3 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                 をはり                                                      一年に再びゆかぬ秋山を心に飽かず過ぐしつるかも  万葉巻十には次のやうな類想歌がある                            にかけぬまま むなしく過ごしてしまつたことだ  一年のうち二度巡り逢ふことは出来ない秋の山なのに 心                                  心にもあらず暮らしつるかな 家持集                       ひと年にふたたび行かぬ秋山を       *                                           この山は もう紅葉が始まつたのだ     萩の花が散るのが惜しいと鹿が鳴く そんな声の聞こえる                                 声聞く山は紅葉しにけり 新勅撰和歌集&家持集               秋萩のうつろふ惜しと鳴く鹿の                               題知らず                 *                                              雁がねを聞きつるなへに高松の野の上の草ぞ色付きにける    万葉巻十には次のやうな類想歌がある   雁が鳴くにつれて 高円の野辺の草の葉も色づいたのだ                                   野辺の草葉も色付きにけり 家持集                            雁がねの鳴きつるなべに高円の                               秋の歌