「耳をすませば」、青春のざわめき!?

ま、こういうのも青春ということで(ほんとか?)。

TAKAO(UXE861822@pcvan.or.jp)

 聖蹟桜ヶ丘駅に近い丘に、「宇宙屋」というマニア向けショップがあった。数多の稀覯同人誌やキャラクター人形などが置いてあった。ある日、この「宇宙屋」に少女が入ってきて、同人誌を熱心に読みはじめた。
雫   「おじいさん、これはやおい本ですね?」
老人  「そうか、お嬢さんはやおいを知っている人なんだね」
 こうして雫は「宇宙屋」をたびたび訪れるようになった。ある日、「宇宙屋」の階下で老人の孫の少年が何かを作っているのに雫は気づいた。
雫   「ねっ、それもしかしたらガレージキット?」
聖司  「あ、ああ」
雫   「見ていい?あれも全部作ったの?」
聖司  「まさか、ここでガレージキットづくりの教室もやっているのさ」
雫   「あなたのはどれ?」
聖司  「あのやっこちゃんだよ」
雫   「すごいなあ、よくこんなのつくれるねー。まるで魔法みたい」
聖司  「その位のもん誰でも作れるよ。まだぜんぜんだめさ。だから中学を出た
     らアメリカにガレージキット作りの修行に行くつもりさ。アメリカには
     おじいさんの知り合いの厳しいガレージキット職人がいるんだよ」
 雫は聖司が明確な目的を持って行動していることに衝撃を受け、自分もなにかしなくてはならないと考えるようになった。
雫   「私も何かしなくちゃ。そうだ、同人誌を作ろう!」
 こうして雫は勉強を投げ捨て、来る日も来る日もやおい本を作る日々が続いた。
雫   「おじいさん、同人誌を作ったのでもって来ました。約束です、最初の読
     者になってください」
老人  「これは大長編だ」
雫   「何時間でも待っていますから、今すぐ読んでください」
老人  「・・わかりました。すぐよませてもらいます」
 老人はとにかく雫の最初の作品を読み終えた。
老人  「雫さん、よみました。ありがとう、とてもよかった」
雫   「うそ、本当のことを言ってください。描きたいことがまとまってません。
     自分でわかってるんです」
老人  「そう、あらあらしくて、すなおで、未完成で、聖司のガレージキットの
     ようだ。雫さんの切り出したばかりの原石をしっかり見させてもらいま
     した。あなたはすてきだ。時間をかけて自分を磨き、コミケで売ってご
     らんなさい」
こんな話だったらイヤすぎる(笑)


佐藤(EHF41721@pcvan.or.jp)

雫   「ねっ、それ、もしかしたら空中浮遊しているの?」
聖司  「あ、ああ…」
雫   「凄いなぁ〜、良く、こんな事出来るね〜。まるで魔法みたい」
聖司  「お前な〜、良くそう云うハズカシイ事、平気で云えるよな」
雫   「あら、いいじゃない。本当にそう思ったんだから」
聖司  「これ位のもん、誰でも出来るよ。まだ全然ダメさ」

雫   「天沢クン、超能力が上手だね、そっちの方へ進むの?」
聖司  「俺くらいの奴は沢山居るよ。それより俺さ、ハルマゲドンから世界を救
     済したいんだ。或る所に聖NOVA教団の聖地が有るんだよ。中学を出た
     ら出家したいんだ」
雫   「高校行かないの?」
聖司  「家中が大反対!だからまだどうなるか判らないけど、おじいちゃんだけ
     が味方してくれてるんだ」
 夕子の部屋にて。
雫   「俺くらいの奴、沢山居るよ。あいつが云ったの。あいつは自分の才能を
     確かめに行くの。だったらあたしも試してみる。決めたっ!あいつがや
     るならあたしもやってみる」
 ラストシーン。
聖司  「雫、あのさ、オレ、今すぐってワケには行かないけど…俺と結婚してく
     れないか?」
雫   「え…」
聖司  「俺、きっと教団の幹部になるから、そしたら…」
雫   「うん」
聖司  「ほんとか」
雫   「嬉しい。そうなれたらいいなって思ってた」
聖司  「そうか、やった」
雫   「待って、風冷たい…」
聖司  「雫、大好きだっ!」
 その少年は「人間を救いたい」と書き残していった…。

実際に有りそうな話で恐いっす。


EastWind (XSG19897@pcvan.or.jp)

司朗  「そうか、お嬢さんはドワーフを知っている人なんだね?」
雫   「はい。RPGは大好きです。ドラクエも、FFも全部やりました」
 そのあと。話はすすんで。

●夕子の家にて。

雫   「決めた!わたし、ゲームソフトをつくる。やりたいジャンルがあるの!
     夕子、ありがとう。わたし、なんだか力がわいてきた」
●司朗をたずねて。
雫   「バロンをゲームのNPCにしたくて。おゆるし、いただけますか?この
     人形がおじいさんの宝ものだって、きいたので」
司朗  「いいですとも。そのかわり、ぼくを、雫さんのゲームの、最初のテスト
     プレーヤーにしてください。」」
雫   「でも、ちゃんと納期を守れるかどうか、わからないし」
司朗  「ははは、それは、私たちプロもおなじです。はじめからかんぺきにやろ
     うなんて思ってはいけない」

 おじいさんは、そういって、雫に一つの石をさしだしました。

司朗  「石の表をのぞいてごらん」
雫   「わぁーっ、きれい!」
司朗  「PROMといってね、ゲームソフトのコードが含まれているんだよ」
雫   「これがカートリッジのなかに?」
司朗  「そう、雫さんも聖司も、その石みたいなものだ。まだ書き込まれていな
     い、工場出荷のままのPROM・・・。わたしは、そのままでもとても
     すきだがね。しかし、イベントをプログラミングしたり、シナリオを書
     いたりするのは、違うんだ。自分のなかにアルゴリズムを見つけて、時
     間をかけてコーディングすることなんだよ」
●11月の、あるゆうぐれ。
司朗  「雫さん、プレイしました。ありがとう。とてもよかった。」
雫   「うそ!うそ!ほんとうのことをいってください。イベントの流れがまと
     まっていません。後半なんてめちゃくちゃ。自分でわかってるんです!!」
司朗  「そう。バグばかりで、単調で、未完成で、聖司の格闘ゲーのようだ。」
司朗  「雫さんの、あがったばかりのバイナリをしっかり見せてもらいました。
     よく、がんばりましたね。あなたはすてきです。あわてることはある。
     納期は迫っています。」

 雫は泣きだした。

雫   「私、やってみてわかったんです。徹夜するだけじゃあがらないってこと。
     もっと、勉強しなきゃ駄目だって。でも、聖司くんがどんどんノルマ
     あげちゃうから、無理にでも入力しようって・・・ほんとうは、眠くて、
     眠くて・・・」
・・・恐い考えになってしまった。


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