Ominaesi 女郎花
◆主な薬効
血流を良くし、産前産後の回復などに効果
根をせんじて飲むと、血流を改善し、利尿、
 解毒、排膿、消炎剤となり、
 血の道、月経閉止、子宮内膜炎、胆嚢炎、
 産前産後の回復に効果がある。
◆入手方法
生の葉や花枝は野生種ないし栽培品から採る。
敗醤根は漢方薬局で購入できる。
◆メモ
山菜として利用できるが、採集後は、
 手早く調理し、においの強い材料と交ぜて
 食べよう。
つぼみはてんぷらにも!!
 オミナエシは、日当たりの良い山野に自生する植物で、
夏から秋にかけて茎頂に美しい黄色の小花を多数付けます。
この植物の根を掘って、乾燥させていると、しょうゆの腐ったようなに
おいが出てくるので、根の生薬名は(敗醤根)といいます。

 根を1日10cせんじて飲めば、血流を良くするので、産前産後の
要薬として、また腹痛、産後の肥立ちを助けるために服用されます。
 また利尿、解毒、排膿、消炎、浄血剤となるので、浮腫、腫れ物、
るいれき、吐血、鼻血、こしけ、血の道、月経閉止、子宮内膜炎、
胆嚢炎などにも使われます。

オミナエシの花枝を採集して乾燥させたものを黄屈花といい、
酒に漬けておき、1日に2〜5c相当の量を服用すれば、
生理不順に効き目があります。

 オミナエシは秋の七草の一つで、漢字では「女郎花」と書きます。
そして、この黄色い小花を粟飯に見立てて女飯が転じて、
オミナエシになったといわれています。

 これに対して、同じく山野に生えている、大柄で白色の花が
咲いているのを米の飯として男飯、すなわち、
男郎花(おとこえし)と呼んでいます。
(オミナエシより全体的に大きく、8〜9月に白い花をつける。
乾燥させた根を煎じたものには解毒効果があるとされている。
若い苗は食用にもなる。)

 この二種は同じ多年草でも、生態的には違います。
地下茎を出すオミナエシに 対し、オトコエシは、走出枝と呼ばれる、
地上をはう長い枝を何本も出して、その先端に子苗をつけます。
当然、いずれも親株は子苗に栄養を供給します。
 茂った草むらでもオミナエシの子苗は地下茎なので堅実に根付き
育ちますが、オトコエシの子苗は走出枝のため、雑草が多いと、
多くは着地できずに空中で枯れる運命です。
ところが、道端や土砂が崩れた場所など空きの多い場所では、
オトコエシの方が短期間に広い面積を占めることができるのです。
 
 果実もオトコエシには翼があり、風に乗り遠くまで飛んでいき、
新天地を目指します。地道なオミナエシと、気の多い山師の
オトコシとでもいえるのでしょうか。植物にも個性があるのです。
 庭や畑で栽培しようと思うと、丙種とも開花株は枯れるので、
近くを探して子苗を移植してください。
種を採集できたら種子繁殖もできますので種まさしてください。
切り花としても人気がありますが、ともに枯れてくると不快臭が強まります。
 
 春は、若い茎を摘み取ります。10月ごろから翌年の春にかけては、
冬越しの葉を根元から切り取り、塩をひとつまみ入れた熱湯でゆで、
冷水にさらし、ゴマあえ、ピーナツあえにしたり、
バターいためなどにすると食べることができます。
採集して手早く料理すると、香りはあまり気になりませんが、
時間がたって乾燥が始まると、香りが悪くなりますので、その場合は、
強いにおいがするニンニクやニラなどと交ぜると良いでしょう。
夏ごろの開きかけたつぼみが手に入れば、
てんぷらにしてもおいしく食べられます。

 
2003年徳島新聞・薬草を食べるから