巫部麻蘇娘子
かんなぎべのまそおとめ
- 生没年 未詳
- 系譜など 巫部が氏で麻蘇は字(あざな。通称)か。または巫部麻蘇で一つの氏名(うじな)だったか。巫部氏は祭祀氏族の一つで、姓ははじめ連、のち宿禰。神に仕え、音楽や舞で神の心を和らげる役割を負ったことからの氏名かと言われる。『新撰姓氏録』によれば、平安右京・山城・摂津・和泉の諸国に居住。なおマソは麻のことで、特に神祭の際用いられた麻を言う。名からすると、神子(みこ)だったか。
- 略伝 万葉集巻七に2首、巻八に2首を残す。巻八の鴈の歌は大伴家持によって和されている。
巫部麻蘇娘子歌二首
我が背子を相見しその日今日までに我が衣手は干る時もなし(04/0703)
栲縄の長き命を欲りしくは絶えずて人を見まく欲りこそ(04/0704)
巫部麻蘇娘子鴈歌一首
誰れ聞きつこゆ鳴き渡る雁がねの妻呼ぶ声の羨しくもあるか(08/1562)
大伴家持和歌一首
聞きつやと妹が問はせる雁が音はまことも遠く雲隠るなり(08/1563)
巫部麻蘇娘子歌一首
我が宿の萩花咲けり見に来ませいま二日だみあらば散りなむ(08/1621)
関連サイト:麻蘇娘子の歌(やまとうた)
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