■ゆりかごから・・・・■
 (富士重工宇都宮車両工場)


1.富士重工宇都宮車両工場

 鉄道車両メーカの近くを通るとき、鉄チャンなら少なからず心が躍リますよね。
私も、宇都宮に住み始めたとき、地元に鉄道車両メーカがあることをとてもうれしく思いました。
その鉄道車両メーカとは現在の正式名を
「富士重工業株式会社宇都宮車両工場」(同社のHPより)
と称し、宇都宮市の南部に位置しています。
 同工場は、社会活動にも力を入れておられる様で、北側のコンクリート製外壁を自由なキャンバスとして開放し、毎年市民の手で楽しい壁画が描かれています。


2.沿革

 富士重工業といえば、「中島飛行機」がその前身であることをご存知と思います。
宇都宮車両工場も1943(S18)に「中島飛行機」が開設した工場を前身として、戦後、宇都宮車両、富士産業などを経て現在に至っています。
 当初は、戦災車の復旧などを手がけていたようですが、1955に国鉄から気動車メーカの指定を受けキハ17などの製造に着手、1969には客車メーカとしての指定も受けています。その後、さまざまな車両の製造を手がけ、最近では、
  ☆JR四国・JR北海道向け制御つき振り子式特急気動車
  ☆JR東日本「カシオペア」向け寝台車
  ☆同社の関連事業であるバス車体技術を融合したLE−Car
などが特筆に価するとおもいます。
         南部レールバス
 かの有名な上の車両も、兄弟そろって宇都宮生まれです。
(S37年生まれ 南部縦貫鉄道 キハ101・102 野辺地  1997)

3.現在の状況

正門の社名

工場遠景 工場を北側からみる。
手前の踏切はJR日光線。
作業中のHOT7000系。
運がよければ、通りがかりにこんなのを見かけることがある。出荷前の作業は特に活気がある。
(公道から撮影)
作業中のHOT7000系
構内線路 構内の線路。
左の奥が、よく鉄道情報誌の新車紹介で撮影に使われるスポット。
左の線路は、上の写真へと繋がる。
構内を出て、鶴田駅に向かう専用線。
オーバークロスするのは東武宇都宮線。
車両の出入りがあるとき以外は怪しい雰囲気。
専用線

4.古写真

甲種回送 鶴田駅で出発を待つ甲種回送列車。
この日は、PF牽引3ユーザ併結。
(S63)
上の写真と同じ列車
JR東海:キハ85
樽見鉄道:ハイモ230
JR四国;キハ185
の3種混合で出荷・・・・・
キハ85+ハイモ230+キハ185
廃車キハ180 ここでは、車両新製のみでなく、改造、解体もこなされていた。
ここを生まれ故郷とした車両もあれば、ここを終焉の地とした車両、第二の生涯の起点とした車両、さまざまなドラマがあったことだろう。
左は、構内に引き込まれたキハ180。

(S56ごろ)
撮影:TOBE氏
旧客終焉の頃には、相当数の車両が搬入されここを最後の地としたらしい。
写真はオロネ10。

(S56ごろ)
撮影:TOBE氏
廃車オロネ10
LE−Car LE−Carの試作車
今でも構内に保管されているのか?
南部のお兄さんたちの面影がある?

(S56ごろ)
撮影:TOBE氏

5.ちょっと怪しい

仮台車 車両製造の過程で利用される仮台車。
車両工場と少しはなれた場所に、大量の仮台車が保管されている。
基本的には、廃車輪+車軸のジャーナル部をぶった切ってアングルの枠を乗せたもの。(この切り口が鋸跡も生々しい)
その中にちょっと怪しい車輪を見つけた。
松葉スポークだ!
それにしてもタイヤが薄い。
松葉スポーク1
松葉スポーク2 もう1軸発見!
超貴重品だ!!
誰がはいていたのだろうか・・・?
どこを転がってきたのだろうか・・・?
近くで刻印が見てみたい。

(ご注意)
この場所は、公道から見ることができます
ただし、立ち入りはできません
上の写真3点は公道から撮影しています。

6.あとがき

残念なニュースを目にしました。
2002年度限りで、富士重工は鉄道車両製造から撤退するようです。
富士重工HPのプレスリリース)
新潟鐵工所に続き、DC・PCの両雄が撤退することは寂しい限りです。

かつては、川崎重工(旧汽車)と富士重工の2鉄道車両メーカを抱えた宇都宮近郊ですが歴史の流れには逆らえないようです。
せめて、あのコンクリート製外壁を見るときは、そこにすばらしい気動車や客車を作るメーカがあったことを思い起こしたいとおもいます。
願わくば、何らかの顕彰が行われんことを・・・。
(南部のお兄さんの里帰りとか・・・)

宇都宮生まれの車両、総数は10,299両だそうです。
(富士重工のプレスリリースより)



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修正    2002.9.27 北門→工場  LE−Carの行方
作成    2002.9.1 
写真撮影 2002.3.23 2002.7.14(古写真を除く)

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