![]() |
バラ科シモツケ属の落葉低木。初夏、紫陽花よりもっと小さな花を群がり咲かせ、滲むような独特の色合が美しい。花の色は淡紅色と白とある。鎌倉長谷の光則寺で撮影した一株は二色混じって咲いていた。
名は下野の国(今の栃木県)で初めて発見されたためとか、下野にたくさん咲いていたためとか言われている。私は白花を見た時、あたかも霜が付いているようだったので、「霜付け」ではないかと素人考えをしてみたことがあるが、似たようなことを考えた人はいるらしい。
枕草子の「草の花は」の章段に取り上げられ、王朝人にも愛されたようだが、和歌では余り人気がなく、物名歌でたまに取り上げられている程度。
うゑて見る君だにしらぬ花の名を我しもつげん事のあやしさ
拾遺集よみ人しらず。第四句に「しもつけ」を隠している(当時の表記は仮名の清濁を区別しなかった)。大意は「植えて眺めている当人のあなたが知らない花の名を、私が告げることの不思議さよ」。名も知らぬまま下野の花を植えていた友人をからかっているような調子だ。拾遺集の成立は寛弘二、三年頃(1005〜06)とされていて、枕草子とほぼ同時代であるが、当時の都ではまだこの花がさほど普及していなかったことが窺われる。
**************
『散木奇歌集』 (しもつけ) 源俊頼
うらみてもなににかはせん花みるとけさしもつけぬ心せばさは
『続後拾遺集』 (久安百首歌めしける次に、しもつけの花) 崇徳院御製
さしぐしもつけのはなくてわぎもこが夕占のうらをとひぞわづらふ
『夕波』 中河幹子
しもつけの
公開日:平成17年11月27日
最終更新日:平成19年6月13日