2  次頁へゆくまへがきへ戻る       *                                              その川とは 雁の故国と考へられた土地の川 の川のほとりに  賑やかに集まつてゐることだらう 秋風が寒くなつたので そ  雁は 書信を届ける使として この地へとやつて来ようと                                   秋風寒みその川の辺に 一七|三九五三                            雁がねは使ひに来むと騒くらむ        *                                              遠つ人は雁にかかる枕詞 らであらう  今日の明け方は秋風が寒かつた 雁が来て鳴く時が近いか                                   雁が来鳴かむ時近みかも 一七|三九四七                        今朝の朝け秋風寒し遠つ人                            宴せる歌                   八月七日夜 守大伴宿禰家持の館に集ひて       *                                             れる そのやうに 恋人のことがしきりと偲ばれる もりなのだらう その稲の穂立ちがしきりと心に思ひ浮かべら  雲に隠れ鳴く雁が去つてゆく 彼方の秋田に羽を休めるつ                                  秋田の穂立ち繁くし思ほゆ 八|一五六七                       雲隠り鳴くなる雁のゆきて居む                          秋の歌