4 次コオナアへゆくまへがきへ戻る        *                                                                をはり                                                     乱れてゐる片栗の花  少女たちが大勢入り乱れて水を汲む寺の泉 その畔に 咲き                                寺井のうへの堅香子の花 十九|四一四三                         物部の八十乙女らが汲み乱ふ                              堅香子草の花を攀ぢ折る歌             *                                            はらはらと庭に降つた斑雪が 枝に消え残つてゐるのだらうか  あれは 前栽の李の木が花をつけたのだらうか それとも                              庭に落るはだれの未だ遺りたるかも 十九|四一四〇                            我が園の李の花か        *                                            ゐる のかに赤く色づいた道に 紅の裳裾を垂らした少女たちが佇んで  春の園は 紅の色に照り映えてゐる 桃の花に染められてほ                                下照る道に出で立つ乙女 十九|四一三九                            春の苑紅にほふ桃の花                              春苑の桃李の花を眺めて作る二首