メルコ FTD-W17VS 修理 (2008/5/25)

(Last update:09/02/06)


修理前の画面の様子 裏蓋を開けたところ。
なかなか厳重なシールド
黒い外装フィルムの電解コンは
全て G-LUXON製 @o@
サブ基板
チューナユニット PLL-IC 周辺。
よーく見ると外装フィルムが弛んだ
電解コンを3つ発見。
とりあえず 2.2μF のみ交換。
シールドは無理矢理こじ開けた(爆)
原因部品

きっかけ:

 2002年末に購入したTVチューナ付きの液晶ディスプレイ(メルコ FTD-W17VS)の画面が乱れるようになってしまった。このディスプレイは入力系統がたくさんあるし、Picture in Picture もできて便利なので、地デジ完全移行の 2011年まで使い倒してやろうと修理を決意。


症状:

 (1) テレビ画面がランダムに乱れる。
 (2) 電源ON後、しばらく(1分程度)すると治る。
 (3) 他の入力系統からの映像表示は問題なし


原因の特定:

 上記症状から、原因はテレビチューナー部もしくはチューナへの電源供給部であることはまず間違いないだろう。また (2) からして、温度で特性が変化するわけだから、電解コンデンサの容量抜け(故障原因の定番中の定番)もしくは PLL-IC 自体がクサイ。


開腹:


 筐体を開けて目眩がした。製造時期からしてやっぱりというか、電解コンデンサのほとんどが粗悪電解コン事件で悪名高い G-LUXON 製。メイン・サブ基板を併せると少なくとも 60個以上の G-LUXON 電解コンが付いている。幸い、大部分は低ESR品ではなさそうだが、心情的には全部交換したいところ。ちなみにインバーターユニットは TDK 製なのだが、しっかりと OS コンが使われていた。さすがだ @o@


観察:


 念のため、定番の電源ラインから目視確認してみる。しかしメイン基板、サブ基板ともに電解コンデンサの膨張・パンクや液漏れは見られなかった。まぁ、マザーボードと違ってそれほどシビアな環境ではないのかもしれないが、原因がすぐに特定できずちょっとがっかり(ぉぃ)。

 気を取り直して、当初の予定通りチューナー方面を攻めることに。サブ基板の保護カバーを取り外し、ドライヤーを使ってチューナー部付近を空冷すると症状が発生することを確認。厚紙で防風壁を作ってドライヤーの風当たりを調整しつつ、原因部分をどんどん狭めていくと、予想通りチューナーパック自体が原因であることが確定した。

 が・・・。チューナーパックというのは結構厄介で、まっとうに修理しようとするならサブ基板からチューナーパックを半田除去して取り出し、さらにシールドを分解しないと基板の半田面が出てこず、部品の交換ができない。高周波ユニットであることを考えるとあまりやりたくない作業である。

 とはいえ、原因がほぼ特定できたのにこのまま放っておく手はない。まずはチューナーパックの PLL ユニット部のシールドをこじ開けてみると、中には電解コンデンサが4つあった。どれも外観上特に問題なさそうだったが、こちらのページなども参考にしつつ、氷で冷やすと画面が乱れる電解コンデンサを探していくと原因が特定できた。

 問題の部品は PLL-IC TDA9800T の AGC(19pin) に繋がっている 2.2μ の電解コンデンサ。大きさがかなり小さいので外観は一見正常に見えたのだが、よくよく注意して見ると頭部外装フィルムが少し弛んでおり、冷やすと再現性良く症状が再発する。こいつは幸いなことに基板から少し浮かして取り付けられているので、チューナーパックを完全にバラさなくても交換作業ができそうである。

 早速問題の電解コンを、少し足を残して切除し、新品に交換(本当は OS コンに交換したかったのだがあいにく手持ちが無かったのでノーマル品を使用。せめて 105℃品にしておきたかった・・)。これにより症状は完璧に治まって修理完了となった。

 なお、残りの電解コンも危なそうだが、基板に密着していて交換が大変そうなのと、2.2μ の交換だけで症状が治まったため、今回はこれで良しとした。


最後に:

 これまで数種類のマザーボードやルーター電源部(=使用環境がシビア)の電解コンデンサ交換を行ったことはあったが、今回のようにさほど環境がシビアではなさそうな部分でも容量抜けは起こるのね、と実感。

 ともあれ、10円もしない部品を交換しただけで数万円の出費(買い換え)をしなくて済んだわけで、実にコストパフォーマンスの高い修理であった。


2009/02/06 追記:

 2009/02/02 に突如音声が出なくなってしまった。テレビだけでなく全系統の音声が出ないことから、アンプもしくは電子ボリューム・音声セレクタ IC まわりの電解コンの容量抜けが一番怪しいのだが、結局原因が突き止められなかった(泣)。地デジ移行まで使い倒そうと思っていただけに無念である。

 幸い映像系はまったく問題ないので、今後はコンピューター用ディスプレイとして余生を過ごすことに。ま、ヒマな時に電解コンの総取替えでもしてみるか(爆)


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