3 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                 をはり                                                                               幽かに繊細に響く この夕暮れ時であることか  庭先の ささやかな竹の群を吹きわたる風の音が なんと                                 音のかそけきこの夕へかも 十九|四二九一                            我が屋戸のいささ群竹ふく風の                            興に依りて作る歌              *                                             御庭園の竹林には雪が降つてゐる  もう春になつて 鴬がしきりに鳴くのを聞いたといふのに                                しき啼きにしを雪はふりつつ 十九|四二八六                          御苑ふの竹の林に鴬は                            述ぶる歌                      大雪降りて積むこと尺二寸 因りて拙き懐ひを       *                                             た雪 誰が払ひ落してしまふだらうか  月の照る夜にはあたかも花に見える 竹の葉に降り積もつ                                   降る白雪をたれか払はん 家持集                            月夜には花とぞ見ゆる竹のうへに                              無題