一筋の光明
(姫様絶対派!……苦笑)

おおひがみ(NEM50524@pcvan.or.jp)


 唐突ですが、僕はもともと姫様絶対派です。
 ナウシカの言葉は常に正しく、その行動は常に正当なものであるという確信に満ちた人生を送ってまいりました。(笑……汗;)

 しかしながら、ナウシカが墓所を破壊した時から、僕は姫様の元を離れ墓所の側の人間に、つまりは人間がより生存の可能性が多いと思われる側に立ったのでした。
 なぜなら僕が今まで生きてきた軌跡、ことに若いころのそれは、科学という名の神を崇める信徒であり、年齢とともに多少世の中が見えてきた今でも基本的には科学を信じている点では変わりがないからです。(ひきつり……汗汗汗;)

 シュワの墓所。それは環境の荒廃が極限まで進行した時に、人間が取るであろう一つの選択だし、もしもその場に僕がいたなら迷わずに実行した方法だと思っています。
 生きようとする人間が、無理矢理自然の摂理をねじ曲げても達成した腐海という環境。そしてそうした環境でも生きてゆける人間も含む生物の改造。その一切を否定し墓所を破壊したとき、永い浄化の時が終わると腐海と共に人間は滅びを向かえる。そのことと最後の「生きねば」という言葉との間に矛盾を感じ将来、人間が清浄の地で生きて行く可能性を封じたナウシカの行動に疑問を感じながら……。

 そんなもんもんとした日々を過ごしているとき、僕は大きな見落としをしていることに気がつきました。ヒドラの番人はなんといっていたか……

 「……汚染のないこの庭の大気は甘くて強い。私が少女の身体に何もしなかったら、その子の肺は血潮を噴き出していたはずだ。……」

 ん!

 悲しみで目が見えなくなっていた僕にとって、このことは一筋の光明でした。
 庭の汚染のない甘くて強い大気の中で生きてゆけるのならば、清浄の地でも生きてゆけるのではないかと……

 ナウシカの時代、火の七日間のあと腐海が生まれて1000年程がたっているようですが、腐海が人間の生存圏を大きくせばめている状況からみると、あと数百年から1000年くらいは浄化の時がかかりそうです。
 不謹慎な考え方かも知れませんが、その間にひとりの少女が一体何人の子孫を残せるのか?そしてその子孫たちは清浄の地で生きてゆけるのか?
 全ては可能性でしかないけれど、滅びが確実な状況からみればたった一人であってもそれを信じてみたい。そんな気持ちにさせられました。

 ああ神様(原作者…笑)の意図はともかく、やはりナウシカは僕にとって使徒であり救いなんだなあと……
 腐海の最深部。腐海の切れるぎりぎりのあたりで、沢山の子供に囲まれて暮らすナウシカを夢見つつ……(傍らに立つ果報者はどこのだれなのかな〜…嫉妬)。


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