(Last update:2012/01/26)
ガイガーカウンターを作っていくうちに、気付くといろんな GM 管を入手していた。(合計するとそこそこマトモな線量計が買える額だ・・・
orz)
動作電圧 (V) |
茨城県・木造 2Fでの BG (CPM) |
γ線感度 (何CPM=1μSv/h ?) (参考) |
メリット | デメリット | 主用途 |
| |
CI-3BG (SI-3BG) |
400 | 0.1〜0.2 10時間近く測っても 130カウント程度 (≒ 0.2 CPM) |
1.4
? (核種不明) 1.7 ? |
小型 | 低感度 | 高線量向け | 通常は手を出さない方が無難 Datsheet |
CI-22BG (SI-22BG) |
400 | 6〜8 | 不明 | 小型 | 感度低め | 中〜高線量向け | 使いどころが難しい |
CI-1G (SI-1G) |
400 | 16〜18 | 不明 | 感度まずまず | 管径やや太い β線感度低い |
空間線量モニタ向け | SBM20 が入手できない場合にオススメ Datasheet |
SBM20 | 400 | 20〜24 | 22cps/mR/h = 1320cpm/mR/h ↓ 1320/8.77 = 150cpm/μSv/h 150 (60Co) 171? (137Cs) 239? (137Cs) |
サイズの割に高感度 | 137Cs の感度不明 40Kには敏感だが 134/137Csの感度は実はイマイチ |
オールマイティ | 文句無くオススメ Datasheet |
CTC-6 (STS-6) |
400 | 70〜80 | 530 ? (60Co, SBM20 の3.1倍) |
高感度 | 137Cs の感度不明 サイズ大きい |
オールマイティ | SBM20 の高感度版 Datasheet 販売元データ 動作電圧: 400(V) プラトー電圧長: 80(V) γ線感度: 210(cps/mR/hr) 固有BG検出値: 1.1(CPS) Technical characteristicsg(gamma)-radiation Filling: mix of steams of a neon and bromine Recommended Operating Voltage (volts) 400 Initial voltage (volts) 285-335 Plateau length (volts) at least 80 Maximum Plateau Slope (%/1 volts) 0.125 Gamma Sensitivity (cps/mR/hr) 210 (sbm20 has 67.5)! Inherent counter background (cps) 1.1 Maximum Length (mm) 199 Maximum Diameter (mm) 22 |
J306β | 400 | 80〜90 | 不明 | β線に対して高感度 | 肉薄ガラス管で割れ易い | ホットスポット探し | 放射性ヨウ素・放射性ストロンチウムといったβ線核種の検出に最適。 もちろん定点観測にも使える。 |
J308βγ | 400 | 50〜60 | 52cps/mR/h = 3120cpm/mR/h ↓ 3120/8.77 = 356 (60Co) |
管サイズの割に高感度 | 肉薄ガラス管で割れ易い | CPM ベースの定点観測 | 管を揺らすとシャリシャリ音あり(電極の構造由来 ?) 販売元データ 最大初期化電圧:350V 動作電圧:400V 最小プラトー電圧:100V 最小プラトー傾斜 10%/100V プラトー傾斜:1.25%/V γ線感度(60Co): 52cps/mR/h γ線感度(60Co):5.2cps/μGy/h バックグランド検出数:80cpm 動作温度:-40〜+70℃ 検出線種:β、γ 全長:140 mm 直径:18 mm 本体マーキングから 2011年製 ? 放射性ヨウ素・放射性ストロンチウムといったβ線核種の検出に最適 |
Philips 18504 |
400(*) | 16〜18 | 123 (137Cs) ? | α線、β線も検出可。 137Cs 感度が判っている 小型 |
マイカ板割れ易い 高価格 |
オールマイティ | LND712 と性能同一の模様 (*)データシート上 450V が最適か |
LND712 | 500 | 16〜18 | 123 (137Cs) | α線、β線も検出可 137Cs 感度が判っている 小型 |
マイカ板割れ易い 高価格 |
オールマイティ | 自然放射線を測りたいならこのあたりが感度的に実用限界。 Datasheet |
LND7317 | 500 | 45〜50 | 334 (137Cs) ? | α線、β線も検出可。 | マイカ板割れ易い 高価 案外重い |
特に表面汚染検査に向く | いわゆるパンケーキ型 GM 管。 感度良好だがサイズはさほど大きくないのでハンディタイプの実装も可能。 Datasheet |
D3372 | 575 | 2〜3 | 2cps
= 1mR/h = 120cpm/mR/h ↓ 120/8.77 = 15.5(60Co) 10? |
超小型 | 感度はイマイチ | 高線量向け | オリジナルは Philips の18509-02 ? ポケッタブルに仕上げないと旨みが活かせないかも |
Philips 18504 はおそらく性能的には LND712
と同じ。LND712 は 137Cs
CPM 数 → μSv/h 換算係数が判っていて使い易いが、破損し易いマイカ板を使用していることから扱いに気を遣うのが難点。
で、やはり一番のオススメは SBM20。動作電圧も低く β線にもよく反応し、感度は良好。ただしこの管の感度は
40K のエネルギー分布とはよく一致するが(=40K は高感度)、134Cs や 137Cs
のエネルギー分布とはほとんど一致しないため Cs に対しては実は低感度。バックグラウンドをちゃんと測定せずに安易に食品の放射線量計測なんかに使ったりすると
40K で大騒ぎして醜態をさらす事になりかねない(劇汗)
また SBM20 の高感度版的なロシア管 CTC-6 も好感触。SBM20 からの置き換えに最適だが一般的には入手難なのが残念(管理人はヤフオクで入手。2011/6
時点での価格約 \5,000)。
一方、環境放射線の長期定点観測用ならばγ線計測メインの J408γ (いわゆる
22cm 管)が鉄板。だが正確な線量よりもとにかく感度重視ならβ線にも感度がある管の方が好都合となる。管理人は
J306βと J308βγを入手。どちらも肉薄のガラス管でデリケートだが定点観測用なら問題は無かろう。ちなみに管理人が入手した
J306βは 1975/11/16 製造の 36年モノ ^^; 同梱されていた色褪せたデータシート兼検品証が時代を感じさせてくれる(汗)。
最後に、最も早く市場に出回った CI-3BG (SI-3BG) だが、いかんせん感度が低い。標準電圧では飯館村(2011/6
時点で 3μSv/h 強)ですらたったの 4 CPM。600V〜700V でのオーバードライブやパラレル接続による高感度化、という楽しみ方はあるが、基本的には「鳴ったら逃げろ!」用の
GM 管(汗)。これを使ったキットも含めて、手を出さない方が無難(あえて使ってみた実装例はこちら)。
なお、2011年秋頃に秋月が固体シンチレーターを扱い始めたこともあり、PIN
フォトダイオードを使った半導体ガイガーカウンターが個人でも製作できるようになった。ただ原理上γ線しか測れないので、α線やβ線も拾える
GM 管のメリットを活かすならホットスポット探し機器として使うのが正解だ。
ちなみに管理人は個人的に自作品の校正は GM 管式にしろ半導体式にしろ無理だと思っている(そもそも
137Cs の標準線源にアクセスできる人は稀だろう)。やはり GM 管式ガイガーカウンターはその特性を活かし、線量計測よりもホットスポット探しという本来の用途で使用してこそナンボであろう。