復帰をめざすことが主な目的となっている。この施設で提供されるサ−ビスは、入所サ−ビス(一定期間の収容)とデイケア(通い)がある。今回、医療法の「医療提供の理念などの規定」において、病院、診療所とともに、老人保健施設が位置づけられたことは、老人医療において画期的な事と言われている。これにより、老人保健施設の定義規定が医療法の中に設けられる。
b.対象
 対象としては、
 1)病弱なねたきり老人
 2)病弱でねたきりに準ずる状態にある老人
 3)痴呆老人
c.報酬
 施設療養費は、基本施設療養費が11%引き上げられて、総額25万2240円の定額制である。特定の医療についての保健請求も認められている。風邪などの請求はだめ。さらに、痴呆専門棟を整備している所は29100円の加算がある。デイケア施設療養費も引き上げになった。
d.職員
 職員は、入所者100に対して、医師1、看護師8、介護職員20、相談指導員1、PTまたはOT1、その他栄養士、薬剤士、等については、適切な人員を配置することが定められている。
e.開設等
 老人保健施設は医療法人、社会福祉法人、地方自治体、その他告知で定める者(日赤など)が開設することができる。厚生省は高齢者保健福祉10ケ年の中で、99年までの整備を28万床としている。

7.特別擁護老人ホ−ム
 定員60人、ショ−トステイ12人ぐらいの規模で、社会福祉法人が事業主、総事業費は約9億円と言われている。