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 7月15日(土)に東京・日比谷の日比谷映画で行われたスタジオジブリ作品の「耳をすませば」の舞台挨拶を収録したものです。

 出演者

 舞台挨拶の雑感


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・女性司会の挨拶から

  宮崎駿さんの挨拶   先頭へ

 「みなさんまず第一回目ご覧いただきまして本当にありがとうございました。
 いかがでしたでしょうか。」

 (観客・拍手)

 「ありがとうございます。この拍手は今、影のほうに監督さんとかプロデューサーとか声の方々いらっしゃいますけれども、大変喜んでいらっしゃると思います。とにかくこの中には昨日の夜の9時頃から並んだ方もいらっしゃったとか、ほんとにあの、スタジオジブリの作品、ごひいきいただきましてありがとうございました。思えば平成タヌキからあっという間の一年が経ちまして、随分毎年毎年ご覧いただいていると言う方も大勢いらっしゃるかと思いますが、まず全国的に今日はロードショウ公開されまして、その第一回目、この大きな劇場でご覧いただきまして、あのような大きな拍手ちょうだいいたしました。」

・出演者の入場

 「それでは今御紹介しました、監督さん、それからプロデューサー、そして声の出演のみなさん、今日はおふた方ですけれども、この舞台から皆様方にまず初日のご挨拶をさせていただきたいと思います。一人ずつおよびいたしますので恐れ入りますが、どうぞ拍手でお迎え願いたいと思います。
 これまでもスタジオジブリの作品では、作画などを手掛けて活躍してまいりましたが、今回始めて監督を手掛けました、どうぞ大きな拍手でお迎えください、近藤喜文監督です。」

 (観客・拍手)
 [監督の入場]

 「おそらく今日、一番心の中、みなさんの反応を「どうなのかな」と気になさっている監督です。まあ、拍手が鳴りやみません。」

 「そして、今回はプロデューサーでも有りまして、又、脚本、絵コンテを手掛けました。宮崎駿さん、どうぞ大きな拍手でお迎えください。」

 (観客・拍手)
 [宮崎駿さんの入場]

 「かわいい、雫役です、おもいでぽろぽろのタエ子ちゃん役以来の声の出演、本名陽子さん、御紹介します。」

 (観客・拍手)
 [本名陽子さんの入場]

 恋するすてきな天沢聖司役の、高橋一生さんです。

 (観客・拍手)
 [高橋一生さんの入場]

 「えー、それではそろいました4人の皆さんからお声をちょうだいいたします。
 まず、プロデューサーであり、脚本、絵コンテの宮崎駿さん。皆さんから嵐のような拍手です、どうぞ前のほうにお進みください、よろしくおねがいいたします。」

・宮崎駿さんの挨拶

  女性司会者の挨拶   近藤喜文監督の挨拶   先頭へ

 「今日はどうもありがとうございます。あの、長年作りたいと思っていたモチーフなんですが、今のこういう時代になって、今作ったことに本当に良かったと思います。実はもう次の作品に入っていまして、ついこの間までは、耳(をすませば)が頭の中に入っていたんですけれども、もうすっかりなくなってしまいまして、再来年の夏に公開しますのでよろしくお願いたします。」

 (観客・笑、拍手)
 [引っ込もうとする、宮崎さんを司会者が押しとどめて]

 「あっ、宮崎さんもう少しすいません。宮崎さんは見てくださった、お客さまにあまり多くは語りたくないとおっしゃっていらっしゃる方なんですが、お客様は宮崎さんの言葉を多く聞きたいなと思っていらっしゃいます。そこでまず今日のお客様もOn Your Markを見てくださったんですけれども、あれに対するメッセージと言いますか、CHAGE&ASKAのプロモーションフィルムに関して、どのような意気込みと言いますか、その作品に込められたメッセージというか、それはどのような物だったのですか。」

 [頭をかきながら答える宮崎さん]

 「いやあのー、耳をすませばを見に来た方はちょっとびっくりされたのではないかと思いますが、あのー、耳をすませばの世界とOn Your Markの世界と言うのは、僕の頭の中では矛盾しないでこう同じ所に並んでいる世界なんです。雫や聖司がこれから出てゆく中にはOn Your Markの様な世界に(これから)遭遇するであろうと言う予感をこめながら、それでも二人はあの「出会い」を出発点にして生きて行くんだなと思いながら作りました。」

 (観客・拍手)
 [司会者に、こんなもんでとおうかがいをジェスチャーでする宮崎さん]
 [結局許してもらえずにつづいて]

 「まだ、、、(笑)作品の中にこめられていたメッセージというかDANGERとかなんか色々な物が出てきましたけれどもそれなど、、、」

 「それは、あのー、えっと見る方々の自由にまかされていると映画は思うんで、とやかく作った側が弁解がましく言う必要は無いとおもいます。」

 (観客・拍手)
 [またまた、こんなもんでとおうかががいする宮崎さん]

 「まだですよ。」

 (観客・笑)

 「だから、あのー、だいたい私がやるはずは無かったんですが、最初は若い連中がこうやると言いましたんで、引き受けましたら途中でみんなだめになっちゃいまして、急遽、おじさんが出る羽目になったんです、これが真相です。」

 (観客・笑)

 「それで、あのーついでに話しますと、これはプロモーションビデオであのCHAGE&ASKAのコンサート用のフィルムとして作ったんですが、お金が掛かりすぎて、併映させていただいて(お金を)何とか回収しようと言うことになりました。ご協力ありがとうございます。」

 (観客・爆笑、拍手)
 [やっと宮崎さんは許してもらえて引き込む]

 「ありがとうございました。
 おそらく、今日、鳴りやまない沢山の大きな拍手を頂戴いたしまして、先程来から落ち着かずにいらした近藤監督もやや安心したかなと思うんですけれども、それではお客様にどうぞお願いいたします、近藤喜文監督です。」

 (観客・拍手)
 [前に出る近藤監督、マイクを手に取って話し出す、宮崎さんとはえらい違い]

・近藤喜文監督の挨拶

  宮崎駿さんの挨拶   高橋一生さんの挨拶   先頭へ

 「えーと、あのー、今回始めて(監督を)やらしてもらったんですけどもね、あのー最初こういう所で舞台挨拶とか有るの知りませんで、と言いますか、あのー考えていませんで引き受けたんですけども、この間、何ヶ所か廻ってまいりました。あのー、キャンペーンで16箇所ぐらいですか。で、廻ってきて、挨拶があると、やっぱりその度に(監督を)引き受けるんじゃなかったみたいな感じがしてですね、いまだに慣れていません。だもんで、あのーたいがいこのそでに居る時から、もう、頭(の中)が真っ白になるんですよね。そういう状態なもんで、あのーいつも困っているんですけれども。
 たいがい、今まで(作画監督をしていたときは)は絵を書いてそれで自分の守備範囲がそれで終わりますと、大体映画が終わったような気がしていたんですけれども、実は今回始めて全部やらしてもらった所、それからも随分たくさん仕事が有りまして、音のほうの仕事とか、色々有ったんですけれども、非常にやっぱり良いスタッフともめぐり合ってですね、なんとかそういう人達の力で、なんとかフィルムに出来たと言うところです。
 で、全国キャンペーンみたいなことをやったのも最初なんですけど、地方地方でですね、それぞれ映画館の興行の方なんかも含めて、大勢の方に見てもらう所では、あのーほんとみなさん努力してるって言いますかね。そういうことが有って、それもいちいち、これだけのたった一本の映画でね、これだけの人間が動いてるんだ、みたいなことが、ほんとにまたあのーなんかじっとすると言うんですか、そう言う風な感触を味わって来たんですけども。
 だもんで、あのー、中々16箇所、最初のキャンペーンがね、えっともう3週間ほど前になるんですけども、一週間関西のほうに行ってきました、それで二度目がですね、二週間のスケジュールで、えーっと東北と九州と北海道と行ってきたんですけれども、あのー飛行機で移動したりですね、(目的地に)着くと車で移動したりして、放送局とか新聞社に行ってお願いしますと言う事で、取材を受けたりするんですけれども、ほとんど町の様子なんかは見てこれないんですよね。だもんで、ほんとに、そこの町の人にはなんか申し訳ないって言うんですかね、なんかこんな事をやっていると罰があたるぞみたいなね、感じがしながら来たんですけれども。
 だもんで、大体、自分の中では、色々まわって来る中で、ほんとにまあ随分しゃべったしみたいなことも有って、半分ほんとに終わったような気分で居たんですけれども、実は今日が初日だったんですね。そういうことで、もし見ていただいて、感想が良かったら、あのーすいませんが、回りの方に薦めていただけたらありがたいんですけれども。」

 (観客・笑)

 「プロデューサーからはですね、最初の予算が2億円でですね、それが4億、6億、あのー、7億、8億になって、えらい掛かったと、おまえだけの責任じゃないとはいえ、おまえも半分加担しているんだから、しっかりキャンペーンやってこいなんていわれたもんですから、そういうことでもう、ほんとに、やっぱりプレッシャーが無いと言う風なことで言ってたんですけれども、やっぱり有りますよね。だもんで、一人でも多く見ていただけたら私もありがたいもんですから、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。」

 (観客・拍手)
 [監督はマイクを元に戻して、後ろに下がる]

 「はい、それでは声のお二方にまいります。
 えー、スタジオジブリの作品は、これで二度目になるんだそうでございます、天沢聖司役です、高橋一生さんです。どうぞ。 」

 (観客・拍手)
 [前に出る、高橋一生さん]

・高橋一生さんの挨拶

  近藤喜文監督の挨拶   本名陽子さんの挨拶   先頭へ

 「天沢聖司役の、高橋一生です。
 声の出演と言うのは、今まで何回かやらせていただいてまして、スタジオジブリの作品では、『おもひでぽろぽろ』にも出させていただきました。今回の天沢聖司という役をやらせていただいて、目からうろこが落ちたっていうか、そんな感じです。
 今の時代、確かな物は何にも無くて、日常っていう繰り返しの中で、目に見えなくなっていくものが、山ほどあって、実はその中に、何かすごいすばらしいものが隠されているんだな、って気がつきました。
 天沢聖司と一緒に仕事をやってみて、気づいたのは、一生懸命というのは、すごいかっこいいことで、信じてまっすぐ進むというのは、決して恥ずかしいことではないということでした。  (まじめに一生懸命生きることを)うざったいとか、かっこ悪いとか、ダサイとか(考えること)、そういうのがかっこいいんじゃないんだなって思いました。
 僕もこれから本当のかっこ良さっていうのかな、そういうのを探してゆきたいと思ってます。
 それと、まだ出会ってない僕の雫との出会いを楽しみにしてます。ありがとうございました。」

 (観客・爆笑、拍手)
 [うしろに下がる、高橋一生さん]

 「うまーい。
 目指しているのは、俳優さんでしたっけ、りっぱな俳優さんだそうです。どうもありがとうございました。
 さあ、それではあのかわいくてすてきなチャーミングな雫役の本名陽子さんです、お願いします。」

 [前に出る、本名陽子さん]

・本名陽子さんの挨拶

  高橋一生さんの挨拶   舞台挨拶の雑感   先頭へ

 「月島雫役の本名陽子です。
 本当に今日暑い中早くからおこしいただいて、本当にありがとうございます。私はこのジブリ作品と言うのは、本当に前からすごく好きで、いつも勇気とか、希望とかを与えられている一人だったんですけれども。
 今回は、また、逆の立場からということだったんですけれど、より多くの事を学ばせていただきました。
 今回の作品ではスタッフの方々が本当に素晴らしくて、私は色々ご迷惑をおかけしてしまったんですけれども、すごくやさしく接していただいて、こんなに素晴らしいスタッフと、監督(の方)とかプロデューサーの方とか、本当に(世間ではどこにも)居ないんじゃないかと思います。
 私はこの雫役を通して、(自分の気持ちに)素直に生きるっていうか、本当に夢に向かって希望を持って、一生懸命生きようと思いました。ありがとうございました。」

 (観客・拍手)
 [うしろに下がる、本名陽子さん]

 「本名陽子さんの歌うカントリーロードの清らかな歌声がまだ耳から離れないと言う方も大勢いらっしゃるかと思います。
 以上を持ちましてまずを持ってご覧いただきました皆様方への、お礼にかえさせていただきます、本日はまず第一回目、暑い中ご覧いただきまして皆様本当にありがとうございました。あらためまして御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。」

 (観客・拍手)

 「では、続いて、皆様の拍手の中ご退場ください。」

 [退場する、出演者達]

以上


★舞台挨拶の雑感

  本名陽子さんの挨拶   先頭へ

 8ミリビデオカメラで撮った物を、何度も見ながら、原稿を作ったのですが、やはり、映画と同じでしっかりした若年層と頼りない年寄りの対比が出ていたと感じました。

 次回作の「もののけ姫」の制作で頭がいっぱいの宮崎さん、もう心ここにあらずといった感じで、挨拶も簡単に済ませようとしているのが見え見えでした。
 それに比べて近藤監督は、マイクを手に持ったのは良いが、何にも考えていないので、「えー」とかが多く、しかもメリハリが無いので、眠くなる挨拶の典型をやってしまったようです。
 また高橋一生さんは、本当に自分の映画を通して感じたことを素直に言い、本名陽子さんは、ちょっと型通りな挨拶とはなったものの、しっかりした挨拶だな、との印象を受けました。

よっちゃん (YBH83028@pcvan.or.jp)


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