(Last update:2012/02/13)
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メイン基板。 この基板だけでも十分独立 運用可能な構成。 電解コンデンサは LCD を 支える支柱を兼ねている ^^; |
データ出力拡張基板 XBee、RS-232C→USB変換、 SD カードロガー「OpenLog」、 7セグ LED表示装置の 4デバイスがぶら下がる。 |
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7 セグ LED 表示装置装備時。 LED はソケット式。気分次第で いろんな色に差し替え可能 ^^; |
システム全景 |
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運用時 | 側面加工の様子 |
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ハードウエア変更点 | 直射日光の当たらない 北側の窓際に設置。 アルミホイルで巻いているのは 紫外線によるケース劣化防止のため。 アルミホイルで巻いた上に受信側まで 外壁を 2枚を挟んで 5m 程度あるが、 ちゃんと無線でデータが取れている @o@ |
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データ処理の様子。 放射線量取得( XBee 無線)、 気象データ収集、花粉量データ収集、 統合グラフ化、Web サーバーへの FTP を全自動で行う。 パソコンは完全ファンレスの EPSON Endeavor NP11-V 。そのままでは 熱暴走する欠陥商品(怒)なので、 中身ムキ出しで稼動させている。 |
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現在テスト運用中の 放射線量と気象データ統合グラフ (3時間毎に自動更新) |
経緯:
いよいよ花粉が飛んでくる季節。花粉症の管理人にとってはただでさえウンザリする季節なのに、原発事故のおかげで多かれ少なかれセシウムに汚染された花粉が飛んでくるのは間違いない。
だが飛んでくるのは花粉だけだろうか。
実際、2011年末〜2012年始に、関東各地で放射線量の上昇が観測された。まだまだ油断はできない。強風による汚染土壌の吹き上げ、汚染瓦礫の焼却、現在でも原発から放出され続けている放射性物質等、空間線量を上げる要因は多々ある。
いい加減な収束宣言に騙されることなく、とにかく監視が必要だ。
コンセプト:
長期観測を目的とする。そのため、
・バッテリーバックアップ装備
・SD カードロガー搭載
とし、停電でのデータ欠損を極力防ぐ。
またデータの吸い上げも、
・XBee による無線
・RS-232C → USB による有線
の2方式をサポートする。
さらに RS-232C 経由で測定値を 7セグ
LED で表示する装置を搭載し、運用性を高める。
ソフトウエア:
一連の前作(ガイガーカウンター、7セグ
LED 表示装置)と同じものを使用する。
またパソコン側でデータをロギングする perl スクリプトを zip ファイルの中に同梱しておく。(あくまで自力で動作環境を整えられる上級者向きのノンサポートなオマケ)
ハードウエア:
基本的な回路は一連の前作(ガイガーカウンター、7セグ
LED 表示装置)と同じだが、
・PIC の RS-232C 出力にデバイスを4つぶら下げる
・XBee の入出力レベルは 3.3V
の2点から PIC の TX 出力はバッファをかまし、ファンアウト数増加とレベル変換をしている(回路図変更点参照)。
また停電時のバッテリーバックアップにはニッケル水素電池を使用。 ツェナーで過充電を防止をしつつ
15mA でトリクル充電。過放電対策はリセット
IC M51957B の電圧を 0.9V x 6 = 5.4V に設定し、自動シャットダウンで過放電保護を図っている。
GM 管:
20cm の中華管 J306βを使用してみた。感度がイマイチ不明なのだが、設置場所でのバックグラウンドは
95cpm 前後。型名どおりβ線源に良く反応するため、マイクロホットスポット探しにも最適と思われる。
もっとも今回はケースに入っているのでβ線への反応は悪くなっているが、γ線感度はサイズなどから考えてJ408γと大差無しと思われる。
ケーシング:
ホームセンターで 300円程度で売っていたポリプロピレン製のケースを利用。防塵のため蓋を閉めて運用するが、半透明なので測定値をそのまま読み取れるのが便利。
また長期運用仕様のためスイッチ操作をほとんどしないことからケースの穴あけは最小限で済んだ。
なおこの手のケースは紫外線に弱く、窓際に長期間置くとボロボロになるので(経験アリ)、不要な部分はアルミホイルでも貼って遮光するのが吉(写真参照)。
XBee:
今回は XBee の設定で一苦労。もっともシンプルな 1対 1接続を試みたのだが、前世代の
XBee より設定が面倒になっていてしばらく試行錯誤。結局 1台をコーディネーター、もう
1台をエンドデバイスにして相手方のアドレスを相互に指定することでようやくループバックテスト成功に至った。
その後若干の追試を要しつつも、無事無線でのデータ取得が開通。ボーレート
9600bps、1回の送信データが 130バイト程度ということもあり、CTS フロー制御をしなくても
1秒毎送信でデータが取得できることを確認した。
ただ 1秒以外の送信間隔にするとうまく受信できない症状も出ている。XBee
の省電力機能が勝手に働いているせいなのか、まだまだ原因追求で苦しめ楽しめそうである。
実際の運用:
2012/02/06 より試験測定を開始。
ガイガーカウンタープログラムにはもともと長期測定時に正確なタイミングでデータを取得できる仕組みを実装しているが(詳細はソフトウエア編へ)、今回はパソコン側が停電等で停止しても
OpenLog へロギングできるよう 1秒毎のデータ垂れ流しで運用している。
で、肝心なのは測定データをどうするか。巷ではデータを Pachube にアップする例が多いようだ。確かにデータを送るだけでリアルタイムにグラフを作ってくれたり、グラフを
HP やブログにエンベッデットできたりと魅力的ではある。
が、今回は放射線量以外に扱うデータが多いことから自前でグラフを作って自動で
Web サーバーに FTP 転送することにした(既にこういう実績があるので、コードを使いまわせるという事情もあった)。
この方式では Pachube と違ってリアルタイムにグラフを監視するのが難しくなるが、一定時間毎にリフレッシュするタグを埋めた
HTML ファイルをグラフと同時に作成して準リアルタイムでグラフを参照できるようにした。
グラフ化するデータは 10分間平均 CPM 値の他に、気象庁のアメダスから風向、風速、降水量、降雪量を、環境省花粉観測システムから花粉量を取得している。これがあれば空間線量と花粉を含む気象要因との相関は容易に把握できるハズだ。
システムの設置場所は写真の通り北側の窓辺。花粉の季節は窓枠に花粉が溜まって黄色くなることがあるので(汗)、β線を拾える
GM 管ならセシウム由来の放射線をより敏感に捉えてくれるだろうという狙いでこの場所に設置してみた。
さて、準備は整った。果たしてこのシステムでセシウム花粉は検出できるだろうか。数ヶ月後には答えが出るだろう・・・(ってかこの程度の
GM 管で検出できるようならかなりコワイんですケド・・・)。
最後に:
2012/2、原発関連報道も少なくなり、事故の記憶が風化しつつあるように思われる。
特にセシウムの土壌沈着を免れた東京や埼玉は放射能汚染を実感しづらいと思うが、依然として汚染食品(都内販売のシイタケ、長野・愛知・群馬販売のシイタケ、福島販売の切干大根)は市場に出回っており決してヒトゴトではない。
それに関東北部の山々がセシウムに汚染された以上、多かれ少なかれセシウム花粉は確実に関東一円に降ってくる。健康への影響は事実上無いとの予測もあるが、実際のデータが無い以上、影響は未知数。後々後悔しないよう、とにかくデータを取っておくことが重要だ。
放射線との戦いは今後何十年も続く。測定データが次の世代の役に立つことを願って止まない。