データなければ唯の枠
LXシスマネからOutlook/他PDAへ
PIMデータ移管法

LXから持って出なきゃならない非互換的データ

 それはつまりシスマネアプリで作ってたヤツですね。具体的には、

です。でもLXerならこれらのアプリは結局一つのエンジンで動いていたことをご存じでしょう? それゆえ、LXのPhoneBookはデータベース的に入力項目のフルカスタマイズが可能なことが大きなウリになっていて、それゆえ未だLXから離れられない、または懐かしむ人が多いわけです。私もそうです。

 しかし、これらのデータをもって出ないことにはいつまでも乗換えが完了せず複数の機械を持ち歩かねばならないという「その道の人」以外にはあまり面白くない状態になってしまいます。まだLXにしがみついている方でも、いつかはそれを為さねばなりません。これは自らの死と同様、逃れられない運命なのです(貴方が機械より先に逝かない限りは)。

 というわけで、前向きに引越しを考えましょう。とにかくアドレスはシステム手帳以前も年(度)末の書き写しが年中行事だったわけで、これをもって出ないと始まりません。

引っ越し先PIM選定

 王道はやはりPocketOutlookですね。スケジューラにはOyajinAppointment、という選択肢もあるんですが、アドレス帳には選択肢が他にほぼ存在しませんし、母艦上のOutlookは使勝手にあまりにもイロイロあるとはいえ、バンドルやらオフィスに忍び込ませたりやらでごり押しのデファクトスタンダードに成り上がり、今時コイツと同期が取れないPDAもコンバートツールも売物にはなりません。てことは…引継ぎ先がCE以外のどんな機械でもPCのOutlookにPIMデータが移植出来れば概ね解決ということです。実用上は見捨てるにしても、各種PDA上のPIMデータ同期のセンターハブとしてコイツにデータを集めるのがもっとも実用的な運用ということになります。ですから、スケジュールとアドレスとをまずはOutlookに持っていくことにします。jornadaにも同梱されてますしね。…え、Dim@2000? あれ、母艦用のソフトで、結局PocketOutlookと同期するんでしょう? じゃあ、jornadaで使う分には何も変わらないじゃないですか。

Outlookが受取ってくれるファイル形式

 となると次は、どうやってOutlookにデータを持っていくか、です。Outlookの「インポート/エクスポートウィザード」を起動すると、受取ってもらえるファイル形式が判ります。すなわち、もともとOutlookのファイル同士のマージとエクスポート、Microsoft Mailからのメーラの移行サポートの他に、

という形式のファイルを読んでくれる様です。最後のヤツは多分Schedule+のファイルでしょう。で、DOSとかWindowsか謎めいたこといってますが(どうしてWindowsをDOS上位互換として一本化できないのだろう?)ともかくCSVでOKらしいです。

 でも、ま、イマドキ大抵の人は仕事上しぶしぶでも勝手にバンドルされてきたんでもExcelをもってるでしょう。ExcelもCSVを読めますから、いろいろとデータの化粧直ししてからインポートすることをお薦めしますし、それについては後述します。

PIMデータを汎用CSVへの書き出し

 ここからは、手順説明のサンプル事例としてアドレス帖の移行を取り上げていきます。コイツが一番面倒かつ先送りにしても状況変わりませんから(済んじゃったToDoとか過去の予定なんかはぐずぐずしてるうちにいらなくなるので作為的にサボタージュするのも手です)。これを一通り解説するうちには他のデータを移行する際の手順とコツも掴んで頂けると思います。

 さて、それには、PhoneBookのデータをCSVにするのがまずはともかく第一段階となります。これをLXシスマネのSmartclipで行う力技も最初のBibleの271頁に出てますが、この本もう入手性絶望的ですし再解説するのもアレです。素直にツールを使うことをお勧めします。

L1DB

 最初のBibleの167頁にL1DBというtoolが紹介されていて付属FDにも収録されているのですが、これは現在@nifty旧来の会員制BBS上にしかないようです。これを「用いた」と報告する記事はごらんのようにいくつかありましたが、使い方そのものを解説してくれてはいません。

ハマダのデジタルな日々:Vol.5
 この方、bibleの著者です。でもMoble PC 1997/12の特集記事「実践! データの共有化AtoZ」では後述のAPPTOUTを使っておられるのに、なんでまたL1DB?
電子工作の実験室 モバイル環境 内 名刺データベースの作り方
Can't live without HP 200LX

APPTOUT

 そこで、お勧めしたいのはWEB上から入手できるAPPTOUTです。いみじくも、

HiroHiro's web page  HP200LX page 内 ソフトウエア
には

なんて記述もあったりします。

 さて、このAPPTOUTに関してはすでに強力なレクチャーが公開されています。使い方そのものは、以下のサイトで叩き込まれてきてください。

ばけハウス  電脳小物 の部屋 内 APPTOUT
…ここにはDB2CSVの解説もあったりしますが、あれはexmですから、コレからもLXを使いつづける方のためのものと考えましょう。AppointmentやNoteTakerが対象外でもありますし。

移管TIPSその1:APPTOUT以前にしとくこと

 ばけさんの講座は懇切丁寧で付け足すことなんか何もないんですが、でもそれじゃあMobiLinksに加えておけば済むことで、この企画記事自体意味がない。私独自の移管にフォーカスしたイカサマなノウハウというものがちゃんとありますので、それを少し目立たせときます。

インデックスデータ作成
 LXのPhoneBookはフルカスタマイズとデータファイル切り替えが可能で、それがウリです。ですから、今ごろ乗り換えにかかっている重症LXerのPDBファイルなんて原型を留めている訳がないし、ファイルもデータ形式も一つとは限りません。で、凝りまくったフィールドいろいろ作ってみても、大抵の人は全項目埋まったりしていない。でしょでしょ? これがあとあと大問題を引き起こします。
 そこで。とにかく全項目を埋めたデータを一つ必ず作っておいてください。誰のでもいいから…といっても全項目埋め易いのは大抵自分自身かご家族でしょう。それでも埋まらない項目が残るなら(「俺はいまどきポケベルなんざもってないぞ」とか)、それはまた後で何とかしますので、今は「POST:役職」とか「第二携帯:090-012-34567」などのあからさまなダミーデータを突っ込んどいてください。ただし、ダミーデータもユニーク(唯一無二)にしておいてください(第三携帯は090-123-45678にするとか)…この作業はLX上でするんですよ、念のため。
 それが済んだら、ちゃっちゃとAPPTOUTでCSVに書き出しましょう。
APPTOUT動作環境
 普通LXより母艦のほうが高速です。ですからLX上でコンバートして母艦に持っていくより皆さん母艦でAPPTOUTなさると思います。その際、AT機上のwindowsのDOS窓までは何の疑問もなく試されるでしょ? でもNEC98系だと…実はAPPTOUT、DOS汎用なんですよ。つまりNEC9821のDOSでも、9821のWin98SEのDOS窓でも動きます。

CSVファイルの下拵え

 普通の記事は、このCSVをすぐインポートにまわしちゃうように書きますから、 ここで述べることは丸ごとTIPSですよ。

移管TIPSその2:APPTOUT以後インポート前

フィールド名表示
  1. 書き出したCSVをエクセル(なければ、LXの1-2-3か、テキストエディタ)で開いてください。
  2. 書き出し前に全項目埋めたデータ(インデックスデータ)の行を探し出し、天辺(最上行)に移動してください。
  3. さらにその上に空行を一行挿入して、インデックスデータと照合しながら「名前」「自宅住所」「勤務先FAX」などとフィールド名を復元して見出しとしてください。
 これをやっておかないと、インポート時にフィールド照合する段になって空白フィールドの正体がなんだか分からなかったり、電話番号とまでは分かっても結局「どれがなんだか」判らなかったりで慌てふためくことになります。ですから、LXではフィールド名を気取って英語でつけていた方も、日本語で判りやすく振りなおしておいたほうが実用的です(笑)。
 インデックスデータのもう一つの作り方は、それこそ「name:名前」などとフィールドにフィールド名を直接入力したデータカードを作ることなんですが、いっぱしのLXerなら電話や郵便番号などは数字しか入らないノーメリックフィールドとして指定してあるはずですから、すべてのフィールドに適用するのまず不可能でしょう。ですのでこんなまどろっこしい手段をとるわけです。
フィールド照合のアタリをつける。
 前もって、PDBファイルのナニをOutlookのどこにハメるか考えておきましょう。
 これは、インポートを始めてから考えても良いのですが、それだと意味もなく気があせって冷静な判断が出来なかったりします。突っ込み先候補はこちらに一覧にしておきましたが、PCのOutlookには重箱の隅というより興信所使って隣人のゴミバケツ漁ったかのような呆れた個人情報フィールドが沢山用意されてますので、前もってナニがあるか調べておいたほうがいいですよ。また、OutLookやPocketOutLookの画面で、どのフィールドがどんな位置に表示されるかなども調べておきましょう(電子メールの1と2はどっちがビジネス用アドレスか、など)。
 私はPDBファイルに「ハンドル」と言うフィールドを作っていて「これは移植不能だろう」と諦めていたら、OutLookには「ニックネーム」フィールドがあって、図らずも事無きを得てしまいました。
フィールドの分割・結合
 たとえば。Outlookでは姓と名や、住所は国・都道府県・市町村・所番地がそれぞれ別フィールドになっています。無論まとまったままどれかに押し込んでしまっても良いのですが、後々のことを考えると、これは分けておいたほうが良いかもしれません。 それにはいろんなツールを総動員することになります。
  1. 名前のフィールドを姓と名に分けるには、CSVをエクセルで読んで、セルをワードに張りつけ、セルのど真ん中アタリに鉛筆カーソルで縦線引いてセルを分割し、後でつじつま合わせるのが楽です。フリガナも同様。
  2. もし姓と名の間にスペースが挟まっているなら、それを捉えてエディタの置換コマンドやawk,sedなどを使ってタブやカンマを挿入することで、CSVのフィールドを分割できます。
  3. 住所を分割するには、同様の手口で「都」「道」「府」「県」や「市」「町」「村」などの文字をカンマ付に置換すると手っ取り早いです。「京都府」「府中市」「市川市」などで誤作動しますので確認は必要ですけど。似たような理由で町村住まいの知人がいなければ、「町」の置換はやめときましょう「○○市××町」なんて住居表示は山ほどありますので。
  4. もし、形式の異なる複数のPDBファイルが存在して、両方に載っている人物や法人があるなら、この段階で一本化しておいたほうが良いでしょう。単にそれぞれインポートすると、それぞれ違った場所が虫食った2つのデータが出来てしまい、こうなってから統合するのは結構面倒です。但し、移行先にパームがあるときには、無理に結合しないほうが良いかもしれません。
  5. 前項のお勧めに従って移行先フィールドを精査してもふさわしい移転先が見つからなかった場合は、noteの項にでも結合しておかないと、その部分のデータは欠落してしまいます。そうする際にはエクセルで列ごとnote項の隣に持っていって、それらのセル列をワードに落とし込んでから消しゴムカーソルで縦線消してセルを結合し(そうすれば両方の内容が残ります)、エクセルに持ち帰るのが楽です。そこだけエディタに切り出してカンマを除去しても良いですけど。
  6. ちょっと趣旨が違いますが、98フォントに頼って「梶vなどの機種依存字を使っていたら今のうちに置換しておいてください。windowsとCEでは平気でも、パームやザウルスでは化けます。

xlsファイル(かCSV)を母艦のOutlookにインポート

 さあ終盤です。前述のとおり、Outlookの「インポート/エクスポートウィザード」を起動して、書き出して手を加えたCSV等のファイルを読みこませましょう。お勧めしたことをみんな済ませていれば、ナニもまごつくことはありません(=どれかサボればそこで確実にひっかかるでしょう)。

 この段階でまだナニカ申し添えるとするなら、もともとOutlookを使ってらした方は

  1. データファイルそのものをバックアップ(位置やデフォルト名はバージョンによるが、*.pstファイル)
  2. 元のデータをエクスポートしてバックアップ
  3. 元の状態でCEと同期させ、jornadaのPocketOutLookをHPバックアップでバックアップ
などの手段で、インポート時に何かの不都合が起こったとしても元データを復元してやり直せるようにしておくことをお勧めするぐらいです。

 それでは、Good luck!

(2001/05/05)

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