旧版・秋月電波時計キット・手動時刻合わせ可能化改造 (2011/03/24〜2011/03/27)

(Last update:2011/05/09)


時刻設定画面
ようやく普通の時計として復活し、
外付けカレンダーも正常に動き始めた。

 早く原発事故が終息して、福島局が
運用を再開してくれればいいのだが・・

製作の動機:

 福島原発事故に伴なう避難指示により、福島の標準電波送信所が運用を停止した。東日本では震災停電や計画停電に見舞われ、時刻がリセットされたままの秋月電波時計キットが相当数あると思われる(たぶん)。

 かくいう管理人宅(茨城)の旧版・電波時計も停電で時刻がリセットされてしまい、さりとて標準電波が来ない状態では時刻を合わせることもできず、せっかく作った外付けカレンダーも宝の持ち腐れとなってしまった(泣)

 が、しかし。幸いなことに旧版電波時計キットはトライステートさんの HP で最終版のソースが公開されており、しかも開発言語は管理人が得意とするアセンブラ。これなら手動で時刻合わせができるように改変できそうだ、と踏んで早速改変に着手した。


ソフトウエア:

 ベースとしたのはトライステートさんの HP で公開されている最終ファームウエア v1.10。キットに添付されているのは PIC16F873 だが、オリジナルの PIC は念のため保管しておき、代わりに PIC16F873A で開発を行った。

 オリジナル・ファームウエアはプログラムメモリをほとんど使い切っており、もとの機能を全て残しつつ時刻設定のコードを追加することは困難に思われた。そこでアラーム時刻の設定や表示モード切り替えのためのユーザーインタフェース部分を削除してコードサイズを抑えることに。

 一方、ファイルレジスタ領域も Bank 0 には空きが無く、追加ぶんは Bank 1 に確保。となると FSR を多用せざるを得ないのだが、オリジナルのファームウエアはメインルーチン側で FSR を変更しないことを前提に割込み処理中でシリアルデータ受信を行っていることが判明。こちらも割り切って時刻設定中はシリアル通信割り込みを禁止し、受信処理を受け付けないようにした。

 なお時刻設定中でも内部時計は正常に動作しており、時刻はちゃんと進むし、正秒・分・時・月・年パルスも通常通り出力される。また標準電波のデコードルーチンも生きているので、いずれ標準電波の送信が再開された暁には従来どおり電波時計として機能する・・・ハズ。


最後に:

 アルゴリズム的には難しい改変ではないのだが、いかんせんアセンブラでユーザーインタフェースを書くのが面倒であった。特に月日→通算日変換、設定可能な値の計算等に閏年のチェックが必要、といった具合に細々とした処理に意外と時間がかかってしまった。

 ともあれ今回の改変により、停電で時刻がリセットされても最低限、普通の時計として使えるようになった。新版キットを参考にバックアップ電池を追加しておけばもう計画停電も怖くないハズだ。

 それにしても「時間」を司る非常に重要なインフラ設備を原発の近く(直線距離 16Km)に設置してしまうあたり、国の危機意識の薄さが大いに問われる(原発は安全、が国のスタンスだから?)。原発事故の終息と福島局の早期運用再開を切に願うばかりである(でもあの辺りの放射能汚染はかなり深刻そう。早期再開は絶望的かも。別の場所に新たに送信所を作るしか・・・)。


プログラム:

 トライステートさんから公開許可が出なかったため、非公開。


注意:

 本改変は管理人が独自に行ったものであり、トライステートさんは何ら関与していません。


2011/04/01 追記:

 その後JJY シミュレーターなるソフトを発見。パソコンのオーディオインタフェースを使って標準電波準拠の信号を出してしまうというスグレもの @o@ これを使えば極めてお手軽に電波時計を校正できそうだ。

 ちなみに秋月電波時計を置いている義父母宅にはパソコンすらない。停電の度にノートパソコンを持って行って校正するのも面倒なので、どのみち今回の手動時刻合わせ改変は有用なのだ ^^;


2011/04/21 追記:

 福島 40KHz 局が 4/21 に無人状態で運用を再開し、東日本の標準電波が一応復活(メデタシメデタシ)。でもいつ停波するか余談を許さない状況ではある。

2011/04/25 追記:

 ↑とか言ってたら落雷で機器故障 → 停波 orz ・・・ たった4日で・・・ 次回復活はあるのか ?

2011/05/09 追記:

 福島局復活。ヨカッタ ^^


 [電子工作のページへ]