質問1:内分泌外科とはどんなところを診療をする外科ですか?
- 甲状腺・副甲状腺・副腎・膵内分泌腺に起こる病気を手術などの方法で治療する外科です。
- 卵巣と精巣もホルモンを作る重要な臓器ですが、どちらにできる病気も内分泌外科では取り扱っていません。それぞれ女性・男性ホルモンを分泌し、妊娠・出産など生殖機能との関連がより強いので、産婦人科・泌尿器科の方が得意です。
- 脳下垂体は、ホルモン分泌の中枢ですが、手術による治療が必要な病気は、脳神経外科で取り扱われています。脳の中は手術は、他の部位の手術ととても違った方法で進める必要があるからです。
- 乳がん・乳腺症などの乳腺の病気の診療も、内分泌外科を専門にする外科医の多くが同時に得意している分野です。
質問2:どんな種類の病気を内分泌外科で取り扱うのでしょうか。実際の病気の名前は?
- 甲状腺・副甲状腺・副腎・膵内分泌腺の病気のうち手術で治す主な病気をそれぞれの部位別に示しましょう。
- 甲状腺:
- 甲状腺腫瘍(甲状腺がん・甲状腺良性腺腫・腺腫様甲状腺腫)
- バセドウ病
- 副甲状腺:
- 副腎
- 原発性アルドステロン症
- クッシング症候群
- 褐色細胞腫
- 副腎がん
- 非機能性副腎腫瘍
- 膵内分泌腺
- 複数の内分泌腺に重なる病気
- 多内分泌腺腫瘍症1型
- 多内分泌腺腫瘍症2型
- ヒッペル・リンドウ病
質問3:どれも聞き慣れない病名なのですね。滅多にかかることのない病気ですね。
- 確かに、珍しい病気ばかりという印象をもたれるのは当然と思います。
- ただ、一般の方々はもちろん一般臨床の医師の方々が考えているよりも発生頻度の高い病気が少なくないことも事実です。
- 例えば、甲状腺癌やバセドウ病は、少なく見積もっても、人口1000人に1人くらいの頻度で発生します。
- 副甲状腺機能亢進症という病気も、いろいろな訴えて病院を受診される方で調べてみると、日本でも2500人から5000人に1人の割合で見つかります。
- 内分泌外科の病気は、病気の生じている部位と症状の起こって部位とが必ずしも一致しないので、気がつかなかったら見過ごされることがあるのです。
つづく