4 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                 をはり                                                     振り上げて杭を打ち込む意か  かしは舟を繋ぎ留めるために水中に立てる杭のこと ふる らうか 舟を繋ぐ杭を打ち込んでゐる間に 夜はすつかり更けてしまふだ  天の川の青い波に 袖まで濡らしながら漕いでゆく舟 この                               大伴宿禰家持 独り天漢を仰ぎて作る                                    かしふる程に小夜ふけなむか 二十|四三一三                         青波に袖さへぬれて漕ぐ船の       *                                             はり織女の立場で詠んだ歌でせう た風情を詠つてゐます 和草の女性的なイメエジから これはや 人にいよいよ逢へることを思ふと自然に顔がほころびる といつ  上三句はにこよかを導く序詞 七月七日の当夜となつて 恋 ではないけれど にこやかに自ずと顔がほころびることである  秋風に吹かれて靡く 天の川のほとりの和草 そのにこぐさ                                にこよかにしも思ほゆるかも 二十|四三〇九           秋風になびく川びのにこ草の       *                              牽牛の立場で詠んだ歌 は緩く結んでおいた 愛しい人と逢ふ時のために  吹き初めの秋風が涼しい今宵 すぐ解けるやうにと 衣の紐                                紐は結びし妹に逢はむため 二十|四三〇六               初秋風すずしき夕へ解かむとぞ       *          七夕の歌八首より