神人部子忍男 かむとべのこおしお 生没年未詳

信濃国埴科(はにしな)郡の人。主帳(郡の書記官)。天平勝宝七歳(755)二月、防人として筑紫に派遣される。

 

ちはやぶる神の御坂に(ぬさ)まつり(いは)ふ命は母父(おもちち)がため(万20-4402)

【通釈】神の御坂に幣をたてまつり、命の無事を祈る――それは自分のためではない、母と父のために祈るのだ。

【語釈】◇ちはやぶる 「神」の枕詞◇神の御坂 長野・岐阜県境の神坂峠か。普通名詞と見る説もある。◇幣 神への捧げ物。旅に出るとき、紙または絹を細かく切ったものを袋に入れて持参し、道祖神の前等でまき散らした。


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日