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envd02-01511281247/第5回公判2 ......

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 しばらく経ってから弁護士に電話てみました。このごろは、こっちから連絡を取ろうとしてもなかなか難しいのです。前は自分の方からかけてくれていたのになァ。事務所のオバさんも上客でないせいか、連絡がスム−ズにいくように取り計らってくれません。ぼくは少々腹がたっていました。
そんなことで、やっと電話が通じたときには、かなり感情的にもなっていました。なんでエ。おれは客だぞってエやつですね。同時に医者としての自分の態度も思い当たることがあり、反省させられるものです。いや患者さんに対してではなくむしろ、薬の注文を取りにくるプロパ−とか、他の関係者に対してです。
ボクらは、この人達は患者がいればそれこそ何時間でも待たせるし、他に用ができると平気で帰ってもらうのです。「医療が最優先ジャ。それをやからん様な奴は、プロパ−やめい!」と内心思っているからです。医療の優先もよいが、そのまえに人間に上も下もないのでした。そのことを忘れ何でも自分の都合を中心に人に対応し、相手がその都合に合わせないと「下品な奴だ」と思ってしまうクセです。気を付けなければ。オっと、話が脱線してしまった。
 で、われらが弁護士さんですが、最終弁論はキチンと覚えたようでスラスラ喋っていました。(ということは、相手がなんと言おうとも、そう言うんだろうなア。) さすが、口演のプロではある。内容は正確であるが妥当すぎてクセもなく、人の真摯な感情を伝えるには威厳が希薄であると思えました。けれどその内容は、まるで弁護士の弁論というより、裁判の判決という感じなんです。そういった判決であって欲しいと裁判官に判例を教えようとしているようなそんな文章でした。
 そしてその弁論の内容を聞きながら、なぜかしら「あなたを信じますよ」という言葉の意味をよくわかって弁論して欲しいと思っていました。医者の方はピンからキリまで、学歴も東大から、わがK大までピンキリですが、弁護士と言うと、率では医者の30倍も難しい国家試験を通らなければいけないわけです。大学の名前もすぐ浮かんでくるのはほんの2,3校なのだから、仕方がないような気もします。やはりほんとのエリ−トなのでしょう。
 そのエリ−トが犯罪の匂いのするようなゲセワな人々をどうやって理解するのかなどと言う議論は、医者でもよくされるとこじゃあるんです。ましてや、弁護士は国家試験から言うと医者の30倍のエリ−トなのですから、おおよそ、「五分の魂の意地」から程遠い人達であります。私自信は、エライとか、エリ−トだとか、そんなことをあまり患者からも周囲の人々からも言われない。なぜか。みんなボクが3流医大をやっとでた、「アホ医」だと思っているからであります。われらが弁護士さん、「五分の意地」のとこ本当に理解しないと、庶民の刑事事件は理解できないと思うゼ。まあ、ほとんどの弁護士さんは民事商法絡みで、お金と権力の構図をさ迷うみたいだけど。わたしはそんな人を知人に持っているので分かるのです。うちのセンセはその点きとくな人だと思います。が、しかしそれでも、センセの事務所に置いてあるさるマンガの主人公ロンペイ君とは違うようではあります。
 話は変わって、裁判もここに来てから、ス−プラさがしを通じて、まったく顔も知らない人と話す機会がありました。
証人探しの人の総ては男性なんですが、なかなか急な事とて、「ユミちゃんのお願い」にも慎重な人もいました。居留守を使うのです。サラ金かなにかと思ったのかなア。けれど、たった5,6人なのに「ケ−サツ」や「サイバン」という言葉の持つ響きというか、「ガンバッテください」といってくれた人が多いのは予想どうりでした。ただ一回の電話ででも、その一言の持つ響きは快いもんです。孤独感から解放されたようなそんな気がするものです。言葉の持つ意味、言葉の持つ響き、それらが幾重に重なって人の感情や思考や生活そのものを構成しているのだとつくづく思いました。
 さて前置きはこの位にして、最終弁論にはなしをもどましょう。マアなんと言うか、検事側つまりヒルカワさんの文章はひどいものだった。次にその全文を書いときます。



論告要旨
道路交通法違反(40キロメ−トル超過速度違反) ボクちゃん(犯行時37歳)
第一、事実関係
一、本件控訴事実は取調べずみの関係証拠によりその証明は十分であると思料する。以下その理由を述べる。

二、まず本件犯行の(1)日時場所については被告人も認め、(2)速度違反の犯意についても被告人は「道路標識により規制された速度の時速80キロメ−トルを超過した速度で本件道路の走行車線を運転し走行した」旨明言してその犯意を認め同乗者であったMも本件当時速度違反であったことを容認しながら同乗したことを認める。

三、ところで本件犯行時の違反速度が規制速度の時速80キロメ−トルを40キロメ−トル超過した時速120キロメ−トルであった否かの点に尽きるがこの点については(3)本件レ−ダ−機器である「M電機株式会社製RS−720CR型レ−ダ−スピ−ドメ−タ」は本件犯行日時から約二カ月半前の平成元年8月24日に確度点検の定期検査に合格し(平成2年7月16日付けS証人訊問調書)(4)本件犯行日時においてもその速度取締直前直後も同機器が正常に作動するか否かのテストが実行され正常に作動することを確認され、(5)しかもその後の平成2年2月16日における確度点検の定期検査に合格していることが認められることから本件犯行日時ころにおいても正常に作動していたことが条理として認められること。(6)本件レ−ダ−機器機器のアンテナはM電機株式会社が定めた取り扱いどおりに精確に測定されコンクリ−ト路上にその設置地点がつぶさに分かるように金属製の鋲を打ち込んでいたことから当該鋲の位置に変化がないかどうかを確認し、(8)同アンテナは路肩と平行に平坦な本件道路下り方向の内側に精確に投射角度10度の幅で向けられ、(9)美祢、小郡、山口各インタ−チェンジ方向から進行してくる時速100キロメ−トル以上の速度違反車両を対象にしていたこと。(10)いわゆるA点の測定現認係幸辰彦は特殊無線技師(レ−ダ−)の資格を有し矯正視力は1.5しかも鈴鹿サ−キットで目測測定の訓練を受けた経験をもつ同人によって、(11)本件日時ころ下り方向の見通し可能な100メ−トルの地点から時速100キロメ−トル以上で接近してきた被告人車両一台を発見しその後同車を目で追ったこと。(12)もし被告人車両の前後左右に他車両がいたりいわば団子状態になって走行してきた場合どの車両にレ−ダ−のビ−ムが当たるか分からないため検挙しなかったが、走行車線を走行した被告人車両の前後左右には他車両が全くおらず被告人車両のみであったことから検挙体制に入って一層身構えたこと。(13)手動に切替えられていた同機器とともに検挙対象に該る被告人車両を目で追いながら身構え手前約40メ−トルに接近して来たとき警報音が吹鳴したこと。(14)レ−ダ−測定速度は時速120キロメ−トルを表示し、(15)同時に約600メ−トル登り方向に設置されたいわゆるB点あて「時速120キロメ−トル」が印字通報できる操作を取ったこと。また(16)同時に被告人車両の特徴等を正確にB点あて通報したこと。(17)B点記録係兼現場責任者伊藤宏はA点から通報されてきた被告人車両の特徴等を正確に聞き取りそれを業務日誌に記載し、(18)B点停止兼取調係TもまたA点からの通報を正確に聞き取り被告人車両に停止を求めたこと。(19)B点Tの停止の求めに応じ被告人は本件普通乗用自動車を停止させたこと。(20)被告人はまずB点記録係兼現場責任者Iから速度違反の説明を受けると同時に本件レ−ダ−機器が印字した証拠物たる時速120キロメ−トルの速度記録用紙を見せられ被告人はそれを確認し署名指印したこと(証拠等関係カ−ド甲号四、平成2年5月28日付けI証人尋問調書参照)。(21)被告人は取調に応じるとともに本件事実を認め交通事件原票供述欄にも署名指印したこと(平成2年7月16日付けT証人尋問調書)。(22)その間被告人は40キロメ−トル超過速度違反に対する疑問乃至不服を述べるとか速度取締について異議を述べるなど得意な言動を全く取らなかったこと(平成2年5月28日付けI証人尋問調書参照)。(23)被告人は本件速度取締によって15番目に検挙されたが本件犯行当日被告人を除いた22名の速度違反者はいずれも検挙後違反事実を否認していないこと。などの事実から被告人が本件日時、場所において最高速度を40キロメ−トル超える時速120キロメ−トルの速度で普通乗用自動車(福山33ス3971)を運転したことが合理的に認められ本件控訴事実は明白であると言うべきである。


(続く)