3 次コオナアへゆくまへがきへ戻る       *                                                                 をはり                                                     恋人に逢ひたくても逢へないといふ憂鬱が含まれてゐるのです 忌み月として恋人との逢瀬などは憚られました 心欝せみには と しかも この歌が作られた陰暦九月は稲の収穫期にあたり  雨隠りとは 雨に濡れることを忌んで家に籠もつてゐるこ                           みたら 春日の山は時雨に濡れてもう紅葉してゐた  雨籠もりをしてゐると心が鬱鬱としてならず 庭先に出て                                 春日の山は色づきにけり 八|一五六八                            雨ごもり心いぶせみ出で見れば        *                                            ながら遠ざかつてゆく 早稲田の季節の雁の声よ  秋の長雨が休みなく降り続く その中を 雲に隠れて鳴き                                 鳴きぞゆくなる早稲田雁が音 八|一五六六                            ひさかたの雨間も置かず雲隠り                              秋の歌                       *                 三 時雨