高齢者用パソコン購入指南
初めてのパソコンは?

 ずぱっと結論からいっちゃいましょう。よほど老眼が進んでない限り、 ウィンドゥズME搭載の、IBM社製の液晶デスクトップの新品 を買うべきです。理由はいまからぐだぐだ述べます。特に、なぜIBM社のものなのか、という点はかなり重要で、それをまず述べます。すると他はすべて蛇足になるような気がしますが、仕方ありません。これは別に私がマワシモノだからではありません。なにせ私は東芝系列の企業に勤めていますので、どっちかというとIBMは商売敵です。 。

なぜIBM?(2001/07)

 日本IBM社の2001年春モデル以降のパソコンにはITryという「高齢ユーザー用に大きい文字表示に一発設定する」のアイコンがあります。そのアイコンをクリックするだけで私がこのサイトで解説している「目に優しい設定」をぜーんぶやってくれてしまいます。しかも拡大率は2段階。何か新しい機能というわけではなく、もともとあちこちに分散して存在していた調整機能をいろいろ手動で設定する手間が一発で済むだけですから今あるものを買い換えるまでには及びませんが、高齢者向けとしてこんなに便利な機能はありません。他社が類似企画を打ち出してくることはなさそうです。ですから、何のしがらみもなく今から新品を購入するなら、このITry対応機種がイチオシです。

ノートの方が場所とらなくていいのだけど?

 基本的に個人の趣味ですのでかまいませんが…これだけは覚えておいてください。ノート型パソコンは、デスクトップの倍の値段で性能が半分ですから4倍の「お買い損」で、しかも部品交換が出来ないので製品寿命は約3年です。壊れなくても、将来の機械の性能(速さ)をあてにした将来のソフトはスムーズに動かないでしょう。一方、デスクトップなら多分3年分ぐらいは部品交換で追い付けて、どうにもならなくなってから陳腐化がはじまるので寿命が倍は違います。それでも宜しければ…貴方のオカネですから、納得出来るものをお選びください。

液晶の方が奇麗だけど高いんだよねえ?

 …たしかに。しかしですね、22型のおばけみたいに巨大なテレビ型(CRT)モニタと15型の液晶ディスプレイを同じ解像度で並べても、小さい筈の15型液晶の方が見易いと評判なんですよ…これには驚きました(鎌倉雪ノ下教会の事務室に2台導入した際に実体験しました)。ですので、無論店頭で実際に見比べていただくのは必須ですが、そろそろ眼が弱って来たなと自覚のある方は液晶ディスプレイにした方がいいですよ。いいのはそれだけで10万円くらいしますけど、廉価版の価格帯は最近6万円程度にまで下がってきました。で、コレにしちゃうと、デスクトップ型とノート型との価格差はそれほどでもなくなります(でも、性能と拡張性の差は埋りません)。

テレビ型モニタ(CRT)の方がよい場合とは?

 …眼の方が相当進んできて、字を大きく出さないとどうにもならない場合です。17型以上の大きいモニタに狭めの画面を拡大表示する必要があるでしょう。

 液晶の「見易さ」はテレビ型に比べて抜群に「くっきり」映ることによりますが、それは設計された広さで表示したときだけに限られます。物によっては、狭い画面は真ん中に小さく表示するだけで拡大表示できませんし(狭くする意味なし)、拡大出来る機種でもテレビ型の画質に遥かに及ばないボケボケ映像になり、使い物になりません。

 画面は最適広さのままで、表示文字を大きく設定する、ということをすれば、それらの弱点を晒すことなく「くっきり大きく」なりますが、字が大きくなればなるほど「くっきり」より「寸法的にホントに大きい」ことが有り難く感じるようになります。で、テレビ型の勝ちです。

本体は大きいタワーにしようか、小さいブックにしようか?

 大きいタワー型ケースの長所は拡張性です。つまり、中はすかすかで、それはCD-R(書込めるCD)つけたいとか、DVD(映画のディスク)も見たいとか、ビデオ画像を取込んで編集したいとか、将来、もっといろいろなことがしたくなったときにその為の追加部品を収める為に用意されている空間です。

 また、パソコンの部品って寸法が規格化されているので、部品を1つづつ取替えていったらもともとの部品が全部取り変わっててパソコンがすっかり新しくなってた、なんてこともできます。

 それと、ゲームをする方は、ビデオカードがとても重要な部品で、AGPに独立して刺さってないと交換のとき選択肢が一気に少なくなって苦労しますから、このタイプを好みます。

 小さいブック型の利点は…小さいことですね(笑)。それは本体が共通規格を無視して小さめの特殊設計してあるからと、新しい部品を追加する余裕を殆ど取らずにぎっしり詰めてることによります。部品は同じものとか「ノート用の小さめ共通規格品(CD-ROMなど)」で出来てるので、ある程度交換は出来ますが、なにか機能を追加する場合、外づけ周辺機器となって新たに場所をとります。また、本体そのもの(マザーボードと筐体と電源)は特殊な作りで交換できないと覚悟したほうがいいでしょう。

 てことは、なにかいろいろと新規なことをしたいのでなければ、小さいほうでもいい、ということですね。

ウィンドゥズ2000てのの方がMeよりよいと聞いたが?

 それはプロの業務用です。初心者の家庭用ではありませんので、初めての方は手を出さないでください。あ、オフィス2000ってのはそれとは違って単にオフィスの新製品ですから、安心して使ってください。最も、オフィスの最新はOfficeXPですが。

今時買うなら、最低性能は?(2001/07)

 本当はチップセットで語りたいのですが、まあ初心者向けということで、このくらいでしょう。

 これに、セレロンが刺さっててもいいのですが、其の気になった時、「1G超ペンティアム!!!」が載せられるかどうかは確認したほうが安心です。

 アスロンは…通な人は勝手に選ぶでしょうが、初めてで薦められるものではないような気がしています。

 ペンティアム4が搭載されているものは上級者向け高級機種です。あと半年経つころには普及価格帯に降りてくるとは思いますが。

 最後に、同じ価格帯で、CPUが速くてハードディスクが小さいモデルと、その逆の組合わせのモデルで悩んだら、ハードディスクの大きいほうにしましょう。メモリの量とハードディスクの容量で悩んだときも同様、ハードディスクを優先するべきです。理由は、メモリ増設やCPU交換は電球を取替えるのと同じくらい簡単ですが、ハードディスクの交換は住所録の書き写しくらい手間の掛かる作業で、できるだけ先延ばしにしたいからです。

蛇足:新品買うか中古で済ますか?

 絶対新品です。今は、中古の値崩れより技術の進歩による新品の低価格化の方が速いんです。「昔は高くて最高級だった機械」と「最新の廉価品」では大抵後者のほうが安くて高性能で、パワーアップの余地があったりします。そうですね、「18ヶ月で倍の性能になりしかも値段も下がる」ってとこでしょうか。

 そう言うわけで、いまやパソコン中古品の値踏みは相当詳しいひとじゃないと出来ませんから、これから始める様な方は手を出さないほうが賢明です。マニアなヒトなら「往年の銘機がこれだけ拡張されてこんなにお安く…」とかって判断も出来るんですが。

 あ、ご子息とかが「ボケ防止にお下がりあげる」とか持掛けてきたら、それは貰っといてもいいですよ(不法投棄の新手の手口ともいいますけど)。

蛇足:新製品か型落ちにするか?

 これはちょっと難しいです。型落ち品とは、年に4回、次の新製品が出た為に「現行の新製品ではなくなった型式」で、新品を売ってるお店での「見切り特価品」です。これは、本当にお買い得のこともままあります。手近の詳しい人にきいてみるとか、店員を質問攻めにするとかして判断してください。

蛇足:ウィンドゥズかマッキントッシュか?

 あなたが以下に述べる例外にあてはまらない限り、絶対ウィンドゥズです。例外とは、

  1. 身近で頼れる人がマッキントッシュユーザーだけで、その人はウィンドゥズの事を一切教えてくれないがマックのことなら親身に面倒見てくれる。
  2. マッキントッシュのお下がりを貰ってしまった。
  3. 何故かマッキントッシュが主流な特殊な業界(出版・デザイン・音楽制作など)の関係者である。
  4. あのすけすけが、花柄が、水玉がいいのだっ、とデザインに惚れ込んだ。
  5. いかなる苦労も厭わず、人と違ったことがしたい。
  6. 其の他、思いつくと増えるかも。

 「初心者にはマックの方が易しい」などという時代遅れの甘言を弄する「伝道者」(マッキントッシュはシューキョーですから…ウィンドゥズも実はそうですが、シューキョーって少数派ほど過激なんです)に惑わされてはいけません。ウィンドゥズ95発売以来、使い勝手はほぼ同等になりました。となれば、使用者数(9:1でウィンドゥズの勝ち)やソフトウェアや周辺機器の種類などで最早完璧な「負け組」にほかならないマッキントッシュにいまから参入する理由は…まずありません。

 特に、他人とデータの交換をする、入力はともかく割付けなどの奉仕を請負うことを考えた場合、マッキントッシュのデータはウィンドゥズにもってくると結構厄介なことになります。一見互換性がありそうなワードやエクセルのデータさえ「フォントが違うので納まるはずのものがはみ出して切れた」などということは茶飯事で、はっきり言って実害があります(職場で両方つかって苦労してるんですから、アタクシ)。

蛇足:DOS/VかNEC98か?

 僕も98偏愛の愛好者ですが、98はもう終りました。NECも見捨ててます。NECが最近力を入れている「98NX」は「AT互換機の仲間」で、NECすらDOS/Vを売っているんです。DOS/Vしかありえません。点字はwinbesかういんびーに移行しましょう。…もっとも98の新品なんて特注して取寄せないと多分店頭にありませんよ?

蛇足:メーカー品買おうか、ショップブランドにしようか、自作しようか?

 誰でも初めはわかんないけど…的な「使い方に関する質問」でも電話で聞いてくれるユーザーサポートのしっかりした大メーカーの品がいいでしょう。

 …ホントは自作が一番いいんです、潰しが効いて。でも、相性などの問題を自力解決しなきゃなりませんし、困った時質問先がありませんから、初心者には難しいでしょう。第一、ウィンドゥズを別に買って自分で導入設定しなければなりません。これ、使ったこともない人にはまず無理です(適性がある頑張りやさんが、チャレンジして成功した例もありますけど)。

 ショップブランド(ホワイトボックスともいいます)は、性格的にその中間で、パソコンの小売店がバラ部品を仕入れて組立てて売ってるものです。機械的な不具合には対応してくれますが、「使い方が判らない」的質問は受けつけてくれません。ウィンドゥズの設定はメーカー品と同程度までにやっといてくれている(=プレインストール済み)こともあります

 最近は「ベアボーン(裸の骨組)」というものもあります。性能の決め手になる交換可能部品だけが付いてない半完成キットで、CPUとハードディスクとメモリを予算に応じて揃えると、性能と価格のバランスがお好み通りに作れるよ、というものです。これにはメーカー品で主流の「ブック型」の小さい筐体のものも揃っています。ハードディスク別売りですから、ウィンドゥズも別売り自力設定です。

 メーカー品の短所もお話しておきましょう。

  1. 技術力のあるメーカー程、独自の特色を出そうとして特殊な改良を加えているので、交換部品の相性問題が厳しく、改造したら、メーカー保証もなくなる。
  2. 要らないソフトが付いてきて、邪魔に感じることがある。
 つまり、そのまま使うにはいいが、手を加えようとするとたちまち壁にぶちあたる、ということがままあります。

(2001/07/15)


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