9 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                  をはり                            る予定があつたため 早く四月になることを願つてゐるのです た大嬢を思つて詠んだ歌 この年四月に正税帳使として帰京す  天平十九年 国守として越中にゐた家持が 都に残してき へながら妻は私を待つてゐることだらう  春の花が散る季節になるまで逢はなかつたので 月日を数                                月日よみつつ妹待つらむぞ 十七|三九八二               春花のうつろふまでに相見ねば                                            十七|三九七八                             逢ひて早見む       逢つて 早く共寝したい            吾を待つと 寝すらむ妹を 私を待ち焦がれて寝てゐるだろう妻に                 門に立ち 夕占問ひつつ  門先に立つては 夕占で占つたりしつつ                 下恋に 思ひうらぶれ   面には出さず恋しさに打ちひしがれて             ぬえ鳥の うら泣けしつつ ぬえ鳥のやうにしのび泣きながら           青丹よし 奈良の我ぎ家に 青丹美しい奈良の我が家で                 淡海路に いゆきのりたち 近江道に足を踏み入れ                 外のみも 振り仰け見つつ よそ目にばかり眺めやりつつ                 卯の花の にほへる山を  卯の花が咲き映える山を             いつしかも 早くなりなむ 早くならないものか           霍公鳥 来鳴かむ月に   ほととぎすが来て鳴く四月に                 よしゑやし 由はあらむぞ ままよ 手立てはあるはずだ