★新解釈「On Your Mark」。
  行間に描かれた衝撃の真実とは?

佐藤 (EHF41721@pcvan.or.jp)
Sato tries to write a story enlightened by 'On Your Mark'.
Sato (EHF41721@pcvan.or.jp)

Summary
He interprets the original story into more intricated one by using the imagination of his own.
 アニメージュ9月号で宮崎さんが「On Your Mark」の解説をしっかりやってしまったもので、すっかりネタバレ。想像力を逞しくしている者としては、すっかり萎えちゃいましたが、いや、もっと深く読めるのではないか(^_^;)と思い直して愚考の限りを尽くしたのが、以下のストーリーです。

 聖NOVA教団は原作ナウシカの地球浄化教団の事です。ナウシカの破壊工作にも拘らず、墓所の中枢は生き残り、貯えられた人間の卵を清浄な世界に送り届けるべく、地中で蠢(うごめ)いていました。
 あれから数千年。地球は浄化され、役目を終えた腐海と蟲達は死滅します。墓所に貯えられた人間の卵は孵化し、清浄な世界に支配者として君臨します。清浄な世界に棲めない、旧世界の生き残り達は汚染の残る深い地下へと追いやられます。つまり、被抑圧民族です。それが地下都市です。因に、地上にそびえる塔は地球浄化教団の聖地、「墓所」です。
 清浄な地上に棲めるのは、美しく清らかな優越民族。汚染された地下にしか棲めないのは、汚らわしい劣等民族と云う構図です。世界は清浄と不浄の二元論の世界となったのです。

 教団は地下の人間に呼び掛けます。我が教団に入れ。清浄な地上に棲める身体に改造してやる、と。しかし、それは「新世界建設」の美名の下に、奴隷として死ぬまで酷使される事を意味します。地上に棲める人間は優越民族、地下に棲んでいた人間は幾ら改造したとしても劣等民族なのです。その区別は顔立ちや姿で一目瞭然となっていますし、遺伝子的にもちゃんとマークが為されています。
 教団の教会は地下都市の中心に設けられ、「神は見つめている」と云う文字と共にド派手なイルミネーションが施されています。

 地下の人間の過激派が聖NOVA教団の教会を襲撃します。そのスタイルはかつての警視庁を模倣した物です。「正義は我にあり」と云う意味かも知れません。教会に居る連中は清浄な世界にしか棲めないので、地下都市の空気の混入で皆死んでしまいます。二人の過激派が倉庫の片隅でゴミと共に見つけた物。生きているっ!それは清浄な環境でも不浄な環境でも生きる事が出来る少女です。この世界を分断する、清浄と不浄の二大価値観を超越し得るニュータイプです。過激派の本部はこの少女を回収し、生体解剖を含む解析をする事にしました。彼らも彼女の持つ重大な意味に気付いたのです。彼女の遺伝子を自分達に組み込む事により、地下の人間も地上に出る事が出来る。地上の人間と対等になれる。いや、地上の人間に今までの苦しみと憎しみを叩きつけ、皆殺しにしてやる、と。
 二人の過激派は彼女の持つ意味もさることながら、彼女の美しさ、その笑顔にひきつけられました。「希望だ。天使だ。オレ達の夢だっ!断じて殺させはしないっ!」二人の過激派は彼女に地球の未来と、何よりも自分達の夢を託す事にしました。その夢とは清浄な地上を自分の足で思いっきり走りたい、清浄な空を思いっきり飛びたいと云う事でした。穴蔵に生きる自分達の運命はもうイイ。憎悪と戦いはもうイイ。彼女の様なニュータイプが世界に満ちれば、地上(清浄)も地下(不浄)も無い理想の世界を作れるのではないか?オレ達は喜んで彼らを生み出す為の肥料となろう。二人の過激派は彼女を本部から奪取、命を賭けて地上へ放ちます。彼らに取っては5分で肺が腐ってしまう死の世界なのです…。

「次の瞬間に肺から血を噴き出しても 鳥達が渡っていくように私たちはくり返し生きるのだ」

 走れっ!もっと速く。 飛べっ!もっと高く。 お前は本当の鳥だ。

Illustrated by たけしのたけし


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