『拾遺愚草全釈』参考資料 仏典

文献資料・仏典

般若心経

般若経の真髄を簡潔に説いた経典。唐の玄奘訳が最も流布している。本文は岩波文庫による。

色即是空

●般若心経

観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識。亦復如是。

【訓読】観自在菩薩、深般若波羅蜜多を行じし時、五蘊皆空なりと照見して、一切の苦厄を度したまへり。舎利子よ、しきくうに異ならず。くうしきに異ならず。しきは即ち是れくうくうは即ち是れしき受想行識じゆさうぎやうしきかくの如し。

【関連歌】上0587、下2764

 

無量義経

法華三部経の一つ。法華経の開経とされる。

無量義経徳行品

●無量義経 徳行品

微渧先墮以淹欲塵。開涅槃門扇解脱風。除世熱悩致法清涼。

【訓読】微渧先ず堕ちて以て欲塵をひたし 涅槃の門を開き解脱の風を扇ぎて 世の熱悩を除き法の清涼を致す

【関連歌】員外3395

 

●無量義経 徳行品

船師大船師。運載群生。渡生死河。置涅槃岸。

【訓読】船師・大船師なり、群生を運載し、生死の河をわたして、涅槃の岸に置く。

【関連歌】下2765

 

妙法蓮華経

鳩摩羅什訳の法華経。法華経は大乗経典の一つで、原典の成立は紀元前五〇~同一五〇年頃かという。以下、本文は主として岩波文庫による。

序品

●法華経 序品

爾時仏。放眉間白毫相光。照東方。万八千世界。靡不周遍。下至阿鼻地獄。上至阿迦尼吒天。

【訓読】その時仏は、眉間みけん白毫相びやくがうさうの光を放ちて、東方万八千の世界を照らしたまふに、周遍せざることなく、下は阿鼻地獄に至り、上は阿迦尼吒あかにた天に至る。

【関連歌】下2754

 

●法華経 序品

仏放眉間光 現諸希有事 此光照東方 万八千仏土 示一切衆生 生死業報処

【訓読】仏は眉間より光を放ちて 諸の希有の事を現はしたまふ この光は東方 万八千の仏土を照らして 一切衆生の 生死の業報処を示す。

【関連歌】下2754

 

方便品ほうべんほん

●法華経 方便品

仏所成就。第一希有。難解之法。唯仏与仏。乃能究尽。諸法実相。所謂諸法。如是相。如是性。如是体。如是力。如是作。如是因。如是縁。如是果。如是報。如是本末究竟等。

【訓読】仏の成就せる所は、第一の希有けうなる難解なんげの法にして、唯、仏と仏のみ、すなはち能く諸法の実相をきはめ尽せばなり。ふ所は、諸法のくの如きさうと、くの如き性と、くの如き体と、くの如きりきと、くの如きと、くの如き因と、くの如き縁と、くの如き果と、くの如き報と、くの如き本末究竟等ほんまつくきやうとうとなり。

【関連歌】下2733~2742

 

●法華経 方便品

無量無数劫 聞是法亦難

【訓読】無量無数劫むしゆこふにも 是の法を聞くことも亦た、かたし。

【付記】法華経の教えの得難さを説く一節。

【関連歌】上0388

 

譬喩ひゆ

●法華経 比喩品

是朽故宅 属于一人 其人近出 未久之間 於後宅舍 忽然火起 四面一時 其焔倶熾 (中略) 諸子無知 雖聞父誨 猶故楽著 嬉戯不已

【訓読】この朽ちりたる宅は 一人に属せり 其の人近くに出でて 未だ久しからざる間に 後において宅舍に 忽然こつねんとして火起り 四面は一時に その焔倶にさかんなり (中略) 諸子は知ることなければ 父のをしへを聞くと雖も 猶ことさら楽著げうぢやくし 嬉戯きげしてまず

【関連歌】下2755

 

薬草喩品やくさうゆほん

●法華経 薬草喩品

乾地普洽 薬木並茂 其雲所出 一味之水 草木叢林 随分受潤

【訓読】乾ける地はあまねうるほひ 薬木やくもくは並び茂り 其の雲より出づる所の 一味の水に 草木・叢林は 分に随つてうるほひを受く

【関連歌】員外3394

 

化城喩品けじようゆほん

●法華経 化城喩品

導師知息已 集衆而告言 汝等当前進 此是化城耳 我見汝疲極 中路欲退還 故以方便力 権化作此城 汝今勤精進 当共至宝所

【訓読】導師は『やすおはれり』と知りて 衆を集めて告げて言はく 『汝等よまさに前進すべし これはこれ化城なるのみ 我は汝が疲れ極まりて 中路に退き還らんと欲するを見るをもつて かるがゆゑに方便力をもつて りにこの城を化作せるなり 汝は今ねんごろに精進して 当に共に宝所に至るべし』と。

【関連歌】下2743

 

●法華経 化城喩品

是時疲極之衆。心大歓喜。歎未曾有。我等今者。免斯悪道。快得安穏。於是衆人。前入化城。生已度想。生安穏想。爾時導師。知此人衆。既得止息。無復疲倦。即滅化城。語衆人言。汝等去来。宝処在近。向者大城。我所化作。為止息耳。

【訓読】是の時疲れ極まりしひとびとは、心大いに歓喜して、未曽有なりと歎じ、『我等今、斯の悪道を免れて、快く安穏なることを得たり』といへり。是に於て衆人もろびとは、すすみて化城に入りて、已にこえたりとのおもひを生じ、安穏のおもひを生ぜり。その時導師、此の人衆の、既に止息しそくすることを得、復た疲倦ひけんなきを知りて、即ち化城を滅して、衆人もろびとに語りて言はく、『汝等よ去来いざや、宝処は近きにあり。さきの大城は、我の化作せる所にて、止息の為なるのみ』と。

【関連歌】下2756

 

五百弟子受記品

●法華経 五百弟子受記品

其仏以恒河沙等。三千大千世界。為一仏土。七宝為地。地平如掌。無有山陵。谷澗溝壑。七宝台観。充満其中。諸天宮殿。近処虚空。人天交接。両得相見。無諸悪道。亦無女人。一切衆生。皆以化生。無有婬欲。

【訓読】其の仏は、恒河の沙にひとしき三千大千世界をもつて、一仏土と為し、七宝を地と為し、地の平かなること、たなごころの如くにして、山陵・谷澗・溝壑有ること無からん。七宝の台観は、その中に充満し、諸天の宮殿は、近く虚空に処し、人と天と交接して、もろともに相見あひみることを得ん。諸の悪道はなく、亦た女人も無くして、一切の衆生は、皆以て化生けしやうし、婬欲有ること無からん。

【付記】「化生」とは仏説に言う四生の一つで、母胎等を経ずして、超自然的に忽然と生れ出ること。

【関連歌】上0296、下2744

 

授学無学人記品じゆがくむがくにんきほん

●法華経 授学無学人記品

諸善男子。我与阿難等。於空王仏所。同時発阿耨多羅三藐三菩提心。阿難常楽多聞。我常勤精進。

【訓読】諸の善男子よ、我と阿難とは等しく、空王仏くうわうぶつみもとにおいて、同時に阿耨多羅あのくたら三藐三菩提さんみやくさんぼだいの心をおこせり。阿難は常に多聞をねがひ、われは常に勤めて精進せり。

【関連歌】下2745

 

法師品ほつしほん

●法華経 法師品

是経難得聞 信受者亦難 如人渇須水 穿鑿於高原 猶見乾燥土 知去水尚遠 漸見湿土泥 決定知近水

【訓読】是の経は聞くことを得ること難く 信受する者も亦た難し 人の渇して水をもとめんとして 高原を穿鑿するに 猶乾燥せる土を見ては 水を去ること尚遠しと知り 漸く湿うるほへる土泥を見ては 決定けつぢやうして水に近づきたりと知るが如し

【関連歌】上0083、下2746、下2757

 

提婆達多品だいばだつたほん

●法華経 提婆達多品

爾時竜女。有一宝珠。価直。三千大千世界。持以上仏。仏即受之。

【訓読】その時竜女、一つの宝珠有り。価直あたひは三千大千世界なり。持つて以つて仏にたてまつるに、仏は即ちこれを受けたまふ。

【関連歌】下2758

 

●法華経 提婆達多品

当時衆会。皆見竜女。忽然之間。変成男子。具菩薩行。即往南方。無垢世界。坐宝蓮華。成等正覚。三十二相。八十種好。普為十方。一切衆生。演説妙法。

【訓読】当時の衆会しゆゑは、皆竜女の、忽然の間に変じて男子と成り、菩薩の行を具して、即ち南方の無垢世界に往き、宝蓮華に坐して、等正覚を成し、三十二相・八十種好ありて、十方の一切衆生の為に、妙法を演説するを見たり。

【関連歌】下2747

 

勧持品かんじほん

●法華経 勧持品

爾時仏姨母。摩訶波闍波提比丘尼。与学無学比丘尼。六千人倶。従座而起。一心合掌。瞻仰尊顔。目不暫捨。於時世尊。告憍曇弥。何故憂色。而視如来。汝心将無謂。我不説汝名。授阿耨多羅三藐三菩提記耶。憍曇弥。我先総説。一切声聞。皆已授記。

【訓読】その時仏の姨母をば摩訶波闍まかはじや波提はだい比丘尼びくにと学・無学の比丘尼六千人とは、倶に座より起ちて、一心に合掌し、尊顔を瞻仰し、目は暫らくも捨てざるなり。時に世尊は、憍曇弥けうどんみに告げたまふ、「何が故に憂ひの色にて如来を視るや。汝が心にまさに、我汝の名を説いて阿耨多羅あのくたら三藐三菩提さんみやくさんぼだいの記を授けず、とおもふことなしや。憍曇弥けうどんみよ、我は先に総じて一切の声聞に皆、已に記を授くと説けり」。

【関連歌】下2748

 

●法華経 勧持品

為説是経故 忍此諸難事 我不愛身命 但惜無上道

【訓読】是の経を説かんが為の故に 此のもろもろの難事をも忍ばん 我は身命を愛せず ただ無上道を惜しむ

【関連歌】上0297

 

従地じゆうぢ涌出品 ゆじゆつほん

●法華経 従地涌出品

譬如少壮人 年始二十五 示人百歳子 髪白而面皺 是等我所生 子亦説是父 父少而子老 挙世所不信 世尊亦如是

【訓読】譬へば少壮の人の 年始めて二十五 人に百歳の子の 髪白しくて面皺めるを示して 『是等は我が生める所なり』 子も亦た『是れ父なり』と説かんに 父はわかくして子老いたれば 世を挙げて信せざる所ならんが如く 世尊も亦たかくの如し

【関連歌】下2749

 

如来寿量品

●法華経 如来寿量品

為度衆生故 方便現涅槃 而実不滅度 常住此説法 (中略) 我見諸衆生 没在於苦海 故不為身現 令其生渇仰 因其心恋慕 乃出為説法 神通力如是 於阿僧祇劫 常在霊鷲山 及餘諸住処

【訓読】衆生をすくはんが為の故に 方便して涅槃を現はすも しかも実には滅度せずして 常にここに住して法を説くなり …中略… 我諸の衆生を見るに 苦海に没在せり 故に為に身を現はさずして 其をして渇仰を生ぜしめ 其の心恋慕するによりて すなはち出でて為に法を説くなり 神通力かくの如し 阿僧祇劫において 常に霊鷲山 及び余の諸の住処に在るなり

【関連歌】上0084、下2759

 

分別功徳品ふんべつくどくほん

●法華経 分別功徳品

雨天曼陀羅 摩訶曼陀羅 釈梵如恒沙 無数仏土来 雨栴檀沈水 繽紛而乱墜 如鳥飛空下 供散於諸仏

【訓読】天の曼陀羅 摩訶曼陀羅をらし 釈・梵は恒沙の如く 無数の仏土より来れり 栴檀・沈水をらし 繽紛ひんぷんとして乱れおつること 鳥の空を飛びて下るが如くにして 諸仏に供へちらしたてまつる。

【関連歌】下2750

 

法師功徳品

●法華経 法師功徳品

若持法華経 其身甚清浄 如彼浄瑠璃 衆生皆憙見 又如浄明鏡 悉見諸色像 菩薩於浄身 皆見世所有 唯独自明了 餘人所不見

【訓読】若し法華経をたもたば その身甚だ清浄なること 彼の浄き瑠璃の如くにして 衆生は皆見んことをねがはん 又浄明ぢやうみやうなる鏡に 悉く諸の色像しきざうを見るが如く 菩薩は浄身において 皆世の所有あらゆるものを見るに 唯独ただひとり自ら明了にして 余人の見ざる所ならん

【関連歌】上0298

 

如来神力品によらいじんりきほん

●法華経 如来神力品

是故有智者 聞此功徳利 於我滅度後 応受持斯経 是人於仏道 決定無有疑

【訓読】是の故に有智うちの者は 此の功徳のりえきを聞きて 我が滅度の後に於て まさにこの経を受持すべし 是の人は仏道において 決定けつぢやうして疑ひ有ること無からん

【関連歌】上0085

 

嘱累品ぞくるいほん

●法華経 嘱累品

如是三摩。諸菩薩摩訶薩頂。而作是言。我於無量。百千万億。阿僧祇劫。修習是難得。阿耨多羅三藐三菩提法。今以付属汝等。汝等当受持読誦。廣宣此法。令一切衆生。普得聞知。

【訓読】かくの如く三たび諸の菩薩・摩訶薩の頂をでて、このことばを作したまふ「我は無量百千万億阿僧祇劫あそうぎこふに於て、この得難き阿耨多羅三藐三菩提の法を修習せり。今以つて汝等に付嘱す。汝等よ当に受持して読誦して、広く此の法をべ、一切の衆生をして普ねく聞知することを得せしむべし」。

【関連歌】下2751

 

薬王菩薩本事品

●法華経 薬王菩薩本事品

此経能大饒益。一切衆生。充満其願。如清涼池。能満一切。諸渇乏者。如寒者得火。如裸者得衣。如商人得主。如子得母。如渡得船

【訓読】此の経は能く大に一切衆生を饒益ねうややくして、其の願を充満せしむること、清涼の池の能く一切の諸の渇乏せる者に満すが如く、寒き者の火を得たるが如く、裸なる者の衣を得たるが如く、商人の主を得たるが如く、子の母を得たるが如く、わたりに船を得たるが如く

【関連歌】上0299、員外3397

 

●法華経 薬王菩薩本事品

若人得聞。此法華経。若自書。若教人書。所得功徳。以仏智慧。籌量多少。不得其辺。

【訓読】若し人、此の法華経を聞くことを得て、若しくは自らも書き、若しくは人をしても書かしめば、得る所の功徳は、仏の智恵をもつて多少を籌量はかるとも、そのはてを得ざらん。

【関連歌】上0086

 

●法華経 薬王菩薩本事品

若有女人。聞是薬王菩薩本事品。能受持者。尽是女身。後不復受。若如来滅後。後五百歳中。若有女人。聞是経典。如説修行。於此命終。即往安楽世界。阿弥陀仏。大菩薩衆。囲繞住処。生蓮華中。宝座之上。

【訓読】若し女人有りて、是の薬王菩薩本事品を聞きて能く受持せば、是の女身を尽くして後に復た受けざらん。若し如来の滅後、後の五百歳の中にて、若し女人有りて、是の経典を聞きて、説の如く修行せば、此に於て命終みやうじゆうして、即ち安楽世界の阿弥陀仏の、大菩薩に囲繞ゐねうせらるる住処に往きて、蓮華の中の宝座の上に生れん。

【関連歌】下2760

 

観世音菩薩普門品かんぜおんぼさつふもんほん

●法華経 観世音菩薩普門品

弘誓深如海 歴劫不思議

【訓読】弘誓おほいなるちかひの深きこと海の如く 劫をるとも思議しえざらん。

【関連歌】下2761

 

妙荘厳王本事品みようしようごんおうほんじほん

●法華経 妙荘厳王本事品

仏難得値。如優曇波羅華。又如一眼之亀。値浮木孔。

【訓読】仏にひたてまつることを得ること難きこと、優曇うどん波羅はらの華の如く、又一眼いちげんの亀の、浮木うききあなふが如ければなり。

【関連歌】上300

 

●法華経 妙荘厳王本事品

二子如是。以方便力。善化其父。令心信解。好楽仏法。

【訓読】二子はかくの如く、方便力を以て善くその父ををしへて、心に仏法を信解し好楽ねがはしめたり。

【関連歌】下2752

 

●法華経 妙荘厳王本事品

世尊。此我二子。已作仏事。以神通変化。転我邪心。令得安住。於仏法中。得見世尊。此二子者。是我善知識。為欲発起。宿世善根。饒益我故。来生我家。

【訓読】世尊よ、此の我が二子は、已に仏事を作せり。神通変化を以て、我が邪心を転じて仏法の中に安住することを得、世尊を見たてまつることを得せしめたり。此の二子は、是れ我が善知識なり。宿世の善根を発起して、我を饒益せんと欲するをつての故に来たりて我が家に生れしなり。

【関連歌】下2752

 

普賢菩薩歓発品ふげんぼさつかんぽつほん

●法華経 普賢菩薩歓発品

爾時普賢菩薩。以自在神通力。威德名聞。与大菩薩。無量無辺。不可称数。従東方来。所経諸国。普皆震動。雨宝蓮華。作無量百千万億。種種伎楽。

【訓読】その時普賢菩薩、自在なる神通力と威德と名聞とを以て、大菩薩の無量無辺の不可ふか称数しようすうなるとともに、東方より来れり。経たる所の諸国は、普く皆震動し、宝の蓮華をらし、無量百千万億の種種の伎楽を作せり。

【関連歌】下2753

 

観普賢菩薩行法経

法華三部経の一つ。法華経の結経とされる。

●観普賢菩薩行法経

如是我聞。一時仏在毘舍離国大林精舍重閣講堂。告諸比丘。却後三月我当般涅槃。(中略) 一切業障海 皆従妄想生 若欲懺悔者 端坐思実相 衆罪如霜露 慧日能消除 是故応至心 懺悔六情根

【訓読】是の如きを我聞きき。一時、仏、毘舎離国、大林精舎、重閣講堂に在して、諸の比丘に告げたまはく、却つて後三月あつて、我まさ般涅槃はつねはんすべし。(中略)一切の業障海は 皆妄想より生ず 若し懺悔せんと欲せば 端坐して実相を思へ 衆罪は霜露の如し 慧日能く消除す この故にまさに至心に 六情根を懺悔すべし

【関連歌】下2763、員外3396

 

維摩経

大乗経典の一つ。別名『不可思議解脱経』。

●維摩経 方便品

是身如聚沫不可撮摩 是身如泡不得久立

【訓読】この身聚沫の如く撮摩すべからず。この身泡の如く久しく立つことを得ず。

【関連歌】上0089

 

金光明最勝王経

唐の義浄訳の金光明経。金光明経は大乗経典の一つで、西暦四世紀頃に成立したと見られる。日本においては法華経・仁王経とともに鎮護国家の三部経の一つとされた。国訳大蔵経による。

浄地陀羅尼品第六

●金光明最勝王経 巻四 浄地陀羅尼品第六

善男子。初地菩薩。是相先現。三千大千世界。無量無辺。種種宝蔵。無不盈満。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、初地の菩薩はさうげんず。三千大千世界さんぜんだいせんせかい、無量無辺の種種しゆじゆ宝蔵はうざう盈満やうまんせざるなきを菩薩ことごとく見る。

 

善男子。二地菩薩。是相先現。三千大千世界。地平如掌。無量無辺。種種妙色。清浄珍宝。荘厳之具。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、二地の菩薩、さうげんず。三千大千世界さんぜんだいせんせかい、地たひらにしてたなごころの如く、無量無辺種種の妙色めうしき清浄しやうじやうの珍宝・荘厳しやうごんの具、菩薩ことごとく見る。

 

善男子。三地菩薩。是相先現。自身勇健。甲仗荘厳。一切怨賊。皆能摧伏。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、三地の菩薩さうげんず。自身勇健ゆうこんにして、甲仗けふぢやうもて荘厳しやうごんし、一切の怨賊をんぞく摧伏さいぶくするを菩薩ことごとく見る。

 

善男子。四地菩薩。是相先現。四方風輪。種種妙花。悉皆散灑。充布地上。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、四地の菩薩さうげんず。四方の風輪ふうりん、種種の妙花めうけ、悉く皆散じそそぎて地上に充布じうふするを菩薩ことごとく見る。

 

善男子。五地菩薩。是相先現。有妙宝女。衆宝瓔珞。周遍嚴身。首冠名花。以為其飾。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、五地の菩薩に、さうげんず。妙宝女めうはうによあり、衆宝しゆはう瓔珞やうらくもて、周遍しうへんして身をかざり、首に名花みやうけかんむりとし、以て其のかざりとするを、菩薩ことごとく見る。

 

善男子。六地菩薩。是相先現。七宝花池。有四階道。金沙遍布。清浄無穢。八功徳水。皆悉盈満。□鉢羅花・拘物頭花・分陀利花・随処荘厳。於花池所。遊戯快楽。清涼無比。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、六地の菩薩に、さうげんず。七宝しつぱう花池けちに、四階しかいの道あり、金沙こんしやあまねきて、清浄しやうじやうにしてけがれなし、八功徳水はつくどくすい、皆悉く盈満やうまんし、□鉢羅花うはらけ拘物頭花くもつづけ分陀利花ふんだりけ随所に荘厳しやうごんし、華池けちの所に於て遊戯ゆげ快楽けらくするに清涼しやうりやう比なきを菩薩ことごとく見る。

 

善男子。七地菩薩。是相先現。於菩薩前。有諸衆生。応墮地獄。以菩薩力。便得不墮。無有損傷。亦無恐怖。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、七地の菩薩にさうげんず。菩薩の前に於てもろもろ衆生しゆじやうあり、地獄に堕すべきを、菩薩の力を以て便すなはち堕せざるを得て、損傷あるなく、また恐怖くふなきを菩薩ことごとく見る。

 

善男子。八地菩薩。是相先現。於身両辺。有師子王。以為衛護。一切衆獸。悉皆怖畏。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、八地の菩薩にさうげんず。身の両辺に於て師子王ありて衛護をなし、一切の衆獣しゆじう、悉く皆怖畏ふゐするを菩薩ことごとく見る。

 

善男子。九地菩薩。是相先現。転輪聖王・無量億衆。囲遶供養。頂上白蓋。無量衆宝之所荘厳。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、九地の菩薩にさうげんず。転輪てんりん聖王じやうわう・無量億衆に囲遶ゐねうし、供養せられ、頂上の白蓋びやくがいは無量衆宝の荘厳しやうごんする所なるを菩薩ことごとく見る。

 

善男子。十地菩薩。是相先現。如来之身。金色晃耀。無量浄光。皆悉円満。有無量億梵王。囲遶恭敬供養。転於無上微妙法輪。菩薩悉見。

【訓読】善男子ぜんなんし、十地の菩薩にさうげんず。如来の身、金色こんじき晃耀くわうえうして、無量の浄光皆悉く円満し、無量億の梵王ぼんわう囲遶ゐねうし、恭敬くぎやうし、供養せられ、無上微妙みみやうの法輪を転ずるを菩薩ことごとく見る。

【関連歌】上0791~800

 

●金光明最勝王経 巻四 浄地陀羅尼品第六

善男子。云何初地名為歓喜。謂初證得出世之心。昔所未得而今始得。於大事用如其所願。悉皆成就。生極喜楽。是故最初名為歓喜。

【訓読】善男子ぜんなんし云何いかんが初地を名づけて歓喜となす。いはく初めて出世の心を証得しようとくし、昔未だ得ざる所、今始めて得、大事用だいじゆうに於て其の願ふ所を知り、悉く皆成就して極喜楽ごくきらくを生ず。是の故に最初を名づけて歓喜となす。

 

諸微細垢犯戒過失皆得清浄。是故二地名為無垢。

【訓読】もろもろ微細みさい犯戒ぼんかいの過失と皆清浄を。是の故に二地を名づけて無垢となす。

 

無量智慧三昧光明。不可傾動。無能摧伏。聞持陀羅尼。以為根本。是故三地名為明地。

【訓読】無量の智慧三昧さんまい光明くわうみやう傾動きやうどうすべからず、能く摧伏さいぶくするものなく、聞持もんぢ陀羅尼だらにを以て根本とす。是の故に三地を名づけて明地みやうぢとす。

 

以智慧火焼諸煩悩。増長光明。修行覚品。是故四地名為燄地。

【訓読】智慧の火を以て、もろもろの煩悩を焼き、光明を増長し、覚品かくほんを修行す。是の故に四地を名づけて燄地えんぢとす。

 

修行方便勝智自在極難得故。見修煩悩難伏能伏。是故五地名為難勝。

【訓読】方便を修行し勝智自在極めて得難きが故に見修けんじゆの煩悩伏し難きを能く伏す。是の故に五地を名づけて難勝なんしようとす。

 

行法相続。了了顕現。無相思惟。皆悉現前。是故六地名為現前。

【訓読】行法ぎやうはふ相続して、了了れうれうとして顕現けんげんし、無相むさう思惟しゆゐし、皆悉く現前す。是の故に六地を名づけて現前とす。

 

無漏無間無相思惟。解脱三昧遠修行故。是地清浄無有障礙。是故七地名為遠行。

【訓読】無漏むろ無間むけん無相むさう思惟しゆゐし、解脱げだつ三昧さんまい遠く修行する故に、是の地清浄にして障礙しやうげあるなし。是の故に七地を名づけて遠行をんぎやうとす。

 

無相思惟。修得自在。諸煩悩行不能令動。是故八地名為不動。

【訓読】無相に思惟し、修得自在にして、諸の煩悩のぎやう、動かしむるあたはず。是の故に八地を名づけて不動とす。

 

説一切法種種差別。皆得自在無患無累。増長智慧。自在無礙。是故九地名為善慧。

【訓読】一切の法種種の差別しやべつを説くに、皆自在を得、げんなくるゐなく、智慧を増長し、自在無礙むげなり。是の故に九地を名づけて善慧ぜんゑとす。

 

法身如虚空。智慧如大雲。皆能遍満覆一切故。是故第十名為法雲

【訓読】法身ほつしんは虚空の如く、智慧は大雲だいうんの如く、皆能く遍満して一切を覆ふが故に、是の故に第十を名づけて法雲はふうんとす。

【関連歌】上0791~0800

 

金光明最勝王経巻八

王法正論品第二十

●金光明最勝王経 王法正論第二十

爾時此大地神女。名曰堅牢。於大衆中。従座而起。頂礼仏足。合掌恭敬。白仏言世尊。於諸国中。為人王者。若無正法。不能治国。安養衆生。及以自身長居勝位。惟願世尊。慈悲哀愍。当為我説王法正論。治国之要。令諸人王得聞法。已如説修行。正化於世。能令勝位永保安寧。国内居人咸蒙利益。

【訓読】の時、此の大地神女しんによ、名づけて堅牢と曰ふ。大衆だいしゆうちに於て、座より起ちて仏足を頂礼ちやうらいし、合掌恭敬くぎやうして、仏にまをしくまをさく『世尊、諸国のうちに於て人王にんのうたる者、正法しやうはふ無くば、国を治め衆生を安養し、及び自身長く勝位に居ることあたはじ。ただねがはくは世尊、慈悲哀愍あいみんして、まさに我が為に王法正論、治国の要を説き、もろもろの人王をして法を聞くことを得、すで如説によせつに修行して正しく世をし、く勝位をして永く安寧を保たしめ、国内の居人こにんをしてことごと利益りやくかうむらしめたまふべし』。

【関連歌】下2769

 

薬師瑠璃光如来本願功徳経

永徽元年(六五〇)の玄奘訳。本文は和訳薬師瑠璃光如来本願功徳経(国会図書館 近代デジタルライブラリー)を参考にした。

●薬師瑠璃光如来本願功徳経

曼殊室利。彼仏世尊薬師琉璃光如来。本行菩薩道時発十二大願。令諸有情所求皆得。

【訓読】曼殊まんじゆ室利しり。彼の仏世尊薬師瑠璃光如来、もと菩薩の道をぎやうじたまひし時、十二の大願をおこして、もろもろ有情うじやうをして求むる所を皆得せしめたまふ。

 

第一大願。願我来世得阿耨多羅三藐三菩提時。自身光明熾然。照曜無量無数無辺世界。以三十二大丈夫相八十随好荘厳其身。令一切有情如我無異。

【訓読】第一の大願に、願くはれ来世に阿耨多羅あのくたら三藐三菩提さんみやくさんぼだいを得ん時、自身の光明熾然しねんとして、無量無数無辺の世界を照曜せうやうし、三十二大丈夫の相、八十の隋好ずいがうを以て、其の身を荘厳しやうごんし、一切の有情をして我が如く異なること無からしめん。

 

第二大願。願我来世得菩提時。身如琉璃内外明徹浄無瑕穢。光明廣大功徳巍巍。身善安住焔網荘厳過於日月。幽冥衆生悉蒙開暁。随意所趣作諸事業。

【訓読】第二の大願に、願はくは我れ来世に菩提を得ん時、身瑠璃の如く、内外ないげ明徹みやうてつし、浄くして瑕穢けゑなく、光明広大に、功徳巍巍ぎぎとして、身く安住し、焔網ゑんまう荘厳すること、日月にちぐわつに過ぎん。幽冥の衆生、ことごと開暁かいげうかうむり、こころ所趣しよしゅに随ひて、もろもろの事業をさん。

 

第三大願。願我来世。得菩提時。以無量無辺智慧方便。令諸有情皆得無尽所受用物。莫令衆生有所乏少。

【訓読】第三の大願に、願はくは我れ来世に菩提を得ん時、無量無辺の智慧方便を以て、諸の有情をして皆無尽の所受用物しよじゆようもつを得て、衆生をして乏少ばうせうなる所有らしむることけん。

 

第四大願。願我来世得菩提時。若諸有情行邪道者。悉令安住菩提道中。若行声聞独覚乗者。皆以大乗而安立之。

【訓読】第四の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し諸の有情、邪道をぎやうぜん者は、ことごとく菩提道の中に安住せしめん。若し声聞・独覚乗を行ぜん者は、皆大乗を以て、しかこれ安立あんりふせん。

 

第五大願。願我来世得菩提時。若有無量無辺有情。於我法中修行梵行。一切皆令得不缺戒具三聚戒。設有毀犯聞我名已。還得清浄不墮悪趣。

【訓読】第五の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し無量無辺の有情、我が法の中に於て梵行を修行せんに、一切皆不欠戒ふけつかいを得て、三聚戒さんじゆかいを具せしめん。たと毀犯きぼんありとも、我が名を聞きをはらば、かへつて清浄しやうじやうなることを得て、悪趣に墮せじ。

 

第六大願。願我来世得菩提時。若諸有情。其身下劣諸根不具。醜陋頑愚盲聾瘖瘂攣躄背僂白癩癲狂種種病苦。聞我名已一切皆得端正黠慧。諸根完具無諸疾苦。

【訓読】第六の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し諸の有情、其の身下劣にして、諸根具せず、醜陋しうろう頑愚ぐわんぐ盲聾まうりよう瘖唖おんあ攣躄れんへき背僂はいる白癩びやくらい癲狂てんきやう、種種の病苦あらん。我が名を聞きをはらば、一切皆端正たんじやう黠慧かつゑにして、諸根完具し、諸の疾苦無きことを得ん。

 

第七大願。願我来世得菩提時。若諸有情。衆病逼切無救無帰無醫無薬無親無家貧窮多苦。我之名号一経其耳。衆病悉得除身心安楽。家属資具悉皆豊足。乃至證得無上菩提。

【訓読】第七の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し諸の有情、衆病逼切ひつせつして、救ひ無く帰なく、医無く薬無く、しん無く家無く、貧窮ひんぐう多苦ならんに、我が名号、一たび其の耳にば、衆病悉く除き、身心安楽ならん。家属かぞく資具しぐ、悉く皆豊足ぶそくし、乃至ないし無上菩提を証得せん。

 

第八大願。願我来世得菩提時。若有女人。為女百悪之所逼悩。極生厭離願捨女身。聞我名已一切皆得転女成男具丈夫相。乃至證得無上菩提。

【訓読】第八の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し女人によにん有りて、によの百悪の逼悩ひつなうする所と為りて、極めて厭離を生じて、女身を捨てんと願はんに、我が名を聞き已らば、一切皆によを転じて、なんと成り、丈夫の相を具することを得ん。乃至無上菩提を証得せん。

 

第九大願。願我来世得菩提時。令諸有情。出魔羂網。解脱一切外道纒縛。若墮種種悪見稠林。皆当引摂置於正見。漸令修習諸菩薩行速證無上正等菩提。

【訓読】第九の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、諸の有情をして、魔の羂網けんまうを出で、一切外道げだう纏縛てんばくを解脱せしめん。若し種種悪見の稠林てうりんに墮せば、皆まさ引摂いんせふして、正見しやうけんに置き、やうやく諸の菩薩の行を修習しゆじふせしめ、すみやかに無上正等しやうとう菩提を証せしむべし。

 

第十大願。願我来世得菩提時。若諸有情。王法所録。縲縛鞭撻繋閉牢獄或当刑戮。及餘無量災難凌辱悲愁煎迫。身心受苦。若聞我名。以我福徳威神力故。皆得解脱一切憂苦。

【訓読】第十の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し諸の有情、王法に録され、縲縛るいばく鞭撻べんたつせられ、牢獄に繋閉けいへいせられ、或はまさ刑戮けいりくせらるべく、及び餘の無量の災難凌辱りようにくに、悲愁煎逼せんひつして、身心苦を受けんに、若し我が名を聞かば、我が福徳威神の力を以ての故に、皆一切の憂苦いうくを解脱することを得ん。

 

第十一大願。願我来世得菩提時。若諸有情。飢渇所悩。為求食故造諸悪業。得聞我名專念受持。我当先以上妙飲食飽足其身。後以法味。畢竟安楽而建立之。

【訓読】第十一の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し諸の有情、飢渇に悩まされ、じきを求めんが為の故に、諸の悪業を造らんに、我が名を聞くことを得て、専念受持せば、我まさに先づ上妙の飲食おんじきを以て其の身を飽足はうそくせしめ、後に法味を以て、畢竟安楽にしてこれを建立すべし。

 

第十二大願。願我来世得菩提時。若諸有情。貧無衣服。蚊虻寒熱昼夜逼悩。若聞我名專念受持。如其所好即得種種上妙衣服。亦得一切宝荘厳具華鬘塗香鼓楽衆伎。随心所翫皆令満足。

【訓読】第十二の大願に、願はくは我れ来生に菩提を得ん時、若し諸の有情、貧にして衣服無く、蚊蝱ぶんばう寒熱、昼夜逼悩ひつのうせんに、若し我が名を聞き、専念受持せば、其の所好しよかうの如く、即ち種種の上妙の衣服を得、亦一切宝荘厳の具の華鬘けまん塗香づかう、鼓楽衆伎を得ん。心の所翫しよぐわんに随つて、皆満足せしめん。

 

曼殊室利。是為彼世尊薬師琉璃光如来応正等覚行菩薩道時所発十二微妙上願。

【訓読】曼殊まんじゆ室利しり。是を彼の世尊薬師瑠璃光如来応正等覚、菩薩の道を行したまひし時、おこしたまひし所の十二の微妙みめうの上願とす。

【関連歌】上1199

 

阿毘達磨倶舎論

阿毘達磨あびだつま倶舎論くしやろん』は西暦4~5世紀頃のインドの僧世親(ヴァスバンドゥ)の著作。玄奘訳。略称を『倶舎論』という。

●阿毘達磨倶舎論

無色界中都無有処。以無色法無有方所。過去未来無表無色不住方所。理決然故。但異熟生差別有四。一空無辺処。二識無辺処。三無所有処。四非想非非想処。如是四種名無色界。

【訓読】無色界の中にはすべて処有ること無く、色法無きを以て方所有ること無し。過去未来と無表と無色とは方所に住せず、理決然なるが故なり。ただ異熟生の差別に四あり、一に空無辺処、二に識無辺処、三に無所有処、四に非想非非想処なり。かくの如き四種を無色界と名づく。

【関連歌】上1200

 

説法明眼論

説法明眼論せつぽうみようげんろん』は聖徳太子の作と伝わるが、詳しいことはよく判らない。別府大学 機関リポジトリ『説法明眼論』本文(pdf文書。http://repo.beppu-u.ac.jp/modules/xoonips/download.php?file_id=3520)および同翻刻(http://repo.beppu-u.ac.jp/modules/xoonips/download.php?file_id=3505)を参考にした。

応身品第十五

●説法明眼論 応身品第十五

或住一郡 或処一縣 或処一村 宿一樹下 汲一河流 一夜同宿 一日夫妻 一所聴聞 暫時同道 半時戯笑 一言会釋 一坐飲酒 同杯同酒 一時同車 同疊同坐 同牀一臥 軽重有異 親疎有別 皆是先世結縁

【訓読】或は一郡に住み、或いは一県にり、或は一村にり、一樹の下に宿り、一河いちがの流れを汲み、一夜いちやの同宿、一日いちじつの夫妻、一所の聴聞、暫時の同道、半時の戯笑けせう、一言の会釈、一坐の飲酒おんじゆ、同杯同酒、一時の同車、同畳どうでう同坐、同床一臥いちが、軽重異有り、親疎別有るも、皆な是れ先世の結縁けちえんなり。

【関連歌】上0130

 


公開日:2013年01月30日

最終更新日:2013年01月30日