Scribbles.?雑文集》 2000年10月7日

VOICED ITERATION MARK

内田明 <uchida@happy.email.ne.jp>

今頃こんなものに出会ってしまうとは、俺もずいぶん間が悪い。

X0213でX4052な「為文学者経」を入力するために借り出してきていた内田魯庵『文學者となる法』(図書新聞、1995)の「第三 文学者として学ぶべき一般の見識及び嗜好並に習癖」(p.100)に、“濁点つきゆすり点”が印刷されているのである。

現在は廃れてしまったものなのだろうか。――“新JIS漢字公開レビュー資料-非漢字不採録文字一覧”990129版に見あたらないことからすると、廃れてはいないとしても、ポピュラーなものではなさそうだ。(ポピュラーではないから採録もされず不採録の明示もされなかった、という考え。)

ゆまに書房の全集の方はp.221で同じ箇所を“濁点つき平仮名繰返し記号”としているけれど、この両者および“名随筆60”の「為文学者経」を比べた感触では、三者の底本である右文社の『文學者となる法』(1894)では“濁点つきゆすり点”だった可能性が高そうな気がする。

実際は気のせいであって、図書新聞の『文學者となる法』にしか出現しないものなのだろうか。気のせいではないが魯庵の『文學者となる法』にしか出現しないものなのだろうか。

“濁点つきゆすり点/二の字点”に関する情報乞う。


2000年10月7日
内田明
email: uchida@happy.email.ne.jp