有楽町・銀座界隈の夜は割と早い。飲み屋以外の店は早々に閉まるし、飲み客も終電帰りがほとんど。しかし、その日は違っていたのでした。終電も終わったというのに、有楽町マリオン周辺には約500人の列と異様な熱気。先頭の人間はすでに12時間、つまりお昼から並んでいるといいます。
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7:00 開場。静々と入場していると、ビルのむこうに列が見えます。そう、列が一周してしまったのです。後に聞いた公式発表では84年のマリオンオープン以来の新記録とのこと。列の裁き方もどうも手際が悪く馴れていない様子。完全に予想外の人数だったようです。
7:30 上映開始…感想は別に譲るとしましょう。とにかくすばらしい映画でした。2時間は一瞬でした。
9:45 舞台挨拶。日本テレビ、福澤=ファイヤー=朗アナウンサーが司会に登場。うーん、日テレも気合入れてるなぁ。そして、松田洋治氏、石田ゆり子嬢、宮崎監督の順番で登場、手短ながらも挨拶がおこなわれました。
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「自分でもどんな映画かわからない、緊張して舞台に立っています。直球を全力投球しました。」
「10年以上、すこやかに明るく元気にに生きろというアニメを作ってきました。」
「でも、今は、それでは嘘になる。損得で生きなきゃいけないが、それ以外の生き方を示したい。」
「わたしは、もう、死にゆく人間ですが、この映画を見るみなさんには、ぜひまっすぐに生きてほしい。」
石田ゆり子嬢
「(役を)降ろされるんじゃないかって、ハラハラドキドキでずっと演じていました。なんとか降ろされずにすみました。」
松田洋治氏
「2月17日の録音開始より5カ月近く、今日まで北の果てのエミシの村から旅してきたような感じがします。」
場内の異様ともいえる熱気(そりゃそうです、この第一回を見終わった人間はほぼ全員徹夜組なのです)に「びっくりした」よいう表情が見てとれました。ステージの脇に目を移すと鈴木プロデューサーも満面の笑顔で舞台を見つめていました。ヒットするだろう、ヒットさせようという気持ちはもちろんあったでしょうが、予想を遥かに超えていたのでしょうか「うれしい」+「びっくり」な笑顔でした。
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宮崎さんの言葉を聞き、映画を見て、生きろという今回の映画のキャッチコピーの意味をひしひしと感じました。メッセージとか使命感とか、そんな人間のにおいのする言葉では言い表せない、もっとプリミティブなもの。映画「もののけ姫」は答は与えてくれません。問題の塊を投げつけ突き放します。きれいごともなにも無し。それでも「ぜひまっすぐに生きてほしい。」そんなまっすぐなものを感じました。
●後日談
7月12日(公開初日) 日劇プラザ(有楽町マリオン)の超満員御礼、これは2時間という上映時間と500席という席数を考えると物理的限界値と考えてよい数字です。
総入場者数 5,478名
総売り上げ額 8,359,300円