二人がみた星空

ジジ(HRE28972@pcvan.or.jp)


 まだ星空の残る明け方の多摩丘陵を疾走する雫と聖司。彼らが眺めたであろう星空はどんなものだったのでしょうか?

 季節は晩秋ですが、明け方に見える星空は半年回って冬から春にかけての星空です。西の空にオリオン座、頭上にふたご座、明けゆく東の空にはしし座とおとめ座。全天のうちでも、とくに明るい星〜一等星が数多く見える星空です。

1994年10月末 明け方の空
(月の位置は日によって変動します)

ぎょしゃ座
カペラ
ふたご座
カストル、ポルックス
こいぬ座
プロキオン
おおいぬ座
シリウス(全天一の明るさ)
オリオン座
ペテルギウス、リゲル
しし座
レグルス
おとめ座
スピカ
また、この時、南の空に火星がありました。 他に有名どころとしては、北の空に北斗七星が昇りつつあります。

 東京の空、月夜、夜明け前、などなどの条件(星を見るには邪魔な条件です)を差し引いても、これらの星々は雫達の頭上に美しく輝いていたことでしょう。SFだのファンタジーだの大好きな雫と聖司のことですから、星座はけっこう詳しかったのではないでしょうか? 「あ、オリオン座!」とか思いながら疾走していたのかもしれません。

 夜明け前は一日の中でもいちばん空のきれいな時間帯です。好きな女の子には一度は見せてあげたいと思う気持ちはよ〜くわかります。きれいに澄んだ星空がだんだん碧、紫、茜色と微妙に変化していって、いつしか星々は姿を消し、太陽が昇ってくる。冷え切った空気が、太陽があたった瞬間、ほんのりあたたかくなるような気持ち。ひとことでは言い切れないとてもいい気持ちの瞬間です。聖司くんでなくても、横にいる女の子をくどきたくなりますよ、あの瞬間は。(取材の時は男4名……(苦笑))

 ただ現実には、その時間帯に誘い出すのが非常に困難なわけでして、聖司くんは、よくやったと思いますよ、ほんと。「家がきびしくて」なんてのは、まだ良いほうで、「寒い」「眠い」「腹減った」などなど、数々の条件をクリアしないと女の子は動いてくれませんですぞ。また、相手が耳すまフリークだったりすると、もう、それだけで、この手は使えませんね。もう、バレバレ状態です。

 しかし、あのあとの月島家は、どうなったんでしょうね? 起きてみると娘がいない。朝帰り状態(夜はいましたけどね)。ふつー、親は気が気じゃないですぞ…。(笑)


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