1  次頁へゆくまへがきへ戻る      *                                                                         牽牛が織女のもとへ出掛ける時の心情を詠ふ が更けてしまはぬうちに 立ち渡つてくれ そして人びとの目から私の姿を隠してくれ 夜  愛しい恋人の袖を巻きに出かけよう 天の川の河瀬に 霧よ                               霧たちわたれ小夜ふけぬとに  十九|四一六三                            妹が袖われ枕かむ河の瀬に                             予て作る七夕の歌一首             *                                             集古義の説が肯けます なほ題詞の十年は天平十年  この船は牽牛が織女を迎へに来た船であらう とする 萬葉 水しぶきで 晴れ渡つてゐた月夜に雲が広がつてきた  織女が今しも船に乗つて天の川を渡つて行くらしい 船出の                                 清き月夜に雲立ちわたる  十七|三千九百                            たなばたし船乗りすらし真澄鏡                             を述ぶる一首                  十年七月七日の夜 独り天漢を仰ぎて聊か懐ひ       *                                           家持秀歌選 七夕